CVD装置とは
CVD (英: Chemical Vapor Deposition) 装置とは、薄膜の成長や表面処理に使用される装置です。
CVDは、化学反応を利用して気相中の化学物質を固体表面に沈着させるプロセスです。CVD装置は、基板や基材を加熱し、その表面に気相中の反応性ガスまたは蒸気を供給します。基板上の反応物質は化学反応を起こし、膜や被覆物を形成します。
このプロセスによって、さまざまな種類の薄膜や被覆物を作ることが可能です。CVDは高い制御性と再現性を持つため、高品質な薄膜を成長させることができます。膜の厚さや均一性、結晶性など、制御が必要な特性を制御することが可能です。ただし、使用するガスは有毒性が高いものが多く、取り扱いには注意が必要になります。
CVD装置の使用用途
CVD装置は半導体製品などに使用されることが多い装置です。以下はCVD装置の使用用途一例です。
1. 半導体製造
CVDは半導体産業において非常に重要な技術となります。例えば、CVDを使用してシリコン基板上にSiO2膜を成長させます。これは絶縁体として使用され、集積回路の絶縁層やゲート酸化物として重要です。
また、CVDを使用して、銅やアルミニウムなどの金属膜を成長させる場合があります。これにより、配線や電極などの導電性層を形成することが可能です。
2. 光学コーティング
CVDは、光学デバイスや光学部品の製造において重要な役割を果たします。まず、多層膜光学フィルターを成長させることが可能です。これにより、特定の波長範囲の光の透過性や反射性を制御し、スペクトルフィルターや反射防止コーティングとして使用されます。
また、CVDを使用して高反射性のミラーコーティングを成長させ、レーザー光や光学系の反射率を向上させることが可能です。レンズにおいては表面に保護コーティングを形成し、耐摩耗性や耐久性を向上させます。
3. 保護被覆
金属の表面に保護コーティングを形成し、耐蝕性や耐摩耗性を向上させることが可能です。金属部品や工具の表面処理に使用されます。また、セラミックスの切削工具やセンサーに使用し、材料の表面に保護コーティングを形成することが可能です。
CVD装置の原理
CVD装置は、化学反応を利用して気相中の化学物質を固体表面に沈着させるプロセスです。まず、反応ガスまたは蒸気が装置内に供給されます。これらのガスは、成膜や被覆に必要な元素や化学物質を含んでいることばほとんどです。一般的な反応ガスには、金属有機化合物や酸素・窒素などがあります。
反応ガスと基板の間で化学反応を促進するために、基材を加熱させることが多いです。加熱された基板上で、反応ガスは化学反応を起こします。これにより、反応ガス中の元素や化学物質が基板表面に沈着し、薄膜を成長可能です。
CVD装置では成膜プロセスの制御が重要です。成膜速度や加熱温度などのパラメータ調整によって、所望の薄膜特性を得ることができます。
CVD装置の種類
CVD装置には熱CVD装置、プラズマCVD装置、光CVD装置などの種類があります。
1. 熱CVD装置
熱CVD装置は、原料となるガスを容器内に輸送して、基板または容器内を高温にすることで原料のガスを基板上で化学反応させる装置です。基板のみを高温にする方法や容器内を高温にする方法があります。
2. プラズマCVD装置
プラズマCVD装置では、原料となるガスをプラズマ状態にして基板上に積層させる装置です。熱CVD装置よりも基板の温度を低温で膜を成形できるため、高精度の寸法が要求されるような半導体の製造に有利です。
3. 光CVD装置
光CVD装置は原料となるガスに対して、放電管やレーザーによって光を照射することで化学反応を起こす装置です。化学反応を促進させる作用や分子間の結合を切るような作用など、光の種類によって光の使われ方が異なります。他のCVD装置に比べて非常に低温で膜を生成することができることが特徴です。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/oubutsu1932/65/4/65_4_382/_pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kakoronbunshu1975/26/6/26_6_798/_pdf