オフセット砥石

オフセット砥石とは

オフセット砥石

オフセット砥石とは円盤状の砥石のことです。主にディスクグラインダーなどに取り付けて使用されます。機械に取り付けられたオフセット砥石は高速で回転させられ、金属などの表面を研磨します。表面を均一に削り取ったり、製造過程で発生するバリ取りに役立つ工具です。硬度や砥石に使われる砥粒の種類によって様々なタイプがあるので、用途や対象となる金属などの性質により適したタイプのオフセット砥石を使用する必要があります。

オフセット砥石の使用用途

オフセット砥石は金属などの表面を研磨する際に使われます。例えば、ステンレス鋼アルミニウムです。金属製品の製造過程では必ずバリ取りが必要になったり、表面を綺麗に研磨する必要があったりします。オフセット砥石は円盤状のため円の面部分と円周部分の両方を使って研磨することが可能で、様々な製品に応用ができます。表面を均一に削って美しい見た目にすることも可能ですが、ある程度角度を付けて削ることで深く掘ることも可能です。

オフセット砥石の原理

オフセット砥石は円盤状の砥石であり、研削砥石の一つです。研削砥石とは一種類の強固な素材を用いるのではなく、複数の砥粒を結合させて作った砥石のことです。

オフセット砥石も、多数の砥粒と結合材、その隙間の気孔からできています。硬度の高い砥粒は結合材によって大量に結合されていますが、その隙間には複数の気孔ができます。これは研磨時に発生する熱を外に放出してくれる役目があります。さらに、削りかすを取り除く隙間にもなります。

研削砥石の優れた点は長期間使用ができる点です。通常の砥石では、長期間使っているとだんだんと鋭さがなくなります。これは砥石自体が削られて、研磨性能が下がっているからです。しかし、研削砥石はこの鋭さを自己修復することができます。大量の砥石と正孔で作られている研削砥石も使い続けていく内に表面が削られていきますが、劣化と共に表面の砥粒は剥がれ落ちていきます。すると、長期間使い続けても表面の凹凸が消えないため、研磨性能が下がらずに使用することができるのです。

オフセット砥石のその他情報

オフセット砥石とフレキシブル砥石の違い

まずオフセット砥石の形状について紹介します。

オフセット砥石の形状は、取付面が一直線になっていません。研磨力は高く、研磨しすぎると資料の厚みが薄くなったり、変形する場合もあります。また、仕上がり面は研磨よりも、切削のイメージが強く場合によっては深い傷がついてしまいます。

一方、フレキシブル砥石は形状はオフセット砥石と同じです。分類的にはオフセット砥石の中のフレキシブル砥石であり、オフセット砥石の中で柔軟性をもったものをフレキシブル砥石と読んでいます。 オフセット砥石より薄く柔軟性があるので、加工物へのなじみが良く、平面だけでなく薄い材料や曲線の研磨にも適しています。

オフセット砥石と比較して、広い範囲をやわらかく研磨するため、深い傷ができにくく綺麗な仕上がりになります。

オフセット砥石の取り付け方と使い方

ディスクグラインダーへのオフセット砥石の取り付け方と使い方をご紹介します。

オフセット砥石の中央が凸になっている面を固定フランジ側にして取り付けます。

ディスクグラインダーは15°~30°ほど傾けてディスク面を使用します。角度を大きくするほど強く研磨することが可能ですが、表面に傷が付きやすいうえ、使用者への危険が増してきますので注意が必要です。

新しい砥石は角がとれていないので、押し進めながら研磨していると、砥石の角が材料に食い込み反発する可能性があります。 砥石を変えて間もない頃は、本体を引きながら研磨し、砥石の外周部を削り角を落とす必要があります。

砥石の角が丸くなったら押す・引くどちらの動作でも問題ありません。

オフセット砥石を使う上での安全確保について

基本に沿った使い方をしていれば安全性は問題ありません。

ここでは基本と、安全確保についてご紹介します。 

  • 使用前にオフセット砥石とディスクグラインダーの仕様がマッチしているかを確認する。
  • オフセット砥石に記載の最高使用速度以下で必ず使う
  • ディスクグラインダーの砥石カバーを必ずつける
  • オフセット砥石に状態異常がないことを確認する。
  • 防塵メガネ、防じんマスク、耳栓、手袋を着用する。
  • 作業場周辺の安全性を確保する。
  • 加工物は確実に固定する。 

参考文献
https://www.resibon.co.jp/products/tech-basic/
https://www.okayasanso.co.jp/purpose/cutting/4336
https://diytool.biz/disk_grinder_grinding_stone_kind
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223013533260/

安全カッター

安全カッターとは

安全カッター

安全カッターとは、薄い紙類を切断したり、布・シート類を切断したりする際に使用する工具です。

カッターによる事故は、出したままになっている刃による切創が一番の原因です。安全カッターは、この切創事故を軽減するために考案されました。

通常のカッターは、切断作業をした後、刃がそのまま出ていますが、安全カッターは自動で刃が元に戻るようになっていたり、刃が剥き出しになっていない作りになっていることで事故を防ぎます。使用する用途に合わせた安全カッターを使用することによって、作業の安全性や正確性の工場につながります。

安全カッターの使用用途

安全カッターは、学校やホビー、DIYなどから商店、事務、専門的な現場まで幅広い分野で使用されます。

特に商店やスーパーなどでは、開梱作業を頻繁に行う場合に、思わぬ切創事故を防ぐために使用する場合が多いです。また、学校では子供達の安全のために導入されています。

安全カッターの原理

安全カッターは、刃によって切創する危険を軽減するために設計されたカッターです。できるだけ、刃の露出が少なくなるように作られています。

刃の露出を少なくするために「刃が自動的に戻る機能を持つもの」と「刃が剥き出しになっていないもの」の2種類に分別されます。

1. 刃が自動的に戻る機能を持つ安全カッター

刃を装着する部分にスプリングがついているので、切断が終わり刃が対象物から離れると刃が自動的に本体に収納されます。

2. 刃が剥き出しになっていない安全カッター

刃が本体内に収まっており、剥き出しになっていないため、刃による切創を防げます。本体の一部にスリット状の窪みがあり、そこが刃の格納場所です。スリットに切断したいものを滑り込ませるようにして切断します。

また、「刃の露出を少なくする」という点以外に、安全カッターの刃は一枚刃であるという要素があります。通常のカッターは刃がきれなくなってきたら、先端の刃を折って新しくしますが、安全カッターの刃は一枚刃です。刃を折ることをなくすことで、刃を折るときの事故の軽減、刃の出し過ぎによるの思わぬ事故を防ぎます。また、刃が折れて混入するリスクを軽減します。

安全カッターの種類

1. スプリングタイプ

本体にスプリングが内蔵されていることによって、切断対象物から刃が離れると、自動的に刃が本体に収納されるタイプです。

2. フックタイプ

本体がくちばしのようなフック形になっており、「すくい切り」するタイプです。刃はほとんど本体に覆われていて、安全性に優れています。箱の中身を切ることなく開けることができるので、開梱作業に適しています。

3. グリップタイプ

グリップを握った時だけ刃が出ます。グリップを離すと刃が本体に収納されます。紙以外にも薄いゴムシート、フィルムなど切りにくい素材にも向いています。

4. セラミック刃タイプ

カッター刃がセラミック製で、刃先がラウンド構造のため、手に接触しても簡単に切創事故に繋がりにくくなっています。また、金属製の刃に比べ耐久性があるので、替え刃の頻度が少なくて済みます。替え刃の頻度が少ないことも事故軽減策の1つです。

5. 落下防止用コード穴つきタイプ

本体の後部に穴があり、不意な落下や紛失を防ぐために紐やコードがつけられるようになっています。

6. 左右両用タイプ

右利き・左利き両方に対応したモデルが多くあります。利き手に合わせたタイプを使用することも、事故防止につながります。

7. 使い切りタイプ

替え刃を交換する必要がないので、誤って刃先に接触して切創する危険がありません。

安全カッターのその他情報

1. 安全カッターの使い方

安全カッターとはいえ、正しく使うことが事故軽減には重要です。

  1. 刃先を出しすぎない
  2. 正しい姿勢で使用する
  3. 手の位置を安全な位置に置く
  4. 焦らず、慎重に作業を行う
  5. 対象物にあった種類の安全カッターを使用する
  6. 使用後はきちんと保管場所に戻し、交換した替え刃は、すぐに安全に始末する
  7. 切りにくくなった刃は事故につながりやすいため、早めに交換する

2. 安全カッターの使用動画例

 

参考文献
http://www.noga.co.jp/products/pdf/threadrepair/doc_threadrepair09_01.pdf
https://www.monotaro.com/p/0920/2331/
https://www.olfa.co.jp/kitter.html
https://sakidori.co/article/387867

金属テープ

金属テープとは金属テープ

金属テープ(Metal tape)は鉛やステンレス、銅箔、アルミ箔、アルミ、磁石など金属を素材に使ったテープで、導電性、または非導電性を持っている強力な粘着力のあるテープです。配管、水廻りの補修、レンジフードダクトなどによく使われます。

一般的には耐熱性、防水性が高いアルミテープがよく使われていますが、アルミ箔にガラス繊維を貼り合わせ強度を高くしたテープやシリコーン系の粘着剤を使用し300℃程度まで使える耐熱アルミテープなど、素材によって機能性と粘着力が異なりますので、使用目的を考えた上で選ぶ必要があります。

金属テープの使用用途

金属テープは住宅、建築、自動車、電気、電子機器などの分野で耐熱、耐火、気密、防水、防炎、防音、導電、熱伝導、遮熱などの目的で使用されています。

使用例は以下の通りです。

  • 空調設備、調理台、流し台など水廻りのすき間シール
  • 金属屋根、外壁などの防水修理に
  • 石油ストーブ、風呂の煙突部分の補修
  • ポット式ストーブや湯沸器のダクトシール
  • エンジンルーム内などの補強
  • トタン屋根、波板などの防水、補修
  • キズかくし
  • 保温筒、グラスウールの固定
  • 床暖パイプの放熱用
  • 構造物の防音制振
  • 排気筒、自動車マフラーの補修
  • 装飾用、反射用、シールド用

金属テープの特徴

金属テープに使われる各素材の特徴は以下の通りです。

1. アルミテープ

一番需要が高い素材で、柔軟性があり、温度耐性に優れています。強度があるアルミガラスクロステープや耐熱性を高くした耐熱アルミテープ、導電性を高めた導電性アルミテープなど機能性を強化した様々なタイプがあります。

アルミガラスクロステープは耐熱性が高く燃えにくいので強度と耐熱性が必要な箇所に使用できます。アルミテープの中で裏面に剥離紙がついているタイプは短く切って貼り付ける作業に、剥離紙がないタイプは切らずに巻きつけながら使う作業に適しています。

アルミ素材は性質上、光沢がありますが、中にはつや消しタイプや黒色のテープもあり、修繕や傷を隠すためによく使われています。

他にも手で切れやすいテープ、アクリル系粘着剤にNi粉が塗布しており静電気が放電される導電性アルミテープなどもあります。

2. 銅箔テープ

導電性、熱伝導性に優れて溶剤、紫外線、湿度、かびに対する高い耐性を持っているので、電磁波のシールドやハウジングのシールド、電極の固定などにも使用可能です。

3. ステンレステープ

さびにくく、耐候性に優れ、屋外でも使用可能なので、屋外防水や屋根、外壁の補修にも使われています。

4. マグネットテープ

粘着剤付の柔軟なゴム磁石で自動車などスチール製品の塗装用マスキングに使われています。

参考文献
http://www.nitto-lmaterials.com/product/drain/tp_alm/
https://www.nitoms.com/products/item/tape/pro/
https://www.techno-kitagawa.com/product/emc-list/conductive_tape_sheet/metal-gasket/cct.html

下げ振り

下げ振りとは

下げ振りとは、構造物の垂直精度を確認するために用いる道具です。

紡錘形のおもりを糸の先端に有しており、下げ振り保持器から吊るした錘の垂直をみることで確認します。液体の入ったガラス容器中の気泡をみる水準器でも垂直を測ることができますが、重力を利用した原始的な下げ振りの方が比較的正確に垂直をみることができます。

また、糸とおもりの代わりにレーザーを使用した下げ振りも存在します。レーザータイプは風の影響を受けにくい構造になっており、糸の巻き取りも不要というメリットがありますが、取り付け面が傾いているとレーザーも傾いてしまうというデメリットもあります。精密な測定のため、補正機能の搭載された製品もあります。

下げ振りの使用用途

下げ振りは、建築や測量の分野で幅広く活用されています。その主な用途は以下の通りです。

1. 柱や壁の垂直確認

下げ振りは、建物の柱や壁が垂直に立っているかを確認するために使用されます。建築工事の際、下げ振りを用いて垂直を確認しながら施工することで、建物の安全性と美観を保てます。

2. 地墨上げ

下げ振りは、建築工事で基準となる垂直線を決める地墨上げにも用いられます。地墨上げとは、建物の基準となる位置を決めるために、垂直方向の基準線を設定することです。この測定具で鉛直基準を設定することで、正確な位置に建物を立てられます。

3. 配管工事での活用

下げ振りは、配管工事においても重要な役割を果たします。配管が垂直に設置されていることを確認するために、下げ振りが使用されます。これにより、配管の機能性と耐久性の確保が可能です。

4. 下げ振りの原理

下げ振りの原理は、重力の原理に基づいて鉛直方向を特定しています。吊り下げ部から延びる糸の末端におもりを取り付けており、重力の作用により、おもりが垂直方向に吊るされます。

糸の頂点と基部における座標を計測し、その距離が等しければ、測定対象は垂直であると判断できます。距離に差がある場合は、測定対象が傾いていることを示します。

下げ振りの構造

下げ振りは、下げ振り保持器、糸、おもりの3つの部分から構成されています。

1. 下げ振り保持器

下げ振り保持器は、糸を吊るすための部品です。壁面に固定するタイプと、三脚に固定するタイプがあります。

2. 糸

測定用の糸材には、耐久性と伸縮性に優れたものが選ばれます。一般的にはナイロン製の糸が用いられます。

3. おもり

おもりは、糸の先端に取り付けられ、重力により垂直方向に吊るされます。おもりの質量は製品の大きさや用途により様々で、一般的には100g〜1,000gの範囲のものが多く使用されています。

下げ振りの特徴

下げ振りは、以下の特徴を持っています。

1. 高い精度

重力を利用して垂直を測定するため、高い精度で垂直を確認できます。水準器と比較しても、より正確な測定が可能です。特に、長い距離での測定において、下げ振りの精度が発揮されます。

2. 簡単な操作

下げ振りは、取り付けが簡単で、特別な技術を必要としません。糸を吊るし、おもりを静止させるだけで、誰でも簡単に垂直を測定できます。一方、レーザータイプの下げ振りでは、ボタン操作だけで測定が可能であり、より簡便に使用できます。

3. 風の影響を受けやすい

下げ振りは、風の影響を受けやすいという特徴があります。特に屋外での使用では、風によっておもりが揺れ動き、正確な測定が難しくなるので注意が必要です。

下げ振りの選び方

下げ振りを選ぶ際は、以下の点に注意が必要です。

1. 用途に合ったタイプの選択

下げ振りには、糸タイプ、レーザータイプ、自動巻き取りタイプなど、様々なタイプがあります。使用する環境や目的に合わせて、適切なタイプを選択することが重要です。野外作業が中心の現場では、気流の干渉を抑制できるレーザータイプや、おもりにカバーが付いたものがおすすめです。

2. 精度の確認

下げ振りの精度は、製品によって異なります。高い精度が要求される現場では、より高精度の下げ振りを選ぶ必要があります。メーカーの公表する精度を確認する必要があります。

3. おもりの重量の選択

おもりの重量は、下げ振りの測定精度に影響します。重いおもりほど、風の影響を受けにくく、素早く静止します。ただし、重すぎると下げ振り保持器への負担が大きくなるため、適切な重量を選ぶことが大切です。

4. 糸の長さの確認

下げ振りの糸の長さは、測定可能な高さに影響します。高い場所での測定が必要な場合は、十分な長さの糸を持つ製品が必要です。また、糸の交換が可能な製品であれば、用途に応じて糸の長さを調整できます。

背抜き手袋

背抜き手袋とは

背抜き手袋

背抜き手袋(英: Rubber Coated Safety Work Gloves) は、手のひら側にゴム素材で滑り止めを施した手袋です。

物を掴んだり、運ぶ作業に適しています。背抜き手袋の手の甲側には空気が抜けるようにナイロンポリエステルのメッシュ素材の繊維が残っているため、通気性が高く長時間の作業でも蒸れにくいです。手のひら側は天然ゴムやニトリル、塩化ビニール、ポリウレタンなどでコーティングされています。

背抜き手袋の使用用途

背抜き手袋は土木、建築、運送、農業、園芸、機械整備、自動車関連、金属部品加工、組立塗装、精密組立、検査、梱包、倉庫作業など、長時間に渡ってしっかり握って持つ作業を行う分野で使われています。

主な背抜き手袋の使用例は以下の通りです。

  • 室内工事作業時
  • ガーデニング・DIY・荷運びなど
  • 木材運搬時、ハードな荷作業
  • 機械部品組立などの油を伴うハードな作業
  • ウッドデッキの解体や組み立て、庭の木の剪定、掃除、雑草抜きなど
  • 自転車やバイク整備
  • 山林での仕事
  • 薪の積み込み
  • 金属の鑢がけ・穴あけ作業
  • 塗装作業時、足場組立解体

背抜き手袋の原理

背抜き手袋は、手のひら側と手の甲側で繊維のコーティング有無が異なることにより、機能性が高められています。

手のひら側は樹脂やゴムでコーティングされており、物を掴むために強化・保護されています。手の甲側はコーティングされていません。生地は繊維のみで、通気性が高く、蒸れにくいことが特徴です。

背抜き手袋の種類

背抜き手袋はコーティング素材によって特徴が異なるため、使用用途に合ったものを選びます。

1. 天然ゴム

ナイロン素材の手のひら側に天然ゴムがコーティングされている背抜き手袋は、軟らかくて低温でも硬くなりません。薄くてフィット性が良く作業性も高いため、細かな作業に役立ちます。耐久性と強力なグリップ力がメリットですが、耐油性や耐溶剤性が低いことがデメリットです。

2. ニトリル

耐油性や耐摩耗性に優れたニトリルでコーティングされている背抜き手袋は、油や突き刺し、引っ掻きに強く、薄くてグリップ力に優れています。細かい作業や自動車整備など油を使う作業に適していますが、低温では硬くなります。

3. 塩化ビニール

塩化ビニールでコーティングされた背抜き手袋は油や洗剤に強く、耐摩耗性や耐久性もあります。フィット性が良いため、手が疲れにくいです。安価で匂いも少ないですが、熱に弱いです。

4. ポリウレタン

ポリウレタン製の背抜き手袋は耐油性、耐酸性、耐アルカリ性に優れており、薄手でフィット性が高く、細かな作業にも適しています。

手の甲側の繊維部にポリエステルを使ったポリウレタンコーティング手袋は繊維ホコリが出にくいため、精密機械の組立作業などクリーンな作業にも使われます。

背抜き手袋のその他情報

背抜き手袋の特徴

一般的な軍手と比較して値段が高いですが、機能性は高いです。ただしコーティング素材によって特徴が異なる場合もあります。

1. グリップ力
手のひら側にコーティングが施されているため、軍手と比べて握る力が強いです。

2. 滑り止め
コーティングが施されているため、滑り止め効果が高いです。コーティングする素材によって様々な用途に適用可能です。

3. 通気性
背抜きのため、通気性に優れています。手の甲もコーティングされたオールコートタイプよりも蒸れず、快適に着用できます。

4. 薄手
軍手よりも薄手なため、動かしやすいです。

5. プリント
必要に応じてコーティングがない手の甲にデザインを印刷し、販促品やノベルティとして利用可能です。

参考文献
http://www.ss-sangyo.co.jp/back-gloves/
https://www.p-mizuho.com/
https://www.showaglove.co.jp/professional/type

フィラメントテープ

フィラメントテープとは

フィラメントテープ

フィラメントテープとは、耐水性・耐摩耗性あるポリプロピレンフィルムまたはポリエステル基材を高強度のガラス繊維またはポリエステル繊維で補強し、接着力の高いゴム系粘着剤を塗布したテープのことです。

仮止めテープまたは結束テープとも呼ばれます。ガラス繊維またはポリエステル繊維の繊維方向に対する引張強度に優れ、剥がしたときに糊残りしないのが特徴です。

用途に合わせて、絶縁性・耐熱性・耐UV性などに優れたものもあります。 

フィラメントテープの使用用途

1. 荷造りと梱包

フィラメントテープはその強力な引裂耐性から、重い荷物や箱をしっかりと固定するのに適しています。大型荷物の梱包や荷物の運搬時に、安定性を提供します。

2. 荷崩れ防止

荷物の内部に配置されたフィラメントテープは、荷物の移動や崩れを防止するのに役立ちます。特に輸送中や倉庫での荷物の保護に使用されます。

3. 補強

フィラメントテープは紙や段ボールの補強にも活用されます。強力な引裂性があるため、破損や変形を防ぐために使われることがあります。

4. パレタイザー用途

フィラメントテープはパレタイザー (荷物をパレットに積み重ねる機械) において、荷物を固定するためのストラッピングに使用されます。これにより、積み重ねた荷物の崩れを防ぎます。

5. DIY業務

フィラメントテープはDIYプロジェクトやクラフトにおいて、強力な補強や結束に使われます。特に素材同士の接合や構造物の補強に有用です。

6. 物流業界

物流業界においては、パレットのストラッピングやパッケージングにフィラメントテープが使われ、安全かつ効率的な運搬が実現されます。

7. 建築業界

建築現場では、建材の固定や保護にフィラメントテープが使用されます。特に建築資材の運搬や保管時に強力な固定を実現します。

フィラメントテープの特徴

1. 引裂耐性

フィラメントテープは強力な引裂耐性を持ち、物質の引き裂きや破損を防ぐ能力が高いです。これにより、荷物の梱包や保護、補強などで優れた性能を発揮します。

2. 強力な接着力

フィラメントテープは高い粘着力を持ち、さまざまな表面にしっかりと接着します。これにより、安定性を提供し、物品の保護や補強に役立ちます。

3. 柔軟性

フィラメントテープはその名前の通り、中にガラス繊維や合成繊維が組み込まれており、これがテープの柔軟性と耐久性を高めています。曲面にも適切にフィットし、多様な形状に対応します。

4. 耐候性

フィラメントテープは耐候性が高く、湿気や温度変化にも強いです。これにより、屋外での使用や長期間の保管においても劣化しにくい特性があります。

5. 透明性

一部のフィラメントテープは透明性があり、テープが目立ちにくいため、包装や修理などの際にも美しい仕上がりを保つことができます。

6. バリエーション

フィラメントテープにはさまざまなバリエーションがあり、幅や長さ、引裂耐性、粘着力などが異なるタイプが存在します。これにより、さまざまな用途に合わせて選択することが可能です。

7. 耐久性

フィラメントテープは長期間にわたってその性能を保つ耐久性があります。物品の固定や補強が必要な場面で、長期間の使用にも耐える頼りになる特徴です。

フィラメントテープの種類

1. ガラスファイバーフィラメントテープ

ガラス繊維を中に含んだテープで、高い引裂耐性と強力な補強効果を持っています。重い荷物の梱包や箱の補強などで使用され、物品の保護に適しています。

2. プラスチックファイバーフィラメントテープ

プラスチック繊維を中に含んだテープで、ガラスファイバーテープよりも柔軟性が高い特徴があります。曲面に適切にフィットし、補強や包装に使用されます。

3. 強力粘着フィラメントテープ

強力な接着力を持ちながらも、柔軟性も兼ね備えています。大型荷物の梱包や補強に使用され、テープの接着力が求められる場面に適しています。

4. 透明フィラメントテープ

透明性があり、表面に貼ってもテープが目立ちにくいため、美しい仕上がりを保ちたい場合に使用されます。軽い補強や修理に適しています。

5. 耐候性フィラメントテープ

屋外での使用に耐える耐候性を持ち、湿気や温度変化に対しても劣化しにくい特徴があります。長期間の使用や保管に適しています。

6. 高温耐性フィラメントテープ

高温環境にも耐える特性を持ち、熱に強いテープです。熱伝導率が低いため、断熱材としての使用や熱源からの保護に適しています。

7. カラフルフィラメントテープ

色とりどりのバリエーションがあり、識別や装飾的な使用に適しています。梱包や手芸、アートプロジェクトなどで利用されます。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/76/9/76_9_334/_pdf

脱磁器

脱磁器とは

脱磁器

脱磁器とは、物体に発生した磁気を取り除くための装置です。

一般的に鉄などの磁性体は磁場の中に置かれると、磁気を帯びます。一度帯びてしまった磁気を取り除くことを脱磁と呼びます。鉄鋼材料など、磁気を帯る性質を持つ材質の製造過程において、脱磁は重要な工程の1つです。

理由として、製品によっては磁気を帯びているのが望ましくない場合があることが挙げられます。例えば、周辺の金属を引きつけたり、周囲の電子機器に不具合を発生させたりする恐れがあります。そのほか、加工中に発生した金属粉の付着、電気めっきの品質に影響を及ぼす可能性があるため、製造工程において脱磁は非常に重要です。

なお、脱磁は消磁と呼ばれることもありますが、どちらも意味に違いはありません。また、磁気を帯させることは着磁といいます。

脱磁器の使用用途

脱磁器は、様々な物質の磁力を取り除くために使われます。鋼材やパイプ製品、自動車分野ではエンジン部品や足回り部品、金型などです。金属製品の加工においては、さまざまな理由で金属粉が発生します。加工の際にワークが磁気を帯びていると、周囲にある金属粉が付着してしまいます。また、熱処理や熱処理歪みを取り除くための矯正作業を行った後にも、脱磁器が使われます。

鉄鋼材料を用いた部品では、強度を上げるために熱処理が行われます。例えば、浸炭素焼き入れや高周波焼き入れなどの強化方法です。焼き入れは材料の強度が高まりますが、一方で製品の表面に割れが生じる可能性があります。焼き入れ後など金属製品の表面の割れを検査する方法に、磁気探傷があります。磁気探傷によって検査した製品は磁気を帯びるため、磁気探傷後には脱磁作業が必要です。

私たちの身近な製品における脱磁器の使用例は、ねじを回すためのドライバーなどの工具です。磁場中に置かれた金属製の工具は磁力を持ってしまうことがあります。磁力を帯びると金属と引きつけ合ったり反発し合ったりして、作業に支障をきたしかねません。一般向けとしても販売している小型の脱磁器を用いることによって、不要な磁力を取り除くことができます。

脱磁器の原理

脱磁器は、磁区をばらばらにすることで磁力を取り除きます。磁区とは磁性体の中にある磁力を持つ細かな区画のことです。物体が磁性を帯びているときには、磁区は一定方向に力を持つことによって磁力を帯びています。脱磁器は対象物の磁区をばらばらにして力の向きを変えることで、全体として磁力を0に近づける仕組みです。

脱磁器では対象物に交番磁界という磁界を、減衰しながら与えることによって、磁区の向きを不揃いにします。交番磁界は位相が反転する磁界です。磁性体に交番磁界を与えることによって、均一な方向を向いた磁区には、磁気エネルギーを与えられます。さらに、交番磁界のエネルギーが減衰することによって磁区は乱されて、様々な方向を向くようになり、対象の磁力はなくなります。

脱磁器のその他情報

1. 交番磁界を発生させる方法

脱磁器で使われる交番磁界を発生させるには2つの方法があり、それぞれ適した使い方があります。

交流電流
脱磁コイルに交流電流を流すことで磁力を取り除きます。表面の脱磁に適した方法です。交流の周波数は私たちが日常使っている50Hz、60Hzでも使用できます。

直流反転電流
正負を繰り返し減衰する電流を用いて磁力を取り除きます。内部の脱磁に適した方法です。直流電流は0.2~数Hz程度で正負を変動させます。

2. 交番磁界を減衰させる方法

距離減衰
距離減衰はコイルなどに一定の磁場を発生させた状態で、対象物を遠ざけることによって磁界を減衰させる方法です。具体的な作業では、脱磁コイルに対して製品をゆっくりと通過させることによって与える磁界を減衰させます。

電流減衰
コイルなどに流す電流の大きさを徐々に弱めることによって、磁界を減衰させる方法です。電流減衰では対象物は動かさずに固定したまま、脱磁を行うことができます。

参考文献
https://www.j-ndk.co.jp/product/index_datsuji.html
http://kanetec.co.jp/guide.pdf

アレスタ

アレスタとは

アレスタ

アレスタとは、雷などによる機器の損傷を防ぐための避雷器です。

雷が直撃すると、その周辺には大きな電流と電圧が爆発的に発生します。これらは雷サージと呼ばれ、電気機器にさまざまな悪影響を及ぼします。送配電機器だけでなく、電線を通して電気の需要設備も破壊する危険性もあります。

アレスタの設置目的は、この雷サージを放電させ、電気機器を雷から保護することです。

アレスタの使用用途

アレスタは雷によって発生する雷サージから電気機器を保護するために使用されます。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • 発電所・変電所の受電盤・配電盤内部
  • 電解用の大型直流通電装置内部
  • 架空計装用配線の中腹
  • 架空電話回線の中腹
  • 低圧電源ライン中腹

アレスタは信号配線保護用と電力用送配電線保護用の2種類があり、それぞれ大きさや規模が違います。また、屋外の電気施設では落雷の影響を受ける可能性が高く、アレスタによって保護することが一般的です。

アレスタの原理

アレスタは放電方法によって、放電させるためのギャップ付アレスタとギャップレスアレスタの2つに大別されます。

1. ギャップ付アレスタ

ギャップ付アレスタとは、電線と接地極の間にギャップが存在する避雷器のことです。通常はギャップの性質で絶縁されていますが、雷などの異常高電圧が発生するとギャップの絶縁が破壊されて大地に電流を放電します。ただし、1度に複数回落雷を受けると絶縁が破壊されてしまう恐れがあります。また、小型化が困難である点もデメリットです。

2. ギャップレスアレスタ

ギャップレスアレスタとは、ギャップが存在しない避雷器のことです。ギャップを利用しない代わりに酸化亜鉛などの素子が用いられます。電流-電圧特性が落雷保護に理想的である点が特徴で、定常時に大地へ流れる電流が最小限で済みます。現在はこちらのアレスタが主流です。

アレスタのその他情報

1. アレスタの分類

アレスタは目的に応じて、電源用と通信用に分けることができます。電源用で使用する場合には、クラスⅠからクラスⅢに分類可能です。  

  • クラスⅠ・・・電力の引込盤  
  • クラスⅡ・・・分電盤内、制御盤内  
  • クラスⅢ・・・電気機器・電子機器の近く

通信用では、A1・A2・B1・B2・B3・C1・C2・C3・D1・D2のようにカテゴリが細分化されています。

2. アレスタの設置基準

アレスタは電気設備技術基準により、500kW以上の電力契約をしている需要家には設置することとなっています。PAS (気中負荷開閉器) 、UGS (地中線用負荷開閉器) などアレスタが内蔵された装置を選定した場合には、それを代替として使用可能です。

アレスタの設置目的は、電気・電子機器を雷サージ電圧から保護することであるため、サージ発生時に素早く大地へ放電することが重要です。したがって、避雷器の設置場所や接地抵抗の考慮が必要となります。設置場所については雷サージが侵入しやすい場所に設置するのが望ましいので、受電点に設置するのが一般的です。

また、異常電圧を抑制するには、避雷器の接地抵抗低減が効果的です。接地極をA種とする場合は、接地抵抗は10Ω以下と定められていますが、さらに低くすることで大きな効果が得られます。接地抵抗を抑えるには電線の太さを太くするまたは接地線の敷設距離を短くするなどの方法があります。また、埋設する金属を増やしたり、大きくしたりすることも効果的です。 

よく似た言葉に避雷針がありますが、混同しないように注意が必要です。避雷針も設置に際し基準があるため、建築基準法などを確認して設置する必要があります。

3. アレスタの歴史

1960年代までは、ギャップ付アレスタが主流でした。しかし、ギャップ付アレスタはギャップ部分の汚損などにより地絡事故が発生することがありました。また、ギャップを確保するために小型・軽量化が困難であるという欠点もありました。

そのため、70年代になると、日本メーカーによって酸化亜鉛によるギャップレスアレスタが開発されました。小型・軽量化可能であり信頼性も高いため、現在はアレスタの主流はZnOを用いたギャップレス型です。

参考文献
https://www.otowadenki.co.jp/basic2/
https://electric-facilities.jp/denki8/la.html
https://www.m-system.co.jp/mstoday/plan/mame/2010-2011/1101/index.html
https://electric-facilities.jp/denki8/la.html

テープシール

テープシールとは

テープシール

テープシールは幅広い液体耐性を持つPTFE製

テープシールは継手用のシールで材質はフッ素系樹脂の一つであるPTFEです。テープシールは水や水蒸気、油や化学薬品など幅広い液体に耐性があります。また薄くて柔らかく、手で切断することが可能です。

テープシールを巻くときはしっかり密着させる

シールテープは継手のネジ部分の小さな隙間を埋めるために用いるテープです。そのため、使用するときは継手にしっかり密着させて巻きつける必要があります。なお、一度剥がしたシールテープは再利用することはできません。ネジから外したときは新しいテープを巻きつける必要があります。

テープシールの使用用途

配管の継手のシールで利用

テープシールは幅広い薬品への耐性を持ち、柔らかく扱いやすいため継手のシールとして頻繁に用いられます。薬品や水を移送する配管やスチームやガスを移送する配管などの継手にテープシールは用いられます。

研究における薬品の漏洩対策でもテープシールを利用

また研究開発においては薬品の漏洩、揮発を防ぐためナスフラスコ、三角フラスコや蓋付きのガラス瓶にテープシールを巻くこともあります。テープシールは耐薬品性に優れているため、有機溶媒や酸、塩基水溶液など幅広い液体の保管、輸送容器のシールに用いられます。

テープシールの特徴

テープシールは引っ張ると薄く伸びて密着させられる

テープシールはフッ素系樹脂であるPTFEを薄く、柔らかくしたシールです。PTFEはほとんどの酸、塩基、有機溶媒に対して高い安定性を示す材質であるため、テープシールも耐薬品性に優れています。テープシールは引っ張ると薄く伸びる性質があります。巻きつけたい対象に引っ張りながらテープシールを接触させることで密着させることができます。

継手のシール時は巻きつける方向に注意

継手のネジにテープシールを取り付ける場合はネジの回る方向(通常は時計回り)と同じ向きにシールを巻きつける必要があります。逆向きに取り付けるとネジを回したときにテープシールが取れる可能性があります。なお、ネジに取り付けるときにネジの端で手を切る可能性があるため、手袋などの保護具を着用してから作業することを推奨します。

一度外したテープシールは再利用不可

テープシールは-100℃から260℃までの温度で使用することが可能です。また耐候性にも優れるため長期間使用することが可能です。ただし一度取り外したテープシールは伸び切って密着性が低下しているため再利用することはできません。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/pages/productinfo/screw_seal/
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223008431092/

帯電防止剤

帯電防止剤とは

帯電防止剤とは、プラスチックや合成繊維といった絶縁体表面に電子が偏在化、蓄積され、静電気が起きる帯電現象を防止する薬剤です。

静電気が起きるとほこりや花粉などが吸着し、汚れの原因となったり、静電気が放電されると不快に感じたり、家電や電子機器においては故障や誤作動につながります。また、帯電したもの同士の間には、静電的な引力や斥力が働くため、ものづくりの工程での不具合を招くケースも多いです。このような静電気によるトラブルを避けるために、帯電防止剤が用いられます。

帯電防止剤には、プラスチックの成形品やフィルムに塗布して使用する塗布型帯電防止剤と、練り込んで使用する練り込み型帯電防止剤があります。

帯電防止剤の使用用途

帯電防止剤は、電気製品や自動車、紙、繊維、印刷、樹脂、フィルム、プラスチック、電子材料など様々な分野で使用されています。使用目的は、商品の性能を向上させるためと、商品の製造工程における不具合をなくしたり、生産性を高めるための2つがあります。

1. 商品の性能向上を目的とした使用用途

  • 家具、衣類へのホコリの付着防止や静電気防止
  • 家電、電子機器などのホコリ付着防止や、静電気による破損、誤作動防止
  • 車のプラ部分各所、室内内張、エンジンカバー、エアクリボックス内側吸入部分の静電気除け
  • 電子機器搬送ケースや緩衝材の帯電防止
  • フィルムなどの付着防止
  • 粉末をいれる袋への粉末の付着防止

2. 生産性向上を目的とした使用用途

生産性向上を目的とする場合、後工程で帯電防止剤を除去するケースと商品性能向上を目的にそのまま残すケースがあります。

  • 繊維製造における紡糸、延伸、紡績工程での帯電防止
  • フィルム製造工程における、フィルム同士の張り付き防止

帯電防止剤の原理

プラスチックの帯電防止方法

図1. プラスチックの帯電防止方法

帯電防止剤は、プラスチックへの塗布 (表面処理)または練り込むことで、プラスチック表面またはプラスチックそのもののイオン伝導性を向上させています。イオン伝導性を向上すると、プラスチック表面が帯電しにくくなるためです。

プラスチックの帯電を防ぐためには、物体の電子伝導性を向上させる方法もありますが、帯電防止剤のほとんどはイオン伝導性を向上させています。

電子伝導性の向上も帯電防止の極めて有効な手段ですが、プラスチックの表面に金属めっきの施工や、カーボンブラックや金属粉などの電子伝導性の高い導電フィラーの添加が必要です。

ただし、これらの処理のほとんどが、カーボンや金属の色がプラスチック表面に着色されるため、黒色、または金属の色がついてもよい用途に限られます。

帯電防止剤の作用機構

帯電防止剤の分類と作用機構

図2. 帯電防止剤の分類と作用機構

帯電防止剤はプラスチック表面に帯電防止剤を存在させることで、プラスチック表面に静電気が帯電しにくい状態にします。施工方法は、塗布型と練り込み型の2通りです。

主に、帯電防止剤などの低分子型帯電防止剤が使用され、練り込み型は低分子型帯電防止剤のほかにも、分子内にイオン伝導性部位をもったポリマーなどの高分子型帯電防止剤が用いられます。

1. 塗布型帯電防止剤

塗布型帯電防止剤は、プラスチック成形品の表面に塗布され、空気中の水分を吸着することで静電気を逃がします。しかし、表面に塗布されているだけなので、掃除などの際の水拭きなどで除去されてしまい、持続性が低いです。

2. 練り込み型低分子帯電防止剤

練り込み型低分子帯電防止剤は、プラスチックに練り込んだ際に表面ににじみ出てくるように設計されており、プラスチック成形後に表面に帯電防止剤の膜が表面に形成され、この部分に水分が吸着されることで静電気を逃がします。そのため、プラスチックへの練り込み量は0.2~2%程度と少なめで効果を発揮します。

塗布型同様に水拭きなどで簡単に取れてしまいますが、拭き取られてもプラスチック内部に帯電防止剤が残っている限りは、内部から再びにじみ出てくることで帯電防止性が復活します。

3. 練り込み型高分子帯電防止剤

練り込み型高分子帯電防止剤は、低分子型と異なり分子が大きいため、にじみ出てくるような効果はありません。そのため、成形直後から表面に必要量存在させておく必要があります。

5~20%とかなりの量を練り込んでおく必要がありますが、プラスチック中にしっかりと組み込まれており、水拭き程度では拭き取られることがない点が魅力です。そのため、効果の持続性では最も長くなります。

帯電防止剤の種類

帯電防止剤の種類

図3. 帯電防止剤の種類

帯電防止剤の種類としては、図3のようなものが代表例として挙げられます。前述したように、種類によって特徴や最適な用途が異なるため、状況に応じて適切な選定が必要です。

参考文献
https://www.dks-web.co.jp/catalog_pdf/585_1.pdf
https://www.hyosinnet.com/unelec_spray.html
http://www.nissin-kk.co.jp/product/taiden.html#ta_01
https://www.techspray.com/esd-products