防塵ラックとは
防塵ラックとは、防塵対策がされている電子機器収納用ラックです。
製造工場や物流センターなどの施設には、ベルトコンベアや作業ロボットなど、様々な機械が導入されています。それに伴い、こうした機械を制御するためのパソコンが数多く設置されています。防塵ラックはこれらの機器を粉塵から守るために用いられます。
これらの施設ではオフィスなどと比べて多くの粉塵が発生する場合がほとんどで、機器の防塵対策が必要です。
防塵ラックの使用用途
防塵ラックは様々な場面で使用されます。以下はその一例です。
1. データセンター
データセンターではサーバーやネットワーク機器などの機器を保護するために防塵ラックが利用されます。これらの機器は高性能であり、小さな塵やホコリが性能に影響を与える可能性があります。防塵ラックはこれらの機器を清浄な環境で保護しつつ、適切に冷却することが可能です。
2. 工場
工場では製造ラインで使用される機械や制御装置を保護するために防塵ラックが使用されます。特に精密な機器や部品は、塵やホコリから保護する必要があります。防塵ラックによって製造プロセス中にこれらの機器を保管したり、一時的に配置したりすることが可能です。
工場では製造する製品によって様々な種類の粉塵が発生します。紙やパルプなどの製紙分野では紙粉、金属加工の分野では金属粉、また油を使う工程があればオイルミストといった微粒子が多量に発生します。IoTやAIの発展により、今後はパソコンなどの制御端末がさらに普及しますが、防塵ラックによってこれらの精密機器を粉塵から守ることが可能です。
3. 物流センター
物流センターでは、物流や保管に関連する機器を保護するために防塵ラックが利用されます。コンベアシステムの制御装置やRFIDリーダーなどがその一例です。これらの機器は内部に精密機器が使用されているため、塵やホコリから保護する必要があります。
4. 公共施設
公共施設ではセキュリティシステムや通信機器などの機器を保護するために防塵ラックを利用されることが多いです。一例として、監視カメラの制御装置や交通制御システムなどが該当します。これらの機器は安定した動作を維持するために清浄な環境が必要なため、防塵ラックに収納します。
防塵ラックの原理
防塵ラックは内容物を粉塵から保護する製品です。中に入れている端末が粉塵により故障してしまうと、保存データの損失や製造工程の停止といった重大な事態につながる可能性があります。したがって、粉塵濃度が高い場所で使用する場合、強力な防塵性能が要求されます。
防塵ラックは主に内部を密閉することによって粉塵の侵入を防ぐ仕組みです。ただし機器のメンテナンスや出し入れを行う必要があるため、完全な密閉空間になるような設計はできません。部品どうしの隙間にパッキンを入れたり、組み立て方や構造を工夫して、操作性を確保しながらなるべく密閉できるように製造されます。
防塵ラックに入れる機器は主にパソコンなどの電子機器ですが、これらは使用時に発熱する場合が多いです。これらの熱が蓄積してしまうと故障する危険性があります。したがって、密閉空間を維持したうえで熱を逃す構造にしなくてはなりません。
防塵ラックではファンや熱交換器を用いて排熱を行ったり、冷房機能を組み込んで機器を冷却します。これらの排熱・冷却設備も防塵仕様の部品が採用されています。
防塵ラックの選び方
防塵ラックを選ぶ際は、以下の選定要素を考慮することが重要です。
1. サイズ
使用する機器のサイズや数に合わせて、適切なサイズの防塵ラックを選びます。これにより、最小限のスペースで機器を設置することが可能です。また、合わせて電源供給機能などの他機能も考慮します。
2. 防塵性能
防塵ラックの主な目的は機器を塵から守ることです。そのため、適切な防塵性能を持つラックを選びます。ラックの密閉性やフィルターの性能などを考慮します。
3. 耐久性
長期間にわたって安定したパフォーマンスを提供するために、耐久性が重要です。堅牢な構造や高品質な材料で作られたラックを選ぶことで、安定性を確保します。
4. 冷却性能
防塵ラックの冷却性能はラック内の機器を適切な温度で保つために重要です。内部機器の発熱量を試算し、これ以上の冷却性能を有する機器を選定します。ファンの風量や消費電力、騒音レベルなども考慮する必要があります。