耐熱ガラス管

耐熱ガラス管とは

耐熱ガラス管

耐熱ガラス管とは、高温に耐える特殊なガラスで作られた管状の製品です。

通常のガラス管と比較して、熱膨張が起こりにくいという特徴を持ちます。熱膨張はガラスが割れる原因になるため、耐熱ガラス管には熱膨張率が低い耐熱ガラスが用いられます。耐熱ガラスには含有成分や製法が異なるいくつかの種類があり、それぞれ耐熱温度が異なります。

代表的な材質はホウケイ酸ガラスとして知られるテンパックス、ネオセラム、石英ガラスなどです。耐熱ガラス管は高温に耐える特性を持っていますが、それでも限度があります。

過度な温度や急激な温度変化にさらすと、破損や割れの原因となる可能性があります。使用する際には、メーカーの推奨する最高温度や温度変化の制限を遵守することが必要です。

耐熱ガラス管の使用用途

耐熱ガラス管は、その特性からさまざまな使用用途があります。

1. 科学実験

主な使用例の1つが、科学実験用のガラス器具です。耐熱ガラスの中でも石英ガラスは、最高使用温度が1,000℃と耐熱性が特に高いです。薬品に対する耐性も高いことから、科学実験では石英ガラス製の器具が重宝されています。 

2. 保温容器

保温容器としても使用され、高温の飲み物や液体の温かさを保つために利用されます。保温水筒や保温ポットの内部に耐熱ガラス管が組み込まれている場合も多いです。

3. 製造業

製造業においては、化学工業や製薬業界においても重要な製品です。その耐熱性と化学的な安定性により、さまざまな化学プロセスや薬品合成に使用されます。

耐熱ガラス管の原理

ガラスを冷却するとガラス表面に張力が生じ、反対に加熱すると圧縮力が生じて伸び縮みする物質です。この張力または圧縮力がガラス自体の強度よりも大きくなった場合、ガラスが割れてしまいます。

ガラスは圧縮力に強い反面、張力には弱いため、破損の原因は張力であることがほとんどです。ガラス内部に生じる張力は熱膨張率が高くなるにつれて大きくなることが知られており、耐熱ガラスは熱膨張率が低い特性があります。

そのため、ガラスに生じる張力が小さく、急冷されても割れにくい特徴を有します。耐熱ガラスが採用された耐熱ガラス管は、急激な温度変化に耐えることが可能です。

熱膨張率に大きく影響するのは、ガラスの組成です。ナトリウムカリウムといったアルカリ成分の含有量が多いと、熱膨張率が高くなります。耐熱ガラス管はガラスの主成分であるケイ素やホウ素の含有量が多く、アルカリ成分が少なくなるように製造されています。

耐熱ガラス管の種類

耐熱ガラス管には材質などの違いによって、いくつか種類が存在します。以下は代表的な耐熱ガラス管の種類です。

1. 石英ガラス管

石英ガラスは高い耐熱性と化学的な安定性を持つ特殊なガラスです。クォーツガラスとも呼ばれます。非常に高温に耐えることができ、耐熱温度は1,000℃程度です。

高い耐熱性能と化学的な安定性から、化学反応や高温プロセスの容器として使用されます。また、紫外線透過性が高く、光学機器やUV照射装置などにも利用されます。

2.  テンパックスガラス管

高い耐熱性と耐衝撃性を持つ特殊なガラスです。主に耐熱性を求められる炉や窯の観察窓、炉扉のガラス、暖炉のガラスドアなどに使用されます。

テンパックスガラスは高温下での熱膨張に対して耐性があり、急激な温度変化にも比較的強いです。また、耐衝撃性があり、割れにくい特性があります。

3. ネオセラムガラス管

耐熱性と透明性に優れた特殊なガラスです。最高使用温度は700℃程度となる耐熱ガラスであり、透明性が高い点が最大の特徴です。主に高温の環境での観察や測定が必要な場面で使用されます。

ネオセラムガラスは高温に耐える特性があり、化学的な耐性も備えています。光学的な透明性が高く、高温下での実験やプロセスの観察に最適です。高い透明性から、オーブンレンジのガラス面や調理皿に使用されることも多いです。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsms1952/1/2/1_2_86/_pdf/-char/ja
https://annaka-tg.com/wordpress_5/wp-content/uploads/heatresistant_SIMAX.pdf
https://annaka-tg.com/wordpress_5/wp-content/uploads/heatresistant_CTE-33.pdf
https://order-sheetglass.com/list_hr/
http://www.hiraoka-sg.co.jp/products/img/tainetsu.pdf 

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