レーザースキャナー

レーザースキャナーとは

レーザースキャナー

レーザースキャナーとは、対象物の位置情報を3次元的に取得する計測装置です。

スキャナーから発射したレーザー光を対象物に当て、反射した光から距離や角度といった位置情報を計測します。非接触でノンプリズムな測定が可能なため、安全に計測できる点が特徴です。

また、3次元的な情報を大量の点群データとして取得できます。レーザースキャナーには大きく分けて、地上型3DレーザーとUAVレーザー、航空レーザー、 (モービルマッピングシステム) の4種類があります。

レーザースキャナーの使用用途

レーザースキャナーの主な用途は、設備設計やプラントメンテナンス、工事現場等での測量です。現況図のドキュメント化や、CADモデル作成にも役立ちます。

この他にも、地形の計測や土木・維持補修などのトンネル内や既存構造物の変位調査、また犯罪調査における事故現場や犯罪現場の正確な記録などで使用されています。

さらには、3Dプロジェクションマッピングで投影される面形状測定にも用いられており、様々な場面で使用可能です。

レーザースキャナーの原理

レーザースキャナーはレーザー光を対象物に照射し、反射した光を検出することで位置情報を計測します。測定対象物に直接触れずに位置情報を計測可能です。

なお、主な計測方法として、以下の2つが挙げられます。

1. タイムオブフライト方式

レーザー光を対象物に照射し、反射したレーザー光が戻ってくるまでの時間とレーザー照射角を測定します。測定時間から距離を算出し、さらに測定角度とXYZ座標を用いて、座標位置を算出します。

これにより3次元座標のデータを取得することができるほか、RGBカラー座標や反射強度、反射率、さらには角度情報など、各点ごとに多くの情報を得ることが可能です。

タイムオブフライト方式は、多くの情報を得るために測定時間が長くなりますが、精度の高い測定が可能です。

2. フェイズシフト方式

複数の変調させたレーザー光を対象物に照射し、対象物から反射した光と出射光の位相差を測定することで、対象物までの距離を求めます。フェイズシフト方式はタイムオブフライト方式に比べて、測定にノイズが入りやすく、測定距離も短いです。しかし、測定時間はかなり短くなります。

 

高精度の測定を求めるならタイムオブフライト方式、測定時間を優先するならフェイズシフト方式が適しています。また、レーザースキャナーで取得したデータは専用のソフトで読み込みます。

画面上に座標データが点 (ドット) で表現されており、この情報に基づいて、測定した現地の状況をパソコン上で再現します。検出範囲内のデータを網羅的に取得するため、状況を再現することが可能です。

レーザースキャナーのその他情報

車とレーザースキャナー

最近の自動車にはADAS (英: Advanced Driver Assistance Systems、先進運転支援システム) と呼ばれる安全運転をサポートする機能が搭載されてます。ADASの構成品は、カメラや超音波センサーミリ波レーダー等の各センサーです。

ここ数年では自動運転技術の進歩により、新たにLIDAR (英: Light Detection And Ranging) と呼ばれるレーザースキャナーをベースにしたセンサーが加わりました。LIDARは従来のレーダーに比べて、対象物を近距離で高精度に検知できるセンサーです。

自動運転において、対象物までの距離をより高精度に測定する必要があるため用いられています。とはいえ、ミリ波レーダー等の各センサーをレーザースキャナーで代替できるわけではありません。それぞれに利点と欠点があり、補う形で使用されています。

レーザースキャナーは近距離の対象物の高精度検知に優れますが、雨や霧などの悪天候に検知性能が影響されやすいという欠点があります。一方、ミリ波レーダーは天候の影響を受けにくく、遠距離の対象物に対する検知性能はレーザースキャナーよりも高いです。しかし、近距離の対象物や電波の反射率が悪い対象物に対しての検知性能はレーザースキャナーに劣ります。

参考文献
http://www.riegl-japan.co.jp/about/
https://www.oura.co.jp/service/3d/
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsprs/52/6/52_285/_pdf/-char/ja
https://www.artec3d.com/ja/learning-center/laser-3d-scanning
https://keishin-survey.co.jp/technology/survey-measurement/3d-laserscanner-measurement/

人感センサー

人感センサーとは

人感センサー

人感センサーとは、人間の所在に反応するセンサーの総称です。

人や動物など温度を持つものが感知範囲内で動いたときに発する赤外線などを感知して信号を送り、スイッチのオンオフなどを行います。

家庭用には赤外線を利用したものが多く使用されています。一方、業務用では赤外線と超音波を組み合わせることもあり、多くの種類とタイプがあります。

人感センサーの使用用途

人感センサーの代表的な使用用途は、照明の自動点灯・消灯です。人体を感知して照明を点灯し、タイマーによって消灯します。照明のつけっぱなしや切れ忘れを防止しつつスイッチを押す手間を省きます。

また、防犯用途での利用も増加傾向です。家屋の玄関に設置して、不審者に反応してカメラで録画したりします。工事現場や生産現場などでも使用され、一般人が通った際のアナウンス用途で用いられる場合もあります。

過去は施設や商業ビル用途が主流でしたが、現在は自宅での使用も多いです。ほとんどの場合、他の電化製品と組み合わせて使用します。

人感センサーの原理

人感センサーは赤外線や静電気、音などを利用して人の所在を検知します。信号に応じて人感センサーには種類が多くありますが、赤外線センサーが最多です。

赤外線とは人の目には見えない波長の長い光を指します。赤外線センサーは赤外線を感知して電気接点などとして出力します。発熱する物体からは赤外線が発せられますが、その量は熱量により異なります。赤外線人感センサーはこの性質を活かし、人や動物の赤外線量を感知する仕組みです。

この他に、超音波の反射を利用した超音波人感センサーや微弱な静電気を利用したタッチセンサなども市販されています。

人感センサーのその他情報

1. 防犯用人感センサー

防犯用人感センサーは種類が多く、防犯カメラや警報が付属する製品もあります。威嚇効果を期待する場合は、フラッシュ機能が備えた製品が推奨されます。

フラッシュ機能は、侵入者へライトをフラッシュさせて威嚇を行う機能です。眩しく点滅するため、夜間の防犯効果が非常に高いことが特徴です。フラッシュ機能と警報音を同時に出力する製品もあり、さらに防犯効果を高めることができます。

また、防犯カメラを付属する製品は、侵入者の顔などを映像に残すことができます。音声も記録できる製品も販売されています。

2. 後付け人感センサー

照明に人感センサーを後付けすることも可能です。以下は後付人感センサー実装例です。

  • 人感センサー付属の照明へ交換する。
  • 照明をシェードで覆っている場合、延長ソケットを取り付けて人感センサーを後付する。

人感センサーを後付けする方法は上記以外にもさまざまで、実装済み照明の仕様の確認する必要があります。

3. 熱線センサー機能

人感センサーには、熱線センサーを使用する製品も販売されています。このセンサーでは、人の動きと周囲温度差の両方を検知して照明のON/OFFを自動で実施します。

高感度センサーを複数搭載し、約1cmの小さな動きを検知することも可能です。また、AIによる環境学習機能で、退出後に熱源ノイズが発生しても誤動作を防止できます。

参考文献
https://kurashi-no.jp/I0014623
https://www.logrenove.jp/housing/equipment/4119/
https://www2.lighting-daiko.co.jp/support/function/
https://4-share.net/2020/03/09/entrance-sensor-light/
https://www2.panasonic.biz/ls/densetsu/haisen/switch_concent/sensor_switch/facility/advanced/

電波暗室

電波暗室とは

電波暗室

電波暗室とは、電波無響室とも呼ばれ、外部に電磁波を漏らさず、内部でも電磁波が反射しない実験室や研究施設のことです。

シールドルーム室内に電波吸収体を取り付けることにより、電磁波の反射を抑制します。外部に漏らすことがないだけではなく、外部からの電磁波の影響も受けないのが特徴です。シールドルームの場合、内部空間における電磁波の乱反射を防げないことがデメリットですが、電波暗室であれば電磁波の乱反射を防ぎ、自由空間 (オープンサイト) に近い環境にすることができます。

近年、私たちの身の回りでは電気・電子機器や無線機器、情報システムなど多くの電磁波発生源であふれていますが、それらから発生する電磁波による周辺機器への悪影響が懸念されています。周囲の影響を遮断した電波暗室は、スマートフォンや無線LANなどの無線機器・電子機器の製品性能確認やノイズ試験に使用され、大きな役割を担っています。

電波暗室の使用用途

電波暗室の使用用途は、スマートフォンや無線LANなどの高周波通信用電子機器の電気的特性の試験や、車載部品のノイズ試験、アンテナそのものの放射特性試験などです。

一般には、電気・電子機器が外部からの電磁波にどのような影響を受けるかを知るために使用されます。また、外部へどのように影響を及ぼすかを測定する目的でも活用されています。

電波暗室の原理

電波暗室は、外部と内部それぞれの電磁波を遮断するため、電波暗室の外側では試験中の誤作動防止のために外部の電波が入らないように遮蔽し、電波暗室の内側には壁面内側に電波吸収体を取り付け、室内で電波が反射するのを防いでいます。

検査機器が室内で反射した電波をキャッチしないようにするために、壁面の電波吸収体が内部で発生した電波を吸収しています。この電波暗室のベースとなっているのは、シールドルームです。材料内での吸収のみならず、その表面での反射を利用するシールド材料を用い、電波を完全に反射することにより大きなシールド効果が得られます。

この室内に電磁波吸収体が取り付けられているのが電波暗室です。吸収体の材料では磁性、誘電性、抵抗性という3種類の特性が重要になります。実現したい吸収帯域などの条件と照らし合わせて、これらの特性を適切に判断する必要があります。

これらを満たす材料として主流となっているのがフェライトです。フェライトは、高周波の交流磁界に対して自然共鳴や磁壁共鳴といった磁気損失を起こす性質を利用したものであり、吸収した電波エネルギーを吸収体内部で熱エネルギーに変換することで電波の反射を抑制しているという特徴があります。

電波暗室のその他情報

1. 電波暗室の面数

電波暗室は、構成面の構造上で大きく2つに分類することができます。1つは上下前後左右の6面すべてに吸収体を取り付けた6面電波暗室です。

もう1つは、床以外の計5面に吸収体を取り付けた5面電波暗室です。5面電波暗室は、大地  (アース) での電波反射を想定し、床に吸収体をつけていないという特徴があります。

2. 電波暗室の性能指標

電波暗室の性能指標を左右する暗室の大きさは、様々な要素によって決定されます。例えば、電波を計測したい対象物の大きさや、電波を遮蔽したい周波数帯、試験の規格 (10m法なのか3m法なのかなど) です。これらの要素によって、既存の建屋に入れるか、新しく建屋を建設するかが決まります。安価ではないため、十分な検討が必要です。

電波暗室の性能指標で重要な項目は、正規化サイトアッテネーション(NSA Normalized Site Attenuation)と呼ばれる特性です。「CISPR16-1-4」で規定されていますが、送信アンテナと受信アンテナを対向させて配置し、受信アンテナの高さを1mから4mの間で動かし、かつ送信アンテナも規定範囲内で動かした場合の最大の伝搬損失を求め、その値が理論値(オープンサイトでの値)と比較して+/-4dB内に収まっている必要があります。

また、SVSWR (Site Voltage Standing Wave Ratio) と呼ばれる試験もあります。6面すべてに電波吸収体がある電波暗室で、送信アンテナの位置を規定範囲で変化させた場合の受信レベル変化の変化幅の最大値が、6dB未満でなければなりません。

参考文献
https://www.jp.tdk.com/tech-mag/noise/11
http://www.rf-world.jp/bn/RFW07/samples/p107-108.pdf
https://www.telec.or.jp/services/equipment/price.htm
https://www.telec.or.jp/services/equipment/price.html

ノイズフィルタ

ノイズフィルタとは

ノイズフィルタ

ノイズフィルタとは、電源や信号からノイズを取り除くための電子部品です。

電気回路や電子回路の多く使用されます。通信をしているケーブル内の電流値が変化すると、周囲に磁場が発生します。この磁場は周囲のケーブルへノイズ (異常な信号) を発生させます。

ノイズフィルタを取り付けることで、ノイズの発生を防げます。ノイズを処理せず機器を使用すると、誤作動や故障の原因となるため注意が必要です。

ノイズフィルタの使用用途

ノイズフィルタは、音響機器や産業機器に広く使用されます。以下は、ノイズフィルタの使用用途一例です。

  • スピーカーの雑音防止
  • 無線機内部の雑音防止
  • PLCやパソコン・サーバーの電源ライン
  • インバータ電源回路やサイリスタ電源回路

主に雑音を避けたい受信機器とノイズを発生させる出力機器に使用されます。スピーカーや無線機はノイズの影響を排除したい機器であり、通信線にノイズフィルタを装着します。この場合、ノイズは雑音の原因となります。

PLCなどのコンピュータでもノイズによる誤作動を回避したいため、電源ラインなどにノイズフィルタを取り付けることがあります。一方、インバータやサイリスタはノイズを発生させる機器です。

二次側回路の電流・電圧変化が急峻となる場合があるため、ノイズフィルタで平滑化することで発生ノイズを除去します。発生する電流を平滑化させる場合、一般的にはリアクトルを使用することが多いです。

ノイズフィルタの原理

ノイズの伝わり方は主に次の2種類です。1つは電子機器の内部から直接空間に放射される輻射ノイズ、もう1つは電源線や電子回路の配線を伝わって他の電子機器に妨害を与える伝導性ノイズです。さまざまな波長をもつ電波に、異なる波長の電波が入り込むことで雑音などとして発生します。

このノイズを防ぐためには、ノイズの主要因が高周波であれば高周波数信号をカットするフィルタ (ローパスフィルタ) を使用します。一方、低周波であれば低周波をカットするフィルタ (ハイパスフィルタ) を使用します。

ローパスフィルタとして働くのは、インダクタとコンデンサが主流です。インダクタは低周波信号に対してはインピーダンスが低くなり、高周波信号に対しては高くなります。したがって、インダクタを回路に直列挿入すると周波数の低い信号成分を通りやすく、周波数の高い成分は通しにくくすることが可能です。

一方、コンデンサはインダクタと逆の性質を持っています。コンデンサとインダクタを組み合わせることで、低周波や高周波をカットするノイズフィルタとなります。

ノイズフィルタの選び方

ノイズフィルタの選定で重要となるのは、定格電圧と定格電流の2項目です。

1. 定格電圧

各製品で定められた定格電圧 (使用最大電圧) より低い電圧で使用します。メーカーによっては電圧変動も加味し、定格電圧以上の電圧でも使用できる場合もあります。

2. 定格電流

電圧と同様に、電流値にも各製品ごとに上限があります。特に電流の場合は周囲の温度によって特性が変化する傾向があるため、使用する環境についても事前の確認が必要です。

周囲の温度が上がると、許容できる負荷電流は徐々に低下します。短時間であれば許容以上の電流が流れても深刻な問題にはなりませんが、繰り返し流れた場合は故障の原因となります。また、直流電源などは突入電流が発生する場合があり、電流値や継続時間を検討してノイズフィルタを選定します。

ノイズフィルタのその他情報

ノイズフィルタの使用の注意点

ノイズフィルタには、アース配線も重要です。アース配線はできるだけ太く短く配線します。アース線が長いとインダクタンス成分が作用し、減衰特性を低下させる恐れがあります。

また、入出力配線は結束したり近づけて配線しないようにするのも重要です。入出力配線が近いと高周波ノイズ成分がフィルタを迂回してしまうため、目的のフィルタリング効果が得られなくなります。

参考文献
https://www.sanwa.co.jp/product/ex/noisefilter.html
https://article.murata.com/ja-jp/article/basics-of-noise-countermeasures-lesson-1
https://article.murata.com/ja-jp/article/basics-of-noise-countermeasures-lesson-3
http://energy-kanrishi.com/noise-filter/

フォトカプラ

フォトカプラとは

フォトカプラ

フォトカプラ(英: Photo Coupler) は、信号を入力側から出力側に伝達する際に、入力側の回路と出力側の回路を電気的に絶縁した状態で伝達することができる素子です。

オプトアイソレータ (英: Opto Isolator)、光アイソレータなどとも呼ばれています。フォトカプラでは、入力電気信号を発光素子を使って一旦光信号に変換し、その光信号を受光素子で電気信号に戻して出力信号とします。

これは、出力側の回路と入力側の回路が電気的に接続されていない状態でも信号を伝達できることを示しており、この絶縁性の高さがフォトカプラを利用する最大の理由です。また、信号伝達手段としては比較的長寿命であることも特徴の一つです。

フォトカプラの使用用途

フォトカプラは、絶縁性や長寿命という特徴から、高い信頼性が求められる機器に使用されています。具体的には、医療用電子機器などです。

ローノイズが求められる音響機器や通信機器では、デジタル回路からアナログ回路への信号伝達の際にフォトカプラを介することで、アナログ回路へのノイズの廻り込みを防げるようになります。

また、モーターを駆動する機器にも使用されています。最近は、インバータ制御のモーターが広く使われていますが、回転速度制御においてノイズの発生が避けられません。このノイズが機器に回り込んで誤動作を起こす恐れがあることから、フォトカプラを介して信号を伝達することで、モーターのノイズを遮断します。

さらに、互いに独立した電源で動作している機器間の信号伝達にも利用されます。特にフローティング状態の機器と接続している場合は感電する恐れがありますが、フォトカプラ経由で接続すれば、フローティング状態の機器からは絶縁されているので安全性の確保が可能です。

フォトカプラの原理

フォトカプラは、前述した通り、発光ダイオードなどの発光素子とフォトトランジスタなどの受光素子とを組み合わせたユニットで、外部からの光を遮断するパッケージにこれらの素子を封じ込めた構造にとなっています。発光素子と受光素子は近接して取り付けられ、発光素子を点灯させると受光素子はOFF状態からON状態に変化しますが、これがフォトカプラによる信号伝達の原理です。

信号を出力する機器はフォトカプラの入力端子に接続し、発光素子を点灯/消灯します。信号を受信する機器はフォトカプラの出力端子に数kΩのプルアップ抵抗を介して電源と接続します。この構成によりフォトカプラの出力端子は、発光素子が消灯時は電源電圧と等しくなり、発光素子が点灯している間は0.1V~0.3程度になります。

即ち、信号を出力する機器による発光素子の点灯/消灯に応じたパルスが現れるので、受信側の機器はこのパルスを受けて信号処理を進めます。このようにフォトカプラは、入力側および出力側の回路間を光を介して結合しますが、両者の間には電気的な接続はなく、絶縁状態となっています。

フォトカプラの種類

フォトカプラも用途により、様々な素子があります。代表的な素子は以下の通りです。

1. トランジスタ出力フォトカプラ

フォトカプラの基本的な構成です。現在でも価格が安いこと、汎用性が高いこと等より市場で最も多く使われています。高変換効率、高耐圧、低入力駆動等いろいろな特徴を備えた製品があります。機能的にも幅広く、主な用途としては信号絶縁、フィードバック検出、絶縁スイッチがあります。

2. IC出力フォトカプラ

高速性や特定の機能を実現するため、受光素子を集積回路としたものです。トランジスタ出力タイプがせいぜい数kHz~十数kHzの信号伝送しかできないのに対し、1~50MHz程度の高速信号伝送ができます。IC出力フォトカプラは、更に次の3つに分類することができます。

  • ロジック信号の高速伝送を目的とした製品群
  • 外付けのパワー素子のドライバー機能を有する製品群
  • 電流/電圧のフィードバック機能を有する製品群

3. トライアック出力フォトカプラ

家庭やオフィス、工場などで使われる100Vまたは200Vの商用電源に直結するモーターやソレノイドなどのAC負荷を直接制御する絶縁スイッチとして使われます。素子耐圧が大きいトライアックを利用し、電気的に絶縁しながら十数mA程度の微小電流でAC負荷をON/OFF制御することが可能です。

素子単体では100mA程度のAC電流しか制御できませんが、外付けのトライアックのドライバーとして使うことにより、数A程度までのAC電流を制御できます。

4. MOSFET出力フォトカプラ

出力段にソースコモンで接続した2個のMOSFETを備え、メカニカルリレーと同等の機能を持たせた素子です。MOSFETが電圧-電流特性でリニアな出力特性を有しているので、単純なスイッチとしての機能のみならず、アナログ信号の切り替えスイッチとしての動作も可能なことが特徴となります。

フォトカプラのその他情報

フォトカプラの出力変動と寿命

フォトカプラの特性パラメータに電流伝達率 (CRT) があります。電流伝達率はトランジスタの直流電流増幅率 (hFE) に相当するもので、入力順電流 (IF) に対する出力電流 (IC) の比率ですが、次のような特徴があります。

  • IFによって値が変化する
  • 周囲の温度に影響される
  • 経年により徐々に小さくなる

回路設計時にはこれらのことを考慮しなければなりません。つまり、環境変化や経時により電流伝達率が変動すると、出力電流が変化しますので、回路が誤動作を起こす恐れがあります。従って、信号レベルの変動が影響しない様、IFの値やプルアップ抵抗の抵抗値等を吟味することが大切です。

また、長期間使い続けると電流伝達率が徐々に低下して十分な信号出力が得られなくなります。その時がフォトカプラの寿命となりますが、電流伝達率が低下する主な原因は、LEDの劣化が進行し発光効率が低下することです。

フォトカプラの寿命に関しては素子メーカーの資料に明記されていますので、それを参考に機種や使用条件を決定する必要があります。

参考文献
https://contents.zaikostore.com/semiconductor/4225/
http://gurochoro.blogspot.com/2017/08/debounce-in-a-microcomputer.html
https://www.renesas.com/us/ja/products/interface-connectivity/optoelectronics/noise-phenomena-photocouplers-optocouplers
https://ednjapan.com/edn/articles/1603/22/news028.html

バリスタ

バリスタとは

バリスタとは、印可する電圧によって抵抗値が変わる、2つの電極を持つ半導体素子のひとつです。

変化する (英: Variable) +抵抗 (英: Resistor) で「変化する抵抗」という意味です。そのため、非直接抵抗や電圧依存性抵抗と呼ばれることがあります。

電圧と電流は比例関係にないことが特徴的で、バリスタにかかる電圧が小さいときは抵抗値が高く、電圧が大きいときは抵抗が低くなります。

バリスタの使用用途

バリスタは電圧によって抵抗値が変化します。この特性を活かし、静電気などからIC素子などを保護したり、雷サージから電子機器を保護するなどの目的で使用したりすることがあります。

もしICなどの素子や電子機器に異常電圧が印可された場合、誤作動や破壊につながる場合があります。また、バリスタに高電圧が印可されるとバリスタの抵抗値は低くなります。このことから回路に電流が流れやすくなり、ラインインピーダンスで電圧降下が生じることで電子機器への負荷を低減することができます。他の使用用途としては主に静電気による放電の防止、飛散防止などがあります。

1. 静電気による放電防止

身近に使用されている携帯電話や音楽プレーヤー、USBなどの外部インタフェース端子を持つ電子機器は、静電気シールドが困難であることから、静電気を防止するための部品を用いる必要があります。これらは製造上の技術的な高度さや困難さによって静電気放電を起こしやすくなっており、破壊されやすいためです。

これまで静電気防止のための方法としてツェナーダイオードと呼ばれる安定して一定の電圧を得る素子を使用していましたが、小型且つ低価格な積層チップバリスタが開発されたこためバリスタが用いられるようになりました。

2. 飛散防止

電気モーターや電力機器の総称である電動機の中で、流れる電流を回転位相に応じて切り替え、回転軸の力を一定方向に保つための機械的整流子とブラシを有するものが、整流子電動機です。

整流子電動機の一つとしてブラシと呼ばれる直接電流が流れる部品が付いたブラシ付きDCモーターがありますが、断続的に回転する整流子によって高電圧となり、火花が発生すると、ブラシの消耗やノイズ発生の原因となります。これを防止するためにバリスタが用いられます。

バリスタの原理

バリスタは酸化亜鉛を主成分としたセラミック半導体を2枚の電極で挟んだ構造を持ちます。バリスタ特性は電流をI、電圧をVとするとI=KV^αのように表すことができます。このとき、Kは素子固有の定数であり、αは電圧非直線係数 (α係数) です。

電圧非直線係数は、低抵抗から高抵抗に移行する点である屈折点以降の曲率を表す係数となっています。バリスタの等価回路はツェナーダイオードを逆さ向きに2つ接続したものに、コンデンサを並列接続させた回路です。

これより、バリスタにはコンデンサ成分があるということから、バリスタにかかる電圧は低いということ、またバリスタが高抵抗の際は少量の静電容量があることが分かります。

ある電圧までは高い抵抗を示すため電流を流さない構造になっていますが、ある一定の電圧を越えた負荷がかかった場合、抵抗力よりも電圧が高くなるため、量子力学的なトンネル効果によって大電流を流します。従って素子や電子機器に高電圧の負荷がかかった時、バリスタが静電気をグラウンドなどに逃がす役割を果たしてくれる仕組みとなっています。

バリスタのその他情報

バリスタの特徴

バリスタには寿命があります。バリスタにかかる電圧、バリスタの耐量、サージ波形と呼ばれる出力を解放した状態と短絡した状態との双方が規定された結果が示される線状のグラフを元に、寿命を適切に判断できるものを選択する必要があります。規定を大きく越えた場合、破損や飛散をし、怪我などにつながる恐れがあります。

また、似ている構造にツェナダイオードがありますが、電流-電圧特性が対称となっているため極性を有さないことから、若干の違いがあります。

株式会社エムティアイ

株式会社エムティアイの会社概要

音楽動画配信やヘルスケア、生活情報などの人々の生活をより豊かにするための個人向けサービスの展開やICTを活用した新たな価値の提供を目指した法人や官公庁向けのサービスを展開している会社です。

ヘルスケア事業では、企業や自治体、各団体との協業を活かすための各サービス間をデータ連携するための健康情報管理データベースを実現させており、個人向けの「ルナルナ」や法人向けの「母子モ」といったアプリケーション開発を行っています。

またファンテック事業では、決済をよりシンプルにし決済シーンをもっと豊かにすることを実現した、スマートフォン決済・送金サービスの「&Pay」の開発なども行った会社です。

太平洋精工株式会社

太平洋精工株式会社の会社概要

ハイブリットや電気自動車をはじめ、国内そして世界の自動車メーカーで使用されている自動車用のフューズの開発、独自の金型ノウハウと加工技術を駆使した設計から生産までのプレス加工ニーズに応えた一貫したソリューションを実施している会社です。

自動車用フューズでは国内シェア1位の91%以上を誇り、世界シェアでも48%を占めています。精密金属プレス技術においても低燃費かつ軽量化といった環境性能や安全性への対応が求められる自動車産業に応えるための高張力鋼板の金属製作・プレス加工などの最先端の取り組みも行っている会社です。

イノテック株式会社

イノテック株式会社の会社概要

産業用ボードや組み込みシステムをはじめ、耐環境ボード、EDAソフトウェア、OrCADソフトウェア、サーバー・ストレージ、ノイズ解析、モデルベース開発、デジタルメディア解析、ロボットオートメーションサービス、テスター・プローブカードなどなど、多岐にわたる製品を扱っている、先端エレクトロニクス産業の成長及び発展に貢献している会社です。

開発から生産の各プロセスにおいて、ハードウェア・ソフトウェア・コンサルティングを含めたトータルなソリューションを提供している会社です。

岡谷電機産業株式会社

岡谷電機産業株式会社の会社概要

産業用の機械から家電製品まで幅広い事業に流通する製品(電気・電子部品)の開発・製造を行っており、日本から中国やスリランカ等、海外にも生産・開発拠点及び営業拠点を拡大しグルーバル化を実現させた会社です。

真空管や無線機開発から始まり、70年以上といった長きにわたる歴史の中で、ノイズ対策製品をはじめ、サージ対策製品やLEDなどの表示・照明製品、センサ製品などにも事業を拡大するなど、最新技術を常に取り入れている会社です。