導電性高分子コンデンサ

導電性高分子コンデンサとは

導電性高分子コンデンサとは、電解質の材料として導電性高分子を使用し、低インピーダンスと優れた高周波特性、さらには温度や印加電圧に影響を受けにくいのが特徴のコンデンサです。

従来のコンデンサよりも静電容量の安定性に優れ、低いESR (等価直列抵抗) 、高い信頼性を実現しているため、より高性能な電子機器の実現に寄与しています。

導電性高分子コンデンサの使用用途

導電性高分子コンデンサは、安定した静電容量、低いインピーダンス、高速な充放電性能、高い信頼性などの特性を活かして、幅広い用途で使用されています。主な使用用途は、以下のとおりです。

1. 電子機器

導電性高分子コンデンサは、スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなどの携帯電子機器に使用されています。特に、高速な充放電性能が求められるバッテリー関連の回路や、高周波回路での使用に適しています。

2. 車載電子機器

車載電子機器には、高温・高湿度などの厳しい環境下での動作が求められます。導電性高分子コンデンサは、高い信頼性と耐久性が求められる車載電子機器に適しています。

3. 有機ELディスプレイ

有機ELディスプレイのドライブ回路には、高速な充放電性能が必要です。導電性高分子コンデンサは、その高速な充放電性能を活かして、有機ELディスプレイのドライブ回路に使用されます。

4. 太陽光発電

太陽光発電のインバーター回路では、高速なスイッチングが必要です。導電性高分子コンデンサは、その高いスイッチング性能を活かして、太陽光発電のインバーター回路に使用されます。

導電性高分子コンデンサの原理

導電性高分子コンデンサは、従来のタンタル電解コンデンサやアルミ電解コンデンサをベースとしたものと考えられます。従来タイプの電解コンデンサは、陰極に二酸化マンガンや電解液を用いています。

一方、導電性高分子コンデンサは、電解質に導電性高分子を用いた電解コンデンサです。即ち、高分子タイプのアルミ電解コンデンサであれば、陽極にアルミニウム箔、電解質に導電性高分子、陰極材料はアルミを用いています。

高分子タイプのタンタル電解コンデンサであれば、陽極にタンタル金属、電解質に導電性高分子を用いています。なお、ここで言う導電性高分子とは、ポリピロールポリチオフェンなどの高分子です。

導電性高分子コンデンサの種類

現在製品化されている導電性高分子コンデンサには、次の種類があります。

1. 導電性高分子アルミ電解コンデンサ

陽極にアルミ箔、誘電体はアルミ酸化膜、電解質が導電性高分子で銀電極と接しています。積層タイプで小型化が特徴です。

2. 導電性高分子タンタル電解コンデンサ

タンタル電解コンデンサの電解質を二酸化マンガンから導電性高分子に置き換えたものです。安全性が高いことも特徴として挙げられます。

3. 導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ

従来のOSコンの陰極材料を高分子に置き換えたものです。高リップル、高耐圧特性が特徴です。

4. 導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ

アルミ電解コンデンサの電解質として、電解液と導電性高分子を併用したものです。従来のアルミ電解コンデンサと同一形状となっています。

導電性高分子コンデンサのその他情報

導電性高分子の特徴

1. 低いESR (等価直列抵抗) 
導電性高分子は、抵抗値が低く表面積が大きいため、ESRが低くなります。これにより、高速な充放電が可能になります。

2. 高い耐熱性
導電性高分子は、一般的に高い耐熱性を持ちます。これにより、高温環境下での使用が可能になります。

3. 高い信頼性
導電性高分子は、柔軟性に優れているため、振動などの外力に対しても耐久性が高く、信頼性が高いとされています。また、ESRが小さいことは、充放電時の電流による発熱が少ないことを意味します。これはコンデンサの寿命に大きく影響し、導電性高分子コンデンサの寿命が長いことの理由の1つです。

参考文献
https://industrial.panasonic.com/jp/ss/technical/p1
https://www.rs-online.com/designspark/understanding-polymer-and-hybrid-capacitors-jp
https://article.murata.com/ja-jp/article/polymer-capacitor-basics-part-1
https://industrial.panasonic.com/jp/products/capacitors/polymer-capacitors
https://www.rs-online.com/designspark/study-capacitor

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