ノイズフィルタとは
ノイズフィルタとは、電源や信号からノイズを取り除くための電子部品です。
電気回路や電子回路の多く使用されます。通信をしているケーブル内の電流値が変化すると、周囲に磁場が発生します。この磁場は周囲のケーブルへノイズ (異常な信号) を発生させます。
ノイズフィルタを取り付けることで、ノイズの発生を防げます。ノイズを処理せず機器を使用すると、誤作動や故障の原因となるため注意が必要です。
ノイズフィルタの使用用途
ノイズフィルタは、音響機器や産業機器に広く使用されます。以下は、ノイズフィルタの使用用途一例です。
- スピーカーの雑音防止
- 無線機内部の雑音防止
- PLCやパソコン・サーバーの電源ライン
- インバータ電源回路やサイリスタ電源回路
主に雑音を避けたい受信機器とノイズを発生させる出力機器に使用されます。スピーカーや無線機はノイズの影響を排除したい機器であり、通信線にノイズフィルタを装着します。この場合、ノイズは雑音の原因となります。
PLCなどのコンピュータでもノイズによる誤作動を回避したいため、電源ラインなどにノイズフィルタを取り付けることがあります。一方、インバータやサイリスタはノイズを発生させる機器です。
二次側回路の電流・電圧変化が急峻となる場合があるため、ノイズフィルタで平滑化することで発生ノイズを除去します。発生する電流を平滑化させる場合、一般的にはリアクトルを使用することが多いです。
ノイズフィルタの原理
ノイズの伝わり方は主に次の2種類です。1つは電子機器の内部から直接空間に放射される輻射ノイズ、もう1つは電源線や電子回路の配線を伝わって他の電子機器に妨害を与える伝導性ノイズです。さまざまな波長をもつ電波に、異なる波長の電波が入り込むことで雑音などとして発生します。
このノイズを防ぐためには、ノイズの主要因が高周波であれば高周波数信号をカットするフィルタ (ローパスフィルタ) を使用します。一方、低周波であれば低周波をカットするフィルタ (ハイパスフィルタ) を使用します。
ローパスフィルタとして働くのは、インダクタとコンデンサが主流です。インダクタは低周波信号に対してはインピーダンスが低くなり、高周波信号に対しては高くなります。したがって、インダクタを回路に直列挿入すると周波数の低い信号成分を通りやすく、周波数の高い成分は通しにくくすることが可能です。
一方、コンデンサはインダクタと逆の性質を持っています。コンデンサとインダクタを組み合わせることで、低周波や高周波をカットするノイズフィルタとなります。
ノイズフィルタの選び方
ノイズフィルタの選定で重要となるのは、定格電圧と定格電流の2項目です。
1. 定格電圧
各製品で定められた定格電圧 (使用最大電圧) より低い電圧で使用します。メーカーによっては電圧変動も加味し、定格電圧以上の電圧でも使用できる場合もあります。
2. 定格電流
電圧と同様に、電流値にも各製品ごとに上限があります。特に電流の場合は周囲の温度によって特性が変化する傾向があるため、使用する環境についても事前の確認が必要です。
周囲の温度が上がると、許容できる負荷電流は徐々に低下します。短時間であれば許容以上の電流が流れても深刻な問題にはなりませんが、繰り返し流れた場合は故障の原因となります。また、直流電源などは突入電流が発生する場合があり、電流値や継続時間を検討してノイズフィルタを選定します。
ノイズフィルタのその他情報
ノイズフィルタの使用の注意点
ノイズフィルタには、アース配線も重要です。アース配線はできるだけ太く短く配線します。アース線が長いとインダクタンス成分が作用し、減衰特性を低下させる恐れがあります。
また、入出力配線は結束したり近づけて配線しないようにするのも重要です。入出力配線が近いと高周波ノイズ成分がフィルタを迂回してしまうため、目的のフィルタリング効果が得られなくなります。
参考文献
https://www.sanwa.co.jp/product/ex/noisefilter.html
https://article.murata.com/ja-jp/article/basics-of-noise-countermeasures-lesson-1
https://article.murata.com/ja-jp/article/basics-of-noise-countermeasures-lesson-3
http://energy-kanrishi.com/noise-filter/