門型マシニングセンタとは
門型マシニングセンタとは、CNC (コンピュータ数値制御) 指令によって自動制御されるマシニングセンタの一種です。
最も大型の加工機械に分類されており、主軸、テーブル、コラム、NC装置、オートツールチェンジャー (ATC) などからなります。切削用刃物を回転させる主軸と呼ばれる部分を支持する構造が、装置正面から見ると門型となっている為にこの様に呼ばれます。
切削対象物を積載するテーブルの幅、長さを大きく取れる構造の為、大型製品の重切削加工で用いられます。非常に規模の大きな設備となる為、限られた一部の加工工場でのみ取り扱われています。
門型マシニングセンターは、大型設備なので国内で製造しているメーカーは限られています。一方で、半導体設備の大型化や、電気自動車の金型製作などで需要が増加しています。
門型マシニングセンタの使用用途
現在国内で運用されている門型マシニングセンタでは切削ワークの最大サイズが長さ12m以上、幅4m以上、高さ1m以上の製品を加工できる為、大型の製品がその用途の中心となります。
また非常に高精度な位置決め、切削精度を有する為、風力や水力等の発電設備用回転体や原子力発電設備、航空機用構造部品、半導体製造装置用の大型真空チャンバ、液晶や有機EL等のFPD製造設備用チャンバ、大型船舶用原動機の部品、自動車産業や航空宇宙産業向け部品の加工で用いられます。
門型マシニングセンタの原理
門型マシニングセンタの構造は、床面上に切削加工対象物を積載するテーブルがあり、その両脇にコラム (「門」の縦の柱に該当する部分) 、コラムを上空で連結するクロスレール、クロスレール上で動く主軸で構成されています。
サイズが大きいですが、2μ前後の高精度な位置決めができるため精密切削に適しており、主軸のアタッチメント交換で様々な加工に対応する事ができます。しかし、設備自体が非常に高額で加工費用も高額となります。
門型マシニングセンタの種類
門型マシニングセンタは、その各パートの動き方で以下の様な種類があります。下記のそれぞれの方式により剛性、つまり精度を高める方向が異なり、主に精度を出したい軸方向によって選ばれます。
1. クロスレール固定式
コラムが固定式で、主軸がクロスレール上を左右に、主軸自身が上下に、テーブルがクロスレールと直行方向に動くタイプで、最も一般的な構造です。
2. クロスレール移動式
コラムが固定式で、主軸がクロスレール上を左右に、クロスレールが上下に動くタイプです。テーブルはクロスレール固定式と同じ動きをします。
3. ガントリー式
テーブルが固定式で、コラムがテーブルに沿って動く方式です。クロスレールの動きは固定式と移動式があります。
門型マシニングセンタの構造
門型マシニングセンタは、以下から構成されています。
1. 主軸
切削工具を取り付けて回転を制御します。門型では、重切削に対応するため主軸の番台が50番のものが用いられており、マシニングセンタによく用いられている40番よりもシャンクが大きいことが特徴です。
2. ベッド
テーブルを案内するための案内面が備わっていて、マシニングセンタの底辺を支えている部品です。
3. テーブル
加工物を載せるための面で、T型ナットで加工物を押さえて固定するための溝があります。全長2m超の加工物に対応するためテーブルも広く、クレーンを用いて加工物の脱着を行うことが多いです。
4. コラム
ベッドに繋がっており垂直に伸びている柱のような存在で、主軸を支えている部品です。門型はコラムが2本によって支えられているのが大きな特徴で、2本の柱によって門のような形となっています。
5. 操作盤
NCプログラムを作成したり、ハンドルによって手動で操作するなど、工作機械の操作をするための操作盤です。
6. クロスレール
主軸を支えるレールで、クロスレールが上下する移動式と主軸が上下する固定式に分けられます。