電解研磨機

電解研磨機とは

電解研磨機とは、研磨対象を電解研磨する機器のことです。

研磨槽と電源部から構成され、研磨槽内に陰極板が接地した状態で研磨液が満たされた研磨槽へ対象物を入れます。研磨対象側へは陽極を接続して電流を印加する事で電気エネルギーによって研磨を行います。その構造原理から導電性を持たない素材は電解研磨ができません。

電解研磨は物理的な研磨手法では得られない平滑面、鏡面を得る事ができ、クロムを含有する素材の場合は研磨表面に不動態被膜を形成し、高い耐腐食性を得る事もできます。

電解研磨機の使用用途

電解研磨は高い平滑性を得る事ができ、不動態被膜を形成する事で耐腐食性も有しますが、逆に素材からのメタルイオン等不純物の溶出を防ぐ事ができるため、高純度で汚染を嫌う物質を扱う際の配管や保管容器その他部品などに施工されます。

特に半導体製造設備内で用いられるバルブや配管、部品、容器等は高純度な状態で原料ガスや薬液を供給しなければならないため多く利用されています。

その他、同様の理由で医薬品や食品製造設備、医療機器、化学合成分野、航空宇宙産業などで活用されています。

電解研磨機の原理

電解研磨機の構成は上述しましたが、研磨時に研磨槽内の陰極板と研磨対象の陽極間に電解液 (イオン性物質を極性溶媒に溶解した液体) を介して直流電流を印加し、その際に研磨面が溶解する事で研磨が進みます。

研磨面の凹凸に対して、凸部 (陰極に近い側) は抵抗値が低い為に電流が流れやすく溶解が優先的に進み、凹部は抵抗値が高く電流が流れにくい為に平滑化が進みます。この溶解が生じると同時に、研磨対象内部よりクロムが溶出します。そのクロム成分は溶出と同時に酸化し、研磨面に酸化クロム層 (不動態被膜) を形成します。

また、同時に研磨対象表面に付着していた汚れや不純物も離脱し、研磨面は非常に清浄な状態となります。一般的なバフ研磨や砥粒を用いた研磨では、研磨表面にバフや砥粒、汚れ、不純物が多量に残留しますが、電解研磨では非常にクリーンな研磨面が得られます。

また、物理研磨では研磨面に熱履歴や研磨応力が残留し、加工変質を生じますが、電解研磨では物理的な外力を受けない為、素材変化がありません。電解研磨は複雑な形状の研磨対象を苦手としますが、陰極板の形状、構造を工夫する事で対応する事も可能です。研磨後に電解液を十分に洗浄除去する必要があり、後処理に注意が必要です。

電解研磨機のその他の情報

1. 電解研磨機によるステンレス表面処理

ステンレスは表面に大気中の酸素と結合して形成した数ナノメートル厚さの不働態被膜により、防錆・防食性と耐熱性を持つ金属材料です。しかし、機械加工や表面仕上げ、搬送や保管などにより適正な表面状態が保てていないと、不働態被膜が均一に形成されず優れた特性が出ずに不良品などの原因になります。

電解研磨はステンレスの表面の不純物や粗さを綺麗に除去し、高い特性を有する不働態被膜を形成することを目的とした処理です。ステンレスの電解研磨機では、電解研磨溶液中で被研磨物であるステンレスを陽極として直流電流を流すことで、表面をミクロン単位で電気化学的に溶解し綺麗にします。

電解研磨では粗い表面の凸部が優先的に溶解されるので表面の粗さが小さくなり、研磨や機械加工によって生じたバリの覆いかぶさりやその下にできた空隙などの通常の研磨では除去しにくい欠陥も滑らかに仕上げることができます。また処理方法がシンプルで、電解液槽のサイズ次第で大量の研磨も可能なので、生産性にも優れる研磨方法です。

不働態被膜は防食性や耐熱性能に優れるものの、厚さは数ナノメートルと薄く弱いため、ステンレス表面が滑らかであるほど均一で密着性の高い被膜になります。電解研磨は、ステンレスの特性を最大限に引き出すための大切な工程です。

2. 電解複合研磨機

電解研磨よりさらに平滑な表面が必要な場合は、研磨材による物理的な研磨を複合した電解複合研磨が有効です。回転研磨ディスクを陰極とし、被研磨物の表面に電解液と電流を流しながら移動研磨する方法になります。凸部の不働態被膜が機械的に除去されそこから金属が溶出することで、電解研磨と機械研磨をそれぞれ単独で行った場合よりも滑らかに研磨されナノメートルオーダーの粗さにできます。

平面だけでなくパイプのような曲面での研磨できるため、半導体製造関連部品や配管、バルブ類、医薬機器などの精密さと耐久性が要求されるものに広く利用されています。

参考文献
https://www.kinzokuh.co.jp/technology/technology_ep/
https://www.nakano-acl.co.jp/fukugo/

電源基板

電源基板とは電源基板

電源基板とは、機器を構成する回路に仕様を満たす電圧と電流を供給する役割を持つものです。

一般的に商用電力AC100Vを入力として、内部回路で必要となる直流電圧を出力する電源回路の設計が行われます。内部回路で必要となる直流電圧は、機器にもよりますが、3.3V~48V程度に集約できます。更に必要な電流値も集約可能です。

自社で個々の機器に合わせて最適化設計するのではなく、完成部品として汎用的な用途で作られた電源回路が実装された電源基板を実装すると、活用する価値は大きくなります。

電源基板としての仕様をいくつかの種類に絞り込み、大量に生産することによりコストが安くなります。理由は、電源回路設計専門の技術者が設計するため高性能な設計が可能となるからです。

電源基板の使用用途

電源基板は産業用機器、コンピュータやサーバ等の情報処理機器、テレビや冷蔵庫等の家電機器、レコーダーやオーディオコンポ等のAV機器等、様々な機器に利用されています。

各種機器の高機能化、高性能化や機器の小型化に伴い電源回路に許される設置スペースがどんどん制限されてきており、その結果小型化と高性能化と高効率化が求められています。

自社設計に比べて、コストが安くなる可能性があるという理由に加えて、以上の理由からも専用の電源基板を使用するニーズが増えています。

電源基板の原理

電源基板には、AC電圧をDC電圧に変換するタイプのAC/DC電源基板と、DC電圧を昇圧したり降圧したりするタイプのDC/DC電源基板があります。

1. AC/DC電源基板

一般的に商用電源AC100Vを入力として、機器内部の回路で必要となる特定のDC電圧を出力とします。

2. DC/DC電源基板

機器内でDC電圧に変換された後に、更に内部回路において必要となる所定の電圧を昇圧したり降圧したりすることによって出力します。

 

単にACからDCに変換したり、DCの電圧を変換したりする機能だけではなく、内部の回路に過大な電流が流れることを抑止するための過電流保護回路や過電圧保護回路、回路に流れる電流の量により加熱してしまうことを抑止するための過電流保護回路等、各種の保護機能を内蔵した電源基板が多くあります。

また、電源回路は誤った機器の使い方により、時として発熱、発火を招く可能性があります。各種の安全規格により厳しく規格が決められているため、電源基板は様々な安全規格に対応しているのが一般的です。

電源基板のその他情報

1. 電源基板のメリット

電源基板のメリットとして、EMI (Electro Magnetic Interference) ノイズを抑えれる点が挙げられます。大きなノイズ発生源であるDC-DCコンバータICとコイルやコンデンサを短く配線しており、最適化された構造であるためノイズを抑えています。

DC-DCコンバータが発するノイズは配線がアンテナのような働きをして増幅されるため、配線を短くすることが効果的なノイズ対策となります。

2. DC-DCコンバータの動作種類

DC-DCコンバータの中でも2種類の動作方法があります。

リニア・レギュレータ
入力電圧を負荷の間で分圧して出力電圧を得る手法です。負荷の間にはトランジスタ等を使用し、可変抵抗として扱うことで分圧比を変えることができます。

分圧抵抗で消費する電力が損失となってしまうため、エネルギー変換効率が低いデメリットがあります。一方で、電磁ノイズが小さいこと等がメリットです。

スイッチング・レギュレータ
入力電圧からスイッチ素子のオンオフでパルス波を作り、出力時に平滑化する手法です。オンオフの比率を変えることで電圧を制御することが可能です。

エネルギー変換効率は高いですが、スイッチングの際に発生するノイズが大きいデメリットがあります。

参考文献
https://www.tamuracorp.com/electronics/jp/pm/
https://ednjapan.com/edn/articles/1603/07/news004.html 

電気集塵機

電気集塵機とは

電気集塵機とは、高電圧を印可することで粉塵や微粒子を取り除く装置です。

一般的に工業環境や建設現場などで、粉塵や微粒子が発生する場所で利用されます。電気集塵機は高い集塵効率を有する装置です。微粒子や粉塵を高い集塵効率で捕捉することができます。

粉塵のほとんどを取り除くことで、作業環境の浄化と大気汚染の防止に寄与します。また、電気集塵機は小さな粒子を捕集することができる点が特徴です。サブミクロンサイズの粒子を捕集することができるため、産業に広く使用される集塵機です。

電気集塵機の使用用途

電気集塵機は産業において幅広く使用される装置です。以下は電気集塵機の使用用途一例です。

1. 火力発電所

火力発電所は、主に排気ガスの清浄化を目的に使用されます。火力発電所のボイラーでは、石油や石炭などの化石燃料を燃料とする場合が多いです。これらのボイラー排ガスには大量のばい煙が含まれています。

これらのばい煙をそのまま大気に放出した場合、健康被害などが発生します。電気集塵機を使用してばい煙を捕集することで、排ガス空気を清浄化することが可能です。

2. 鉱業

鉱山では、鉱石の破砕や粉砕などの作業によって大量の粉塵が発生します。電気集塵機は鉱山現場や鉱石処理施設で粉塵を除去し、作業環境を浄化することが可能です。

また、処理プロセスでは鉱石を溶解炉に投入します。溶解炉の排ガスには鉱石由来の粉塵が大量に発生しているため、そのまま排出することができません。電気集塵機を使用することで、ばい煙濃度を排出基準値以下として煙突から排出します。

3. 冶金および製鉄

冶金プラントや製鉄所では、溶鉱炉や高温プロセスによって粉塵が発生します。電気集塵機はこれらのプラントでの粉塵管理に欠かせない装置です。

電気集塵機の原理

電気集塵機は、微粒子を電気的な力によって集塵極に引き寄せて除去するという方法を採用しています。電気集塵機には放電極と集塵極があり、その間に高電圧をかけることでコロナ放電が生じます。

コロナ放電によって浮遊微粒子にマイナス電荷を印可します。このマイナスの電荷を持った微粒子・ダストはプラスに帯電している集塵極に引き寄せられる仕組みです。集塵極に収集された微粒子は、槌打装置やブラシ掻き落とし装置によって叩いて落とすことが多いです。

また、水やミストなどスプレーフラッシングによる洗浄で洗い流す場合もあります。電気集塵機の利点は最大99.9%まで集塵効率があり、サブミクロンサイズの粒子 (0.01マイクロメートル) も除去できる能力です。

電気集塵機の構造

電気集塵機は集塵極、放電極、本体、電源装置などの要素で構成されます。

1. 集塵極

集塵極は粉塵や微粒子を捕集するためのプレート状の部品です。通常は塩ビ製または金属製であり、複数の平面や棒状のプレートが配置されます。

これらのプレートには表面に溝や突起があり、集塵効率を向上させるための工夫が施されていることが多いです。粉塵が集塵板に衝突すると、慣性や重力の作用によって粒子が集塵板に付着して集塵されます。

2. 放電極

放電極は一般的に高電圧を印加された導電体で構成された部品です。放電極の配置によって集塵板との間に高電場を形成し、電場によって粒子に帯電が生じます。これにより、帯電した粒子は電場の影響で集塵板へ引き寄せられます。

3. 本体

本体は、集塵板と放電極を収納する機構を持つ電気集塵機の主要な部分です。堅牢な構造であり、集塵板と放電極を正確に配置するための枠組みを提供します。FRPやステンレスなどで製作されることが多いです。

4. 電源装置

電源装置は電気集塵機に高電圧を供給するための装置です。これにより、放電極に高電圧を印加することが可能です。一般的には直流の高電圧を印可するために用います。

トランスや整流器、コンデンサなどの電子部品から構成されます。電源装置は集塵機の本体に組み込まれており、必要な電圧を生成して放電極に帯電を与えことが役割です。

参考文献
http://www.suntechno-ep.com/info/
https://www.shi.co.jp/products/environment/electricity/ 

隔膜式圧力計

隔膜式圧力計とは

隔膜式圧力計とは、圧力を受け取る部分に隔膜が取り付けられた圧力計です。

ダイアフラムと呼ばれる隔膜によって測定物に直接触れることなく圧力を測定することが可能です。一般的に液体やガスの圧力を測定するのに使用されます。高い精度で圧力を測定することが可能で、厳密なプロセス制御や測定が必要な場面でも信頼性があります。

隔膜式圧力計は頑丈で耐久性があり、長期間にわたって安定して使用可能です。これは特に、過酷な環境や高温・高圧のプロセスにおいて必要な能力です。さまざまな産業や用途に適しており、必要な設定圧力で使用することができます。

また、比較的低コストで、多くの用途においてコスト効果が高いです。一般的な隔膜式圧力計は針を使用して圧力を表示するため、操作が直感的で読み取りが容易な点も特徴の1つです。

隔膜式圧力計の使用用途

隔膜式圧力計は、さまざまな産業で広く使用されます。以下は隔膜式圧力計の主要な使用用途です。

1. 産業プロセス

製造業において、隔膜式圧力計は製品の品質管理やプロセスの効率化に重要です。例えば、圧力が製品の成型や造形に影響を与える場合、隔膜式圧力計はプレス機や成形機の圧力監視に使用されます。

また、化学メーカーなどでは反応器内の圧力を制御し、化学反応の効率と安全性を確保するために隔膜式圧力計が利用されることも多いです。食品加工業界では、缶詰や密封容器内の圧力を確保するために使用されます。

2. エネルギー

発電所では、ボイラーやタービンの圧力監視に隔膜式圧力計が必要です。エネルギーの効率的な生成と発電所の安全性に関連しています。原子力発電所では、原子炉の圧力制御と監視に隔膜式圧力計が不可欠です。

3. 建設機械

クレーンやブルドーザーなどの建設機械では油圧システムが機械の動作に使用されます。その圧力を監視するために隔膜式圧力計が使用されることが多いです。これにより、建設作業の安全性を向上させることができます。

4. 環境設備

水処理プラントでは遠心分離装置や圧搾機械を使用することが多いです。これらの水圧力や圧搾油圧などを監視し、適切な水圧・油圧を確保します。隔膜式圧力計は、水処理プラントの運用において必要不可欠です。

隔膜式圧力計の原理

隔膜式圧力計の原理は圧力を隔膜に作用させ、その隔膜の変形を測定して圧力を計測する仕組みです。隔膜は一般的に薄い金属板や合成材料で作られ、圧力を受ける部分です。隔膜は一方の側面が被測定物質と接触し、もう一方の側は外部環境に接触しています。

被測定物質側の隔膜に圧力が掛かると、隔膜は変形します。圧力が増加すると隔膜は外部に向かって膨らみ、圧力が減少すると隔膜は内部に戻る仕組みです。この変形は隔膜内部に応力を生じ、隔膜の中心部から周辺部に伝えられます。

隔膜からの変形が計測機構に伝えられ、変位を測定します。計測機構はレバーやバネ、圧力センサーなどが使用され、変位を角度や距離に変換することが可能です。計測機構によって変換された変位情報は指針などの形式で表示され、ユーザーが圧力を直接読み取ることができます。

隔膜式圧力計の選び方

隔膜式圧力計を選ぶ際には、いくつかの重要な要因を考慮する必要があります。以下は選定要素の一例です。

1. ダイヤフラムの材質

ダイヤフラムは、圧力に耐えるために十分な強度と耐久性を持つ材質で作られます。一般的なダイヤフラム材質はステンレス鋼やハステロイなどです。また、特定の化学薬品に対する耐性が必要な場合、ダイヤフラムは適切な耐腐食性材質でコーティングされることもあります。

2. 圧力レンジ

圧力レンジは、圧力計が測定できる圧力の範囲を示す指標です。選択する隔膜式圧力計は測定したい圧力範囲に適している必要があります。過大な圧力にさらされると計器が損傷する反面、過小な圧力を測定した場合は精度が低くなる可能性があります。

3. 最大許容圧力

隔膜式圧力計は、最大許容圧力を超えないように選択することが必要です。最大許容圧力を超えると隔膜が破損する可能性があり、危険な状況を引き起こす恐れがあります。最大許容圧力は、選択した圧力計の仕様に記載されています。

4. 取付径

隔膜式圧力計を取り付けるプロセスまたは装置に合わせて、適切な取付径を選択することが重要です。取付径は、圧力計が接続される配管や接続部のサイズに対応している必要があります。

参考文献
https://www.m-system.co.jp/rensai/pdf/r0209.pdf

ロータリーキルン

ロータリーキルンとは

ロータリーキルン

ロータリーキルンとは、炉を回転させながら材料を投入し、高温の熱によって焼成する窯です。

キルン (kiln) とはラテン語で台所を指します。転じて、英語では焼成用の窯を指す言葉です。したがって、ロータリーキルン (rotary kiln) は回転する焼成窯として呼ばれています。原料の投入と処理を同時かつ連続で行えるという利点があります。

ロータリーキルンの使用用途

ロータリーキルンは産業用・廃棄物処理用の大型処理装置です。具体的な使用用途は、以下の通りです。/p>

  • セメント、生石灰、軽量骨材などの製造
  • 活性炭の焼成
  • 鉱石や都市鉱山の前処理
  • リチウムイオン電池キャパシタ製造の一工程
  • 一般廃棄物や産業廃棄物の焼却処理
  • バイオマス発電用燃焼炉

廃棄物の焼却にも用いられます。生活ごみなどの廃棄物処理用炉はその多くがストーカー炉ですが、ロータリーキルンが用いられる場合もあります。産業廃棄物処理にも使用され、処理対象は汚泥や廃油・廃プラスチックなどです。

木くずや繊維くずを燃料とするバイオマス発電にロータリーキルンが用いられる場合もあります。

ロータリーキルンの原理

ロータリーキルンは回転ドラム、支持・駆動装置、バーナーなどで構成されます。

1. 回転ドラム

回転ドラムは、処理対象物を乗せながら回転する部分です。内面にはレンガなどの耐火物が貼られており、処理中のキルン内部は1,000℃以上になる場合もあります。外面はキルン温度のコントロールなどを目的に散水されており、運転中に外観を見ると水蒸気が立ち上がっています。

2. 支持・駆動装置

支持・駆動装置は、ロータリーキルンを支持しつつ、回転させる装置です。ロータリーキルンの回転ドラムは鋼鉄やレンガで構成されるため、数百トン以上となる場合があります。そのため、支持する構造物や装置は重要です。支持装置には、多くの場合タイヤを使用します。タイヤで回転ドラムを支持しながら、減速機付モーターなどで回転駆動させます。

3. バーナー

バーナーは、回転ドラム内部を加熱するための燃料噴射装置です。燃料には都市ガス・LNGや重油などが使用されます。セメント焼成用キルンの場合は原料が石灰のため、硫黄を多く含む重油などと相性が良いという特徴があります。外部に配置された通風機で空燃比を適正な値に保ちます。

ロータリーキルンのその他情報

1. 廃棄物処理用ロータリーキルン

ロータリーキルンは産業・一般廃棄物の焼却炉として多く採用されます。さまざまな性状の廃棄物に対応可能であること、燃焼時間を調節できること、燃焼中に混合攪拌できることなどがその理由です。また、セメント製造ロータリーキルンと比較して、一般的に小規模設備です。

セメント用焼成炉の場合は投入成分をおよそ一定で品質管理可能ですが、廃棄物の成分は不均一です。そのため、廃棄物焼却炉として利用する場合は、燃焼カロリーや難燃物の割合などの成分調整のために前処理が必要です。前処理によって、投入後の炉内温度管理やばいじんのコントロールを容易にしています。

廃棄物焼却炉は一般的に2~6週間運転し、停止メンテナンスを実施します。廃棄物焼却炉がセメント向けと比較して中規模以下である理由は、メンテナンスごとに廃棄物を成分で仕分けして、燃え殻の成分を調整して売却益を得るためです。廃棄物処理会社は単純に焼却するだけでなく、副産物の有価物化も検討して運営しています。

2. ロータリーキルンでの金属精錬

金属硫化物や金属酸化物から純粋な金属を取り出す際に、ロータリーキルンを利用する場合があります。金属化合物の還元に使用し、溶融炉で精錬する原料の前処理などに使用します。製鉄は勿論のこと、銅精錬や水銀回収などの金属に関わる産業に用いられます。

3. ロータリーキルンの利点

ロータリーキルンの利点は、品質の向上、工程の短時間化、確実な温度管理などが挙げられます。回転運動で滞留と排出を制御しつつ循環によって乾燥・焼成をするため、ムラをなくして品質の向上に繋がります。

また、乾燥から焼成までの一連のプロセスを連続で行えることで短時間化を図ることが可能です。そして、確実な温度管理により、連続処理を安定させます。

参考文献
https://alpha-kabu.com/product/syousei/rotary-kiln/tokutyou
https://www.env.go.jp/council/former2013/03haiki/y032-06/mat_02_3.pdf
http://www.kurimoto.co.jp/product/item/RotaryKiln.php
https://www.noritake.co.jp/products/eeg/subs/detail/128/
https://www.mhiec.co.jp/jp/products/recycle/industrialwaste/rotary/index.html

防塵ラック

防塵ラックとは

防塵ラックとは、防塵対策がされている電子機器収納用ラックです。

製造工場や物流センターなどの施設には、ベルトコンベアや作業ロボットなど、様々な機械が導入されています。それに伴い、こうした機械を制御するためのパソコンが数多く設置されています。防塵ラックはこれらの機器を粉塵から守るために用いられます。

これらの施設ではオフィスなどと比べて多くの粉塵が発生する場合がほとんどで、機器の防塵対策が必要です。 

防塵ラックの使用用途

防塵ラックは様々な場面で使用されます。以下はその一例です。

1. データセンター

データセンターではサーバーやネットワーク機器などの機器を保護するために防塵ラックが利用されます。これらの機器は高性能であり、小さな塵やホコリが性能に影響を与える可能性があります。防塵ラックはこれらの機器を清浄な環境で保護しつつ、適切に冷却することが可能です。

2. 工場

工場では製造ラインで使用される機械や制御装置を保護するために防塵ラックが使用されます。特に精密な機器や部品は、塵やホコリから保護する必要があります。防塵ラックによって製造プロセス中にこれらの機器を保管したり、一時的に配置したりすることが可能です。

工場では製造する製品によって様々な種類の粉塵が発生します。紙やパルプなどの製紙分野では紙粉、金属加工の分野では金属粉、また油を使う工程があればオイルミストといった微粒子が多量に発生します。IoTやAIの発展により、今後はパソコンなどの制御端末がさらに普及しますが、防塵ラックによってこれらの精密機器を粉塵から守ることが可能です。 

3. 物流センター

物流センターでは、物流や保管に関連する機器を保護するために防塵ラックが利用されます。コンベアシステムの制御装置やRFIDリーダーなどがその一例です。これらの機器は内部に精密機器が使用されているため、塵やホコリから保護する必要があります。

4. 公共施設

公共施設ではセキュリティシステムや通信機器などの機器を保護するために防塵ラックを利用されることが多いです。一例として、監視カメラの制御装置や交通制御システムなどが該当します。これらの機器は安定した動作を維持するために清浄な環境が必要なため、防塵ラックに収納します。

防塵ラックの原理

防塵ラックは内容物を粉塵から保護する製品です。中に入れている端末が粉塵により故障してしまうと、保存データの損失や製造工程の停止といった重大な事態につながる可能性があります。したがって、粉塵濃度が高い場所で使用する場合、強力な防塵性能が要求されます。

防塵ラックは主に内部を密閉することによって粉塵の侵入を防ぐ仕組みです。ただし機器のメンテナンスや出し入れを行う必要があるため、完全な密閉空間になるような設計はできません。部品どうしの隙間にパッキンを入れたり、組み立て方や構造を工夫して、操作性を確保しながらなるべく密閉できるように製造されます。

防塵ラックに入れる機器は主にパソコンなどの電子機器ですが、これらは使用時に発熱する場合が多いです。これらの熱が蓄積してしまうと故障する危険性があります。したがって、密閉空間を維持したうえで熱を逃す構造にしなくてはなりません。

防塵ラックではファンや熱交換器を用いて排熱を行ったり、冷房機能を組み込んで機器を冷却します。これらの排熱・冷却設備も防塵仕様の部品が採用されています。 

防塵ラックの選び方

防塵ラックを選ぶ際は、以下の選定要素を考慮することが重要です。

1. サイズ

使用する機器のサイズや数に合わせて、適切なサイズの防塵ラックを選びます。これにより、最小限のスペースで機器を設置することが可能です。また、合わせて電源供給機能などの他機能も考慮します。

2. 防塵性能

防塵ラックの主な目的は機器を塵から守ることです。そのため、適切な防塵性能を持つラックを選びます。ラックの密閉性やフィルターの性能などを考慮します。

3. 耐久性

長期間にわたって安定したパフォーマンスを提供するために、耐久性が重要です。堅牢な構造や高品質な材料で作られたラックを選ぶことで、安定性を確保します。

4. 冷却性能

防塵ラックの冷却性能はラック内の機器を適切な温度で保つために重要です。内部機器の発熱量を試算し、これ以上の冷却性能を有する機器を選定します。ファンの風量や消費電力、騒音レベルなども考慮する必要があります。

門型マシニングセンタ

門型マシニングセンタとは

門型マシニングセンタ

門型マシニングセンタとは、CNC (コンピュータ数値制御) 指令によって自動制御されるマシニングセンタの一種です。

最も大型の加工機械に分類されており、主軸、テーブル、コラム、NC装置、オートツールチェンジャー (ATC) などからなります。切削用刃物を回転させる主軸と呼ばれる部分を支持する構造が、装置正面から見ると門型となっている為にこの様に呼ばれます。

切削対象物を積載するテーブルの幅、長さを大きく取れる構造の為、大型製品の重切削加工で用いられます。非常に規模の大きな設備となる為、限られた一部の加工工場でのみ取り扱われています。

門型マシニングセンターは、大型設備なので国内で製造しているメーカーは限られています。一方で、半導体設備の大型化や、電気自動車の金型製作などで需要が増加しています。

門型マシニングセンタの使用用途

現在国内で運用されている門型マシニングセンタでは切削ワークの最大サイズが長さ12m以上、幅4m以上、高さ1m以上の製品を加工できる為、大型の製品がその用途の中心となります。

また非常に高精度な位置決め、切削精度を有する為、風力や水力等の発電設備用回転体や原子力発電設備、航空機用構造部品、半導体製造装置用の大型真空チャンバ、液晶や有機EL等のFPD製造設備用チャンバ、大型船舶用原動機の部品、自動車産業や航空宇宙産業向け部品の加工で用いられます。

門型マシニングセンタの原理

門型マシニングセンタの構造は、床面上に切削加工対象物を積載するテーブルがあり、その両脇にコラム  (「門」の縦の柱に該当する部分) 、コラムを上空で連結するクロスレール、クロスレール上で動く主軸で構成されています。

サイズが大きいですが、2μ前後の高精度な位置決めができるため精密切削に適しており、主軸のアタッチメント交換で様々な加工に対応する事ができます。しかし、設備自体が非常に高額で加工費用も高額となります。

門型マシニングセンタの種類

門型マシニングセンタは、その各パートの動き方で以下の様な種類があります。下記のそれぞれの方式により剛性、つまり精度を高める方向が異なり、主に精度を出したい軸方向によって選ばれます。

1. クロスレール固定式

コラムが固定式で、主軸がクロスレール上を左右に、主軸自身が上下に、テーブルがクロスレールと直行方向に動くタイプで、最も一般的な構造です。

2. クロスレール移動式

コラムが固定式で、主軸がクロスレール上を左右に、クロスレールが上下に動くタイプです。テーブルはクロスレール固定式と同じ動きをします。

3. ガントリー式

テーブルが固定式で、コラムがテーブルに沿って動く方式です。クロスレールの動きは固定式と移動式があります。

門型マシニングセンタの構造

門型マシニングセンタは、以下から構成されています。

1. 主軸

切削工具を取り付けて回転を制御します。門型では、重切削に対応するため主軸の番台が50番のものが用いられており、マシニングセンタによく用いられている40番よりもシャンクが大きいことが特徴です。

2. ベッド

テーブルを案内するための案内面が備わっていて、マシニングセンタの底辺を支えている部品です。

3. テーブル

加工物を載せるための面で、T型ナットで加工物を押さえて固定するための溝があります。全長2m超の加工物に対応するためテーブルも広く、クレーンを用いて加工物の脱着を行うことが多いです。

4. コラム

ベッドに繋がっており垂直に伸びている柱のような存在で、主軸を支えている部品です。門型はコラムが2本によって支えられているのが大きな特徴で、2本の柱によって門のような形となっています。

5. 操作盤

NCプログラムを作成したり、ハンドルによって手動で操作するなど、工作機械の操作をするための操作盤です。

6. クロスレール

主軸を支えるレールで、クロスレールが上下する移動式と主軸が上下する固定式に分けられます。

参考文献
https://www.okuma.co.jp/product/dcmc/

レーザー測長機

レーザー測長機とは

レーザー測長機

レーザー測長機とは、レーザー光を利用し、非接触で高精度な距離測定を行うために使用される測長機です。

数百ナノメーターの波長を持つ可視光レーザーを使用しているため、サブマイクロメートルの高い分解能で測定が可能です。サンプルに取り付けたコーナーキューブにレーザー光を照射し、反射してきたレーザー光の位相差を解析することでサンプルまでの距離を測定します。

また、オプションのソフトウェアを使用することでサンプルの速度や加速度、変位を測定することができるレーザー測長機もあります。

レーザー測長機の使用用途

レーザー測長機は半導体製造装置、電気、電子機器製造装置などの高い精度で位置決めが必要な装置に対して用いられます。また、光を利用しているので高速で動くチップマウンタやプリンタヘッドの速度や位置を測定するも可能です。

その他、装置のステージなど移動する部位において2つのレーザー測長機を用いて異なる場所の距離を同時に測定することで、ステージのピッチングやヨーイングの有無、同一装置内での変位の有無を確認できます。

レーザー測長機の原理

レーザー測長機では、サンプルに照射して跳ね返ったレーザー光の位相差から距離を算出します。サンプルにはレーザー光を反射させるために、小さくて軽いコーナーキューブを取り付けます。このキューブにレーザー光を照射させて、反射した光を解析します。

反射した光は投光した光に対して位相差を持っているためこれらの光の間には干渉が発生します。位相差は距離に依存して変化するため、干渉結果の解析を行うことで距離を求めることが可能です。レーザー光の波長は600ナノメーター程度で、測定精度もサブマイクロメートルと非常に高いです。

また、レーザー光のサンプリングピッチを細かくすることでサンプルの速度や加速度、変位などの動的な情報を得ることもできます。装置によっては最大で1メガヘルツの周期でサンプリングすることが可能であるため、高速で移動する装置、もしくは微小で精確な移動を繰り返す装置の速度等を測定することも可能です。

レーザー測長機の種類

レーザー測長機には、用途に応じて様々な種類があります。

1. レーザー距離計 (レーザーレンジファインダー)

一般的なレーザー測長機で、一点からの距離を測定するために使用されます。手のひらサイズの携帯型のものから、測定範囲が数キロメートルに及ぶ大型のものまでさまざまなサイズがあります。建築現場や測量などで一般的に使用されます。

2. レーザー干渉計

レーザー光の干渉を利用して距離を測定する装置です。レーザー光を分割し、干渉が生じることで微小な距離変化を検出します。非常に高い測定精度を持ち、ナノメートル単位の微小な変位の測定に好適です。微細加工や光学デバイスの評価などの分野で使用されます。

3. レーザー多点測距計 (レーザートラッカー)

レーザービームを対象物に照射し、その反射光を複数の受光センサーで受けることで、対象物の位置や形状を測定する装置です。主に工業分野で使用され、機械加工や自動車製造などで位置や形状の計測に使用されます。

4. レーザー振動計 (レーザーバイブロメータ)

レーザー光を対象物に照射し、その反射光から振動や変位を測定する装置です。非常に高い測定精度を持ち、機械の振動解析や材料の評価などに使用されます。

5. レーザー測位装置 (レーザートラッキングシステム)

レーザー光を使用して対象物や動体の位置や速度を追跡するための装置です。航空宇宙分野やロボット工学、モーションキャプチャなど、高速で精密な位置測定が必要な分野で使用されます。

参考文献
https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/whats_new/catalogs/products/old/lv8600.pdf
https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/application/shinchoku.htm
https://www.onosokki.co.jp/HP-WK/products/keisoku/thickness/lv9300a.html

金型洗浄剤

金型洗浄剤とは

金型洗浄剤とは、金型の洗浄に使用される洗浄剤です。

樹脂やゴムの成形に用いる金型や、アルミダイキャストに使われる金属製の金型などの洗浄に用いられ、金型の成形面などに付着した油脂や有機物質の汚れを落とします。スプレー型の製品が多く流通しています。

金型洗浄剤の使用用途

金型洗浄剤は、樹脂やゴムの成形に使用する金型や、アルミダイキャストに使われる金属製の金型などの洗浄に用いられます。

金型を使用したあとに、金型洗浄剤を柔らかい布やウェスに吹き付けて金型を拭く、あるいはスプレーを金型に直接吹き付けて拭き取るなどして用います。多数の金型の洗浄や大きな金型の洗浄には、スプレー型を用いるのではなく、タンクに入った洗浄剤を希釈して掛け洗いするなどします。

水系、準水系、非水系の3種類があり、金型や成形材料に合わせてどの系列を選択するか決めます。

金型洗浄剤は、金型クリーナーと呼ばれることもあります。ただし、金型クリーナーは、スプレーで塗布する金型洗浄剤を習慣的に指す場合があります。

金型洗浄剤の原理

金型洗浄剤は、水系、準水系、非水系に分けられ、いずれも界面活性剤などの成分により、成形成分の残渣やクズ、ガスが固まったものを溶かして除去します。

1. 水系金型洗浄剤

水系の主な成分は界面活性剤で、溶媒は水です。含まれる成分の特性によって、アルカリ性や中性、酸性となります。

アルカリ性は低コストの上、脱脂力が強いのがメリットです。一方で、金属が腐食してしまう場合もあります。中性は、金属が腐食するリスクが低くなりますが、脱脂力は低くなる傾向です。酸性は、金属が腐食してしまう可能性が高い洗浄剤です。この特性を活かし、金属表面のサビの除去などに使用されています。

水系の洗浄剤を使用する場合は、水を使って洗い流すリンス工程が必要です。

2. 準水系金型洗浄剤

準水系は、界面活性剤を有機溶剤で溶かした洗浄剤です。油の分解力が高いのが特徴で、ほとんどの金属に対して使用可能です。溶媒の特性に応じて、可燃性と不燃性に分かれます。

3. 非水系金型洗浄剤

非水系には、炭化水素系・アルコール系・フッ素系・塩素系・臭素系などがあります。水を用いたリンス工程を必要としません。

  • 炭化水素系
    鉱物油系の加工油の洗浄に好適です。引火性があるためイオン性由来の汚れには向いていません。
  • アルコール系
    イオン性由来の汚れにも対応しています。引火性があるため取り扱いに注意が必要です。
  • フッ素系
    高い油分の溶解能力を持ちます。浸透性が高いため、細かい部品の洗浄に非常に好適です。コストが高くなるのがデメリットです。
  • 塩素系
    油分に対する溶解能力の高さに加え浸透性が高く、コストが安いのが特徴です。一方で、毒性が強く錆びやすい面があります。
  • 臭素系
    不燃性であることに加え、浸透性が高いため、精密機器の洗浄に好適です。高コストであることや、毒性データが不明瞭であるのがデメリットです。

金属洗浄剤のその他情報

樹脂やゴムの金型成形では、成形される材料の樹脂やゴムの残渣が、金型の中に付着するケースが多くあります。また、成形材料からガスが生じることもあり、このガスは金型に固化して残ります。残渣を放置していると金型内にこびりついて固まり、金型の成形精度を下げる原因となります。

加えて、残渣などの異物は、金型からガスを逃がす道を塞いでしまう場合があります。金型に残ったガスは、金型を変形させてしまう要因にもなります。

アルミダイキャスト用金型では、アルミのカス以外に、素材に混ぜられる他の金属や金型に塗布する離型剤などが金型に残ります。これらも金型の成形精度の低下や金型の劣化の原因です。

参考文献
https://www.taiyochem.co.jp/mold-cleaning-agents/
https://www.monotaro.com/k/store/%E9%87%91%E5%9E%8B%E6%B4%97%E6%B5%84%E5%89%A4/

リークディテクタ

リークディテクタとは

リークディテクタ (英: Leak Detector) とは、漏れや流出を検知するためのデバイスやシステムのことです。主な目的は、気体や液体、あるいは他の種類の流体の漏れを早期に検知し、事故や損失を防止することです。

リークディテクターは、安全性や効率性を高めるために広く利用されます。産業プロセスやインフラの監視において重要な役割を果たしています。

リークディテクタの使用用途

リークディテクターは、さまざまな産業分野・用途で使用されます。以下はリークディテクタの使用用途一例です。

1. ガス漏れ検知

可燃性ガス (天然ガス、プロパン、メタンなど) の漏れを検知するために使用されます。ガス漏れは火災や爆発の原因になる可能性があり、早期の検知は人々の安全性を確保する上で重要です。ガス供給システム、石油化学工場、ガスパイプラインなどで使用されます。

2. 液体漏れ検知

液体 (水、石油、化学物質など) の漏れを検知するために使用されます。液体漏れは環境汚染や物質の浪費につながる可能性があるため、リークディテクタで漏洩被害を最小限に食い止めます。水道管、石油パイプライン、タンク、貯蔵施設などで使用されます。

3. 地下水管の漏れ検知

地下水管や配管システムの漏れを検知するために使用されます。地下水の漏れは地盤沈下や地下水位の低下などを引き起こし、水資源の浪費や環境問題につながる可能性があります。地方自治体や水道公社などが使用します。

4. 真空システムの漏れ検知

リークディテクターは、真空システムや密閉容器の漏れを検知するために使用されます。真空の漏れは製造プロセスや実験の正確性に悪影響を与える可能性があります。半導体産業、医療機器、宇宙産業などで使用されます。

リークディテクタの原理

リークディテクタはリーク時の圧力、音波、流量などの変化を検知して漏洩を発見します。真空リークディテクタなどは圧力変化を検知します。密閉された真空容器内でリークが発生すると、圧力が急上昇します。この変動を検知して、真空リークを発見する仕組みです。

地下水リークの場合などは、音波変化を検知します。水が漏れた箇所では、水の流れによって発生する音波が検出されます。これにより、漏れ箇所の位置を特定することが可能です。

また、流量計によってリークを検知する場合もあります。リークが発生すると、流量が予想よりも減少する場合があります。この変化を検出して漏れを警告します。

リークディテクタの種類

リークディテクターにはさまざまな種類があります。以下はリークディテクタの種類一例です。

1. ガスリークディテクタ (英: Gas Leak Detector)

ガスのリークを検知するリークディテクタです。超音波センサーやガス濃度センサー使用してガスのリークを検知します。超音波センサーは高周波の音波 (超音波) を発生させ、その音波が物体に当たって反射する時間や強度の変化を検知します。

この原理を利用して、リークや漏れ箇所の検出に応用されます。ガス濃度センサーは可燃性ガスの濃度を測定するセンサーです。

メタンガス濃度センサーやハイドロカーボンガス濃度センサーを使用し、ガス濃度が上昇することを検知してガス漏れを発見します。

2. 液体リークディテクタ(英: Liquid Leak Detector)

液体のリークディテクタには、流量計や静電容量センサーを使用します。流量計は 液体の流れを測定し、予想される値からの流量の変化を検知します。漏れが発生した場合、流量が予想値とずれることから漏洩を検知します。硫酸などの薬液移送配管などに使用されます。

静電容量センサーは電極によって液体を検知するセンサーです。液体がセンサーに接触すると、静電容量が変化する原理を使用します。静電容量センサーは粉体などにも使用される場合があります。

3. 真空リークディテクタ (英: Vacuum Leak Detector)

真空リークディテクタは、真空容器へのガス流入を検知する装置です。ヘリウムや音波によって流入を検知します。

ヘリウムを使用する方法では、まずは検査対象の外部から吹付プローブでヘリウムを微量吹き付けます。検査対象内部に漏れてきたヘリウムをヘリウム検出器で検出することで漏洩を発見します。

音波による方法は、リーク発生時に発生する音を検知してガス流入を発見する方法です。非接触で真空リークを発見することが可能ですが、精度はヘリウムリークディテクタの方が高いです。