スピンドルモーターとは
スピンドルモーターとは、動力源のモーター部と回転部が一体化したモーターです。
回転軸が1つしか存在しないため、装置構成が簡単になります。スピンドルとは、回転機械の回転軸のことです。
スピンドルユニットなどとも呼ばれ、旋盤などの工作機械に使用される用語です。したがって、スピンドルモーターはスピンドルと一体となったモータを指します。
一般的なモーターとギアおよびベルトからなる回転制御装置は、その部品の多さから制御が煩雑になる傾向があります。さらに、装置が大型化する傾向がありますが、スピンドルモーターを使用すれば省スペースかつ並列に複数回転軸を追加することが容易です。
スピンドルモーターの使用用途
スピンドルモーターは加工機内部に広く使用されます。以下はスピンドルモーターの使用用途一例です。
- 穴あけ加工機やエンドミル
- コンピュータ用HDD回転用
- 丸鋸などの切削工具
- ドリルや研磨工具
- 協働ロボットや多関節ロボットのアーム
高トルク型から高速回転が可能な製品まで、幅広いラインナップが存在します。用途に合わせてさまざまなスピンドルモーターの中から、最適な製品を選定することが可能です。
近年では、多関節ロボットなどにもスピンドルモーターが採用されており、ロボットアームの回転軸とスピンドルモーターの軸を合わせて使用します。省スペース性を活かして、HDDの回転駆動用にも使用可能です。
スピンドルモーターの原理
スピンドルモーターの構造は、広く普及しているサーボモーターに酷似している場合が多いです。回転軸と同軸上にスピンドルが設置されます。使用されるモーターの種類には、シンクロナスモーターとインダクションモーターがあります。
1. シンクロナスモーター
シンクロナスモーターは、回転軸に固定された永久磁石からなるローターとその外周に設置された複数個の円環状ステータで構成されます。ステータは電線が鉄心に巻き付けられた構造で、交流電流が流れると電磁石の役割を果たして一時的に自制を持ちます。
交流は電流の位相が時々刻々と変化しているため、電磁石の極性も時間とともに変化します。ローターの永久磁石の極性は固定されているので、ステータとの間の引力と斥力を交互に発生してローターを回転させることが可能です。
2. インダクションモーター
インダクションモーターは、シンクロナスモーターの永久磁石ローターの代わりに導体ローターを使用したモーターです。導体ローターには、かご状の金属部品が使用される場合が多いです。
原理はステータで発生した回転磁界によってロータ導体に電流が発生し、電磁誘導作用が発生して軸が回転します。シンクロナスモーターと違って回転位相に「滑り」と呼ばれる誤差が発生するため、微細な位置合わせには不向きです。ただし、部品点数も少なく安価なため、高出力の製品には広く使用されます。
スピンドルモーターのその他情報
スピンドルモータとサーボモーターの違い
スピンドルは、切削加工や研磨などに使用する産業用回転機器の回転軸を指します。したがって、スピンドルモータの主な目的は切削や研磨などの加工です。超高速回転及び高トルクなモータが使用されることが多いです。
これに対して、サーボモータは位置決め精度を厳しく要求された精密機械において広く使用されます。組立ロボットや自動梱包機器などがその一例です。モーターにはエンコーダなどの駆動機器が使用され、ローターの回転位置や回転数を検出することが可能です。
この検出情報をPLCやドライバと通信することでフィードバック制御を実施し、高速回転を高精度でコントロールすることが可能となります。スピンドルモーターもサーボモーターも、あらゆる種類のモーターを適用可能です。
ただし、スピンドルモーターや大容量サーボモーターにはインダクションモーターが使用される場合が多く、小容量サーボモーターにはシンクロナスモーターが使用される場合が多いです。