中ぐり盤

中ぐり盤とは

中ぐり盤

中ぐり盤とは、中ぐりと呼ばれる加工を専門とした工作機械です。

中ぐりとは、ドリルなどで開けた下穴をより大きくする際に、開けた下穴を広げる様に加工することを指します。ドリルのサイズでは加工できない大きな穴を加工したいときや、正確な寸法及び仕上げ加工を要する場合に使用されます。

中ぐり加工はフライス盤マシニングセンタタレット旋盤などでも可能ですが、大きな工作物を加工する場合や深穴の中ぐり加工をする場合には、中ぐり盤を使用するケースも多いです。使用される工具を「ボーリングバー」と呼び、深穴に対応できるものや超硬でできたものなど、種類も豊富にあります。

中ぐり盤の使用用途

中ぐり盤は、旋盤やマシニングセンタなど、他の工作機械では加工不可能な工作物を中ぐり加工するために使用されます。

例えば旋盤の場合は主軸チャックで把握できるサイズのものしか加工することはできません。また、把握できたとしても、ボーリングバーを工作物に寄せた時に干渉する部分があれば加工は不可能になります。

マシニングセンタも同様にテーブルに置くことができる加工材料の大きさに制限があるため、より大きな加工材料の中ぐりを行うためには中ぐり盤を使用しなければなりません。また、マシニングセンタでは一定以上の加工精度が出せないため求める加工精度が高ければ高いほど中ぐり盤での中ぐり加工が必要とされます。中ぐり盤はツーリングゾーンを広くとっているものが多いため、様々な工作物の加工に対応できます。

中ぐり盤の原理

中ぐり盤の基本構造は、主軸頭、コラム、テーブル、サドル、回転ベース、ベッドから構成されています。中ぐり加工は中ぐり用のバイトという刃物を使用して、下穴の内径を切削していきます。バイトを主軸と一緒に回転させながら加工材料にバイトを接触させ下穴を広げていきます。

しかし、中ぐり加工は加工上穴の内部に切り粉がたまりやすいことや、深穴を加工する際バイトがびびりやすく破損や事故につながりますので注意が必要です。

中ぐり盤の種類

中ぐり盤の種類は、次の5つに分けられます。

1. 横中ぐり盤

主軸が横向き (水平方向) の構造になっています。立形に比べ、切り粉の排出性が良いため、より大きく深い穴に対応できます。中ぐり盤の中で最もメジャーなタイプになります。

2. 立中ぐり盤

主軸が縦向き (垂直方向) に取り付けられています。横形に比べ、主軸の自重によるたわみが少ないため、より安定した精度で加工が可能です。立中ぐりは比較的大型の工作機械が多いためサイズの大きい加工材料の加工に適しています。しかし、貫通穴出ない場合切り粉が排出しにくいのが欠点です。

3. ジグ中ぐり盤

ジグ中ぐり盤は精密な位置決めが可能な装置を搭載しており、横中ぐり盤や立中ぐり盤に比べてより高い精度で加工することが可能です。また構造は立中ぐり盤と似ています。元々はジグ (治具) の加工用として用いていたことから、「ジグボーラー」とも呼ばれています。

4. 精密中ぐり盤

ミクロン単位の仕上げ加工用に使用されます。インローの内径仕上げなどにも多用されています。

5. NC中ぐり盤

NC中ぐり盤は、中ぐり盤に数値制御機能 (NC) を搭載したモデルです。事前に加工データをプログラミングでき、自動で加工するため作業の効率化や省人化が可能です。

中ぐり盤のその他情報

中ぐり盤の特徴

中ぐり盤は、高精度の穴加工が可能です。中ぐり盤は昔からものづくりに使用されている工作機械で、旋盤や汎用性の高いマシニングセンタでも中ぐり加工が可能な中、穴の寸法精度が必要な部品では今でも中ぐり盤が使用されるほど、高い加工精度を持っています。

中ぐり盤の形状はいくつかの種類で分かれており、加工材料や加工精度を考慮し適切な中ぐり盤を使用することで、穴加工の精度をより一層高めることができます。

導電性高分子コンデンサ

導電性高分子コンデンサとは

導電性高分子コンデンサとは、電解質の材料として導電性高分子を使用し、低インピーダンスと優れた高周波特性、さらには温度や印加電圧に影響を受けにくいのが特徴のコンデンサです。

従来のコンデンサよりも静電容量の安定性に優れ、低いESR (等価直列抵抗) 、高い信頼性を実現しているため、より高性能な電子機器の実現に寄与しています。

導電性高分子コンデンサの使用用途

導電性高分子コンデンサは、安定した静電容量、低いインピーダンス、高速な充放電性能、高い信頼性などの特性を活かして、幅広い用途で使用されています。主な使用用途は、以下のとおりです。

1. 電子機器

導電性高分子コンデンサは、スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなどの携帯電子機器に使用されています。特に、高速な充放電性能が求められるバッテリー関連の回路や、高周波回路での使用に適しています。

2. 車載電子機器

車載電子機器には、高温・高湿度などの厳しい環境下での動作が求められます。導電性高分子コンデンサは、高い信頼性と耐久性が求められる車載電子機器に適しています。

3. 有機ELディスプレイ

有機ELディスプレイのドライブ回路には、高速な充放電性能が必要です。導電性高分子コンデンサは、その高速な充放電性能を活かして、有機ELディスプレイのドライブ回路に使用されます。

4. 太陽光発電

太陽光発電のインバーター回路では、高速なスイッチングが必要です。導電性高分子コンデンサは、その高いスイッチング性能を活かして、太陽光発電のインバーター回路に使用されます。

導電性高分子コンデンサの原理

導電性高分子コンデンサは、従来のタンタル電解コンデンサやアルミ電解コンデンサをベースとしたものと考えられます。従来タイプの電解コンデンサは、陰極に二酸化マンガンや電解液を用いています。

一方、導電性高分子コンデンサは、電解質に導電性高分子を用いた電解コンデンサです。即ち、高分子タイプのアルミ電解コンデンサであれば、陽極にアルミニウム箔、電解質に導電性高分子、陰極材料はアルミを用いています。

高分子タイプのタンタル電解コンデンサであれば、陽極にタンタル金属、電解質に導電性高分子を用いています。なお、ここで言う導電性高分子とは、ポリピロールポリチオフェンなどの高分子です。

導電性高分子コンデンサの種類

現在製品化されている導電性高分子コンデンサには、次の種類があります。

1. 導電性高分子アルミ電解コンデンサ

陽極にアルミ箔、誘電体はアルミ酸化膜、電解質が導電性高分子で銀電極と接しています。積層タイプで小型化が特徴です。

2. 導電性高分子タンタル電解コンデンサ

タンタル電解コンデンサの電解質を二酸化マンガンから導電性高分子に置き換えたものです。安全性が高いことも特徴として挙げられます。

3. 導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ

従来のOSコンの陰極材料を高分子に置き換えたものです。高リップル、高耐圧特性が特徴です。

4. 導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ

アルミ電解コンデンサの電解質として、電解液と導電性高分子を併用したものです。従来のアルミ電解コンデンサと同一形状となっています。

導電性高分子コンデンサのその他情報

導電性高分子の特徴

1. 低いESR (等価直列抵抗) 
導電性高分子は、抵抗値が低く表面積が大きいため、ESRが低くなります。これにより、高速な充放電が可能になります。

2. 高い耐熱性
導電性高分子は、一般的に高い耐熱性を持ちます。これにより、高温環境下での使用が可能になります。

3. 高い信頼性
導電性高分子は、柔軟性に優れているため、振動などの外力に対しても耐久性が高く、信頼性が高いとされています。また、ESRが小さいことは、充放電時の電流による発熱が少ないことを意味します。これはコンデンサの寿命に大きく影響し、導電性高分子コンデンサの寿命が長いことの理由の1つです。

参考文献
https://industrial.panasonic.com/jp/ss/technical/p1
https://www.rs-online.com/designspark/understanding-polymer-and-hybrid-capacitors-jp
https://article.murata.com/ja-jp/article/polymer-capacitor-basics-part-1
https://industrial.panasonic.com/jp/products/capacitors/polymer-capacitors
https://www.rs-online.com/designspark/study-capacitor

内面研削盤

内面研削盤とは

内面研削盤

内面研削盤とは、円筒形状の工作物の内面を加工する機械のことです。

研削加工は、硬い砥粒を結合剤で固めた砥石を用いて、材料を削る加工方法を指します。砥石には酸化アルミや炭化ケイ素が使われ、硬さはダイヤモンドに次ぐものがあります。そのため、焼き入れ鋼のような硬い材質を削ることが可能です。

切削加工に比べて切り込みが小さいため、荒削りには向いていませんが、寸法精度や仕上げ面の荒さが良いことから、精密加工に適した手段です。通常、切削加工後に焼き入れを行った後の仕上げ加工に使用されます。

内面研削盤は硬い材質の円筒形状の内面加工に適した機械で、寸法精度や仕上げ面の良さが求められる精密加工に活用されています。内面研削盤を理解し、適切な加工方法を選択することで、高品質な製品を生産することが可能です。

内面研削盤の使用用途

内面研削盤は、砥石軸ヘッドと呼ばれるスピンドルに小径の内面研削盤用砥石を取り付け、工作物を外爪チャックや電磁チャックなどで固定して研削します。

内面研削盤の種類は、工作物回転形とプラネタリ形の2種類です。工作物回転形では、砥石軸と主軸が互いに回転し、砥石が工作物に前後にオシレートしながら切り込みをかけて研削します。

一方、プラネタリ形は、製品が大きい時や回転時にバランスが取りづらい形状の工作物に適しています。砥石軸が回転しながら遊星運動を行い、内面に沿って研削しますが、工作物自体は回転しません。

研削には砥石の切れ味と精度、形状が重要です。そのため、砥石交換時や一定の研削量ごとに、砥石の成形や目立てを行うドレッシングが必要です。ダイヤモンドドレッサーを回転した砥石に当てることで、砥石を整えます。

内面研削盤の原理

基本的な工作物回転形の内面研削盤では、主軸に対して砥石がついた砥石軸ヘッド側がスライド機構を持ち、穴の中に砥石が入り込むことで研削を行います。また、スライド位置を合わせることで、穴の軸中心に対する直角な端面の研削も可能です。

内径に適した砥石をセットアップすることで、さまざまな内径に対応できます。ただし、砥石軸のたわみのため、内径が中高になりやすいです。内径に対して大径砥石を選定し、短い軸首の砥石軸を使用し砥石軸ヘッドにセットする必要があります。

段付き形状の内径にも対応可能で、同軸度は高精度に仕上がります。主軸に角度をつけることで、テーパー研削を行うこともできます。砥石で工作物を研削する場合、砥石の周速が低いと砥粒が結合剤と一緒に脱落しますが、1,500から3,000m/minの高速回転で周速を得ることで、焼入れ鋼のような硬い工作物を削ることが可能です。

一般的な研削条件では、砥石は小径のため、前述の周速を得るために砥石軸ヘッドを2,000から3,000rpmで回転させます。工作物は、研削表面の周速が35から45m/min程度になるように主軸回転数を設定します。

内面研削盤のその他情報

内面研削盤と併用される機械

内面研削盤は、精密加工を行う際に重要な機械ですが、前後の工程において併用される機械もまた重要な役割を果たしています。併用される機械としてCNC旋盤、面取り機、三次元測定機の3種類があります。

1. CNC旋盤
CNC旋盤は、コンピュータ数値制御によって駆動される旋盤で、内面研削盤の前段階で使用されます。素材を所定の形状に切削加工し、内面研削盤でさらに精度を高めるための下地を整えることが可能です。CNC旋盤は、複雑な形状の加工が可能であり、自動化による生産性向上も期待できます。

2. 面取り機
面取り機は、研削盤で加工された部品の端面や切り口にできるバリを取り除く機械です。内面研削盤で加工された部品の仕上げに欠かせない機械であり、製品の安全性や品質向上に寄与しています。

面取り機は、手動操作型から自動化されたものまで幅広く取り揃えられており、生産性や加工精度に応じた選択が可能です。

3. 三次元測定機
三次元測定機は、内面研削盤で加工された部品の寸法精度や形状精度を検証するための機械です。加工精度が設定通りであるかどうかを確認し、製品品質を維持・向上させることができます。また、測定データは分析や品質管理にも活用され、生産プロセスの改善に役立ちます。

参考文献
https://sakaitec.co.jp/engineering/machinetool/334
https://www.okamoto.co.jp/inside
https://www.toyo-at.co.jp/products/kousakuki/index.html

平面研削盤

平面研削盤とは

平面研削盤とは、その名の通り工作物の平面を研削する研削盤です。

加工現場でもっとも使用されています。平面研削とは、加工物を移動させながら回転する砥石に表面を当てることで、平面度を高くする手法です。

対応できる製品の種類が多いため、数ある研削手法の中でも広く使用されています。

平面研削盤の使用用途

平面研削盤は、主に平面形状を持つ焼入れ鋼などの工作物の仕上げ加工に使用されることが一般的です。削れる量は平面切削を行うフライス加工などと比較すると、圧倒的に少なくなります。

横軸角テーブル形平面研削盤では、テーブルが左右に往復運動する際の反転時に切り込みをかけますが、荒研削時で0.01から0.2mmで、仕上げ研削時は最大でも0.01mmで通常は0.005mmほどです。しかし、砥石で研削することで、細かい精度で加工面を仕上げることができます。

平面研削盤の原理

平面研削盤では、回転する砥石が加工物表面に接触することで、表面の凹凸や異物を除去します。平面研削の仕上がりは、以下に示すような研削条件によって変化します。

1. 砥石の回転数

砥石の回転数は、周速度によって決定します。通常、平面研削盤の場合1,200~1,800m/minの周速度が得られる回転数に設定します。

研削砥石が安全に使用できる最高速度である最高使用周速度は、労働安全衛生法で定められています。砥石回転数はこの周速度を超えないよう設定しなければなりません。

砥石の回転数は、砥石と加工物のどちらにも影響を与えます。砥石の回転数を上げると、「砥石の消耗量が小さくなる」「加工物の研削量が大きくなる」「砥石の表面温度が小さくなる」という3つの特徴が見られます。

2. 工作物送り速度

工作物の送り速度は、テーブルの送り速度のことです。工作物の材質や硬さ、必要な面荒さなどによって異なりますが、仕上げ研削の場合30,000~50,000mm/minになるように設定するのが一般的です。

3. 砥石の切込み量

砥石が素材に切込む量で1回の加工で削り取る量を決定します。切込み量が少ない場合、研削抵抗が小さいことから砥石の摩耗は少ないです。そのため、加工物の仕上がりが美しくなります。

切込み量が多い場合、削り取る量は多くなりますが、仕上がりは粗くなります。大きな切込みは砥石の寿命低下にもつながるため、注意が必要です。

平面研削盤の種類

工作物をセットするテーブルの形状や砥石をセットする砥石軸の形状によって、いくつかに分類できます。

1. テーブル形状による分類

テーブルの形状によって、角テーブル形と回転テーブル形に分類できます。角テーブル形と回転テーブル形を比較した場合、角テーブル形は砥石と工作物の接触面積は小さいので、加工能率は劣りますが精密な研削を行うことが可能です。

回転テーブル形は、砥石と工作物の接触面積が大きいので加工能率が高くなります。砥石は結合度が低く、粒度の大きい砥石を選定するのが一般的です。しかし、研削する位置により回転速度が変化するので、研削仕上げ面は幾分悪くなる傾向にあります。

砥石幅に対する工作物の研削範囲や必要な仕上げ面によって適切な研削方法を選定します。

2. 砥石軸方向による分類

角テーブル形は砥石軸の形状によって、3種類に分類できます。具体的には、砥石軸が地面と水平になっている横軸形と砥石軸が地面と直角になっている立軸形、砥石軸ヘッドを水平に移動するための摺動部をもつ門形の3つです。

横軸角テーブル型では、砥石の外周面を利用して加工物の表面を研削します。精度の高い研削が可能です。砥石軸に対するテーブルの動かし方によってプランジカット研削、トラバースカット研削、バイアス研削があります。

立軸角テーブル型は、砥石と加工物の表面積が広い加工方法です。そのため、加工物の面積が大きい際に利用する研削方法です。同じ平面研削盤でも多くの種類があり、メリット・デメリットが異なります。研削する目的に応じて適切に使い分けることが重要です。

参考文献
http://www.okamoto.co.jp
http://www.kuroda-precision.co.jp
http://nagase-i.jp

静電気対策手袋

静電気対策手袋とは静電気対策手袋

静電気対策手袋(静電気防止手袋)とは、その名の通り静電気を逃しやすく、帯電対策がされている手袋です。

静電気はさまざまな製造工程で発生します。発生した静電気は爆発や火災などの重大事故につながる恐れがあり、安全上の対策が必須です。他にも電子部品の回路が破損するなどの影響があり、品質管理の点においても静電気の防止は重要な課題です。

静電気対策手袋には静電気対策として、静電性の材料が使われています。静電性の材料としては、によってコーティングされた化学繊維やカーボン繊維、導電性を付与した樹脂などが挙げられます。 

静電気対策手袋の使用用途

前述のように、静電気は事故や品質低下の一因となります。そのため静電気対策手袋は、電子部品や粉体製品など、静電気の発生を特に嫌う製造現場に適しています。

静電気による事故や災害のうち約20%は、作業者および作業者が身につけているものに由来する静電気が原因で発生するといわれています。この作業者由来の静電気対策としては、導電性の床・マット、帯電防止靴、帯電防止服を導入するのが一般的です。

製造現場での作業の際、手は製品に最も接触する部位といえるでしょう。上記の対策に加え、静電気対策手袋で手の帯電防止も併せて行うと、静電気発生のリスクを効果的に抑えることができます。 

静電気対策手袋の原理

静電気による事故や災害で代表的なのは、爆発および火災です。石油精製業、化学工業では特に数多くの事故事例が報告されています。

石油精製業や化学工業の製造現場は、可燃性の液体や溶剤などが多量に存在しているのが特徴です。これらは小さいエネルギーでも容易に着火し、静電気のわずかな放電でも着火源となってしまうため、静電気による爆発や火災が発生しやすくなります。

可燃性粉体、特に粒子径数十µm以下のものを扱う現場も、静電気による爆発や火災が発生しやすい場所の1つです。

一般に、粉体は粒子径が小さいほど着火に必要な最小エネルギーが小さくなります。静電気放電のエネルギーは最大でも数mJと小さいため、粒子径の大きい従来の粉末が、静電気程度の放電で着火することはほとんどありません。しかし粒子径数十µm以下の微粉体は、最小数mJのエネルギーで着火するものも多く、静電気放電でも爆発や火災の危険性が高くなります。

これらの爆発や火災を防止するには、事故原因の多くを占める、作業者由来の静電気対策が効果的です。静電気対策手袋などを利用し、人体の帯電電位を100V以下に抑えると、静電気の発生を防止できます。導電性があるタイプの手袋を用いれば、作業者だけでなく、作業者を介して金属製工具の接地を行うことも可能です。 

参考文献
http://www.powder-coating.or.jp/pc/2017sp/02.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sptj1978/39/1/39_1_28/_pdf/-char/ja
https://www.showaglove.co.jp/business/solution/statistic

電解研磨液

電解研磨液とは

電解研磨液とは、電解研磨を行う際に対象となる物体を浸漬させておく液体です。

金属表面などをイオン化させて削って研磨する方法で、非常に滑らかに研磨加工できるのが特徴です。具体的には、電解研磨液に浸された物体に電気を流すと表面が溶解し、表面の凹凸部が均されて平滑化します。

その結果、ミクロンレベルでの研磨が可能です。電解研磨は、機械のバリ取りや一般的な凹凸の除去だけでなく、医療器具や半導体製品の表面性能の向上に使用されます。

電解研磨液の使用用途

電解研磨液は電解研磨を行う物に対して使用されます。電解研磨の代表例が、ステンレス製品の性能向上です。ステンレスとは、鉄とクロムの合金です。ステンレスを電解研磨すると、表面の鉄のみが溶解します。

表面のクロムの比率が高くなり、表面に不動態被膜が形成され、この不動態被膜が錆を防止するため、耐久性の向上が可能です。また、電解研磨は表面の汚染防止にも使用されます。どんな物質も表面に細かな凹凸があると汚れやウイルスなどが付着してしまいます。

前述のように、電解研磨をすれば非常に細かいレベルでの研磨が可能です。電解研磨をした結果、微小な粒子などが留まる表面の細かな凹凸が除去され、結果的に汚れやウイルスの付着が防止できます。これらのことから、電解研磨液を使用した電解研磨は、医療機器や食品機器、真空チャンバーおよび半導体機器に使用されるステンレス製品などに使用されています。

また、電解研磨液を使用した電解研磨では余分な部分を除去できるため、機械加工部品などのバリ取りや溶接跡の除去 (コゲ取り) にも好適です。さらに、研磨の度合いで表面形状を加工可能で、メスなどの刃物切刃の鋭利化にも使用されています。

電解研磨液の原理

電解研磨液は、電解研磨を行う際に研磨対象を浸漬する液体です。ここでは電解研磨の仕組みと電解研磨液の役割を解説します。

1. 電解研磨の仕組み

電解研磨の最初の工程は、研磨対象の表面に電解研磨液がいき渡るように研磨対象を電解研磨液に浸す工程です。次に、研磨対象側がプラス、逆側をマイナスとして電流を流すと、研磨対象の表面では金属がイオンとなって溶け出します。この溶け出した金属は、抵抗が大きい粘液層を形成するため、粘液層が成長するにつれて流れる電流は低下していくことになります。

研磨対象である金属表面に凹凸がある場合、凹部に形成される粘液層は厚みがあり、凸部に形成される粘液層は比較的薄いです。つまり、凹部では厚い粘膜層によって抵抗は大きくなりますが、凸部では粘膜層が薄く抵抗が小さくなります。

凸部ほど電流をよく流し、表面の金属は溶解していきます。その結果、凸部と凹部の差は少なくなり、表面全体が平滑化されます。このように、凹凸部でイオン化のスピードが異なる特性を利用したのが電解研磨です。

2. 電解研磨液の役割

電解研磨に適した材料としては、ステンレスやチタン、アルミなどがあります。電解研磨液の役割は、これら金属表面のイオン化の促進であり、硫酸やリン酸、アルカリ液などを含む組成です。

電解研磨液のその他情報

1. 電解研磨の効果

電解研磨を行うと、研磨対象の表面耐久性の向上や表面の汚染防止が可能です。表面を平滑にして汚染防止をおこなうと、同時に見た目が美しい光沢が付与されます。この表面を更に鏡面に仕上げたい場合は、バフ研磨がよく併用されます。

このとき、全ての表面に同じような光沢ができるわけではなく、仕上がり方は金属と電解研磨液の組み合わせによって様々です。そのため、電解研磨する際は事前に小さい試験片などを用いて仕上がりを確認する必要があります。

また、電解研磨を行うと、耐食性が改善する場合があります。物理的な研磨では表面の被膜などを削ってしまい耐食性の改善はあまり望めません。しかし、電解研磨の場合は被膜を削らないため耐食性が改善する場合があります。

さらに、電解研磨では液体である電解研磨液を使用するため、研磨対象が複雑な構造であっても研磨可能です。例えば、研磨対象が角部を有する、内部に隙間があるなどの構造である場合、物理的な研磨は難しくなります。

しかし、電解研磨であれば電解研磨液が角や細かい部分にもいき渡り、細かい部分まで研磨可能です。ただし、研磨後に研磨液が細かな隙間に残る可能性があることを留意しておく必要があります。

2. 電解研磨液の廃棄

電解研磨液には、その目的を達成するために様々な化学物質が含まれています。そのため、廃液を単に下水道に流すと公害などの問題につながる可能性があります。

排水の基準は水質汚濁防止法によって定められている他、より厳しい基準が各都道府県によって設けられている場合も多いです。その基準に従って排水する必要があります。条件によっては、毒性が強く廃水基準も厳しい六価クロムなどが廃液に含まれるため、十分に注意しなければなりません。

廃液を処理できる機構を所持している場合は、適切な処理を施して不純物濃度などの数値を基準値内に収めてから排水します。自らで廃液の分析や処理が難しい場合は、排水処理業者へ委託して廃液を回収してもらうのが一般的です。電解研磨液を使用する際は、廃液の廃棄方法まで決めてから使用すれば円滑に作業が進められます。

参考文献
https://www.sasaki-c.co.jp/business/metal-surface/kenma/ep.html
https://www.nakano-acl.co.jp/denkai/denkai-genri.html
https://www.kinzokuh.co.jp/technology/technology_ep/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pscjspe/2009A/0/2009A_0_419/_pdf/-char/ja
https://www.nakano-acl.co.jp/denkai/purpose.html

超音波研磨機

超音波研磨機とは

超音波研磨機とは、超音波を利用した研磨機のことです。

従来の大規模な研磨機ややすり、工具では対応が難しい状況でも活躍します。超音波研磨機の特徴は、その先端に刃物や砥石を取り付け、1秒間に数万回もの微振動を与えることで、研磨作業を効率的に行える点です。

また、研磨性能が高いため、短時間での加工が可能であり、生産性の向上に貢献します。さらに、微少な構造面やもろい物質に対しても使用できるので、他の研磨機では難しかった加工も実現可能です。

これらの特長から、超音波研磨機は幅広い分野で活用されており、今後もこの技術の進化によって、さらなる応用が期待されます。

超音波研磨機の使用用途

超音波研磨機は、ピンポイントでの研磨や仕上げ作業に適しており、細かな部分の加工が可能です。特に、電子部品や精密機器のバリ取りに活用されています。従来の研磨機ではアプローチが難しい細かな箇所も、超音波研磨機を使えば効率よく削り取れます。

また、彫刻や貴金属加工分野でも重宝されています。細部まで緻密な作業ができるため、高度な加工技術を駆使して美しいデザインを生み出すことが可能です。さらに、研磨過程での素材の変質やゆがみが軽減されるので、貴重な宝飾品の加工にも適しています。

超音波研磨機の原理

超音波研磨機は、超音波の微振動を利用して研磨をしていますが、用途に応じて超音波スピンドル加工、超音波砥粒加工などの使用方法があります。

どちらも先端に超音波振動を送ることで研磨しており、一秒間に数万回の微細な振動が起きています。この振動数の違いによって、加工の精度や研磨速度を調節することも可能です。

1. 超音波スピンドル加工

超音波研磨機の先端に砥石を付けて表面を研磨する方法です。先端の砥石にはホーンが繋がっており、これが回転することで超音波振動を砥石に送ります。

研磨表面には切削油が付けられ、効率よく研磨される仕組みです。高い精度で表面を研磨できます。

2. 超音波砥粒加工

超音波研磨機の下に微少な砥粒を流して研磨する方法です。こちらもホーンに加えられた超音波振動が先端の加工器具に伝わります。しかし、実際に表面を削るのはその下にある砥粒です。微細な穴の研磨や広い面を同時に研磨することが可能です。

超音波研磨機の種類

超音波研磨機は、複数の種類があり、主にハンドヘルド型、テーブルタイプ、自動化型が存在します。用途や作業環境に応じて最適な超音波研磨機を選ぶことが重要です。

1. ハンドヘルド型

ハンドヘルド型の超音波研磨機は、手で持って操作できる小型の研磨機です。コンパクトさから、特に狭い空間や細かい部分の研磨に適しています。また、携帯性が高いため、現場での作業にも便利です。

2. テーブルタイプ

テーブルタイプの超音波研磨機は、固定されたワークテーブル上で作業を行うタイプの研磨機です。精密な加工や大量生産が必要な場合に適しており、安定した作業環境で高い精度の研磨が可能です。

3. 自動化型

自動化型の超音波研磨機は、ロボットや自動搬送システムを組み合わせた、自動で研磨作業を行う機械です。作業者の負担を軽減しつつ、高い生産性と研磨品質が確保されます。大規模な生産ラインや繰り返しの作業に適しています。

4. マイクロ型

マイクロ型の超音波研磨機は、非常に小さな寸法の研磨が求められる場合に使用されます。電子部品や医療機器の微細な部分の加工に適しており、その精密さが特徴です。極めて高い研磨精度が求められる分野で活躍しています。

5. 水中型

水中型の超音波研磨機は、水中での研磨作業に特化した機種です。水中での作業に適した防水構造を持っており、船舶や水中構造物のメンテナンスや修復作業に使用されます。また、研磨粉の飛散を抑える効果もあり、作業環境の改善に寄与しています。

参考文献
https://www.sonotec.com/column/principle.html
https://echotech.co.jp/blog/13081/
http://usmaj.o.oo7.jp/kezuru.html

超音波分散機

超音波分散機とは

超音波分散機

超音波分散機とは、物質の分散や反応を促進させる装置で、超音波を用いて均一化 (ホモジナイズ) するため、超音波ホモジナイザとも呼ばれる装置のことです。

加工において物質を混ぜるのは基本ですが、水と油のように簡単には混ざらないものも存在します。物質が混ざりにくい理由として、粒子の大きさが異なることが挙げられます。超音波分散機を用いることで、粒子を細かく粉砕し、物質の粒子の大きさを揃えることが可能です。

また、他の粉砕方法と比較して、粉砕媒体 (ビーズなど) を使用しないため、コンタミネーションが起こりにくく、メンテナンスが容易という特徴があります。これらの利点から、超音波分散機は多くの分野で活用されています。

超音波分散機の使用用途

超音波分散機は、物質の粒子を均一化することで、ものづくりにおいて多くの利点をもたらします。混ぜにくい物質同士をうまく混ぜられ、品質の安定化を実現します。

水と油のような混合が難しい組み合わせには、一般的に界面活性剤が使用されますが、単独での添加では均一に混ぜることが困難です。超音波分散機と界面活性剤を併用することで、水と油を効果的に混合できます。

超音波分散機は、食品製造業界でも幅広く活用されており、マヨネーズやジュース、クリームなどの製品に有用です。また、印刷関連品の製造でも、インクの品質向上に寄与しています。

超音波分散機の原理

超音波分散機は、振動子、発振器、そしてホーンから構成され、液中に超音波を照射することで物質を均一化します。発振器からの出力は振動子内の振動素子によって振動に変換され、ホーンから液中に放射されます。

液中で振動が発生すると、加圧と減圧が繰り返され、キャビテーションという真空の泡が生成され、泡が破れる際に生じる衝撃波により、液中に大きな流れが発生し、流れによって、固まっていた粒子どうしが接触し、粒子の塊が砕かれ、細かくなる原理です。

超音波分散機の特徴は、外部から物理的な衝撃を与えず、粒子どうしの接触によって物質を均一化する点です。そのため、分散後の粒子が球状に整いやすく、分散の最終工程として適しています。

超音波分散機の種類

超音波分散機は、さまざまな分野で幅広く活用されている技術です。主にバッチ式超音波分散機、インライン式超音波分散機、ハンドヘルド型超音波分散機、低周波式超音波分散機、高周波式超音波分散機の5種類が存在します。用途や性能に応じて適切な種類を選択することで、効果的な分散処理が実現できます。

1. バッチ式超音波分散機

バッチ式超音波分散機は、一定量の液体を容器に入れて処理を行うタイプの機器です。特定の量のサンプルを一度に処理することが可能で、研究室や小規模な生産ラインでの使用に適しています。また、実験や試作段階での評価にも適したタイプです。

2. インライン式超音波分散機

インライン式超音波分散機は、連続的な流れの中で処理を行うタイプの機器です。大量生産や連続的な処理が必要な場合に適しています。流れる液体に対して連続的に超音波を照射することで、効率的かつ均一な分散処理が可能です。

3. ハンドヘルド型超音波分散機

ハンドヘルド型超音波分散機は、手持ち式の小型機器です。簡易的な分散処理や、場所や容器に制約のある状況での使用に適しています。携帯性が高く、臨機応変に対応できるため、研究や現場での柔軟な対応が求められる場合に便利です。

4. 低周波式超音波分散機

低周波式超音波分散機は、周波数が低い範囲で動作する機器です。大きな粒子や固まりを効果的に分散させることが可能です。建材やセラミックスなどの分野で、大きな粒子を効率的に細かくする処理に適しています。

5. 高周波式超音波分散機

高周波式超音波分散機は、周波数が高い範囲で動作する機器です。微細な粒子の分散やエマルジョンの安定化に優れています。化粧品や医薬品、細かな粒子を扱うナノテクノロジー分野などで、高い分散性能が求められる場合に適しています。

参考文献
https://www.mitsuiec.co.jp/ultrasonichomogenizer
http://usmaj.o.oo7.jp/tokasu.html 

色彩照度計

色彩照度計とは色彩照度計

色彩照度計とは、光の色と明るさを測定するための測定器です。

光の明るさを測定する照度計の機能と、光の色を測定する機能が組み合わされたものです。照度計は、光源から発せられる光の強さを単位面積あたりに測定し、単位ルクス (lux) で表示します。

また、色については光の波長を分析し、発光体の分光特性や色温度を測定して表示します

色彩照度計の使用用途

色彩照度計は、照明や表示装置などで光の品質管理や設計/調整に広く用られています。

具体的な用途は以下の通りです。

1. 照明設計

建物や店舗、オフィスなどの照明設計において、光の強さや色温度、色域などを測定し、適切な照明を提案するために使用されています。また、既存の照明設備の性能評価や改修計画の立案にも役立ちます。

2. 製品評価

照明器具やディスプレイなどの製品開発において、光の性能評価や改善を目的として使用されています。製品の色再現性や均一性、明るさの一定性などを評価することができます。

3. 色管理

印刷や塗装などの色管理において、正確な色再現性を確保するために使用されています。色の違いを数値化し、規定値に合わせることで、一定の品質を維持できます。

4. 健康/安全管理

光が健康に与える影響を測定するためにも使用されます。例えば、光の強さや色温度が適切でない場合には、眼精疲労や睡眠障害などの問題が発生することがあります。また、工場や建設現場などの安全管理においても、適切な照明環境を確保しなければなりません。

5. 研究開発

光に関する研究開発において、光の特性や光源の特性を評価するために使用されます。例えば、LEDの開発においては、色温度や色域の均一性を確認することが重要です。また、光を利用した医療機器やセンシング技術の開発にも活用されています。

色彩照度計の原理

色彩照度計は主に受光部と演算部から構成されます。

1. 受光部

受光部は光を感知するセンサーとして、特定の波長域を透過する光学フィルターと受光素子であるシリコン・フォト・ダイオード (SiPD) とを組み合わせ、その出力電流を増幅する回路から構成されています。通常受光部は各々赤、青、緑に感度を持つ3つの光学フィルターと受光素子とを組み合わせたセンサーを備え、その出力信号を演算部に伝達するよう構成されているものです。

2. 演算部

演算部は、受光部からの信号を基に光の明るさや色を演算して表示するものです。受光部が赤、緑、青の領域に感度を持たせた3つのセンサーを備えていれば、各センサーの信号の大きさから光量と色を算出することが可能です。

さらに、色彩照度計は人間の目で見たときの色を数値的に評価する必要があることから、演算部では可視光の各波長に対する感度が人間の目と一致するように感度を調整しています。

3. その他

色温度計やスペクトル分布計では、光を分光してその波長分布を測定し、それを元に光の色を表す色温度や色域を算出します。

色彩照度計の種類

色彩照度計は、光の強度と色の情報を測定するための機器です。異なるタイプの色彩照度計がありますが、代表的な種類は以下のとおりです。

1. 分光放射照度計

分光放射照度計は、光の波長スペクトルを測定します。波長ごとに光の強度を評価し、その結果から色やスペクトル分布を分析するものです。高度な色の測定やカラーコンサルティングなどに使用されます。

2. 色温度計

色温度計は、光源の色温度を測定するものです。色温度は光の色合いを表す指標で、一般的にケルビン (K) で表されます。照明環境の色調整や、写真撮影や映像制作などの分野で使用されます。

3. 色差計

色差計は、測定した色と標準的な色との間の色差を評価するものです。色差は色の違いを表す指標であり、ΔEなどの数値で表されます。品質管理や製造業、印刷業界などで使用され、色の一貫性や正確性を確保することに役立っています。

 

これらは一般的な色彩照度計の種類ですが、実際にはさまざまな特殊な機能や応用が組み合わされた製品も存在します。具体的な用途や要件に基づいて、最適な色彩照度計を選択することが重要です。

色彩照度計のその他情報

色彩照度計を利用する際の注意点

色彩照度計は受光部に当たる光の強度から色を評価しているため、受光部への光の当たり方が重要になります。具体的には、光が当たる角度と光源からの距離が重要です。

シリコン・フォト・ダイオードは受光部の奥に設置されているため、光が受光部に斜めに入射すると受光部への光の当たり方が偏り、測定値が乱れます。光が受光部に対して垂直に入射する様設置して下さい。

また、照度は光源の距離の二乗に反比例するため、光源から離れた距離で測定すると光が微弱で誤差が相対的に大きくなります。近すぎると受光部が飽和して、正確な測定ができません。

光源の強さ (明るさ) に依存しますが、一般的には1メートル程度離れて測定することが望ましいです。

参考文献
https://www.konicaminolta.jp/instruments/products/light/cl200a/index.html
https://web-material3.yokogawa.com/19/13300/tabs/rd-tr-r04104-005.jp.pdf
https://www.ccs-inc.co.jp/guide/column/light_color_part2/vol06.html
https://www.keyence.co.jp/ss/imagemeasure/sokushiri/news/006/

耐熱ガラス管

耐熱ガラス管とは

耐熱ガラス管

耐熱ガラス管とは、高温に耐える特殊なガラスで作られた管状の製品です。

通常のガラス管と比較して、熱膨張が起こりにくいという特徴を持ちます。熱膨張はガラスが割れる原因になるため、耐熱ガラス管には熱膨張率が低い耐熱ガラスが用いられます。耐熱ガラスには含有成分や製法が異なるいくつかの種類があり、それぞれ耐熱温度が異なります。

代表的な材質はホウケイ酸ガラスとして知られるテンパックス、ネオセラム、石英ガラスなどです。耐熱ガラス管は高温に耐える特性を持っていますが、それでも限度があります。

過度な温度や急激な温度変化にさらすと、破損や割れの原因となる可能性があります。使用する際には、メーカーの推奨する最高温度や温度変化の制限を遵守することが必要です。

耐熱ガラス管の使用用途

耐熱ガラス管は、その特性からさまざまな使用用途があります。

1. 科学実験

主な使用例の1つが、科学実験用のガラス器具です。耐熱ガラスの中でも石英ガラスは、最高使用温度が1,000℃と耐熱性が特に高いです。薬品に対する耐性も高いことから、科学実験では石英ガラス製の器具が重宝されています。 

2. 保温容器

保温容器としても使用され、高温の飲み物や液体の温かさを保つために利用されます。保温水筒や保温ポットの内部に耐熱ガラス管が組み込まれている場合も多いです。

3. 製造業

製造業においては、化学工業や製薬業界においても重要な製品です。その耐熱性と化学的な安定性により、さまざまな化学プロセスや薬品合成に使用されます。

耐熱ガラス管の原理

ガラスを冷却するとガラス表面に張力が生じ、反対に加熱すると圧縮力が生じて伸び縮みする物質です。この張力または圧縮力がガラス自体の強度よりも大きくなった場合、ガラスが割れてしまいます。

ガラスは圧縮力に強い反面、張力には弱いため、破損の原因は張力であることがほとんどです。ガラス内部に生じる張力は熱膨張率が高くなるにつれて大きくなることが知られており、耐熱ガラスは熱膨張率が低い特性があります。

そのため、ガラスに生じる張力が小さく、急冷されても割れにくい特徴を有します。耐熱ガラスが採用された耐熱ガラス管は、急激な温度変化に耐えることが可能です。

熱膨張率に大きく影響するのは、ガラスの組成です。ナトリウムカリウムといったアルカリ成分の含有量が多いと、熱膨張率が高くなります。耐熱ガラス管はガラスの主成分であるケイ素やホウ素の含有量が多く、アルカリ成分が少なくなるように製造されています。

耐熱ガラス管の種類

耐熱ガラス管には材質などの違いによって、いくつか種類が存在します。以下は代表的な耐熱ガラス管の種類です。

1. 石英ガラス管

石英ガラスは高い耐熱性と化学的な安定性を持つ特殊なガラスです。クォーツガラスとも呼ばれます。非常に高温に耐えることができ、耐熱温度は1,000℃程度です。

高い耐熱性能と化学的な安定性から、化学反応や高温プロセスの容器として使用されます。また、紫外線透過性が高く、光学機器やUV照射装置などにも利用されます。

2.  テンパックスガラス管

高い耐熱性と耐衝撃性を持つ特殊なガラスです。主に耐熱性を求められる炉や窯の観察窓、炉扉のガラス、暖炉のガラスドアなどに使用されます。

テンパックスガラスは高温下での熱膨張に対して耐性があり、急激な温度変化にも比較的強いです。また、耐衝撃性があり、割れにくい特性があります。

3. ネオセラムガラス管

耐熱性と透明性に優れた特殊なガラスです。最高使用温度は700℃程度となる耐熱ガラスであり、透明性が高い点が最大の特徴です。主に高温の環境での観察や測定が必要な場面で使用されます。

ネオセラムガラスは高温に耐える特性があり、化学的な耐性も備えています。光学的な透明性が高く、高温下での実験やプロセスの観察に最適です。高い透明性から、オーブンレンジのガラス面や調理皿に使用されることも多いです。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsms1952/1/2/1_2_86/_pdf/-char/ja
https://annaka-tg.com/wordpress_5/wp-content/uploads/heatresistant_SIMAX.pdf
https://annaka-tg.com/wordpress_5/wp-content/uploads/heatresistant_CTE-33.pdf
https://order-sheetglass.com/list_hr/
http://www.hiraoka-sg.co.jp/products/img/tainetsu.pdf