電源基板

電源基板とは電源基板

電源基板とは、機器を構成する回路に仕様を満たす電圧と電流を供給する役割を持つものです。

一般的に商用電力AC100Vを入力として、内部回路で必要となる直流電圧を出力する電源回路の設計が行われます。内部回路で必要となる直流電圧は、機器にもよりますが、3.3V~48V程度に集約できます。更に必要な電流値も集約可能です。

自社で個々の機器に合わせて最適化設計するのではなく、完成部品として汎用的な用途で作られた電源回路が実装された電源基板を実装すると、活用する価値は大きくなります。

電源基板としての仕様をいくつかの種類に絞り込み、大量に生産することによりコストが安くなります。理由は、電源回路設計専門の技術者が設計するため高性能な設計が可能となるからです。

電源基板の使用用途

電源基板は産業用機器、コンピュータやサーバ等の情報処理機器、テレビや冷蔵庫等の家電機器、レコーダーやオーディオコンポ等のAV機器等、様々な機器に利用されています。

各種機器の高機能化、高性能化や機器の小型化に伴い電源回路に許される設置スペースがどんどん制限されてきており、その結果小型化と高性能化と高効率化が求められています。

自社設計に比べて、コストが安くなる可能性があるという理由に加えて、以上の理由からも専用の電源基板を使用するニーズが増えています。

電源基板の原理

電源基板には、AC電圧をDC電圧に変換するタイプのAC/DC電源基板と、DC電圧を昇圧したり降圧したりするタイプのDC/DC電源基板があります。

1. AC/DC電源基板

一般的に商用電源AC100Vを入力として、機器内部の回路で必要となる特定のDC電圧を出力とします。

2. DC/DC電源基板

機器内でDC電圧に変換された後に、更に内部回路において必要となる所定の電圧を昇圧したり降圧したりすることによって出力します。

 

単にACからDCに変換したり、DCの電圧を変換したりする機能だけではなく、内部の回路に過大な電流が流れることを抑止するための過電流保護回路や過電圧保護回路、回路に流れる電流の量により加熱してしまうことを抑止するための過電流保護回路等、各種の保護機能を内蔵した電源基板が多くあります。

また、電源回路は誤った機器の使い方により、時として発熱、発火を招く可能性があります。各種の安全規格により厳しく規格が決められているため、電源基板は様々な安全規格に対応しているのが一般的です。

電源基板のその他情報

1. 電源基板のメリット

電源基板のメリットとして、EMI (Electro Magnetic Interference) ノイズを抑えれる点が挙げられます。大きなノイズ発生源であるDC-DCコンバータICとコイルやコンデンサを短く配線しており、最適化された構造であるためノイズを抑えています。

DC-DCコンバータが発するノイズは配線がアンテナのような働きをして増幅されるため、配線を短くすることが効果的なノイズ対策となります。

2. DC-DCコンバータの動作種類

DC-DCコンバータの中でも2種類の動作方法があります。

リニア・レギュレータ
入力電圧を負荷の間で分圧して出力電圧を得る手法です。負荷の間にはトランジスタ等を使用し、可変抵抗として扱うことで分圧比を変えることができます。

分圧抵抗で消費する電力が損失となってしまうため、エネルギー変換効率が低いデメリットがあります。一方で、電磁ノイズが小さいこと等がメリットです。

スイッチング・レギュレータ
入力電圧からスイッチ素子のオンオフでパルス波を作り、出力時に平滑化する手法です。オンオフの比率を変えることで電圧を制御することが可能です。

エネルギー変換効率は高いですが、スイッチングの際に発生するノイズが大きいデメリットがあります。

参考文献
https://www.tamuracorp.com/electronics/jp/pm/
https://ednjapan.com/edn/articles/1603/07/news004.html 

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