高圧電源ユニット

高圧電源ユニットとは

高圧電源ユニット

高圧電源ユニットとは、電源装置の中で特に高電圧を扱う装置のことです。

高電圧とは、一般的に数千V (ボルト: 電圧の単位) から数万V以上の電圧を指しており、電力会社が送電する電圧は6.6kV以上ですが、電気設備技術基準の定義では交流600V (直流750V) 以上の電圧を高電圧と定義しています。

私達が日常生活で使用している電化製品は、AC100V又は200Vと電圧は低いです。これは、電力会社の発電設備から各家庭に送電されている電源電圧がAC100Vか200Vを標準としていることが理由として挙げられます。

一般的な電源ユニットはAC100Vや200Vですが、使用条件によっては高電圧を発生させたい機器もあります。具体的には、電源電圧以上の高電圧が必要である機器や高電圧に対する耐性試験を行うための機器です。この要求をクリアさせるためには、一般ユーザーが使用する電源電圧以上の高電圧を発生させる変換器が必要になります。このような時に、使用されるのが高圧電源ユニットです。

高圧電源ユニットの使用用途

高圧電源ユニットの使用用途は、主に高電圧が必要な製品の動作や、耐圧試験などに用いられます。

高電圧が必要な機器として、自動車の車体や建築材などの塗装に用いる機器や、金属、プラスチックなどの表面処理に用いる機器、放射線治療やレントゲンに用いられるX線放射装置や、電子顕微鏡などが挙げられます。

耐圧試験は、電線など産業用電気機器に対して行われます。電化製品などは、電気用品安全法 (通称:電安法) と呼ばれる国内電気関連の安全性を担保するための法律によって、製品出荷時に1500Vを1分間または1800V1秒と言った製品耐圧試験や絶縁耐圧の実施が義務化されています。そのため、高圧電源ユニット設備導入は必須です。また、高電圧・特別高電圧電気取扱者資格取得獲得のための実習などにも用いられています。

高圧電源ユニットの原理

高圧電源ユニットは末端に送電される一般的な交流電源を入力して、これを高電圧として出力するコンバータとなっています。コンバータとは、電力会社から送電される交流電源電圧を整流器と呼ばれるダイオードを使った回路で直流電圧にして、電解コンデンサで電圧を平滑させる装置 (ユニット) のことです。

ただし、単純にコンバータユニットを使うだけでは、100Vや200Vであるため、低い電圧のまま平滑された直流電圧が出力されるだけで、本来欲しかったその10倍や100倍以上の高電圧が得られません。単純に昇圧トランスの巻き数比によって昇圧することは可能ですが、巻き数比は現実的には限界があります。

高電圧を得るために、ダイオードとコンデンサを組み合わせたコッククロフト・ウォルトン回路が用いられています。コンデンサによる蓄電能力とダイオードの整流作用を用いた方法です。交流の一方向の入力に対してコンデンサが蓄電された後、逆向きの電流が流れたときに昇圧されるという仕組みです。

この回路方式は、先に説明した整流器を使った回路を重ねて使うことで電圧を上げていく方法として一般的に用いられており、技術関係者の間では倍電圧回路または高電圧発生回路などとも呼ばれています。電圧の上昇は偶数倍加であるため、奇数倍の昇圧はできません。適切な高圧ダイオードとセラミックコンデンサの組み合わせにより、1kV以上の高電圧を得ることが可能です。

高圧電源ユニットのその他情報

1. 高圧電源モジュール

高圧電源モジュールは、概ね1kV以上を発生する高電圧を供給することが可能な高圧対応型の電源ユニットです。

その中でも特に、低ノイズと信頼性を確保しながら高効率化によるダウンサイジングを実現化した技術力に定評のある電源ユニットメーカーが、その物量と使いやすさの向上により廉価を達成し、汎用品としてモジュール化した高電圧出力型の電源モジュールです。

高圧電源モジュールの主なメーカー及び製品としては、ベルニクス製OHVシリーズ他、アメリカンハイボルテージ製TCRシリーズ他、松定プレシジョン製HGPシリーズ他、ゼネラル物産HitekPower、高砂製作所TMK形シリーズ、浜松ホトニクス製C14051シリーズ等があり、元々の高電圧に加えて、出力電流も増加すればする程、そのモジュールのサイズは大きくなるため、実際に使用する負荷の使用に応じて、その余裕度と温度上昇および絶縁耐圧の確保に注意しながら選定する必要があります。

2. 高圧電源の基板

高圧電源の基板については、高電圧であるが故に、その高電圧回路に使用されている基板の注意点があります。それは、電圧が高くなればなるほど、基板の絶縁距離が十分に確保されることが規格として求められているためです。高電圧は、エネルギーが大きいため、作業中に重篤な感電災害を起こす可能性が大きくなり、その安全を担保するため、基板の沿面距離や絶縁距離や安全アースの設置と言った耐電圧や感電に対する安全処置を施さなければなりません。

実際には、国内であれば電気用品安全法 (通称: 電安法) であり、国外であれば、IEC規格を代表として、それに準拠した各国ごとの規格に基づいた基板上にある導電する銅箔パターン間絶縁距離を確保した基板パターン設計が絶対必要になります。これが順守されない場合、法律違反として罰金などの処罰の対象になり、また処罰を受けるだけでなく、社会的な信用そのものが失墜する可能性も有り得るため、高圧型の電源基板に関しては、特にその基板パターンの絶縁距離が、確実に規格をクリアしていることが非常に重要な確認ポイントになり、メーカー側もユーザー側も共に十分注意が必要です。

参考文献
https://www.yamabishi.co.jp/guide/yh/select.html#sp_pageTit
https://www.matsusada.co.jp/column/words-psel.html

蛍光顕微鏡

蛍光顕微鏡とは

蛍光顕微鏡

蛍光顕微鏡( 英語:Fluorescence Microscope )は、レーザー光、超高圧水銀灯やキセノンランプを光源として用い、対象物中の蛍光物質の蛍光を観察する装置です。通常の光学顕微鏡では、ハロゲンランプなどの可視光線を光源として対象物に照射し反射光や透過光を観察します。

蛍光顕微鏡は顕微鏡の一種であり、蛍光を発する物質で標識された生体組織・細胞などを主な対象としています。顕微鏡の分解能は用いる光の波長に依存するため、波長の短い光を用いる蛍光顕微鏡では空間分解能や時間分解能が優れていることが特長です。

そのため、高い定量性のある情報が取得できます。蛍光顕微鏡は共焦点レーザー顕微鏡や多光子顕微鏡など高機能化が進んでおり、ますます重要性が高まっています。

蛍光顕微鏡の使用用途

蛍光顕微鏡は主にバイオイメージングに用いられます。具体的な対象は細胞や組織であり、生きたまま観察することも可能です。対象を蛍光で標識するためには、以下のような技術が組み合わせて用いられます。

  • 遺伝子組み換えなどにより、特定のタンパク質を蛍光標識する技術
  • 蛍光標識された化学物質を用いて、核酸などを標識する技術
  • 蛍光を発するタンパク質を特定の細胞に発現させる技術

これら技術により、標的タンパク質や発現遺伝子の局在などが観察できます。また、特定の物質に反応して蛍光を発する薬剤やタンパク質が開発されており、神経の活動や細胞内の物質動態の可視化が可能です。

近年、CRISPR技術の登場により遺伝子組み換え生物の創出が格段に容易になり、その応用範囲が急速に広まっています。

蛍光顕微鏡の原理

蛍光顕微鏡は蛍光を観察する装置です。蛍光は、蛍光物質が特定の光をエネルギーとして吸収し(励起光)、再びエネルギーを放出する際に発せられます。

励起光の照射により速やかな発光が起こります。蛍光の波長は励起光の波長よりも長く、これらの波長は蛍光物質により異なります。蛍光顕微鏡は特異的な蛍光を観察するために、以下から構成されるフィルターユニットを有しています。

  • 光源から励起光を透過させるフィルター
  • 発した蛍光を透過させるフィルター
  • 蛍光に励起光が干渉しないためのミラー

フィルターユニットを変えたり組み合わせたりすることにより、様々な蛍光物質を同じ標本から観察することが可能です。

蛍光顕微鏡のその他情報

1. 蛍光顕微鏡の分解能

蛍光顕微鏡の原理

図1.蛍光顕微鏡の分解能

顕微鏡の分解能とは、「二つの近接した点を異なる点と見分けることが可能な最小の距離」を意味しています。顕微鏡ではレンズを用いて対象物を拡大し観察しますが、レンズを組み合わせることで原理的には無限に倍率をあげることが可能です。

しかし、光を使用してサンプルを観察する 光学顕微鏡の場合、光の持つ特性である回折が原因で、光の波長のおよそ半分の大きさが分解能の限界となります。これが顕微鏡の分解能の理論的な限界とされていましたが、この限界を打破した技術が開発され、開発者は2014年にノーベル化学賞を受賞しました。

その技術が「超解像顕微鏡法」と呼ばれる手法です。超解像顕微鏡法が開発されるまでは蛍光顕微鏡の分解能の限界はおよそ250nmでしたが、超解像顕微鏡法を用いると、電子顕微鏡にせまる15~100nmまでの高分解能が得られます。超解像顕微鏡では、様々な技術を用いて分解能を制限する要因を回避し、高い分解能を実現しています。

分解能を飛躍的に向上させ、ノーベル化学賞を受賞した超解像顕微鏡法には、「PALM」や「STED」といった手法があります。 「PALM」や「STED」は、特殊な光学系や特殊な色素を利用することにより、蛍光顕微鏡分解能の限界を突破することを実現しました。その他様々な技術を用いた超解像顕微鏡が生み出されており、各社が製品化を行っています。

2. 蛍光顕微鏡のメリット

蛍光顕微鏡で確認できる大きさ

図2. 蛍光顕微鏡で観察できる対象

蛍光顕微鏡のメリットは、分子の挙動や細胞の構造などを視覚情報として詳細に観察できる点です。目的に応じて適切な蛍光顕微鏡を用いることで、時間的・空間的に高い解像度で対象を観察することができます。

複数の色素を利用して対象物を観察することも可能です。例えば、2つの異なるタンパク質を赤色と緑色の蛍光物質で標識し観察した際、黄色を示した部分があれば、これら2つのタンパク質が細胞内の同じ場所に存在する可能性を示します。

目的や用途に応じて様々な蛍光物質や蛍光顕微鏡が開発されており、生命科学研究や臨床研究においてますますその重要性が高まっています。

参考文献

https://www.yodosha.co.jp/yodobook/book/9784897069302/
http://www.nict.go.jp/publication/shuppan/kihou-journal/houkoku66-1_HTML/2020B-03-04.pdf
https://www.keyence.co.jp/ss/products/microscope/beginner/microscope/
https://www.orangescience.co.jp/what-is-fluorescence-microscope

EMC対策部品

EMC対策部品

EMC対策部品とは、信号を扱う電気機器に対するノイズの対策に使う電子部品のことです。

EMCは「electro-magnetic compatibility (電磁環境両立性) 」の略で、「compatibility」は両立性と訳されます。EMCは大きく分けて、EMI (electro-magnetic interference:電磁干渉) と呼ばれる当該機器自身が放出する電磁波ノイズを規制するものと 、EMS (electro-magnetic susceptibility: 電磁的感受性) と呼ばれるもので当該機器自身が受けるノイズにより動作傷害などを起こさないようにするものに分類できます。

国内ではJIS C61000、国際的にはIEC61000などの規格により詳細を定義しているのが一般的です。他方で電気回路などを設計する段階においてノイズの発生度合いや外来ノイズへの耐性を予測することは難しく、製品を試作して動作させてみないとEMIやEMSの具合を伺い知ることができないのが実情です。

一般的な開発プロセスでは、設計→試作→評価→生産という流れの中で、評価の段階で実験的に測定して知り得ることになります。

EMC対策部品の使用用途

EMC対策部品は、当該機器自身が出して周辺機器に悪影響を及ば差ないように規制されたEMIと、外部から当該機器自身がノイズの影響を受けて誤動作を起こさないように規制されたEMSに効果を発揮する用途で使用されます。

EU圏向けではCEマークが付いたもの、国内向けでは概ね電気用品安全法で規制されている◇で囲われるPSEマークが付いた家電製品やOA機器、自動車部品、医療機器などです。我々が日常的に接する機会がある電気製品の大半が対象で、それらの開発途上においてEMC試験により基準を満たなかった場合の対策部品として使用されます。

EMC対策部品の原理

EMC対策部品は大別すると、電気回路上で電気的に対策するもの、電気回路外で電磁的に対策するもの、サージ系のノイズに対策するものの3つに分類できます。

1. 電気回路上での対策部品

電気回路上で短時間で大きな電位の変化が生じると、これが電波となって機器の外部に電波として放出され、この放射されたノイズはEMIとして扱われます。そのため、電気回路設計においては、なるべくこの様な放射ノイズが発生しないように工夫する必要があります。

例えば、スイッチング回路であればスナバ回路を付帯したり、電源回路ならば電源フィルターを付帯したり、信号回路ならばLPF (low pass filter) を付帯したりするのが有効的です。これらの対策部品は、抵抗やコンデンサ、コイル等により構成され、時定数やコンデンサやコイルの周波数特性を組み合わせ特定の周波数帯域に作用します。この周波数帯域をノイズの周波数帯域と併せることで、ノイズに作用させることが可能です。

2. 電気回路外での電磁的な対策部品

電気機器を設計する場面においては、例えばモーターに配線したり、ランプに配線したり、基板間を電線で接続したりするなど、電線を用いる場合が多々存在します。そのような状況で、電気回路では対策しきれず電線上にノイズが乗ってしまうと、電線がアンテナのような作用をしてしまい、ノイズが放射されやすくなる現象が起きやすいです。

このような線路上のノイズを対策するために、磁気的な対策部品としてフェライトコアなどがあります。磁気的な部品は、線路 (電線など) に装着することで、電線自身にインダクタンス特性を発生させ、電波として放射されやすい周波数帯域のノイズを減衰させる作用があります。

3. サージノイズ系の対策部品

EMS規格の中で静電気に対する耐性は、JIS C61000-4-2などで定義されています。人が触った際にその静電気で誤動作しないことなどを定めた物で、製品群により規格は電圧は異なります。しかし、気中放電の最大で言えば15KVもの電圧に耐えるようにしなければなりません。

一般の電子回路は数V~数十Vの電圧で設計されているため、このような大きな電圧が直接印可して回路を誤動作させたり破壊しないようバリスタ、ツェナーダイオード、サージフィルターなどにより電圧の制限を行う素子で静電気に対して対策する必要があります。

EMC対策部品のその他情報

1. EMC対策部品の目的

現在、国内販売向けならPSE認証、EU圏へ輸出する際にはCE認証を取得しなければ、その商品自体を販売できない法律があります。PSEやCEなどの認証を受ける際には、JISやIECの規格で定めるEMCの試験に合格することが必須の条件です。

EMC対策部品は、開発途上の製品をこれらの規格をクリアさせて合法的に製品を販売できるようにすることを目的としています。

2. EMC対策を予期した設計

設計段階において、事前にEMCを全て予見して対策することは非常に困難です。多くの場合では、設計→試作→評価→生産という一連の流れの中で、評価段階でEMCに対する評価を行い、その結果から対策方針を決めていくような流れとなっています。

そのため、設計上で事前に対策する場合は、過去の経験や回路の性質からノイズ源になりそうな箇所をピックアップして、そこにフィルターなどを後付けで追加できるように予め基板設計をしておくと、対策の選択肢を増やすことができます。

3. フェライトコアの活用

EMC (特にEMI) は予見が難しく、かつ評価の段階では開発が進捗した状態であり、試作にも費用を投じた後であるため、大きな設計変更ができない可能性が高いです。

そのような場合に、大きな効果を発揮してくれる可能性を秘めているのがフェライトコアです。フェライトコアに信号線や電源線を通すだけで大きな効果を発揮する場合もありますが、フェライトコアは後付けできるタイプも多く、開発途上の機器に大きな変更を加えず対策できるという利点があります。

株式会社 寺岡精工

株式会社 寺岡精工は東京都に本社をもつ1947年に設立された会社です。

会社情報

  •  会社名
    • 株式会社 島津製作所
  • 設立年月
    • 1947年
  • 資本金
    • 1億円
  • 従業員数
    • 3750人
  • 本社
    • 〒146-8580 東京都大田区久が原5-13-12
  • 事業内容
    • 電子はかり
    • 電子計量値付システム
    • 自動計量包装値付機
    • POSシステム
    • POP作製システム
    • 仕分けシステム
    • カウンティングスケール
    • 自動倉庫管理システム
    • 店舗総合情報管理システム
    • 浄水システム
    • リサイクル処理機
    • 廃棄物管理システム
  • 公式サイト

株式会社 寺岡精工が製造している製品

株式会社 寺岡精工のニュース

まとめ

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株式会社サトー

株式会社サトーは東京都に本社をもつ1951年に設立されたサトーグループのグループ会社です。自動認識ソリューション事業を世界27ヵ国にグローバルに展開しています。

会社情報

株式会社サトーが製造している製品

株式会社サトーのニュース

まとめ

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キヤノン株式会社

キヤノン株式会社は東京都に本社をもつ1937年に設立されたメーカです。現在は、カメラ・ビデオなどの映像機器、プリンタなどの事務機器、ハンディターミナルなどを製造・販売する大手電気機器メーカです。

会社情報

キヤノン株式会社が製造している製品

キヤノン株式会社のニュース

キヤノン株式会社の決算情報

2020年第1四半期

参考:キヤノン株式会社

決算サマリ

キヤノン株式会社2020年1決算1

画像引用元: キヤノン株式会社

キヤノン株式会社の2020年第1四半期の決算サマリです。第1四半期初めは計画通りも、コロナウイルスの影響で減収減益となっています。

  • 売上
    • 7823億円
  • 営業利益
    • 3587億円
  • 純利益
    • 219億円

セグメント別売上・営業利益

キヤノン株式会社2020年1決算2

画像引用元: キヤノン株式会社

キヤノン株式会社の2020年第1四半期の決算サマリのセグメント別売上・営業利益です。

  • 売上
    • オフィス 3976億円
    • イメージングシステム 1517億円
    • メディカルシステム 1061億円
    • 産業機器その他 1471億円
  • 営業利益
    • オフィス 459億円
    • イメージングシステム 9億円
    • メディカルシステム 40億円
    • 産業機器その他 38億円

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イオナイザ

イオナイザとは

イオナイザとは、機械の誤作動の原因となる製造現場などで発生した静電気を除去する装置です。イオナイザは静電気除去装置、徐電気などとも呼ばれます。

静電気を帯びた物体は、プラスとマイナスの電気バランスが崩れた状態です。イオナイザは、静電気を帯びた粒子(イオン)を帯電した物体にぶつけています。

このように、帯電した物体を電気的にバランスが取れた状態、すなわち静電気がない状態に変化させてているのが、イオナイザの原理です。具体的にイオナイザは、食品トレーやカップ内の静電気除去による異物付着防止やカメラモジュールの静電気破壊防止などで使用されています。

イオナイザの種類と特徴

ここではイオナイザの種類と特徴について説明します。イオナイザは、一般的に除電速度やイオンバランスといった評価項目がありますが、イオナイザからのイオン発生方法の原理にはいくつか種類があります。

イオナイザの種類 (イオンの発生方法別)

1. 電圧印可方式

コロナ放電を起こすことにより生成されたイオンを照射させる「コロナ放電式」、微弱なX線を照射する「軟X線式」、α線やβ線を照射する「放射線式」などの方式がありますが、安全面と経済面からコロナ放電式が多く採用されています。

被静電気除去体(装置など)はプラスもしくはマイナスに帯電していますが、イオンの照射方法についてもAC方式とDC方式があります。

2. コロナ放電

コロナ放電とは、先端が細い局所に高電圧を印加した際に起こる放電現象で、その際イオンが生成されます。コロナ放電式のイオナイザはこの原理を生かし、意図的にイオンを生成させ、そのイオンを照射させることにより静電気除去を行う方法です。

3. AC方式

一本の放電針からプラス/マイナスのイオンを交互に発生させます。コンセントのAC電圧をそのまま使用しており、イオンバランスが良いですが、除電速度が遅いという特徴があります。

4. DC方式

二本の放電針からプラス/マイナスのイオンをそれぞれ発生させる方法です。直流電圧を印可しつづけているため、イオン極性がプラスまたはマイナスのどちらかのみという特徴があります。

イオナイザの種類 (用途別)

イオナイザは用途別に4つのタイプがあります。そのため、設置環境や条件を検討し、効果的なタイプを選択する必要があります。

1. バータイプ

棒状のイオナイザです。広範囲の高速除電に適しており、最も基本性能が高いという特徴があります。

2. スポット・ノズルタイプ

ノズルから狭い範囲を除電するイオナイザです。サイズが小さいため、狭い個所をピンポイントで除電することができます。

3. ファンタイプ

ファンで生み出した風を利用してイオンを噴き出しているイオナイザです。バータイプよりも除電範囲が狭くなりますが、小型で卓上利用することができます。

4. ガンタイプ

圧縮放出された空気と組み合わせてイオンを放出するイオナイザです。除電だけではなく、表面に付着した異物除去も同時に行うことができます。

イオナイザの選び方

イオナイザを選ぶ主な要素は、「除電距離」「除電範囲」「除電速度」の3つです。タイプによって特性が異なるため、除電対象物とイオナイザとの関係性をよく検討する必要があります。

1. 除電距離

除電距離とは、イオナイザが対象物との除電可能な距離のことです。例えば、スポット・ノズルタイプはイオナイザのサイズが小さいため除電距離が小さく、バータイプは除電距離が1m以上でも除電が可能という特徴があります。

2. 除電範囲

除電距離とは、イオナイザが除電可能な幅方向の長さのことです。バータイプは1m以上の除電が可能ですが、ブロアタイプは1m未満の除電範囲となるため、どれくらいの広さを除電するのか検討しておく必要があります。

3. 除電速度

除電速度とは、イオナイザがどのくらいの時間で除電できるかを示した性能です。この除電速度が短いほど高性能なイオナイザであるといえます。

日置電機株式会社

日置電機株式会社は長野に本社をもつ1952年に設立された電気計測器の開発、生産、販売・サービスを手掛けるメーカです。

会社情報

日置電機株式会社が製造している製品

日置電機株式会社の決算情報

2019年12月期

参考: 日置電機株式会社

日置電機株式会社決算20191

画像引用元: 日置電機株式会社

2019年12月期の日置電機株式会社の決算サマリです。

  • 売上高
    • 228億円
  • 営業利益
    • 72億円
  • 当期純利益
    • 22億円

日置電機株式会社2019決算2

画像引用元: 日置電機株式会社

2019年12月期の日置電機株式会社の製品別の売上高です。

  • 自動車試験装置
    • 19億
  • 記録装置器
    • 40億
  • 電子測定器
    • 103億
  • 現場測定器 
    • 499億

データロガー(記録計) メーカ/製品一覧からおすすめを紹介 2020年版

データロガーのおすすめを厳選。必要なシーン毎にデータロガーを整理しました。

データロガーとは

データロガーとは一定間隔で測定したデータを記録する機器です。記録計、データレコーダとも呼ばれます。

データロガーの使用用途

データロガーの記録対象としては、温度、湿度、加速度、傾き、位置情報などがあります。

データロガーの使用例をご紹介します。

  • トンネル内部の温湿度測定
  • 工場内部の温度測定
  • サーバールームの温湿度測定

データロガーの一覧

製造・販売されているデータロガーを調べて一覧にしました。

 

おすすめデータロガー

先ほどのデータロガー一覧の中から下記のデータロガーを詳しく紹介します。

  1. デジタル静電電位測定器(KSD-1000/KSD-2000) | HIROKI

メモリハイロガーLR8450

製造メーカ:HIROKI

メモリハイロガー LR8450

画像引用元:ヒロキ

 

主な特徴

  • ひずみゲージを直接接続し、最速1msで測定可能
  • 直接ユニットを1台から4大まで増設し、代々入力120チャネルまで可能
  • 圧力センサーなど各種出力を1msのサンプリングで測定可能

仕様

  • 最大ユニット接続台数
    • 直結ユニット4台
  • 測定ch数
    • 直結ユニットで最大120ch
  • 記録間隔
    • 1ms, 2ms, 5ms, 10ms~1h

 商品ページ

 

まとめ

データロガーについて紹介しました。用途に合わせて是非吟味して購入してください!

データロガーに関するニュース

静電気測定器

静電気測定器とは

静電気測定器 (英:electrostatic instrument) は、物体表面に生じた静電気の電圧を測定する機器です。

非接触で測定できる表面電位センサーを備えた機器であり、非測定対象の物体に表面電位センサーを向けて測定します。静電気を測定する機器は表面電位計や静電電位測定器とも呼ばれ、主に製造業の生産工程で使われますが設置環境に対応した機器が販売されています。

静電気測定器の使用用途

生産工程において静電気が原因となるトラブルには以下ようなものが有りますが、それを防止する為の対策を進めるためにはまず発生する静電気の大きさを正確に測る必要があります。対策の効果を検証、評価する場合にも静電気の大きさを測ります。工程によっては、静電気の発生状況を常時モニタする為に用いることもあります。

1. 異物付着

帯電した製品に対して帯電した異物 (ほこりなど) が付着するトラブルが発生します。例えば塗装工程では塗りムラの原因となります。

2. 静電破壊 (ESD破壊)

集積回路などの半導体部品は、静電気放電で回路素子が破壊されることがあります。

3. 誤作動

微小な電流・電圧で作動している機器 (電子天秤、ウェイトチェッカー、金属探知機など) は、静電気が放電する時の電磁ノイズの影響を受けることがあります。

4. 人体などへの放電

帯電した物体から人体への静電気放電は、人体に対して痛みや不快感を与えるだけでなく、機器のトラブルや発火 (可燃物の引火) の原因にもなります。

静電気測定器の原理

物体表面が帯電して静電気が発生すると、その周辺に電界が生じます。静電気測定器はこの電界強度を測定して静電気の電圧を算出します。一般的な静電気測定器 (表面電位計) の原理は次の通りです。

表面電位センサーは静電誘導現象を利用したもので、帯電した物体からの静電界強度Eo (帯電電圧Voに比例する) を検出電極が受けると検出電極の表面に誘導電荷qが蓄積されます。そこで検出電極と物体の間に検出電極全体が覆われる大きさのシールド板を設けて一定速度で回転させると、シールド板に覆われた瞬間に検出電極に蓄積された誘導電荷qを放電し、シールド板が通り過ぎるとまた誘導電荷qを蓄積します。この周期的な電荷qの移動、即ち交流電流Isの大きさは電界強度に依存するため、電流Isを測定することにより物体表面の帯電電圧Voを求めることができます。

但し上記測定法では、測定値は表面電位センサーと測定対象の距離に大きく依存します。測定対象との距離が離れると電界が弱くなるため、測定値が小さく表示されることは避けられません。従って測定対象と表面電位センサーとの間隔を指定された距離に保つことが必要です。

また、上記測定距離に依存する問題を解決するための工夫として電圧フィードバック型表面電位計があります。これは検出電極に高電圧電源を接続し、交流電流Isがゼロとなるように高電圧電源の電圧出力を調節するものです。電流Isが流れなくなるのは被測定対象の電圧とセンサーの電圧が同じ場合であるため、その時の高電圧電源の出力電圧は測定対象の帯電電圧と等しいと言えます。

静電気測定器の使い方

一般的な静電気測定器で帯電した物体の静電気を測定する場合は、次のような手順となります。

1. 測定対象の表面に対して表面電位センサーの検出電極とを並行にして、静電気測定器が定めた距離に表面電位センサーを設置します。
2. 想定される電圧より高い測定レンジに設定して測定を開始します。大まかな測定値が得られたら測定レンジを合わせて測定値を採用します。

電圧フィードバック型表面電位計での測定では、測定対象の表面に対して表面電位センサーの検出電極とを並行に設置しますが、測定対象との距離を厳密に定める必要はありません。高圧電源の電圧を徐々に上昇して、検出電極に流れる交流電流がゼロになるポイントを見つけます。その時の高圧電源の出力電圧が測定対象の帯電電圧となり、測定値の単位はVもしくはKVでとなります。静電気の最大電圧を想定して適切な機器を選択することが大切です。

静電気測定器のその他情報

静電気の発生原因と防止

静電気の発生メカニズムは下記のようなものが知られています。

1. 剥離帯電

プラスチックシートから保護膜を引きはがす等の重なったものが剥がれる場合に発生します。

2.摩擦帯電

物を混ぜるとき、服を脱ぐ時、モーターが回転する時等、物体と物体が擦れる際に発生します。

3. その他の帯電

粉砕・粉体帯電等があるため、このような状況にさらされる物体の静電気を測定する際には静電気測定器が使用されます。特に半導体部品は静電気放電により故障する可能性が高い為、常日頃から静電気測定器で工程内を確認することが必要です。生産工程において測定対象となる具体例を以下に記します。

  1. 各種半導体やその他の電子部品やその部品が梱包されたトレイとその保護フィルム、保管棚
  2. 作業服、作業靴、作業工程の机、椅子、床面
  3. アースバンドやアース取付部分
  4. 製造装置、検査機、治工具、半田コテ等の製造設備
  5. 作業標準書やそれを保護するプラスチックケース
  6. モニターの表示部分
  7. 購入した各種フィルム

また、静電気の発生が避けられない場合はイオナイザ等の除電装置を設置して積極的に静電気を除電しますが、その効果を確実にする為にも静電気測定器を用いた測定が欠かせません。

参考文献

http://www2.iee.or.jp/~aim/history.html
https://www.ekasuga.co.jp/study/electricity/electricity02/
https://www.britannica.com/technology/Leyden-jar#ref38505
https://www.britannica.com/technology/electroscope
https://www.murata.com/ja-jp/products/emc/esd/basicesd/chapter2