オイルスキマー

オイルスキマーとは

オイルスキマー

オイルスキマーとは、液体表面から油を回収する装置のことです。

油を取り除きたい液体に浮かぶ油を効果的に回収することができます。洗浄や排水処理といった機能を持つため、多くの油が排出される工業施設などでは欠かせない装置です。主な設置場所は切削加工を行う工作機械のクーラントタンクや工場内の排水槽などが挙げられます。

油の回収方式はメーカーによってもさまざまですが、スチールベルトに油を付着させるベルト式が一般的です。オイルスキマーの設置を検討する際は、液体の性質や設置場所などを考慮したうえで、最適なものを選定する必要があります。

オイルスキマーの使用用途

オイルスキマーは産業に広く使用されます。以下はオイルスキマーの使用用途一例です。

1. 工業用機械や装置の洗浄

工業用機械や装置は運転中に潤滑油や冷却油が使用され、これらの油が機械の表面に付着します。このような油をオイルスキマーで除去することで、機械のメンテナンスや洗浄が容易になります。

オイルスキマーを使用する代表的な機械は、旋盤マシニングセンタといった工作機械です。工作機械で使用される水溶性クーラントは同機械内の作動油や潤滑油がどうしても混入してしまうため、腐敗が進みやすい傾向にあります。腐敗したクーラントは異臭や不具合の原因にもなるため、こまめな清掃やクーラント交換が必要不可欠です。

そこで、オイルスキマーによって不要な油を取り除くことで、クーラントを常に清潔な状態に保つことができ、清掃作業の簡易化や機械寿命の長期化も可能となります。

2. 油田やガス田の掘削作業

油田やガス田の掘削作業では、地下から油やガスが湧き出します。これらの液体は水と混ざって地表に出ることがあります。このような場合にオイルスキマーを使用して油を除去することが可能です。

3. 海洋汚染の対策

石油流出事故や海上交通事故などで、海洋が汚染されることがあります。このような場合にオイルスキマーを使用して油を回収する場合があります。

オイルスキマーの原理

オイルスキマーの浮上油回収方式にはベルト式とスクリュー式という2つの代表的な方式があります。

1. ベルト式

油が付着しやすい材質のベルトを上下の車輪に架け、モーターで回転させます。ベルトが液体に沈み込んだ際に油を付着させ、それをスクレーパによって掻き取るというのがベルト式です。

ベルトの材質は金属性のスチールベルトが一般的ですが、メーカーによっては特殊な材質のベルトを使用する場合もあります。液体の性質によってベルトを使い分けることで、さまざまな液体に対応することも可能です。

また、ベルト式は油とともに必要な液体まで持ち出してしまうことが多いため、回収した液体をさらに比重差で分離する比重差分離タンクが付属する場合もあります。

2.スクリュー式

スクリュー式は特殊な螺旋構造のスクリューを回転させることによって油を回収します。水溶性の液体は粘度が小さく、上昇の途中で流れ落ちるため、粘度の大きい油のみを回収することが可能です。

ベルト式と比較して、液体の持ち出し量が少ないのがスクリュー式の特徴です。そのため、スクリュー式の場合は分離タンクを設置する必要がほぼありません。

一方で、スクリュー式には切粉やスラッジを巻き込みやすいという欠点があります。混入物の多い悪環境での使用は故障の原因になるため、注意が必要です。

オイルスキマーの選び方

オイルスキマーを選ぶ際は、まずは使用目的を考慮します。原理の項で説明した通り、さまざまな動作原理と特徴を持つ製品が販売されています。使用目的に合ったタイプを選ぶことで、効率的な油の除去が可能になります。

次に、必要な処理能力を確認します。処理能力が高いほど、大型・高価となる特徴があります。処理する液体の量や回収する速度などを考慮して、適切なサイズのオイルスキマーを選ぶことが重要です。

メンテナンス性や価格も考慮する必要があります。オイルスキマーには油が流入するため、簡単に分解できるオイルスキマーを選ぶことでメンテナンスの時間と手間を削減することができます。販売価格と比較して選定します。

参考文献
https://www.nikuni.co.jp/equip/coolant/o-skimmer.html

エッチング液

エッチング液とは

エッチング液は金属や金属酸化物を腐食させる薬剤で、基板などを加工するときに用いられます。プレスなどの加工方法に比べてエッチングは微細加工性に優れる方法で、エッチング液を用いるウェットエッチング法はガスなどを用いるドライエッチングに比べてコスト、量産性に優れます。金属の種類によって反応する化合物の種類が異なるので、基板の材質に応じて適切なエッチング液を選定します。

なお、エッチング液には強酸、強塩基や有毒な化合物が含まれていることが多いため、使用前には保護具の選定や安全対策をとることが求められます。

エッチング液の用途

エッチングとは金やアルミニウムなどの金属、ならびに酸化インジウムスズ(ITO)などの金属酸化物を浸漬除去して加工する方法です。エッチングにはガスなどを用いるドライエッチングと溶液に金属を溶解させるウェットエッチングがあり、エッチング液はウェットエッチングで用いられます。

エッチング処理はプレス加工などに比べて微細加工が可能であるため、プリント基板や半導体デバイス、ディスプレイの生産に用いられています。製造現場では精密な加工が必要な場合はドライエッチング、コストや量産性を求めるときはウェットエッチングといったように2つの方法が使い分けられています。

エッチング方法とエッチング液の種類

ドライエッチングはガスやプラズマなどを用いてエッチング処理を行う方法です。微細加工性に優れますが真空などの特殊な条件が必要であるためコストが大きく、大量生産には適していません。

一方でウェットエッチングは金属を腐食させる化合物が含まれたエッチング液を用いて処理を行います。金属の種類によって反応、溶解する化合物は異なるため、様々なエッチング液が販売されています。

例えば塩酸硝酸などの強酸、水酸化ナトリウムなどの強塩基、そのほか塩化鉄(Ⅲ)など酸化力の高い重金属イオンが含まれるものもあります。

エッチング液を用いたプリント基板の処理

エッチング液の使用例としてプリント基板の処理を紹介します。プリント基板のパターン面はであるため、銅を腐食、溶解させるエッチング液を選択する必要があります。ここでは市販されている液を3種類紹介します。

塩化鉄(Ⅲ)水溶液を使ったエッチング
反応式:2FeCl3 + Cu → 2FeCl2 + CuCl2

3価の鉄イオンを酸化剤として作用させる反応を利用した一般的な方法です。エッチングの再現性が高く、コストも安い方法ですが、銅などの重金属を含んだ廃液が多く生じるため、廃液処理のコストがかかります。

塩化第二銅水溶液を使ったエッチング
反応式:CuCl2 + Cu → 2CuCl

上記の塩化鉄(Ⅲ)水溶液を用いたエッチングに比べてエッチング特性は劣りますが、エッチング液をリサイクルできるという利点があります。

ペルオキソ二硫酸アンモニウムを使ったエッチング
反応式:Cu + (NH4)S2O8 → CuSO4 + (NH4)2SO4

単独ではエッチング速度が遅いため、銀イオンなどの触媒が用いられます。過酸化物であるため分解が起こりやすく、不安定です。

エッチング剤の廃液処理

エッチング液は金属をイオン化させて溶解させるため、使用後の液には大量の重金属イオンが含まれます。したがって、未処理の廃液は環境へ排出することができません。そのため一般的にはエッチングの廃液処理は専門の廃液処理業者に委託します。

なおエッチング液の廃液には強酸、強塩基も含まれているため容器の材質によっては保管中に容器が腐食する危険性があります。したがって、まず薬品耐性がある適切な容器を選定することが重要です。なお、使用前、使用後によらずエッチング液は皮膚や眼への刺激性などの危険性があります。エッチング液を扱うときは安全データシート(SDS)を事前に熟読し、適切な保護具を着用の上、十分に注意して取り扱う必要があります。

参考文献
https://www.hirai.co.jp/technology/etching/
https://www.kanto.co.jp/dcms_media/other/backno5_pdf53.pdf
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/surface_treatment_technology/st01/c1934.html
http://www.pbfree.jp/topics/c-111/
https://www.aion-kk.co.jp/column/etching_vol4/

エアカーテン

エアカーテンとは

エアカーテン

エアカーテンとは、ドアや窓の開口部に設置される空気を吹き出す装置です。

高速の風を出すことにより、室内と外気を仕切ることができます。室内の温度や湿度を維持しながら、外部の気温や湿度の変化から室内を保護することが可能です。

エアカーテンの使用用途

エアカーテンは、商業施設や病院などの建物で広く使用されます。また、工場や倉庫などの大型施設では、エアカーテンが部門や作業場所を仕切るために使用されることもあります。以下はエアカーテンの使用用途一例です。

1. 温度管理

室内と外気を仕切ることができるため、室内の温度を維持することが可能です。冬季には寒冷空気を遮断し、室内の温度を維持します。夏季にはエアカーテンは室内から外気を遮断し、空調システムの効率を高めます。

また、コンビニエンスストアに設置されている冷蔵・冷凍庫 (ショーケース) でも温度管理用として用いられます。エアカーテンにより冷気が洩れることを防ぐことで、物理的・視覚的障害なく商品を見て手に取ることが可能です。

2. 防虫・防塵

エアカーテンは風を出すため、外部からの虫やほこりなどをブロックすることができます。これにより、室内の衛生環境を維持することが可能です。

3. ドアの代替

エアカーテンを建物入口に設置すると、ドアの代わりに使用できる場合があります。スーパーマーケットの入り口や病院の待合室など、人々が頻繁に出入りする場所に有用です。これによって、ドアを開け閉めする手間を省けます。

4. 騒音・振動の低減

高速で風を出すことによって、建物内外の音や振動を低減することができます。鉄道駅や空港などの交通施設では、エアカーテンが騒音の低減に役立っています。

5. 防火・防煙

火災発生時に煙や火災拡大を防ぐために、使用されることがあります。煙が発生すると、エアカーテンは自動的に閉まり、火災を封じ込めることができます。

エアカーテンの原理

エアカーテンは高速で風を吹き出すことによって、室内と外気を仕切る装置です。一般的に、ファン、エアカーテンユニット、制御ユニットから構成されます。

1. ファン

ファンは、高速で風を吹き出すために必要なエアカーテンの鍵となる部品です。外部から空気を吸い込み、圧縮して高速の風に加工します。その後、圧縮空気をエアカーテンユニットに送り出します。

2. エアカーテンユニット

エアカーテンユニットは、ファンが送り出した風を受け、高速で風を出すようにデザインされた部品です。エアカーテンを形成するノズルが付いています。このノズルは風の流れを集中させ、外部からの空気や汚染物質をブロックする効果があります。

3. 制御ユニット

制御ユニットは、エアカーテンのファンやノズルの動作を制御するための部品です。風速や風量などの調整機能が備わっていることが多いです。温度や湿度などのセンサーによって、エアカーテンを自動的に調整することもできます。

エアカーテンの選び方

エアカーテンを選ぶ際には使用目的、サイズ・能力、経済性などを考慮します。

1. 使用目的

使用目的によって必要な機能や性能が異なります。温度管理が必要な場合は熱源式エアカーテンや冷凍式エアカーテンが適しています。また、防虫・防塵のために使用する場合は、風速や風量が重要になります。

2. サイズ・能力

エアカーテンのサイズや能力は、使用する場所やドア・窓の大きさに合わせて選択する必要があります。エアカーテンがドア・窓の開口部全体をカバーできるように、適切なサイズを選択することが重要です。

電力効率などは使用する環境によって異なり、適切な風量・ノズルの設置位置などを慎重に選定する必要があります。

3. 経済性

経済性は、メンテナンスの容易さやイニシャルコストです。フィルター掃除などのメンテナンスが簡単かつ効率的に行える設計の製品を選定することが好ましいです。

また、性能によってコストも異なるため、使用用途に合わせて適切なエアカーテンを選択する必要があります。

参考文献
https://www.tornex.co.jp/327-2/335-2

ウレタン断熱材

ウレタン断熱材とは

ウレタン断熱材

ウレタン断熱材とは、ポリウレタン樹脂を主成分とした断熱材です。

ウレタン断熱材は、ポリウレタン樹脂をフォーミング (発泡) したもので、その内部には多数の独立した気泡が形成されています。この各々の気泡内には、熱を伝えにくいガスが封入されていることから、高い断熱性を持ちます。

ウレタン断熱材の使用用途

ウレタン断熱材は様々な建築物に用いられており、高い断熱性だけでなく、防音効果も持ち合わせているため、防音材としても好適です。

このことから、農業や畜産の施設の屋根・壁・天井、高温かつ長時間乾燥を必要とするたばこ乾燥の恒温室などでも使用されています。そのほか、船舶、プラントや家具などにも使用されています。

ウレタン断熱材の原理

ウレタン断熱材の原料であるポリウレタン樹脂においては、原料のポリイソシアネートとポリオールがウレタン結合し、高分子となります。ウレタン断熱材では、発泡剤を添加しており、イソシアネートとポリオールの反応熱熱により発泡剤が気化して独立した小さな泡を多数作ります。

そして、この各泡に発泡剤由来のガスが充填されるため、高い断熱効果を得ることが可能です。また、ガスが充填された気泡が多数あることから音を吸収する効果も高く、防音効果も得られます。

ウレタン断熱材のその他情報

1. ウレタン断熱材のメリット

ウレタン断熱材のメリットは、自己接着力に富み、発泡状の素材であることから施工部分の凹凸部分などの複雑な形状や構造物に対しても隙間なく入り込み、断熱層を形成することです。また、劣化が少なく、初期の断熱性能と経年劣化後の断熱性能の差が小さいのもメリットで、古い状態になっても断熱効果を保持します。

ウレタン断熱材は高い防水性も持ちます。これは、ウレタン断熱材内部の気泡はおのおの独立している構造であり、ウレタン断熱材内部に水分を通しにくいからです。このため、ウレタン断熱材は水に濡れても断熱効果が低下しません。

2. ウレタン断熱材のデメリット

ウレタン断熱材の最大のデメリットは高価格なことです。断熱材としては、ウレタン断熱材のような発泡系断熱材のほか、グラスウールのような繊維系断熱材があります。ウレタン断熱材の価格は、吹付けタイプで1㎡あたり1,900円から2,700円程度、天井だと1㎡あたり3,000円から4,000円程度で、グラスウールの2倍以上の価格です。

ウレタン断熱材は自己接着性が高く隙間なく施工されていることから、一度施工してしまうと剥離が困難という点もデメリットとして挙げられます。さらに、剥離をおこなった後の復元にもコストがかかります。

3. ウレタン断熱材と火災の関係性

ウレタン断熱材には防火性能が低いという性質があるため、近年では燃えにくい基準をクリアした断熱材を施工することが定められています。「発泡ウレタン断熱材が燃えやすい」という面はありますが、「発泡ウレタン断熱材が火災の原因になる」のは非常に稀です。

実際の火災例では、ウレタン断熱材からの火災は施工現場で起こることがほとんどです。建築、リフォーム、解体などの際に、さまざまな作業者の出入りする際、ウレタン断熱材の作業中にもかかわらず、火花や溶接バーナーを使用したため引火した例もあります。

ウレタン断熱材が関わる火災を未然に防ぐためには住む人だけでなく、現場でのしっかりした注意喚起が必要です。「断熱材であり耐熱材ではない」「難燃性でも燃える」など、正しい知識をもち安全に扱いましょう。

参考文献
http://www.jufa-urethane.org/koshitsu_polyurethanefoam/primary_use/
http://www.urethane-jp.org/qa/koushitsu/k-1.htm
https://myhome-juku.com/dannetsu-hapouuretan/
https://gaihekitosou-hotline.com/urethane-dannnetsuzai/

ウレタン塗料

ウレタン塗料とは

まず始めに、塗料の成分特性について解説しておくと、これは顔料、樹脂、添加剤、そして溶媒である水や溶剤からなる混合液です。このうち樹脂とは、塗料の耐久性や塗装後の色艶などの仕上がりに強く影響する成分であり、塗料の化学的性質を決定づける大事な役割を担っています。

ウレタン塗料とは、樹脂成分としてウレタン系樹脂を含む塗料であり、安価に生産できる特徴があります。一般的に最も安価な塗料はアクリル塗料ですが、それに次ぐ価格帯です。

本塗料には樹脂成分としてウレタン樹脂が含まれますが、これは柔軟性に優れているため、高い密着性を得られます。また、光沢が美しく高級感を演出できることから、幅広い用途に使用されてきました。

現在は、耐久性の高いシリコン系塗料が主流になりつつあるため、需要は減少傾向ですが、安価かつ汎用性の高さから、現在でも人気の塗料でもあります。

ウレタン塗料の使用用途

ウレタン塗料は、外壁やバイク、家具などの塗装に使用されます。比較的安価でありながら、光沢や弾性、密着性に優れるため利便性の高い塗料として知られています。また、素人にも扱いやすい塗料のためDIYにも使われています。最近では、ホームセンターなどでスプレータイプのウレタン塗料も販売しており、手軽に入手可能です。市販のウレタン塗料は、揮発性の高い油性塗料である場合が多いため、ゴム手袋とマスクの着用は必須です。

ウレタン塗料の特徴

本記事の冒頭で説明したように、ウレタン塗料はその成分として、ウレタン樹脂を含みます。本樹脂成分は、ウレタン塗料の耐久性や塗装後の独特の色艶など、その化学的性質に大きく貢献しています。

本素材は、複数の水酸基を持つポリオールとポリイソシアネートの重合反応により合成されます。ポリオールとポリイソシアネートの組み合わせや混合比を変えることで、様々な特性を有した塗料の開発が可能です(図1)。

その使用においては、塗料に水や溶剤を溶解させ、希釈した後に塗装します。この希釈という操作は、塗料の扱いやすさを向上させるだけではなく、塗料の密着性を上昇させる効果もあります。塗料に溶解する溶液によって、水性・油性・弾性塗料に大別されます。

ウレタン結合の形成反応の例

図1. ウレタン結合の形成反応の例

  • 水性塗料
    水で希釈した塗料で、塗料特有のにおいが抑えられるため高い利便性を有します。ただ、水分を含有していることから、気温や湿度など外部要因の影響をより受けやすくなります。
  • 油性塗料
    溶剤で希釈した塗料で、塗料の価格が安く作業工程を減らすことができます。しかし、強い溶剤臭や発火の危険性などデメリットもあります。
  • 弾性塗料
    硬化剤に弾性のある化合物を使用し、弾性機能を付与した塗料です。伸縮性が高いため、ひび割れが起こりにくいメリットがあります。ただ、適切に使用しないと放熱性が悪くなり、密着性が低下するため注意が必要です。

一液ウレタン塗料と二液ウレタン塗料の違い

ウレタン塗料には、一液型と二液型の二種類が存在します。一液型は、主剤にあらかじめ硬化剤が添加されており、単独で塗装が可能です。溶媒溶解性の違いから、水性と油性に分類され、使用前に水や溶剤で薄めてから塗装に用います。一方で二液型は、主剤と硬化剤が別々に準備されており、使用前にこれらを混合する必要があります。二液型についても、その溶媒溶解性から水性と油性の2種類があり、使用前に水や適切な溶媒で希釈してから塗装します。

ウレタン塗料のメリット

ウレタン塗料のメリットとして一番に挙げられるのが、高い機能性です。他の塗料と比べ塗膜が柔らかいため、木材の経年による形状変化にも対応できます。また、その仕上がりにおいて独特の光沢を示す事から、高級家具やフローリングの仕上げにも使用されます。

本塗料は、その密着性の高さから、外壁の下地としても使用されます。密着した塗膜は、ひび割れの発生を抑える効果を発揮します。

さらに、硬化剤を混ぜた二液性タイプのウレタン塗料が開発され、高い万能性が生まれました。二液性タイプの特徴は、網目構造に形成された綿密な塗膜です。

ウレタン塗料のデメリット

ウレタン塗料のデメリットとしては、以下の四つが挙げられます。

一つ目は耐久年数が6年から10年しかなく、他の塗料と比べて劣ることです。ですが、低価格で性能も良い塗料であることから、新しく塗り替えを検討する場合には最適な塗料とも考えられます。

二つ目は変色の恐れがあることです。ウレタン塗料は紫外線による変色が起きやすいとされています。日中紫外線にさらされる外壁や屋根は影響を受けやすく、黄色く変色する恐れがあります。

三つ目は水に弱いことです。ウレタン塗料に含まれる硬化剤は水と反応しやすい性質をもちます。そのため、例えば湿気が高い環境で塗装した場合に、大気中の水分と硬化剤が反応し、塗膜性能が落ちてしまう可能性があります。そのため、使用時の天候や湿度などの環境に警戒する必要があります。

四つ目は塗膜が膨張するリスクがあることです。断熱材が使用されている外壁の場合、外壁と塗膜の間に熱を帯びます。その結果、熱によって塗膜が膨張し、剥がれ落ちるリスクがあります。この現象は熱だけではなく、サビや手垢などの異物混入によって入る空気でも同じです。

参考文献
https://gaiheki-tatsujin.com/12851
https://gaiheki-concierge.com/article/urethane-paint-feature/
https://gaiheki-concierge.com/article/urethane-paint-feature
https://pronuri.com/articles/2303

ウレタン

ウレタンとは

ウレタン

ウレタン (正式名称:ポリウレタン) とは、2種類の主原料を攪拌、反応させることで得られる、ウレタン結合を含むポリマーのことです。

主原料の配合や成形方法によって様々な用途で幅広く使用され、泡状にしたフォーム品 (以下、ウレタンフォームと称する。) とそうでない非フォーム品に大別されています。ウレタンフォームは軟質のものと硬質のものに分けられており、用途によって使い分けられます。非フォーム品には、ゴムのように柔らかく柔軟性のあるものから、タイヤなどに使用される弾力性と硬さを兼ね備えた強靭なものまであります。

ウレタンの使用用途

ウレタンの中でも軟質ウレタンフォームは、日常品のクッションやソファーといった家具や寝具、衣料品や日用雑貨などに使用されており、目にする機会が多い製品です。

硬質ウレタンフォームも、断熱性が優れていること、軽さや成形のしやすさから、断熱材や吸音材として建築材料などの幅広い工業製品に使われています。軟質および硬質共に、成型が自在な特徴もあり、デザイン性の高い部品の作製も可能です。

一方で非フォーム品は、タイヤやチューブ、ローラーなどの原料として使用されています。また、高耐候性や防水性を生かした塗料や防水材、繊維や合成皮革など多様な分野で使用されています。

ウレタンの原理

原料のポリイソシアネートとポリオールがウレタン結合によって高分子となり、目的によってその種類と添加剤を選択し生成します。

ポリイソシアネートは1つの分子の中にイソシアネート基を2つ以上持っている化合物です。代表的なものとしては、トリレンジイソシアネート (TDI) やジフェニルメタンジイソシアネート (MDI) があります。

このポリイソシアネートが、1つの分子の中に2つ以上の水酸基を持つポリオールと反応してウレタン結合が形成されます。このとき、必要に応じて架橋剤を添加するとビュレット結合やアロファネート結合の生成が可能です。その架橋密度によって弾性が変化し、密度が高いほど硬くなります。

ウレタンの種類

ウレタンには、ウレタンフォームと非フォーム品の形態があります。

1. ウレタンフォーム

ウレタンフォームには、軟質ウレタンフォーム、硬質ウレタンフォームのほか、両方の中間の特性を有する半硬質ウレタンフォームがあります。いずれも、原料のポリイソシアネートとポリオールに、触媒や発泡剤、整泡剤および難燃剤などを添加して製造されます。

軟質ウレタンフォーム
軟質ウレタンフォームの泡は、攪拌混合やイソシアネートとポリオールの反応の際に生じる炭酸ガスによるもので、泡は連続して連なった形状です。泡が連続して連なった形状であることから、柔らかく、クッション性と復元性に優れているので、先程述べたようにクッションやソファーなどに使用されています。

硬質ウレタンフォーム
硬質ポリウレタンフォームにおいては、攪拌混合のほか、イソシアネートとポリオールの反応熱熱により発泡剤が気化して作られ、硬質ウレタンフォームでは各泡が独立した小さな泡となっています。硬質ウレタンフォームの独立した各泡には、発泡剤由来のガスが充填されることとなり、高い断熱効果を得ることが可能です。

このため、先程述べた様に、断熱材や吸音材といった建築材料として使用されています。硬化反応が早く進むことから、作業現場で原料を混ぜ合わせてスプレーしてフォーム状に生成することも多くあります。

半硬質ウレタンフォーム
軟質ウレタンフォームと硬質ウレタンフォームの中間程度の硬さを持っている材料です。高反発及び高弾性が特徴で、マットレスなどで使われています。

2. 非フォーム品

非フォーム品には、熱硬化性のものと熱可塑性のものがあります。熱硬化性のものは、車やバイクのタイヤに使われ、熱可塑性のものは車のバンパーや合成皮革などの成形物の材料として使用されます。このほかにも、塗料や弾性繊維、接着剤、防水材などとして使用されます。

参考文献
https://www.fujigomu.co.jp/whats_urethane/
http://www.urethane-jp.org/shiritai/shiritai_02.html
http://www.urethane-jp.org/manual/doc/anzentebiki_2015520.pdf
https://www.nichias.co.jp/research/technique/pdf/364/03.pdf
https://www.fujigomu.co.jp/whats_urethane/
https://www.sankyo-chem.com/wpsankyo/1723

ウォータージェット加工

監修:コムネット株式会社

ウォータージェット加工とは

ウォーターカッターの使用用途

図1. ウォータージェット加工とは

ウォータージェット加工とは、高圧水流を使用して様々な素材を切断や穴開けなどを行う加工方法です。

ウォータジェット加工の特徴やウォータジェット加工ができるウォータージェットカッターについて詳しく解説します。

ウォータージェット加工の原理

ウォータージェット加工は、高圧ポンプで加圧した水をノズルから噴射する加工方法で、水流の威力を利用して、さまざまな素材を切削します。

ウォータージェット加工は、ウォータージェットカッターまたはウォーターカッターを使用して行います。ウォータージェットカッターの詳細は、ウォーターカッターのページをご参照ください。

ウォータージェット加工で加工できる材料・素材

ウォーターカッターの注意点

図2. ウォータージェット加工の材料・素材

ウォータージェット加工は、下記のような材料・素材を加工できます。

ウォータージェット加工の使用用途

ウォーターカッターとは

図3. ウォータージェット加工の使用用途

ウォータージェット加工は、様々な分野で使用されています。代表的なものは下記の通りです。

  • 自動車産業
  • 航空機産業
  • 造船産業
  • 建設業界
  • 研究開発
  • 教育機関
  • 石材業界
  • 医療機器業界
  • 看板、広告

ウォータージェット加工のメリット

ウォータージェット加工は、さまざまな加工方法があるなかでも、水流を用いて加工することにより、下記のようなメリットがあります。

1. 多様な素材を切断できる

ウォータジェット加工は、金属、石、ガラス、プラスチック、木材、ゴムなど、さまざまな素材を切断できます。

2. 熱影響を受けにくい

ウォータージェット加工は、水流による切断のため、加工時に熱の影響を受けにくいです。そのため、加工後の素材の歪み、変質 (変色や硬化) が抑えられます。熱によって有毒ガスが発生するような素材 (塩化ビニルなど) の加工にも適しています。

3. 複合素材を切断できる

ウォータジェット加工は、2つ以上の異なる材料を組み合わせた複合素材の切断に適しています。

ウォータージェット加工を導入する際の注意点

ウォーターカッターのメリット

図4. 導入時の注意点

ウォータージェット加工を行うためのウォータージェットカッターを導入する際に注意するべきポイントを紹介します。導入に失敗せず、スムーズに運用できるように下記の点に注意しながら導入することが大切です。

1. 設置場所

ウォータージェット加工は、加工中に周辺に水が飛び散ることがあります。設置場所の床面は、水を吸収しない素材であることが望ましいです。また、湿度が高くなりすぎないように、十分な換気ができる場所が望ましいです。

2. 給水・排水

ウォータージェット加工には、機種によっては給水・排水のための環境を整備する必要があります。導入前にどのような設備が必要か確認することが大切です。

3. 設置スペース

ウォータージェットカッターの設置場所には、十分なスペースが必要です。機械本体の設置スペースだけではなく、作業スペースや素材の収納スペースなども考慮することが大切です。

本記事はウォータージェット加工を販売するコムネット株式会社様に監修を頂きました。

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インダクタ

インダクタとは

インダクタ

インダクタ (英: inductor、インダクタコイル) とは、電子部品の1つで、鉄などの磁性体の芯に導線を巻いたコイルです。

抵抗、ダイオード、コンデンサなどと同じ基本的な電子部品で、電子機器に高い確率で使用されています。インダクタには、いくつかの特徴的な働きがあります。

インダクタに電流が流れようとするとこの邪魔をし、逆に電流が減少しようとするとこれを増やそうとします。また、周波数の高い信号を通そうとすると、これを阻止しようとする働きがあります。

以上の特徴を生かし、電子機器の回路において、ノイズを除去したり必要な信号を選別したりすることで、車や通信機器、精密機器など幅広く活躍しています。

インダクタの使用用途

インダクタは、電気・電子回路に幅広く使用され、産業に欠かせない部品の1つです。以下はインダクタの使用用途一例です。

1. スイッチング電源

我々の自宅に設置している電源コンセントからは交流100Vの電圧ですが、多くの電子回路は直流電流で動作しています。交流から直流へ変換する装置をスイッチング電源と呼びます。スイッチング電源には、インダクタが内蔵されています。

電流の急変を防止する性質を利用し、電流を平滑化するとともに不要な高周波ノイズを除去するためにインダクタが使われます。

2. 変圧器としての利用

変圧器には一般的に2つのインダクタが使用されます。変圧器には入力側と出力側にそれぞれインダクタが内蔵されおり、入力側のコイルに電圧を印可するとコイル内に磁場が発生し、それが出力側のインダクタに誘導されます。磁場を受けた出力側のインダクタは電圧を発生させます。

このようにして、入力側の高圧の電気エネルギーが、出力側の低圧の電気エネルギーに変換されます。インダクタの導線巻数を変えることにより、電圧を調整することが可能です。

3. 通信機器

通信回路にもインダクタが使用されます。ラジオの受信回路などにはコイルが内蔵されており、受信した電波をコイルに流すことで受信信号を増幅することが可能です。

また、通信機器にはトロイダルコアと言われる高周波回路専用のインダクタを使用する場合があります。このインダクタは磁束の漏れを防ぎ、目的の周波数帯において効率の良いインダクタンスを生み出すことが可能です。

インダクタの原理

インダクタは、銅線を渦巻き状に巻いた構造です。巻線の中心に鉄やフェライトなどの強磁性体を挿入する場合もあり、重量が増える代わりに小型化が可能です。

フレミングの左手の法則によって、インダクタに電流が流れると磁界が発生し、磁力エネルギーへ変換します。巻数を増やして小径にすると磁束は強くなるため、磁力エネルギーも高くなります。

インダクタに交流電流を流すと、周波数に応じた磁界が変化します。この磁界変化によって起電力が発生し、これが自己誘導起電力です。自己誘導起電力の大きさはインダクタの大きさや導線巻数によって変化し、インダクタンスと呼び単位はヘンリー (H) を使います。インダクタは、電流の時間変化率を妨げる働きをします。

交流回路にインダクタを挿入すると位相が遅れます。また、直流回路にインダクタを挿入すると過渡期は電流を妨げ、電源遮断後は電流を保つ働きをします。

インダクタの種類

インダクタには、いくつかの種類があります。以下はインダクタの種類一例です。

1. 空芯コイル

空芯コイルは、コイル中心部分が空洞になっているインダクタです。コイルの線材を巻いた形状が自由なため、自己誘導を高めることができます。ただし、空気コイルはサイズが大きくなりがちで、高周波用途以外ではあまり使用されません。

2. 鉄芯コイル

鉄芯コイルはコイルの中心部分に鉄芯が入っているインダクタです。鉄芯によって自己誘導を高められ、電力を大きく扱うことができます。また、サイズも小さくできるため、幅広い用途に使用されます。

3. フェライトコアインダクタ

フェライトコアインダクタは、フェライトと呼ばれる磁性体の芯材を使ったインダクタです。フェライトは高周波において高い磁気透磁率を持つため、高周波回路に適しています。また、コア素材によって特定の周波数域のインダクタとして設計されることがあります。

参考文献
https://contents.zaikostore.com/semiconductor/3367/
https://www.matsusada.co.jp/column/inductor.html

イメージスキャナ

イメージスキャナとは

イメージスキャナー

イメージスキャナとは、紙などの物理的な媒体に印刷された画像や文章を、電子データに変換する装置です。

イメージスキャナには、一般的なフラットベッドスキャナや、大量の文書を高速でスキャンできるドキュメントスキャナーなどがあります。フラットベッドスキャナは、平らな台に紙を置いてスキャンするタイプで、書類や写真などの細かい部分までスキャンが可能です。

ドキュメントスキャナーは、紙を自動的に送りながらスキャンするため、大量の書類を効率的にスキャンできます。イメージスキャナは、紙の書類をデジタルデータに変換して、電子ファイルとして保存や共有が簡単になります。

また、OCR (英: Optical Character Reader) 機能を備えているものもあり、スキャンした文書をテキストデータに変換が可能です。イメージスキャナは、書類管理や文書作成の効率化に役立つツールとして、ビジネスシーンで広く利用されています。

イメージスキャナの使用用途

イメージスキャナは、紙などの物理的な媒体に印刷された画像や文章を電子データに変換するのに使われています。イメージスキャナは、ビジネスシーンで書類管理や文書作成の効率化に役立ちます。

例えば、以下のような用途に利用されます。

1. 書類管理

イメージスキャナを使って、紙の書類を電子ファイルの変換で、書類の保管や検索が簡単になります。また、携帯性に優れたPDF形式で保存できるため、書類を外出先でも確認できます。

2. 文書作成

手書きのメモや図面をイメージスキャナでスキャンし、電子データの変換で、編集や加工ができます。また、OCR機能を備えたイメーイメージスキャナだとスキャンした文書をテキストデータに変換し、WordやExcelなどのアプリケーションで編集ができます。

3. デジタルアーカイブ

イメージスキャナーを使って、家族の写真や手紙、古い書類などを電子データに変換して、デジタルアーカイブを作成できます。紙の書類や写真は、時間の経過によって劣化する恐れがあるため、保存にも適しています。

イメージスキャナの原理

イメージスキャナの原理として、読み取り手法で大別してCIS方式とCCD方式)の2種類があります。昔はCCD方式が主流でしたが、現在は徐々にCIS方式に移っています。

1. CCD方式

CCD (英: Charge Coupled Devices) 方式とは、イメージセンサとしてCCDを用い、反射光が到着するまでに複数のミラーで光を反射・集約させ、さらに数枚のレンズで焦点を合わせたものを読み取ってデータ化するものです。この方式の特徴は被写界深度が深いため、表面凹凸の大きい原稿やガラス面から離れた原稿でも読み取れることです。

フィルムの読み取りなど専門分野では、こちらの方式が支持されています。解像度が高い反面、本体サイズが大きく、メイン電源も必要となるので据え置きが前提になります。

2. CIS方式

CIS (英: Contact Image Sensor) 方式とは、点滅をコントロール可能なRGB三色LEDを光源として、原稿にあてた光が反射した結果を小さな等倍レンズを通してイメージセンサ (CMOSセンサー) で読み取り、データ化するものです。構造が単純で小型化しやすく、省エネ (USB接続だけで動作可能) で、普及モデルではCIS方式が採用されています。

ただし、ガラス面に密着させないとうまく読み取りができないのが欠点です。

イメージスキャナの種類

イメージスキャナには、読み取り方法に応じてさまざまな種類が存在します。用途に合わせて価格が安いものや高速でスキャンできるものなど、幅広い製品から選択できます。

1. フラットベッドスキャナ

フラットベッドスキャナは、最も基本的なスキャナで1枚ずつ用紙をスキャンする方式です。簡単な構造で作られているために製品価格は安く、購入しやすい価格帯で販売されています。

スキャンする際に、用紙が汚れたり折れたりするリスクが低いことがメリットです。しかし、1枚1枚セッティングをしなければならないため、スキャンにかかる時間は長くなります。

2. ADFスキャナ

ADFスキャナは、大量のドキュメントを読み取ることができます。自動で原稿を送ることができる機能を持ったスキャナなので、複数枚の原稿をトレイにセットすると、順々に紙を送り自動でスキャンが完了します。

大量の書類をスキャンする際には便利な製品ですが、紙詰まりにより紙が折れたり切れたりする点には注意が必要です。

3. ハンディスキャナ

最近では、手で持ってスキャンができるハンディスキャナも主流になりつつあります。本など裁断ができないものをスキャンする時や、新聞のように大きな原稿の一部分をスキャンする時に便利ですが、他の種類の製品と比較するとスキャンの手間はどうしてもかかってしまいます。

4. オーバーヘッドスキャナ

書籍などをページ単位に裁断せずに、そのまま上からスキャンできる方式です。書籍を開いた時の中央部のゆがみを補正できる機能を持つものもあります。

イメージスキャナのその他情報

イメージスキャナの価格

イメージスキャナの価格は近年大きく低下しており、フラットベッドスキャナの家庭用製品であれば1万円以下で購入できます。もう少し高性能な製品であっても、数万円程度です。

一方で、オフィスなどに用いられるADFスキャナは、複合機と機能がセットになっており、1台数十万円程度が一般的な価格帯です。家庭用のADFスキャナ専用機であれば、5万円程度で購入できます。

ハンディスキャナは、安い製品であればOCR機能がついた物などでも5,000円程度で購入可能です。ハンディスキャナは、手軽に購入ができる点もメリットと言えます。

参考文献
https://faq2.epson.jp/web/Detail.aspx?id=36174
https://www.jp.tdk.com/tech-mag/knowledge/107
https://smile-sharing.co.jp/blog/03/scanner_vol1.html
https://pepaless.com/column/190727_01/

アルミナ

アルミナとは

アルミナ

アルミナはアルミニウムの酸化物である酸化アルミニウムのことです。化学式はAl2O3で、高い融点を有する白色の固体です。α-アルミナやγ-アルミナなど複数の結晶構造が存在します。コランダム、ルビー、サファイアの主成分として有名です。

α-アルミナは耐熱性、絶縁性、耐薬品性などを有しており、耐火材、切削工具研磨剤などに使用されています。また、γ-アルミナは比表面積が大きく、触媒担持体として利用されています。

アルミナの使用用途

アルミナは水酸化アルミニウム(化学式: Al(OH)3)を焼成することによって製造することができます。アルミナには数多くの結晶形態がありますが、最も安定で汎用性のあるのがα-アルミナです。

α-アルミナは融点が非常に高く、高い耐熱性を有しています。また非常に硬く、絶縁性、耐薬品性などにも優れています。これらの性質を利用して、耐火材、スパークプラグ、半導体基板、研削工具・研磨剤、るつぼなど幅広い用途に利用されています。

アルミナの特性

アルミニウムは原子番号13の元素で、その酸化物である酸化アルミニウム(化学式: Al2O3)のことをアルミナと言います。アルミニウムは地殻中に多く含まれ、酸素、ケイ素に続いて、3番目に多い元素です。

天然にはコランダムとして産出します。これに微量の鉄、クロム、チタンが混入すると、ルビーやサファイアになります。また、アルミニウムはボーキサイトと呼ばれる赤褐色の鉱石に多く含まれます。ボーキサイトを苛性ソーダで溶解しアルミン酸ナトリウムにした後、加水分解して水酸化アルミニウムを生成します。その後、水酸化アルミニウムを焼結することでアルミナを得ることができます。

アルミナにはα-アルミナやγ-アルミナなどの複数の結晶構造が存在しますが、α-アルミナが特に安定な構造とされています。γ-アルミナを高温で加熱すると、種々の中間相アルミナを経て、最終的にα-アルミナに変化します。α-アルミナは融点が 2000℃以上もあり、耐熱性、高硬度などの性質を有しています。

アルミナの毒性

アルミナ自体に毒性はなく、基本的には安全な物質です。一方で、粉塵状のアルミナを取り扱う場合は、目や皮膚、呼吸器系への悪影響を与える可能性があるので、保護メガネや防塵マスクなどの保護具を使用して取り扱う必要があります。アルミナ製品の安全データシートによると、アルミナをラットに吸入させると、肺に保持されて炎症を引き起こしたことが報告されています。

アルミナのモース硬度は9と非常に高く、優れた耐摩耗性や耐久性を有しています。このため生体用セラミックスとして利用されています。例えば、人工関節や人工骨が挙げられます。これらの用途では、長期間人体に埋め込んでも害が無いことが非常に重要です。過去の研究では、急性毒性試験、溶血性試験などの生物学的安全性試験では陰性を示したことが報告されています。また、アルミナ自体に発がん性が無いことも併せて報告されています。

セラミックスとアルミナの違い

アルミナはセラミックスの中の無機材料の1つです。

セラミックスとは元々焼き物などの窯業製品、ガラス、セメントなどを指す言葉ですが、近年では無機材料を高温で加熱し、焼き固めてつくった製品全般を指します。使用される無機材料としては、アルミナをはじめ、ジルコニア、窒化珪素、炭化珪素などが挙げられます。セラミックスの中でも細かな分類があり、使用する材料や製造方法の違いから、オールドセラミックスやファインセラミックスなどに分けられます。粘土や珪石などの天然材料を使って製造される製品をオールドセラミックスといいます。代表例としては、陶磁器が挙げられます。

一方で、天然から得たものに手を加えてさらに純度を上げた材料や、組成や粒径などの性質を人工的に調製した材料を使って製造される製品のことをファインセラミックスといいます。従来のセラミックス製品と比較して、高機能、高付加価値を有しています。このため、電子材料や生体材料など様々な分野でファインセラミックスは欠かせない尊司となっております。アルミナ自体はセラミックス材料の1つですが、高純度化されたアルミナはこのファインセラミックスに属します。