NC旋盤とは
NC旋盤とは、コンピュータ制御によって金属やプラスチックなどの材料を切削加工する装置です。
旋盤は加工対象の軸などを高速で回転させ、バイトと呼ばれる刃物を当てることで加工する機械です。主に部品加工などで使用されます。NC旋盤はコンピュータ制御による加工を行うため、非常に高い精度で加工が可能です。
加工の位置や切削量はプログラムによって正確に制御され、作業者のヒューマンエラーを最小限に抑えることができます。また、加工条件の微調整や再現性の確保も容易です。生産性の向上にも貢献します。加工プログラムを事前に設定することで、作業のセットアップや調整時間を短縮することが可能です。
また、一度に複数の工作物を加工することもできるため、大量生産にも対応しています。ただし、NC旋盤を操作する際には、金属加工の知識のほか、コンピューター制御のためのプログラミングの知識も必要となります。
NC旋盤の使用用途
NC旋盤は、金属加工の工場で主に使用されます。以下はNC旋盤の使用用途一例です。
1. 自動車
NC旋盤はシリンダーヘッドやクランクシャフトなどの精密な部品の加工に使用されます。これらの部品は高い精度と耐久性が求められますが、NC旋盤による自動化された加工によって一貫性のある品質で製作することが可能です。
また、自動車のホイールやリムなどの車輪部品も、NC旋盤によって加工されます。車輪の形状や寸法には厳密な規格があり、NC旋盤はそれらの要件を満たす高精度な加工が可能です。
2. 医療機器
人工関節は関節置換手術に使用される重要な医療機器です。NC旋盤は人工関節の加工に使用され、関節の形状や寸法の正確性を確保します。外科手術に使用されるさまざまな手術用具の製造も行われます。
また、歯科用のインプラントや骨折修復用のインプラントなど、さまざまな歯科部品の加工に使用されます。これらの機器は体内での正確な適合性が要求されるため、高い精度で加工可能なNC旋盤が有利です。
3. 一般製造業
電子機器の部品は小型で複雑な形状を持ち、高い精度が求められます。NC旋盤によって、コネクターやノブなどの部品の加工が可能です。電子回路基板の小型部品要素の作成にも使用される場合があります。
また、一般機械産業における金属・プラスチック部品の加工に広く使用されます。歯車やハンドルなどの金属・非金属部品の製造に使用されることが多いです。
NC旋盤の原理
NC旋盤は旋盤部とコンピューター制御部、操作部で構成されています。旋盤部では主軸の片側にモータが接続され、もう片側には加工対象を固定するためのチャックが取り付けられます。周囲には複数のバイスが取り付けられている刃物台が配置されることが多いです。
各構成品の周辺には、位置や回転数などを計測するためのセンサーが取り付けられています。動作時はモータによって主軸が高速で回転し、それと合わせてチャックに固定された加工対象も回転します。その回転している加工対象にバイスを近づけて切削することが可能です。切削時はバイスや加工対象が高温となるため、接合しないように油などで摩擦を低減します。
バイスや主軸の移動には、油圧シリンジなどが利用される場合が一般的です。付属しているセンサーによって微妙な位置などの情報が制御部に伝えられ、回転数などを調整することで高精度の旋盤が可能になります。手動によって制御に介入する場合は、操作部において制御操作します。
NC旋盤の種類
NC旋盤には以下のような種類が存在します。
1. 2軸NC旋盤
主軸や対切削軸が2つあるNC旋盤です。複数個所での切削加工が同時に可能な点が特徴です。効率的な加工や加工時間の短縮を行うことができます。また、2軸以上のNC旋盤も販売されています。
2. 小型NC旋盤
コンパクトで取り扱いやすいサイズのNC旋盤です。一般的に、小型の工作物や細かい部品の加工に適しています。工場のレイアウトに制約がある場合や、限られたスペースでの作業に最適です。
また、卓上NC旋盤も販売されています。卓上NC旋盤は小型の旋盤に制御装置を取り付け、自動制御で旋盤加工を可能にする加工機です。学習目的や小型の部品の試作制作、小ロット生産する際にも用いられます。
参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/measure-sys/machining/cutting/nc-lathe.jsp
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspe1986/67/11/67_11_1878/_pdf
https://www.turning-lathe-products.com/knowledge/
http://www.toyoview.co.jp/sub3.html
https://www.nakamura-tome.co.jp/2020/11/18/article_00005/