フィルタープレスのメーカー15社を一覧でご紹介します。まずは使用用途や原理についてご説明します。
目次
フィルタープレスはスラリー液を濾過して固液分離するための装置です。主に浄水用途で用いられています。構造がシンプルで比較的処理量を簡単に増やしやすいことが特徴です。製造ライン中に組み込むことができ、濾過脱水装置として最も多く使用されている加圧濾過装置です。
得られる脱水物(ケーキ)の含水率は非常に低いものとなっており、固液分離特性は非常に高いです。自動操作式のフィルタープレスも存在し、液充填から濾過まで全自動で実施できます。
濾過には重圧濾過と真空濾過と加圧濾過の3種類に分類されます。どれも濾過工程には変わりありませんが重力もしくは外部動力を用いるかの違いとなります。
重圧濾過は原液中の固体と液体の比重の差を利用して分離していきます。遠心分離機や砂層濾過で用いられています。真空濾過は重圧濾過の機構に真空差圧を用いた吸引を行う方法です。オリバーフィルターやドラムフィルタで使用されています。加圧濾過は濾過部分に圧力を加えて圧搾する方法です。フィルタープレスは加圧濾過を行います。
フィルタープレスは濾布を貼った2枚の鋼板やプラスチック板で仕切られた濾室をがいくつも並んだ構造をしています。濾布同士の間には空間が設けられており、そこにポンプでスラリー液を流し込みます。また圧搾された後のケーキはここに残ります。濾室内にスラリー液が流し込まれてある程度濾過が行われてもそこから圧力をかけて更に脱水していきます。
圧力をかける方法は油圧が一般的です。油圧を解除する濾布同士を切り離して濾室を開放します。自動装置では濾室が解放されたタイミングで中のケーキが自動で落ちる、もしくは排出する仕組みを設けています。また圧力をかける方法にはダイヤフラムを用いて加圧する方法もあります。
手動のフィルタープレスを用いる場合、油圧による加圧を手動油圧ポンプにて行います。またケーキの排出は手動で濾布からはがすことになるため、サイズによっては非常に重労働斗なってしまいます。もしくは油圧ユニットのみ自動の半自動タイプを用いることもできます。
スラリーに含まれる固形分は、「濾板」の間に挟まれた「濾布」によって濾過されます。濾板と濾布の材質や特性は以下の通りです。
・濾板:ポリプロピレン製の板であり、濾布を固定したり圧迫したりすることが役割です。硬い材質でできているため高い圧力に耐えることができ、耐薬品性も優れています。フィルタープレスの機種によっては、濾板の間にエアーを送り込むことで圧力を上げ、濾過速度を高めることができます。
・濾布:ポリプロピレン 、ナイロン、ポリエステルなどでできた、布状のフィルターです。様々なフィルター孔径のものがあるため、スラリーの固形分量や粒子径によって使い分けます。現在のフィルタープレスは、濾布がベルトコンベアー状に移動して固形分を自動排出できる機種が主流です。
スラリーをフィルタープレスに通す際、フィルターの縁から液が漏れ出す場合があります。漏れが発生する原因と対策の例を以下に挙げます。
・濾布と枠の間に微細な隙間がある。
濾布と枠の間の隙間から漏れている可能性があります。樹脂製のシール材で隙間を塞ぐだけで、漏れが止まる場合もあります。
・圧力が高い。
濾布の濾過速度に対して圧力が高すぎるため、処理しきれないスラリーが漏れ出している可能性があります。圧力を下げて濾過を行うことで改善しますが、処理速度を落としたくない場合は濾布孔径の最適化が必要です。
・濾布が目詰まりを起こしている。
固形分が濾布に詰まり、濾過性が低下すると液漏れの原因になります。フィルター部分を解体して、濾布の洗浄を行うと改善します。頻繁に目詰まりを起こすようであれば、濾布の更新や孔径の見直しが必要です。
・スラリー中の固形分が多い。
目止めや圧力調整、濾布の洗浄を行なっても漏れが発生する場合、スラリー中の固形分が多すぎると考えられます。孔径を大きくするか、上流工程に固形分を減らす作業(タンク内で沈降させてからデカントを行うなど)を加えることで改善する可能性があります。
参考文献
https://www.nihon-rokasochi.co.jp/filterpress/filtration/
https://kcr.kurita.co.jp/wtschool/052.html
https://www.nihon-rokasochi.co.jp/productspost/163/
http://www.nakao-filter.co.jp/contents/liquid/filterpress.html
社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社
栗田機械のHJRF型フィルタプレスは、濾液が必要な場合、粒子堆積層が必要な場合、いずれも破棄する場合のどの用途においても使用できる汎用性の高いフィルタプレスです。
機械的圧搾脱水部品のないシンプルな設計のため、イニシャルコストとランニングコストを抑えることができます。
ゴム膜を使用しないため高温のろ過にも使用することができます。
ろ布形状は固定式のため、機械的強度の制約を受けず長期間使用することが可能です。
伊藤製作所のTYPE-Oはシンプルな設計により耐久性に優れたフィルタープレスです。
制御盤はタッチパネル式とスピーキングモニター式の2種類あり、現場のニーズに合わせた仕様が可能です。
シールゴムの採用によりスラリーの密封性と脱水ケーキの剥離性に優れています。
脱水工程の全自動化に加え、オプションでろ布の自動洗浄機能を付与することが可能なため、メンテナンスにかかる時間や人員を削減することができます。
Sanshinの汎用フィルタープレスは省資源設計により、環境保全に配慮したコンパクト設計の脱水ろ過装置です。
濃厚スラリーを処理して清澄液やケークを回収する加圧ろ過機で、めっきスラリーや排水処理の固液分離や食品、醸造の固液分離に適しています。
ろ過面は特殊メッシュが採用されているため剥離性が高く、得られるケーキが厚いため処理能力の大きさにも優れています。
量産タイプ設計のため構造がシンプルでメンテナンス性に優れています。
日立造船のTFAP型フィルタープレスは、化学製品製造プロセスでのろ過、ケーキ洗浄や排水汚泥脱水機能など様々な用途で使用可能な全自動圧搾式フィルタープレスです。
耐蝕性を重視した材質のため、耐熱性・耐溶剤性に優れています。
ろ過面に送液孔が無くシートの耐久性が非常に高いため、メンテナンスコストを抑えることができます。
ろ布洗浄装置が実装されており制御は全自動で行われるため、製造工程の効率化が可能になります。
日本濾過装置のポータブルフィルタープレスは、少量多品種のろ過に最も有用なフィルタープレスです。
設置はポンプサクションとろ液側の配管・配線工事のみのシンプルな設計になっているため、設置にかかるイニシャルコストを抑えることができます。
自動圧力装置が搭載されているため、送液ポンプの圧力を一定に維持することができます。
ろ板はポリプロピレン製のため軽量で、製品は持ち運び可能なためろ過現場間の移動も容易に行うことができます。