クリープ試験機

クリープ試験機とは

クリープ試験機とは、物質に一定の荷重を与えた時に発生するクリープ現象を測定する装置です。

クリープ現象は、物質に荷重を加え続けた時、ひずみが増大し変形が進んでいく現象です。常温下では一般的にプラスチック材料で発生しますが、高温下では金属材料でも発生します。

クリープ現象により材料の変形並びに破断が起きることから、製品の不具合に影響を与えます。クリープ現象の把握による材料寿命の推定は、品質管理においても重要です。

クリープ試験機の使用用途

クリープ試験機は、クリープ現象を把握・抑制することにより、高温となる機器の不具合を削減し、金属・プラスチック材の寿命を延ばすために利用されています。

特に影響する製品が、ガスケットです。ガスケットとは、配管同士のつなぎ目を固定するシール材の1種で、プラント配管を含め、流体が通る装置では多く用いられています。

ガスケット部分に圧がかかるので、クリープ現象により密閉性が下がることがあります。密閉性の低下を防ぐため、クリープ試験機によりクリープ現象が起きにくいPTFE樹脂を選定したり、クリープ試験機の測定結果からクリープ現象が起きにくい条件下で使用したりといった工夫が可能です。

クリープ試験機の原理

クリープ試験機は、電気炉中で試験片を加熱し、負荷をかけることによりクリープ現象を生じさせ、試験片の温度とひずみを計測します。

クリープ試験機がクリープ現象を生じさせる原理には、大まかに「引張クリープ」「圧縮クリープ」「捩りクリープ」「クリープ破断」などがあります。

試験片の材料によって、試験対象となるクリープ現象が異なります。金属材料のクリープ試験機は、単軸引張が一般的です。電気炉中に金属試験片をセットし、ロッドにより一方向に引張負荷をかけます。

プラスチック材料のクリープ試験機は、プラスチックが持つ粘弾性という特性に対応します。試験温度や湿度に対する感度が高いため、試験片の数を増やしたり、長期間にわたって試験したりすることが必要です。

クリープ試験機のその他情報

クリープ試験の課題

プラスチック材料のクリープ現象には、樹脂がもつ粘弾性が影響しています。粘性とは、外力を物体に与えた時にひずみが増加し、外力を取り除いてもひずみがなくならない性質です。粘性は、液体的な性質を示します。

弾性とは、外力を物体に与えた時に一定のひずみが発生し、外力を取り除くとひずみがなくなる性質です。弾性は固体的な性質を示します。

粘弾性は液体と固体の性質を足し合わせたものになり、外力を加えるとひずみが増加し、外力を取り除くと一部のひずみがなくなります。クリープ現象の把握は製品管理において重要ですが、測定には以下のような課題があるため注意が必要です。

1. データの入手
プラスチック材料のクリープ現象は、インターネット上の公開情報や文献などへの記載が少なく、欲しいデータが入手しにくいです。必要な場合は、自分で測定する必要があります。

2. 時間がかかる
クリープ現象の測定には、数週間から数か月かかります。また、温度などの測定条件にも左右されるためバラツキが生じやすく、場合によっては測定のやり直しが必要です。

3. 手軽に行えない
クリープ試験機は装置の大きさ等の理由から、社内で保有していないところも多いです。その場合、測定には外部試験を実施しなければならず、コスト面での問題があります。

参考文献
https://www.cerij.or.jp/service/05_polymer/material_property_01_06.html
https://plastics-japan.com/archives/2073
https://www.nichias.co.jp/research/technique/pdf/363/01.pdf
http://www.ubm-rheology.co.jp/kouza/kiso01.shtml

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