金型洗浄剤

金型洗浄剤とは

金型洗浄剤とは、金型の洗浄に使用される洗浄剤です。

樹脂やゴムの成形に用いる金型や、アルミダイキャストに使われる金属製の金型などの洗浄に用いられ、金型の成形面などに付着した油脂や有機物質の汚れを落とします。スプレー型の製品が多く流通しています。

金型洗浄剤の使用用途

金型洗浄剤は、樹脂やゴムの成形に使用する金型や、アルミダイキャストに使われる金属製の金型などの洗浄に用いられます。

金型を使用したあとに、金型洗浄剤を柔らかい布やウェスに吹き付けて金型を拭く、あるいはスプレーを金型に直接吹き付けて拭き取るなどして用います。多数の金型の洗浄や大きな金型の洗浄には、スプレー型を用いるのではなく、タンクに入った洗浄剤を希釈して掛け洗いするなどします。

水系、準水系、非水系の3種類があり、金型や成形材料に合わせてどの系列を選択するか決めます。

金型洗浄剤は、金型クリーナーと呼ばれることもあります。ただし、金型クリーナーは、スプレーで塗布する金型洗浄剤を習慣的に指す場合があります。

金型洗浄剤の原理

金型洗浄剤は、水系、準水系、非水系に分けられ、いずれも界面活性剤などの成分により、成形成分の残渣やクズ、ガスが固まったものを溶かして除去します。

1. 水系金型洗浄剤

水系の主な成分は界面活性剤で、溶媒は水です。含まれる成分の特性によって、アルカリ性や中性、酸性となります。

アルカリ性は低コストの上、脱脂力が強いのがメリットです。一方で、金属が腐食してしまう場合もあります。中性は、金属が腐食するリスクが低くなりますが、脱脂力は低くなる傾向です。酸性は、金属が腐食してしまう可能性が高い洗浄剤です。この特性を活かし、金属表面のサビの除去などに使用されています。

水系の洗浄剤を使用する場合は、水を使って洗い流すリンス工程が必要です。

2. 準水系金型洗浄剤

準水系は、界面活性剤を有機溶剤で溶かした洗浄剤です。油の分解力が高いのが特徴で、ほとんどの金属に対して使用可能です。溶媒の特性に応じて、可燃性と不燃性に分かれます。

3. 非水系金型洗浄剤

非水系には、炭化水素系・アルコール系・フッ素系・塩素系・臭素系などがあります。水を用いたリンス工程を必要としません。

  • 炭化水素系
    鉱物油系の加工油の洗浄に好適です。引火性があるためイオン性由来の汚れには向いていません。
  • アルコール系
    イオン性由来の汚れにも対応しています。引火性があるため取り扱いに注意が必要です。
  • フッ素系
    高い油分の溶解能力を持ちます。浸透性が高いため、細かい部品の洗浄に非常に好適です。コストが高くなるのがデメリットです。
  • 塩素系
    油分に対する溶解能力の高さに加え浸透性が高く、コストが安いのが特徴です。一方で、毒性が強く錆びやすい面があります。
  • 臭素系
    不燃性であることに加え、浸透性が高いため、精密機器の洗浄に好適です。高コストであることや、毒性データが不明瞭であるのがデメリットです。

金属洗浄剤のその他情報

樹脂やゴムの金型成形では、成形される材料の樹脂やゴムの残渣が、金型の中に付着するケースが多くあります。また、成形材料からガスが生じることもあり、このガスは金型に固化して残ります。残渣を放置していると金型内にこびりついて固まり、金型の成形精度を下げる原因となります。

加えて、残渣などの異物は、金型からガスを逃がす道を塞いでしまう場合があります。金型に残ったガスは、金型を変形させてしまう要因にもなります。

アルミダイキャスト用金型では、アルミのカス以外に、素材に混ぜられる他の金属や金型に塗布する離型剤などが金型に残ります。これらも金型の成形精度の低下や金型の劣化の原因です。

参考文献
https://www.taiyochem.co.jp/mold-cleaning-agents/
https://www.monotaro.com/k/store/%E9%87%91%E5%9E%8B%E6%B4%97%E6%B5%84%E5%89%A4/

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