プラズマCVDのメーカー12社を一覧でご紹介します。まずは使用用途や原理についてご説明します。
目次
プラズマCVDは、化学気相成長(CVD)法の一種です。原料ガスをプラズマ状態にし、化学反応を基板上で起こすことで、薄膜を形成させます。
プラズマ状態になることで、原子が不安定な状態になり、化学反応が起きやすくなります。
薄膜を低温で形成できるメリットがあり、工業的にも重要な方法です。
原料ガスの組成、吐出量、温度など、コントロール可能なパラメータが多数あります。そのため無機物質から有機物質まで、材料の性質を問わずに薄膜化が可能です。
半導体関連では、シリコン化合物が材料に使われます。シリコン化合物も種類があり、用途により、使われる材料が異なります。
半導体の薄膜化により、電流が予定していない箇所から漏れ出してしまうリーク電流が発生しやすくなります。SiO2があることで、リーク電流の防止につながります。
一般的な半導体はメモリなど、演算や記憶に関する働きをします。一方パワーデバイスはダイオードのように、エネルギーの制御や供給を行うためのものです。
パワーデバイスはエネルギーを扱うことから熱量が多く発生するので、放熱性が優れるSi3N4が適しています。
従来のシリコン化合物に比べて電力損失が少なく、装置の小型化につながります。
プラズマCVDの装置は、原料ガス注入部分、チャンバー、プラズマ源から成り立っています。下記で基本プロセスを紹介します。
まずはチャンバーに、薄膜を形成するための基板をセットします。基板をセットしたら、チャンバー内を減圧状態にします。
目的の減圧状態に達したら、原料ガスを注入します。原料ガスを注入したら、プラズマ源を作動させ、プラズマを発生させます。
プラズマを発生させる際、原料の流量、電圧、温度を調整することで、目的にあったプラズマを作製することが可能です。
プラズマ状態により、原料ガスの原子や分子が励起されます。励起状態では通常の状態より、不安定になるため、反応しやすくなります。
励起状態の原子や分子が基板上で化学反応を起こし、薄膜が形成されます。
プラズマ状態では、様々な化学反応が起きるため、複雑なプロセスになります。そのため薄膜をきれいに形成させるには、条件の設定が重要になります。
最近では薄膜化の品質向上を目的に、プラズマ源の動作圧力を高くしたり、励起周波数を高くしたりする手法が研究されています。
参考文献
https://agus.co.jp/?p=2402
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe/82/11/82_956/_pdf
https://www.shincron.co.jp/technical/device6.html
http://www.tohokaken.jp/plasma-cvd.html
http://www.jspf.or.jp/Journal/PDF_JSPF/jspf2000_10/2000_10-1068.pdf
https://www.cst.nihon-u.ac.jp/research/gakujutu/56/pdf/C-11.pdf
https://www.toshiba.co.jp/tech/review/2004/08/59_08pdf/a04.pdf
https://www.jgc.com/jp/business/tech-innovation/tech-journal/pdf/jgc-tj_01-06(2011).pdf
https://www.sanken-ele.co.jp/sanken_world/powerdevice.html
https://www.toray-research.co.jp/technical-info/trcnews/pdf/TRC121(24-27).pdf
https://toshiba.semicon-storage.com/jp/semiconductor/product/mosfets/sic-mosfets.html
社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
神港精機株式会社のプラズマCVD装置は、600mm基板に対応した大型のプラズマCVD装置で薄膜キャパシタの作製に最適な装置です。
作製することのできる膜厚は、二酸化ケイ素で15μmまで対応しており、膜厚分布も560×560mm面内で±7%以下とほぼ均一な膜を形成することが可能です。
タッチパネルによる全自動操作で、誰でも簡単に操作することが可能です。
排気には油拡散ポンプを用いて真空状態にすることができますが、オプションでさらにターボ分子ポンプを用いることもできクリーンな真空を作ることが可能です。
ダイトロン株式会社のパルスプラズマCVD装置は、プラズマを発生させるために定常放電ではなく、電力供給を周期的にON/OFFさせるパルス放電を利用するパルスプラズマCVD法を用いた装置です。
ドライコーティングにより、ガラスやSi、金属などの表面を撥水性や親水性にすることができます。
成膜速度をあげようとすると従来ではプラズマ中に微粒子が発生してしまいますが、放電をパルス化することにより、微粒子を抑えて透明な膜を作ることができます。
アリオス株式会社のプラズマCVD実験装置PCVD-R100は、実験用有機金属化合物原料に対応したプラズマCVD装置で、RFプラズマ源や基板加熱機構、ガス供給系、ロードロック室などを装備していて、プラズマ処理された様々な原料ガスを基板上に薄膜として成膜することが可能です。
ロードロック室はTMP+RP、反応室はRP+トラップの排気系でクリーンな真空で成膜を行うことができます。
基板の加熱機構は耐熱、耐ガス特性に優れた材料で最高900℃までの高温を安定的に加熱することができます。
アペックス株式会社のプラズマCVD装置は、減圧下で反応性ガスのプラズマ放電分解によって薄膜を形成するCVD装置です。
液晶ディスプレイ駆動用の薄膜トランジスタ素子や薄膜シリコン太陽電池の製造に必要なアモルファスシリコン薄膜や微結晶シリコン薄膜などの形成に最適です。
熱CVDに比べて300℃程と低温で成膜することができるため、プラスチックなどの非耐熱性基板にも反応することなく成膜することができます。
大面積の基板にも容易に均一な膜を形成することが可能です。
Applied Materials, Inc.のAKT(R)-PECVDシステムは、液晶ディスプレイ製造のために大型ガラス基板に絶縁膜を成膜する用途に用いられるプラズマCVD装置です。
本装置によって作られるシリコン酸化膜は、水素不純物を極限まで抑えることによりトランジスタの安定性を向上させ、ディスプレイの性能を最適化することが可能です。
独自のプロセスチャンバ技術により、0.2平方メートルから9平方メートルまで幅広いガラスサイズに対応して、均一な膜を成膜できます。