インダクタ

インダクタとは

インダクタ

インダクタ (英: inductor、インダクタコイル) とは、電子部品の1つで、鉄などの磁性体の芯に導線を巻いたコイルです。

抵抗、ダイオード、コンデンサなどと同じ基本的な電子部品で、電子機器に高い確率で使用されています。インダクタには、いくつかの特徴的な働きがあります。

インダクタに電流が流れようとするとこの邪魔をし、逆に電流が減少しようとするとこれを増やそうとします。また、周波数の高い信号を通そうとすると、これを阻止しようとする働きがあります。

以上の特徴を生かし、電子機器の回路において、ノイズを除去したり必要な信号を選別したりすることで、車や通信機器、精密機器など幅広く活躍しています。

インダクタの使用用途

インダクタは、電気・電子回路に幅広く使用され、産業に欠かせない部品の1つです。以下はインダクタの使用用途一例です。

1. スイッチング電源

我々の自宅に設置している電源コンセントからは交流100Vの電圧ですが、多くの電子回路は直流電流で動作しています。交流から直流へ変換する装置をスイッチング電源と呼びます。スイッチング電源には、インダクタが内蔵されています。

電流の急変を防止する性質を利用し、電流を平滑化するとともに不要な高周波ノイズを除去するためにインダクタが使われます。

2. 変圧器としての利用

変圧器には一般的に2つのインダクタが使用されます。変圧器には入力側と出力側にそれぞれインダクタが内蔵されおり、入力側のコイルに電圧を印可するとコイル内に磁場が発生し、それが出力側のインダクタに誘導されます。磁場を受けた出力側のインダクタは電圧を発生させます。

このようにして、入力側の高圧の電気エネルギーが、出力側の低圧の電気エネルギーに変換されます。インダクタの導線巻数を変えることにより、電圧を調整することが可能です。

3. 通信機器

通信回路にもインダクタが使用されます。ラジオの受信回路などにはコイルが内蔵されており、受信した電波をコイルに流すことで受信信号を増幅することが可能です。

また、通信機器にはトロイダルコアと言われる高周波回路専用のインダクタを使用する場合があります。このインダクタは磁束の漏れを防ぎ、目的の周波数帯において効率の良いインダクタンスを生み出すことが可能です。

インダクタの原理

インダクタは、銅線を渦巻き状に巻いた構造です。巻線の中心に鉄やフェライトなどの強磁性体を挿入する場合もあり、重量が増える代わりに小型化が可能です。

フレミングの左手の法則によって、インダクタに電流が流れると磁界が発生し、磁力エネルギーへ変換します。巻数を増やして小径にすると磁束は強くなるため、磁力エネルギーも高くなります。

インダクタに交流電流を流すと、周波数に応じた磁界が変化します。この磁界変化によって起電力が発生し、これが自己誘導起電力です。自己誘導起電力の大きさはインダクタの大きさや導線巻数によって変化し、インダクタンスと呼び単位はヘンリー (H) を使います。インダクタは、電流の時間変化率を妨げる働きをします。

交流回路にインダクタを挿入すると位相が遅れます。また、直流回路にインダクタを挿入すると過渡期は電流を妨げ、電源遮断後は電流を保つ働きをします。

インダクタの種類

インダクタには、いくつかの種類があります。以下はインダクタの種類一例です。

1. 空芯コイル

空芯コイルは、コイル中心部分が空洞になっているインダクタです。コイルの線材を巻いた形状が自由なため、自己誘導を高めることができます。ただし、空気コイルはサイズが大きくなりがちで、高周波用途以外ではあまり使用されません。

2. 鉄芯コイル

鉄芯コイルはコイルの中心部分に鉄芯が入っているインダクタです。鉄芯によって自己誘導を高められ、電力を大きく扱うことができます。また、サイズも小さくできるため、幅広い用途に使用されます。

3. フェライトコアインダクタ

フェライトコアインダクタは、フェライトと呼ばれる磁性体の芯材を使ったインダクタです。フェライトは高周波において高い磁気透磁率を持つため、高周波回路に適しています。また、コア素材によって特定の周波数域のインダクタとして設計されることがあります。

参考文献
https://contents.zaikostore.com/semiconductor/3367/
https://www.matsusada.co.jp/column/inductor.html

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