モールド変圧器についての概要、用途、原理などをご説明します。また、モールド変圧器のメーカー24社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。モールド変圧器関連企業の2023年5月注目ランキングは1位:株式会社日立産機システム、2位:東芝インフラシステムズ株式会社、3位:株式会社明電舎となっています。
モールド変圧器とは、巻線部分をエポキシなどの樹脂によって含浸モールドさせた変圧器のことです。
乾式変圧器とも呼ばれます。変圧器は電圧を変化させる際に、鉄心や巻線部分がそこでの電力損失分の熱を帯びてしまうため、放熱させる必要があります。一般的な変圧器では放熱に油が使われますが、モールド変圧器では油の使用が無いため、発火などの安全面において優れた変圧器です。
万が一の際に、発火の恐れが低いことや軽量小型なものが多いことから、屋内での使用に適しており、身近な建物の中にも設置されています。
モールド変圧器は、主にビルなどの建物の屋内設備の電気の変圧用途が多く、その安全性の高さから様々な場所で使用されています。一例をあげると、地下鉄の構内です。地下鉄では大きな電力を消費する場合があり、変圧器を必要とします。
しかし、油入変圧器を使用すると、万が一のときに大変危険です。このように、火災が発生すると非常に危険な場面では、モールド変圧器の使用が適しています。また、マンションやデパートなどでも使われます。安全性はもちろん、小型で軽量という特徴から屋内施設での使用に適している変圧器です。
モールド変圧器は、一般の変圧器が電圧を変化させる際に発生する発熱を、変圧コイルを覆うエポキシ樹脂などの樹脂モールドを介して、空気中に伝搬させて冷却しています。一般的な変圧器は、鉄心と巻線を利用して構成されており、鉄心に導線を巻いた2つのコイル状の巻線が使用されます。
この巻き線コイルの片側に電流を流すと、電磁誘導の原理でもう一方に電圧が生じます。この巻き数を調整することで、発生する電圧を調整する装置が変圧器です。
電圧を変化させる際に、鉄心や巻線は電力損失分の発熱が生じます。油入変圧器では周囲の油が熱を取り去り、水や風の力で外に放熱します。一方、モールド変圧器は乾式変圧器とも呼ばれ、油を使用しない点が最大の特徴です。
油を使用しないことで、モールド変圧器には油入変圧器と比較して次のようなメリットとデメリットがあります。
安全性が高い
万が一の際、油に引火して発火する恐れが無いため屋内や密閉空間でも使用できます。一方で、油入変圧器の場合は、大容量だと設置に際して消化設備の具備が必要なケースがあります。
軽量で小型
油を使用しない分、軽量で小型の構造が可能です。建物の高層部分にも設置することができます。また、油入変圧器のように内部の油のメンテナンスや廃棄手法を考慮する必要もありません。
コストが高い
油入変圧器と比べると、内部構造の違いからコストが高くなりがちです。したがって、導入に際しては、まず油入変圧器から考慮し、適さない場合にモールド変圧器を選択することが多いです。
駆動音や振動が大きい
油入変圧器は周囲の油が振動や音を吸収してくれますが、モールド変圧器はそれが無いため、比較すると騒音が気になります。
モールド変圧器は平成19年度までに、油入変圧器は平成18年度までに「トップランナー変圧器」として、環境にやさしい高効率な変圧器を推奨する制度が官民合わせて取り組みがなされています。ここでのトップランナー変圧器の基準は、旧JIS品に比べ損失を30%低減し、エネルギー変換効率約99%という世界 最高水準レベルが目標値です。
また、2014年度からはさらにもう一段階省エネルギー性能を向上させた「トップランナー変圧器2014」への取り組みがなされ、専用のロゴマークにて従来のトップランナー品と区別された指標が用いられています。トップランナー変圧器2014の高性能な指標への対応のため、各メーカーはトランス損失の改善に向けて技術面でしのぎを削っており、その一例には待機電力効率に優れたアモルファス素材の採用があります。
参考文献
https://electric-facilities.jp/denki8/henatsu.html
https://www.daihen.co.jp/technologygeeks/cat01/cat01_01/29/
https://www.yodohen.co.jp/product/trans/mold/
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モールド変圧器のカタログ一覧はこちら企業
東芝産業機器システム株式会社*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
企業の並び替え
2023年5月の注目ランキングベスト10
注目ランキング導出方法順位 | 会社名 | クリックシェア |
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1 | 株式会社日立産機システム |
9.3%
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2 | 東芝インフラシステムズ株式会社 |
8.2%
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3 | 株式会社明電舎 |
7.2%
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4 | 東芝産業機器システム株式会社 |
7.2%
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5 | 東洋電機株式会社 |
7.2%
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6 | 電気計器株式会社 |
7.2%
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7 | 株式会社ダイヘン |
6.2%
|
8 | 株式会社キューヘン |
5.2%
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9 | 株式会社細田電機 |
5.2%
|
10 | 株式会社久野電機製作所 |
5.2%
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注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2023年5月のモールド変圧器ページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
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明電舎のモールド変圧器は、省エネ基準適合品に認定された信頼性と省エネに優れた製品です。
風力発電設備や地下鉄、病院、ホテルなど様々な施設で使用されています。
シート巻線がアルミ製のため軽量かつコンパクトな設計となっており、消化設備の簡素化や電気室の縮小化が可能になります。
真空注型方式により高い絶縁性能を実現し、巻線の導体パーツは高い耐塵埃性と耐湿性、絶縁部分は自己消火性を持ち防災上の安全性に優れています。
キューヘンのモールド変圧器は、鉄心に珪素鋼板を使用、コイル導体の導体断面積を増加することで、無負荷損の低減を実現したトップランナー方式の製品です。
鉄心材料や製造方法の改良により、優れた静音性とコンパクトな設計を実現しています。
従来品と比較し、全損失は約50%低減、年間CO2排出量は17.6 t削減と優れた効果を発揮します。
減震装置を搭載することにより端子部変異量を最大70%削減することが可能で、強い耐震強度を付与することができます。
中国電機製造のモールド変圧器は難燃性かつ耐震性能に優れた、コンパクト設計のトップランナー式モールド変圧器です。
コストパフォーマンスに優れており、旧品と比較すると電力量は約407千円の節減になります。
鉄心材料の改良により省エネ効果が向上し、従来品比較では全損失が約53%低減、年間CO2排出量は約18.3 t削減と大きな省エネ効果を得ることができます。
騒音レベルの低減を実現し、基準値から約8 dB下回る数値を示しています。
三菱のEX-Ⅱシリーズは、ビルや公共施設のエネルギー使用の合理化をサポートするトップランナー方式の配電用モールド変圧器です。
省エネ性能が高く、基準達成率は150%と高い水準を保っています。
コンパクト設計かつ耐震性に優れるため建物や電気室への収納が容易で、設置場所を選びません。
静音性の高さが特徴で、鉄心部分に磁区制御電磁鋼帯を使用することにより磁歪の低減を実現し、騒音レベルは基準値を10 dB下回っています。