イオナイザとは
イオナイザとは、機械の誤作動の原因となる製造現場などで発生した静電気を除去する装置です。イオナイザは静電気除去装置、徐電気などとも呼ばれます。
静電気を帯びた物体は、プラスとマイナスの電気バランスが崩れた状態です。イオナイザは、静電気を帯びた粒子(イオン)を帯電した物体にぶつけています。
このように、帯電した物体を電気的にバランスが取れた状態、すなわち静電気がない状態に変化させてているのが、イオナイザの原理です。具体的にイオナイザは、食品トレーやカップ内の静電気除去による異物付着防止やカメラモジュールの静電気破壊防止などで使用されています。
イオナイザの種類と特徴
ここではイオナイザの種類と特徴について説明します。イオナイザは、一般的に除電速度やイオンバランスといった評価項目がありますが、イオナイザからのイオン発生方法の原理にはいくつか種類があります。
電圧印可方式
コロナ放電を起こすことにより生成されたイオンを照射させる「コロナ放電式」、微弱なX線を照射する「軟X線式」、α線やβ線を照射する「放射線式」などの方式がありますが、安全面と経済面からコロナ放電式が多く採用されています。
被静電気除去体(装置など)はプラスもしくはマイナスに帯電していますが、イオンの照射方法についてもAC方式とDC方式があります。
コロナ放電
コロナ放電とは、先端が細い局所に高電圧を印加した際に起こる放電現象で、その際イオンが生成されます。コロナ放電式のイオナイザはこの原理を生かし、意図的にイオンを生成させ、そのイオンを照射させることにより静電気除去を行う方法です。
AC方式
一本の放電針からプラス/マイナスのイオンを交互に発生させます。コンセントのAC電圧をそのまま使用しており、イオンバランスが良いですが、除電速度が遅いという特徴があります。
DC方式
二本の放電針からプラス/マイナスのイオンをそれぞれ発生させる方法です。直流電圧を印可しつづけているため、イオン極性がプラスまたはマイナスのどちらかのみという特徴があります。
用途別のタイプ
イオナイザは用途別に4つのタイプがあります。そのため、設置環境や条件を検討し、効果的なタイプを選択する必要があります。
バータイプ
棒状のイオナイザです。広範囲の高速除電に適しており、最も基本性能が高いという特徴があります。
スポット・ノズルタイプ
ノズルから狭い範囲を除電するイオナイザです。サイズが小さいため、狭い個所をピンポイントで除電することができます。
ファンタイプ
ファンで生み出した風を利用してイオンを噴き出しているイオナイザです。バータイプよりも除電範囲が狭くなりますが、小型で卓上利用することができます。
ガンタイプ
圧縮放出された空気と組み合わせてイオンを放出するイオナイザです。除電だけではなく、表面に付着した異物除去も同時に行うことができます。
イオナイザの選び方
イオナイザを選ぶ主な要素は、「除電距離」「除電範囲」「除電速度」の3つです。タイプによって特性が異なるため、除電対象物とイオナイザとの関係性をよく検討する必要があります。
除電距離
除電距離とは、イオナイザが対象物との除電可能な距離のことです。例えば、スポット・ノズルタイプはイオナイザのサイズが小さいため除電距離が小さく、バータイプは除電距離が1m以上でも除電が可能という特徴があります。
除電範囲
除電距離とは、イオナイザが除電可能な幅方向の長さのことです。バータイプは1m以上の除電が可能ですが、ブロアタイプは1m未満の除電範囲となるため、どれくらいの広さを除電するのか検討しておく必要があります。
除電速度
除電速度とは、イオナイザがどのくらいの時間で除電できるかを示した性能です。この除電速度が短いほど高性能なイオナイザであるといえます。