隔膜式圧力計

隔膜式圧力計とは

隔膜式圧力計とは、圧力を受け取る部分に隔膜が取り付けられた圧力計です。

ダイアフラムと呼ばれる隔膜によって測定物に直接触れることなく圧力を測定することが可能です。一般的に液体やガスの圧力を測定するのに使用されます。高い精度で圧力を測定することが可能で、厳密なプロセス制御や測定が必要な場面でも信頼性があります。

隔膜式圧力計は頑丈で耐久性があり、長期間にわたって安定して使用可能です。これは特に、過酷な環境や高温・高圧のプロセスにおいて必要な能力です。さまざまな産業や用途に適しており、必要な設定圧力で使用することができます。

また、比較的低コストで、多くの用途においてコスト効果が高いです。一般的な隔膜式圧力計は針を使用して圧力を表示するため、操作が直感的で読み取りが容易な点も特徴の1つです。

隔膜式圧力計の使用用途

隔膜式圧力計は、さまざまな産業で広く使用されます。以下は隔膜式圧力計の主要な使用用途です。

1. 産業プロセス

製造業において、隔膜式圧力計は製品の品質管理やプロセスの効率化に重要です。例えば、圧力が製品の成型や造形に影響を与える場合、隔膜式圧力計はプレス機や成形機の圧力監視に使用されます。

また、化学メーカーなどでは反応器内の圧力を制御し、化学反応の効率と安全性を確保するために隔膜式圧力計が利用されることも多いです。食品加工業界では、缶詰や密封容器内の圧力を確保するために使用されます。

2. エネルギー

発電所では、ボイラーやタービンの圧力監視に隔膜式圧力計が必要です。エネルギーの効率的な生成と発電所の安全性に関連しています。原子力発電所では、原子炉の圧力制御と監視に隔膜式圧力計が不可欠です。

3. 建設機械

クレーンやブルドーザーなどの建設機械では油圧システムが機械の動作に使用されます。その圧力を監視するために隔膜式圧力計が使用されることが多いです。これにより、建設作業の安全性を向上させることができます。

4. 環境設備

水処理プラントでは遠心分離装置や圧搾機械を使用することが多いです。これらの水圧力や圧搾油圧などを監視し、適切な水圧・油圧を確保します。隔膜式圧力計は、水処理プラントの運用において必要不可欠です。

隔膜式圧力計の原理

隔膜式圧力計の原理は圧力を隔膜に作用させ、その隔膜の変形を測定して圧力を計測する仕組みです。隔膜は一般的に薄い金属板や合成材料で作られ、圧力を受ける部分です。隔膜は一方の側面が被測定物質と接触し、もう一方の側は外部環境に接触しています。

被測定物質側の隔膜に圧力が掛かると、隔膜は変形します。圧力が増加すると隔膜は外部に向かって膨らみ、圧力が減少すると隔膜は内部に戻る仕組みです。この変形は隔膜内部に応力を生じ、隔膜の中心部から周辺部に伝えられます。

隔膜からの変形が計測機構に伝えられ、変位を測定します。計測機構はレバーやバネ、圧力センサーなどが使用され、変位を角度や距離に変換することが可能です。計測機構によって変換された変位情報は指針などの形式で表示され、ユーザーが圧力を直接読み取ることができます。

隔膜式圧力計の選び方

隔膜式圧力計を選ぶ際には、いくつかの重要な要因を考慮する必要があります。以下は選定要素の一例です。

1. ダイヤフラムの材質

ダイヤフラムは、圧力に耐えるために十分な強度と耐久性を持つ材質で作られます。一般的なダイヤフラム材質はステンレス鋼やハステロイなどです。また、特定の化学薬品に対する耐性が必要な場合、ダイヤフラムは適切な耐腐食性材質でコーティングされることもあります。

2. 圧力レンジ

圧力レンジは、圧力計が測定できる圧力の範囲を示す指標です。選択する隔膜式圧力計は測定したい圧力範囲に適している必要があります。過大な圧力にさらされると計器が損傷する反面、過小な圧力を測定した場合は精度が低くなる可能性があります。

3. 最大許容圧力

隔膜式圧力計は、最大許容圧力を超えないように選択することが必要です。最大許容圧力を超えると隔膜が破損する可能性があり、危険な状況を引き起こす恐れがあります。最大許容圧力は、選択した圧力計の仕様に記載されています。

4. 取付径

隔膜式圧力計を取り付けるプロセスまたは装置に合わせて、適切な取付径を選択することが重要です。取付径は、圧力計が接続される配管や接続部のサイズに対応している必要があります。

参考文献
https://www.m-system.co.jp/rensai/pdf/r0209.pdf

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