感震装置

感震装置とは

感震装置とは、地震動を検出して作動する装置です。

単位は加速度の単位であるガル (Gal) で、1Galは0.01m/s2です。地震動を感知して設定加速度以上となった際に、接点信号などで出力します。

感震装置の使用用途

感震装置は、地震が発生時に2次災害防止を目的に使用します。以下は感震装置の使用設備例です。

  • 一般工業設備
  • 受変電設備や発電設備
  • 火気使用機器
  • 危険物関連施設

主に、発電所や化学プラントなどの大規模施設に使用されます。防災上の重要な役割を果たし、危険物への延焼や機械装置の暴走を防ぐ目的で設定されます。施設内や周辺地域にいる人々の生命や財産を守る重要な機器です。

感震装置の原理

感震装置は、地震センサーを内蔵しています。地震センサーは加速度計や変位計などの機器を用いて、地震などの外力による揺れを検知します。そして、センサーが一定以上の揺れを検知すると接点出力を発信する仕組みです。

また、感震装置はセンサーの感度を調整することで、建物の揺れの大小に応じて遮断の閾値を調整できます。これによって、揺れが小さい場合には、作動しないように設定することも可能です。

感震装置の種類

感震装置には、落球式、振子式、電気式などの種類があります。

1. 落球式 (Drop-ball Type) 

鉄球をくぼみなどのある受座と呼ばれる台に乗せて、台から鉄球が落ちる時に信号が発せられる仕組みです。機械式感震装置の1種で、鉄球の大きさと受座のくぼみ寸法の比を利用して揺れの設定値を変更可能です。ただし、縦揺れには鈍感です。

2. 振子式 (Pendulum Type)

本体に固定された振子の先に接点 (または検出器) を設けて、振子の揺れる速度を検出します。機械式感震装置の1種で、振子と接点の距離を調整することで揺れの設定値を変更可能です。ただし、縦揺れには鈍感です。

3. 電気式

電気式はセンサー加速度計によって検知する方式で、X軸、Y軸、Z軸に組み込まれています。バネによって固定された振子が振動によって動作し、振子位置検出器が振子の加速度に比例した電流を発生させます。この電流や反作用電流を信号として検知します。

3軸取り付けているため、縦揺れにも横揺れにも対応できる感震装置です。

感震装置の選び方

感震装置を選ぶ際には、感度や信頼性、コストなどを考慮します。感震装置は地震を感知するセンサーを内蔵しており、感度が高いほど微少振動にも反応します。建物の規模や地盤の状態などに応じて、適切な感度の感震装置を選択します。

また、感震装置の信頼性も重要な要素です。災害に備えて設置される装置のため、有事の際には正常動作が必須となります。信頼性が高く、メンテナンスが容易な感震装置が望ましいです。

さらに、感震装置のコストも選定のポイントになります。必要十分かつ安価な感震装置を選定することが大切ですです。

感震装置とその他情報

1. 地震と電気火災

阪神淡路大震災時の建物火災原因は、約6割が電気関連です。停電の復旧時に揺れで散乱した可燃物が、損傷したコードや再加熱された暖房器具と接触して出火します。これらの火災は、感震ブレーカによって防止可能です。

感震ブレーカは、地震が発生すると警報を発報したり、電気を強制遮断します。したがって、大地震発生時も電気火災のリスクを大幅に低減可能です。

2. ガス感震装置の仕組みと特徴

重大災害に直結するガス漏れを防止するために、都市ガスにまつわる配管や設備は耐震基準に基づいた設計されます。その中には、感震装置として機能するガス感震装置も含まれます。地震で発生した加速度が基準を超えると、ガスの供給を自動停止させる仕組みです。

ただし、ガス感震装置は長周期地震動を感知しない場合がありました。長周期地震動は速度や変位の変化率が少なく、加速度計による検知が困難なためです。現在では、加速度センサーが改良され、長周期地震動に対応したガス感震器も開発されています。

参考文献
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/kenkou/suido/houkoku/suidou/dl/121214_022.pdf
https://panasonic.co.jp/ls/plseg/pdf_data/1/009_04_D7H-1.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/safety/7/1/7_62/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/78/1/78_39/_pdf
https://www2.panasonic.biz/ls/densetsu/denro/compact21/seismic_breaker/
https://www.kenken.go.jp/japanese/research/lecture/h26/pdf/S6.pdf

CMP装置

CMP装置とは

CMP装置は、シリコンウェーハを研磨する装置になります。CMPは、Chemical Mechanical Polishingの略で、化学機械研磨のことです。半導体は、非常に小さいスケールで作られているので、均一で高精度な研磨が求められるうえ、異なる硬さの層がいくつも積み重なっており、それぞれ適切な圧力や研磨剤、薬品を使用して研磨する必要があります。研磨の際は、それぞれの半導体の層の構成に応じて、表面や凹凸を化学反応をさせ、サンドペーパーなどで機械的に除去しています。

CMP装置の使用用途

CMP装置は半導体の製造工程において主に使用されます。半導体プロセスにおける、エッチングを行い、酸化膜の生成やイオンの拡散などを行った後に、それらの工程によって生じた表面の凹凸を平坦化する際に使用されます。CMPによって、非常に高精度の平坦化を行え、平坦化した表面の上にさらに積層を行えやすくなります。CMP装置の選定の際には、平坦化の精度、使用する薬液や化学薬品、シリコンウェーハの処理スピードなどを考慮する必要があります。

CMP装置の原理

CMP装置の動作原理を説明します。CMP装置は一般的には、一度に多くのシリコンウェーハを高速で処理するため、大型の装置になることが多いです。構成要素としては、回転ステージ、薬液や化学薬品を塗布するためにノズル、サンドペーパーなどが付いている研磨部で、そのほかにも、シリコンウェーハ輸送用のロボットや研磨後の洗浄部、以上検知部などが付属されています。

基本的な動作は、薬液や化学薬品をノズルからシリコンウェーハ上に散布し、その上からサンドペーパーなどを押し当てて、回転ステージを高速で回転させることによって研磨します。化学研磨の対象としては、酸化膜、タングステン配線、銅配線になります。酸化膜の場合は、酸化膜をアルカリ溶液で溶かし、同じ組成の酸化ケイ素で研磨します。タングステン配線の場合は、タングステンの表面部分を酸化させ、その表面を酸化ケイ素などで研磨します。銅配線の場合は、を酸化させた後、錯体にし、酸化ケイ素などで研磨します。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/electrochemistry/74/12/74_12_971/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/83/3/83_220/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/84/3/84_239/_pdf

CVD装置

CVD装置とは

CVD (英: Chemical Vapor Deposition) 装置とは、薄膜の成長や表面処理に使用される装置です。

CVDは、化学反応を利用して気相中の化学物質を固体表面に沈着させるプロセスです。CVD装置は、基板や基材を加熱し、その表面に気相中の反応性ガスまたは蒸気を供給します。基板上の反応物質は化学反応を起こし、膜や被覆物を形成します。

このプロセスによって、さまざまな種類の薄膜や被覆物を作ることが可能です。CVDは高い制御性と再現性を持つため、高品質な薄膜を成長させることができます。膜の厚さや均一性、結晶性など、制御が必要な特性を制御することが可能です。ただし、使用するガスは有毒性が高いものが多く、取り扱いには注意が必要になります。

CVD装置の使用用途

CVD装置は半導体製品などに使用されることが多い装置です。以下はCVD装置の使用用途一例です。

1. 半導体製造

CVDは半導体産業において非常に重要な技術となります。例えば、CVDを使用してシリコン基板上にSiO2膜を成長させます。これは絶縁体として使用され、集積回路の絶縁層やゲート酸化物として重要です。

また、CVDを使用して、銅やアルミニウムなどの金属膜を成長させる場合があります。これにより、配線や電極などの導電性層を形成することが可能です。

2. 光学コーティング

CVDは、光学デバイスや光学部品の製造において重要な役割を果たします。まず、多層膜光学フィルターを成長させることが可能です。これにより、特定の波長範囲の光の透過性や反射性を制御し、スペクトルフィルターや反射防止コーティングとして使用されます。

また、CVDを使用して高反射性のミラーコーティングを成長させ、レーザー光や光学系の反射率を向上させることが可能です。レンズにおいては表面に保護コーティングを形成し、耐摩耗性や耐久性を向上させます。

3. 保護被覆

金属の表面に保護コーティングを形成し、耐蝕性や耐摩耗性を向上させることが可能です。金属部品や工具の表面処理に使用されます。また、セラミックスの切削工具やセンサーに使用し、材料の表面に保護コーティングを形成することが可能です。

CVD装置の原理

CVD装置は、化学反応を利用して気相中の化学物質を固体表面に沈着させるプロセスです。まず、反応ガスまたは蒸気が装置内に供給されます。これらのガスは、成膜や被覆に必要な元素や化学物質を含んでいることばほとんどです。一般的な反応ガスには、金属有機化合物や酸素・窒素などがあります。

反応ガスと基板の間で化学反応を促進するために、基材を加熱させることが多いです。加熱された基板上で、反応ガスは化学反応を起こします。これにより、反応ガス中の元素や化学物質が基板表面に沈着し、薄膜を成長可能です。

CVD装置では成膜プロセスの制御が重要です。成膜速度や加熱温度などのパラメータ調整によって、所望の薄膜特性を得ることができます。

CVD装置の種類

CVD装置には熱CVD装置、プラズマCVD装置、光CVD装置などの種類があります。

1. 熱CVD装置

熱CVD装置は、原料となるガスを容器内に輸送して、基板または容器内を高温にすることで原料のガスを基板上で化学反応させる装置です。基板のみを高温にする方法や容器内を高温にする方法があります。

2. プラズマCVD装置

プラズマCVD装置では、原料となるガスをプラズマ状態にして基板上に積層させる装置です。熱CVD装置よりも基板の温度を低温で膜を成形できるため、高精度の寸法が要求されるような半導体の製造に有利です。

3. 光CVD装置

光CVD装置は原料となるガスに対して、放電管やレーザーによって光を照射することで化学反応を起こす装置です。化学反応を促進させる作用や分子間の結合を切るような作用など、光の種類によって光の使われ方が異なります。他のCVD装置に比べて非常に低温で膜を生成することができることが特徴です。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/oubutsu1932/65/4/65_4_382/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakoronbunshu1975/26/6/26_6_798/_pdf

NC旋盤

NC旋盤とは

NC旋盤

NC旋盤とは、コンピュータ制御によって金属やプラスチックなどの材料を切削加工する装置です。

旋盤は加工対象の軸などを高速で回転させ、バイトと呼ばれる刃物を当てることで加工する機械です。主に部品加工などで使用されます。NC旋盤はコンピュータ制御による加工を行うため、非常に高い精度で加工が可能です。

加工の位置や切削量はプログラムによって正確に制御され、作業者のヒューマンエラーを最小限に抑えることができます。また、加工条件の微調整や再現性の確保も容易です。生産性の向上にも貢献します。加工プログラムを事前に設定することで、作業のセットアップや調整時間を短縮することが可能です。

また、一度に複数の工作物を加工することもできるため、大量生産にも対応しています。ただし、NC旋盤を操作する際には、金属加工の知識のほか、コンピューター制御のためのプログラミングの知識も必要となります。

NC旋盤の使用用途

NC旋盤は、金属加工の工場で主に使用されます。以下はNC旋盤の使用用途一例です。

1. 自動車

NC旋盤はシリンダーヘッドやクランクシャフトなどの精密な部品の加工に使用されます。これらの部品は高い精度と耐久性が求められますが、NC旋盤による自動化された加工によって一貫性のある品質で製作することが可能です。

また、自動車のホイールやリムなどの車輪部品も、NC旋盤によって加工されます。車輪の形状や寸法には厳密な規格があり、NC旋盤はそれらの要件を満たす高精度な加工が可能です。

2. 医療機器

人工関節は関節置換手術に使用される重要な医療機器です。NC旋盤は人工関節の加工に使用され、関節の形状や寸法の正確性を確保します。外科手術に使用されるさまざまな手術用具の製造も行われます。

また、歯科用のインプラントや骨折修復用のインプラントなど、さまざまな歯科部品の加工に使用されます。これらの機器は体内での正確な適合性が要求されるため、高い精度で加工可能なNC旋盤が有利です。

3. 一般製造業

電子機器の部品は小型で複雑な形状を持ち、高い精度が求められます。NC旋盤によって、コネクターやノブなどの部品の加工が可能です。電子回路基板の小型部品要素の作成にも使用される場合があります。

また、一般機械産業における金属・プラスチック部品の加工に広く使用されます。歯車やハンドルなどの金属・非金属部品の製造に使用されることが多いです。

NC旋盤の原理

NC旋盤は旋盤部とコンピューター制御部、操作部で構成されています。旋盤部では主軸の片側にモータが接続され、もう片側には加工対象を固定するためのチャックが取り付けられます。周囲には複数のバイスが取り付けられている刃物台が配置されることが多いです。

各構成品の周辺には、位置や回転数などを計測するためのセンサーが取り付けられています。動作時はモータによって主軸が高速で回転し、それと合わせてチャックに固定された加工対象も回転します。その回転している加工対象にバイスを近づけて切削することが可能です。切削時はバイスや加工対象が高温となるため、接合しないように油などで摩擦を低減します。

バイスや主軸の移動には、油圧シリンジなどが利用される場合が一般的です。付属しているセンサーによって微妙な位置などの情報が制御部に伝えられ、回転数などを調整することで高精度の旋盤が可能になります。手動によって制御に介入する場合は、操作部において制御操作します。

NC旋盤の種類

NC旋盤には以下のような種類が存在します。

1. 2軸NC旋盤

主軸や対切削軸が2つあるNC旋盤です。複数個所での切削加工が同時に可能な点が特徴です。効率的な加工や加工時間の短縮を行うことができます。また、2軸以上のNC旋盤も販売されています。

2. 小型NC旋盤

コンパクトで取り扱いやすいサイズのNC旋盤です。一般的に、小型の工作物や細かい部品の加工に適しています。工場のレイアウトに制約がある場合や、限られたスペースでの作業に最適です。

また、卓上NC旋盤も販売されています。卓上NC旋盤は小型の旋盤に制御装置を取り付け、自動制御で旋盤加工を可能にする加工機です。学習目的や小型の部品の試作制作、小ロット生産する際にも用いられます。

参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure-sys/machining/cutting/nc-lathe.jsp
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1986/67/11/67_11_1878/_pdf
https://www.turning-lathe-products.com/knowledge/
http://www.toyoview.co.jp/sub3.html
https://www.nakamura-tome.co.jp/2020/11/18/article_00005/

イオン注入装置

イオン注入装置とは

イオン注入装置とは、イオン化した物質を別の物質に注入することで、注入された物質の特性を変化させるための装置です。

半導体に広く使用されている単結晶のシリコンウエハーなどの材料は、そのままでは絶縁物質です。それに異なる物質のイオンを注入することで、電気的特性を変えることができます。

イオン注入装置は、主に半導体デバイスの製造における、不純物の注入工程において使用される他、半導体以外の材料分野においても、材料の特性を変化させるために使用します。ここでは、半導体の製造工程で使用するイオン注入装置について説明します。

イオン注入装置の使用用途

イオン注入装置は、半導体製造過程における不純物の注入工程で使用されます。半導体の基板に広く用いられているシリコンウエハー等は、そのままでは絶縁物質であり、電流を流したり、電気信号を伝えたりすることはできません。ウエハーに外部からイオンを注入することで、n型半導体もしくはp型半導体という電気的特性を持った部分が形成されます。

n型半導体は不純物として電子を多く持つ元素が注入された半導体で、p型半導体は不純物として正孔を多く持つ元素が注入された半導体です。なお、イオンを注入することを、ドーピングやイオンの打ち込みと表現することもあります。

n型半導体を作る際には、窒素やリンや砒素などの第15族元素のイオンを使用します。一方、p型半導体を作る際に使用するのは、ホウ素やアルミニウムなどの第13族元素のイオンです。イオンの注入を行うのは、エッチングによって回路部を形成した後の工程です。

ウエハーの上面は、エッチングによって、ウエハーの表面が露出した部分と、フォトレジストに守られた部分に分かれます。そこにイオンが注入されるとウエハーの露出した部分が、イオンの種類に応じて、n型半導体若しくはp型半導体となります。

イオン注入装置の原理

イオン注入装置は、イオン源、分析部、スリット、加速管、偏光板、レンズ、走査器、シリコンウェーハステージ、高温注入治具等で構成されています。真空状態になったイオン源部に、イオンを発生させるための元素であるリンやボロン、ヒ素などを投入し、電磁界を用いてプラズマ状態のガスにします。

プラズマ化したガスの中から、イオン注入に使用する物質のイオンのみを加速管へと進めるのが、分析部とスリットの役目です。イオンは加速管の内部で加速され、その先にある偏光板とQレンズの中を通過することで、イオンビームとして形が整えられます。

走査器の役割は、イオンビームをX,Y方向に走査することです。イオン注入の対象となるウエハーは、シリコンウエハーステージ上に正確にセットされており、そのウエハー表面上をイオンビームが走査することで、イオンが注入されます。

ウエハーの後面には高温注入治具があります。高温注入治具の役割は、ウエハーを加熱することです。ウエハーを加熱することでイオン注入による結晶欠陥の発生を抑制し、セルフアニーリング効果によって欠陥を消滅させることができます。

イオン注入装置の選び方

イオン注入の際のパラメーターには、使用するイオンの種類、注入するイオンの運動エネルギーと注入量、注入対象となるウエハーの大きさや種類など、非常に多くのバリエーションがあります。したがって、1台のイオン注入装置だけで全てのイオン注入工程を担うことは困難です。

例えば、リンやボロンなどのイオンを高濃度で注入する場合は、高電流・高エネルギーのイオン注入装置が必要となります。また、イオンを注入するウエハーが、SiCのような高温で動作するパワーデバイス用ウエハーの場合は、ウエハーを高温に加熱できる装置が必要です。

その一方で、イオン注入装置は、高価格の製造装置です。イオン注入装置を選択する際には、注入するイオンの種類と注入量、適応可能なウェーハサイズ等の必要な条件を満たしていることが前提となります。その上で、装置価格やスループットとの関係等を慎重に検討することが大切です。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj1989/52/12/52_12_805/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/shikizai1937/62/2/62_77/_pdf/-char/ja

ウィングポンプ

ウィングポンプとは

ウィングポンプ

ウィングポンプは、翼上の板をシーソーの様に動かすことによって、ポンプ内部の圧力を減らすことにより、液体を移動させるポンプになります。井戸水などを揚水するためのポンプなどによく使用されています。基本的には、手動で操作するタイプの製品が多いです。動作時は、翼状の板と連動して解放されるような弁がついており、その弁が流体をせき止めることや解放することによって、ポンプ内の圧力が変動し、ウィングポンプとして機能します。

ウィングポンプの使用用途

ウィングポンプは、井戸水などの揚水や、船舶における油の輸送のためのポンプ、工場における油や研磨剤などの輸送のために主に使用されます。ウィングポンプの選定の際には、対応している輸送する液体や、液体の輸送速度、作動時の圧力、手動で操作する際の抵抗値、大きさ、メンテナンス性、耐久性などを考慮する必要があります。船舶や工業用に使用される場合は、非常時のために使用する場合が多いため、耐久性やメンテナンスには注意する必要があります。

ウィングポンプの原理

ウィングポンプの動作原理を説明します。ウィングポンプは、輸送する対象の液体が入っているタンクや容器、井戸などに接続されているパイプ、ウィングポンプの容器、容器とパイプを接続している弁、翼状の板と接続されているピストン、ピストン内部の弁、吐き出し口、手動で動かす部分の翼状の板で構成されています。

動作時の様子をピストンの押し出しと引き戻しに分けて説明します。

  • 押し出し
    揚水時の動作前は、ピストンは、パイプの方向に押し付けられています。動作前には、呼び水が必要で、その呼び水をピストンによって分けられた容器の中に充填しておく必要があります。揚水する方向に手動で操作する部分の翼状の板を移動させると、ピストンが移動し、ポンプと接続されている部分の圧力が低下することによって、揚水されます。その際、ピストンによって圧縮される部分では、吐き出し口から液体が漏れ出るように輸送されます。
  • 引き戻し
    引き戻し時は、パイプと容器が接続されている弁が閉じられ、ピストン内部の弁が開けられます。押し戻したときに、容器内の流体が弁を通じて移動し、ピストンが容器の端と密着するようになります。

参考文献
http://toho-tobo.co.jp/pump-genri.htm
http://www.rainworld.jp/idopump/nira6b.html

電動ブロワ

電動ブロワとは電動ブロワ

電動ブロワとは、電動モーターを動力源とする送風機です。

一般的に、手持ちできる電動工具を指して電動ブロワと呼びます。強力な風を吹き出すことによって清掃や乾燥を行うために使用されます。

清掃用途では砂・落ち葉・ホコリといった物体から、木材や金属の削りかすなど、様々な物体に対応可能です。また、洗車後の水滴を吹き飛ばすといった水切り・乾燥の用途もあります。

風力と風速を設定できる製品も多く、使用者が目的に応じて調整します。また、ブロワ機能だけでなく、吸引機能も備えている製品も多いです。これにより、落ち葉やゴミを集める際に吸い込んで取り除くことが可能です。

電動ブロワの使用用途

電動ブロワは、さまざまな使用用途で活躍します。

1. 庭・芝生の清掃

電動ブロワは、庭や芝生の清掃に非常に便利です。落ち葉や枯れ草は、美観を損ねるだけでなく、芝生の成長を妨げることもあります。電動ブロワを使えば、風を使ってこれらの不要な物を簡単に吹き飛ばすことが可能です。

また、公共の場所や広い敷地では、通常、大量の落ち葉やゴミが発生します。電動ブロワを使えば、効率的にこれらを集めることが可能です。広範囲を素早く清掃することができるため、公園や広場の美観を維持するのに役立ちます。

2. 機器の清掃

機器清掃にも使用されることが多いです。屋外に設置されたエアコンなどは埃や葉が溜まるため、電動ブロワで排気口の詰まりを解消することが可能です。これにより、機器の効率的な動作とクリーンな空気の供給が促されます。

電動ブロワの原理

電動ブロワはさまざまな部品で構成されます。以下は電動ブロワの主な構成要素です。

1. モーター

電動ブロワの駆動源はモーターです。モーターはバッテリーやコンセントから電気を受け取り、回転運動を生み出します。バッテリーで駆動する場合は直流モーターが使用され、コンセントに接続する場合は交流モーターが使用されることが多いです。

2. ファン

ファンは風を発生させる主要な部品です。モーターの軸に取り付けられ、動力を受け取って回転します。周囲の空気を吸い込んで加速させた結果、高速の風がブロワのノズルから放出されます。

3. ノズル

ノズルは風を集中して特定の方向に吹き出すための役割を果たす部品です。一部の電動ブロワにはノズルの形状を変えることで、風のパターンを調整できる機能があります。これにより、広範囲または狭い範囲に風を送ることが可能です。

4. ハンドル

電動ブロワには操作性と利便性を向上させるためのハンドルが付いていることが多いです。ハンドルによって使用者がブロワを持ちやすくなり、操作を容易にします。

また、ハンドルにはオン/オフの制御スイッチが付属することも多いです。これにより、使用時に電動ブロワを適切に制御することができます。

5. 電源

電源は電動ブロワのモーターに電力を供給する部分です。バッテリーを内蔵している製品や、コンセントに接続するための電源コードを備えた製品があります。

バッテリーモデルは、持ち運びや自由度の高い作業に適していますが、バッテリーの充電が必要です。一方、電源コードモデルは連続して使用できますが、電源コードの範囲内で作業する必要があります。

電動ブロワの選び方

電動ブロワを選ぶ際は、風量・風速、重量、電源などを考慮します。

1. 風量・風速

ブロワの力強さは、使用する場面や目的に合わせて選ぶ必要があります。大きな庭や公共の場所では、高い風速と風量が必要です。風速は一般的にメートル毎秒やキロメートル毎時で表されます。

2. 重量

電動ブロワを長時間使用する場合、軽量で操作性の高いモデルが望ましいです。重たいブロワは使用中に疲労を引き起こす可能性があります。ハンドルの形状やグリップの快適さも考慮すると快適に作業が可能です。

3. 電源

電動ブロワの主要な電源タイプは、バッテリー式と電源コード式です。バッテリー式は移動性が高いですが、バッテリーの充電時間や作業時間に制限があります。一方、電源コード式は連続して使用できますが、電源コードの長さや範囲内での作業に制約があります。

高圧コンプレッサ

高圧コンプレッサとは高圧コンプレッサ

高圧コンプレッサとは、空気を取り込み圧縮して内蔵されたエアタンクに空気を貯め込むことができる装置です。

作りだされた圧縮空気は配管やエアホースを経由して放出して、エア工具の動力源などとして使うことができます。

同様の装置として通常のエアコンプレッサがありますが、高圧コンプレッサと比較すると作り出すことのできる圧縮空気の圧力に大きな差があります。通常のエアコンプレッサはタンク内の最高圧力が高い製品でも1.4MPa程度が多いのですが、高圧コンプレッサだと4.5MPa程度の製品が主流になっています。

高圧コンプレッサの使用用途

通常のコンプレッサのことを一般的に「常圧」、高圧コンプレッサを「高圧」と呼びますが、圧縮空気を動力源として利用するエア工具にも「常圧用」と「高圧用」に分かれていて、その高圧用のエア工具を利用するために必要になる圧縮空気を作り出すのに使用される装置が高圧コンプレッサです。

高圧コンプレッサを必要とする高圧用エア工具には、建築に用いられるものが多く存在しています。釘打機・ねじ打機・タッカーなどがあります。その他にはエアインパクトドライバ・エアダスターも存在しています。

高圧コンプレッサの原理

常圧コンプレッサと同様に、高圧コンプレッサもシリンダとピストンを用いて「圧縮」「吐出」「吸入」の工程を経て圧縮空気を作りだしています。しかし、高圧コンプレッサは常圧コンプレッサより高い圧力を実現させるために、一度「圧縮」「吐出」「吸入」の工程を経て圧縮した空気を、もう一度同じ工程を経て圧縮する方法が主流となっていま。

この一度の工程で最高圧力まで圧縮するコンプレッサを1段式、一度圧縮した空気を再度圧縮して最高圧力に到達させるコンプレッサを2段式と言います。高圧コンプレッサで2段式が主流になっている理由としては、気体を圧縮すると温度が上がること、逆に期待を膨張させると温度が下がることが関係しています。

コンプレッサの圧縮比は20:1くらいのものが多いのですが、ピストンとシリンダで圧縮された空気がエアタンクに送られるとシリンダ内よりも容積が大きいので気圧が下がります。圧縮機がフル稼働していてもタンク内圧力は1.4Mpa程度までしか上がりません。

そこで1度圧縮(1段目)した空気を再び圧縮(2段目)することにタンク内圧力4.5MPaといった高い圧力を実現しています。この2段式はより高い圧力を実現できる以外にも、1段式で同じ圧力を実現させるのと比較して、短い時間でより高圧な圧縮空気を作りだすことができるので作業効率が良いというメリットもあります。

参考文献
https://wis.max-ltd.co.jp/kikouhin/compressor-details/
https://www.anest-iwata.co.jp/compressor/tech/3-4.html

赤外線照射装置

赤外線照射装置とは

赤外線照射装置とは、物体や人体に対して赤外線を照射するための装置です。

赤外線は目には見えない光の1種であり、可視光よりも波長が長く、熱エネルギーとして検知されます。赤外線照射装置は非接触で使用されるため、対象物や被験者に直接触れる必要がありません。

これにより、物体や人体の測定や検査を非侵襲的に行うことが可能です。また、短時間で測定や検査を行うことができます。赤外線は光速で伝播するため、リアルタイムでデータを取得することが可能です。

赤外線照射装置の使用用途

赤外線照射装置は、さまざまな用途で使用されます。以下は赤外線照射装置の使用用途一例です。

1. 医療

赤外線照射装置の技術は医療にも応用されています。近赤外線は体の深部まで届くといわれており、高出力でスポット状に照射できる機器は、既に医療機関で活用されています。治療の際は、近赤外線の照射された患部のみを温めることが可能です。

効果としては、痛みのある部位の血行を改善し、症状が緩和すると言われます。特に星状神経節への照射は血流改善効果を期待して広く利用されます。注射を伴う治療と比較し、患者への負担が少なく済むことが大きな特徴です。

2. カメラ

赤外線照射装置は防犯カメラや白黒カメラの照明に使用されます。赤外線対応の防犯カメラや白黒カメラと併用することで、暗闇や霞の影響を受けない撮影が可能です。

ただし、赤外線が届かなければ撮影はできないため、赤外線照射距離には注意が必要です。製品仕様書記載の照射距離は最大値として記載されることも多いため、余裕をもった照射距離の製品を選択する必要があります。

3. 環境モニタリング

環境モニタリングにも使用されることが多いです。大気中のガス成分や汚染物質の検出に赤外線分光法が利用されます。また、地球観測や気象予測においても赤外線センサーが使用される場合があります。

赤外線照射装置の原理

赤外線照射装置の原理は、熱放射の利用、反射の利用、分光の利用に分けられます。

1. 熱放射の利用

物体は温度に応じて放射する赤外線を測定するのが熱放射の利用です。温度が高いほど、より多くの赤外線エネルギーが放射される仕組みです。赤外線照射装置は、物体から放射される赤外線を検出して温度を測定することが可能です。

2. 反射の利用

赤外線を物体に照射し、その反射パターンを観測することで物体の性質や状態を評価するのが反射の利用です。物体の表面の反射率や吸収率は、その物体の化学組成や表面の状態に関連しています。

3. 分光の利用

赤外線の波長によって、物質の吸収スペクトルを測定する方法が分光の利用です。物質は特定の波長の赤外線を吸収し、他の波長の赤外線を透過または反射します。赤外線分光装置はこれらの吸収スペクトルを分析して、物質の識別や濃度の測定を行います。

赤外線照射装置の選び方

赤外線照射装置を選ぶ際にはさまざまな要素が存在します。以下は赤外線照射装置の選定要素一例です。これらを考慮したうえで、最終的には予算に見合った製品を選定します。

1. 応用目的

赤外線照射装置を使用する具体的な目的を明確にする必要があります。医療分野の場合は、体温測定や血流の評価など医療目的はさまざまです。人体に無害な製品を選定することも重要です。工業分野では温度監視や材料品質の評価など、生産プロセスに関連する目的に適した装置を選びます。

2. 測定距離・精度

測定する物体や領域の大きさや距離に応じて、適切な測定範囲や距離範囲を持つ装置を選定することが必要です。範囲外の物体を測定する場合、正確な結果が得られない可能性があります。

また、必要な測定精度に応じて、装置の測定精度や解像度を確認します。特に医療や科学研究などで高い精度が求められる場合は、精密な測定が可能な装置を選ぶことが重要です。

3. 機能と操作性

装置の機能や操作性も重要な要素です。使いやすいインターフェースや必要な機能が備わっているかを確認します。

また、電源についても重要な要素です。可搬式の場合は、バッテリー容量や電池の仕様を確認します。固定設定式の場合は、電源電圧や必要な電力容量を確認して選定します。

4. 波長帯域

赤外線の波長帯域によって、物質の吸収や反射特性が異なります。応用によっては、特定の波長帯域の装置が必要となる場合があります。

近赤外線の波長帯域は0.75μmから1.4μm程度です。光学的に透明な物質に吸収されますが、一部の半導体材料や生体組織は透過します。応用用途としては、医療での組織酸素飽和度の測定や光通信などです。

中赤外線の波長帯域は1.4μmから5μm程度です。多くの物質に吸収されますが、一部の窓ガラスや透明なプラスチックなどは透過します。材料分析や火災検知などに応用可能です。

遠赤外線の波長帯域は5μmから1,000μm程度です。熱放射や物質の特性を評価するために使用されます。熱画像の撮影や赤外線サーモグラフィに応用されます。

参考文献
https://www.avio.co.jp/products/infrared/what-thermo.html
https://www.jeh-center.org/infrared_genri.html
https://www.alpha-one-el.com/products_03.html
https://www.ykmusen.co.jp/cctv/infrared/infrared_top.html
https://ochi-cln.com/
https://sei.co.jp/technology/tr/bn176/pdf/sei10619.pdf

漏電保護プラグ

漏電保護プラグとは

漏電保護プラグ

漏電保護プラグとは、漏電事故から人々を保護するために使用される電気安全装置です。

漏電保護プラグをコンセントに接続することで、電気機器や家電製品の漏電による人身事故を防止することが可能です。家庭用分電盤の中には、漏電機能を持たないブレーカが使用される場合もあります。

電気機器などから漏電が発生すると、人身事故が発生する危険性もあります。漏電保護プラグを使用して機器に接続することで、これらの事故を防止することが可能です。また、漏電は火災の原因となることがあります。漏電保護プラグは漏電を検知して電源を遮断するため、火災のリスクを低減することも可能です。

ただし、漏電保護プラグを使用する際には、適切な仕様と規格を確認することが重要です。選定を誤った場合、正しく機能しない危険性があります。

漏電保護プラグの使用用途

漏電保護プラグは、さまざまな使用用途で活用されます。一般的には家電製品などを対象に使用されることが多いです。

1. 一般家庭

家庭で使用される電化製品や家電製品に漏電保護プラグを使用します。冷蔵庫や洗濯機、電子レンジなどが代表的な一例です。これにより、漏電による感電や火災のリスクを軽減し、家庭の安全性を向上させます。

2. オフィス・商業施設

オフィスや商業施設では、漏電保護プラグをプリンターや電話機などのOA機器に接続する場合も多いです。これによって感電事故を未然に防止し、安全な作業環境を確保することが可能です。

3. 建設現場

建設現場では、電動工具が頻繁に使用されます。これらの工具は高電力を必要とし、漏電が発生する可能性があります。漏電保護プラグを使用することで、工具の電源供給を保護し、作業員が感電事故から保護することが可能です。

漏電保護プラグの原理

漏電保護プラグの原理は、漏電を検知して電源を遮断することです。漏電検出器を組み込んで漏電を検知することが多いです。漏電検出器は電流の差異を検知するセンサーが使用されます。

漏電検出器は電源から機器への電流と、機器から電源への電流を比較します。通常はこれら2つの電流は同じ量だけ流れるはずですが、漏電が発生すると漏れた電流が発生します。この差異を漏電検出器に検知させる仕組みです。

電流の差異が、一定の設定値を超えた場合に漏電を検知します。設定値は一般的に数mA~百mA程度であることが多いです。この設定値は、感電や火災のリスクに基づいて適切に設定します。

漏電を検知すると、保護プラグ内の遮断機構が作動し、電源の供給をすぐに遮断します。これにより、漏電が起きた回路や機器への電力供給が停止され、感電や火災のリスクを軽減します。

漏電保護プラグの選び方

漏電保護プラグを選ぶ際は、以下の要素を考慮することが必要です。

1. 保護機能

漏電保護プラグの主な目的は漏電を検知して電源を遮断することです。ただし、過電流保護機能を有する漏電保護プラグも販売されています。過電流保護機能の有無を検討して購入する必要があります。

2. 極数

漏電保護プラグの極数は、プラグのピンの数を指します。一般的には2極または3極です。適切な極数を選ぶためには、使用する電気機器や家電製品の要件や接続先のコンセントの極数と一致させる必要があります。

3. 定格電圧

漏電保護プラグの定格電圧は、正常な運転に適した電源の電圧範囲を示します。使用する電気機器や家電製品の適切な電圧範囲に合わせることが必要です。一般的な家庭で使用する場合は100Vまたは200Vであり、100Vがほとんどです。

4. 定格電流

漏電保護プラグの定格電流は、プラグが扱える最大の電流値です。使用する電気機器の合計消費電流よりも高い定格電流のプラグを選ぶことが重要です。適切な定格電流を選ばなければ、焼損などの故障が発生する場合があります。

5. 感度電流

漏電保護プラグの感度電流は、漏電を検知するための感度の設定値です。一般的な漏電保護プラグの感度電流は数mA~20mA程度の製品が多いです。事故時の地絡電流は状況によって異なるため、感度電流の小さな製品を使用するとより安全です。

また、漏電保護プラグによっては、高感度形・中間度形・低感度形に分けられている場合もあります。