定量ポンプとは
定量ポンプとは、定められた一定量の液体を繰り返し送液する機器です。
薬液などの正確な注入に適しています。薬液などを移送する定量ポンプは耐食性を求められるため、耐食性に優れた材質で構成されます。駆動源には電気や圧縮空気を使用する場合が一般的です。
定量ポンプの使用用途
定量ポンプは液体を定量抜き出すために使用します。以下は定量ポンプの使用用途一例です。
- 医薬品や化学製品の製造ライン
- 農業や畜産業などでの薬液注入や滅菌処理
- 浄水場の殺菌薬液添加用
- 排水処理工場の中和処理用
主に産業において、製造プロセスの一部に使用されます。浄水場や排水処理工場などのインフラ設備でも広く使用される機器です。
医療分野における定量ポンプは誤差が人命に直結するため、精度の高い液量制御が求められます。
定量ポンプの原理
定量ポンプは往復機構と回転機構に大別されます。
往復機構はピストンを往復させて液を送り出す構造です。ピストンの容積だけ液体を送り出すことが可能です。高い圧力で液体を送り出せる利点を持っています。
回転機構は羽根車などを回転させて液を送り出す機構です。羽根とケーシングの容積だけ液体を送り出すことが可能です。構造が簡単で、幅広い液体に対応することが可能です。
定量ポンプの種類
定量ポンプにはさまざまな種類のポンプが使用されます。
1. プランジャーポンプ
は往復ポンプの一種で、ロッド状ピストンであるプランジャが往復運動するポンプです。連続かつ高圧で定量送液することが可能です。
2. ピストンポンプ
往復ポンプの一種で、ピストンの往復運動で送液するポンプです。送液に伴うシールや弁がピストン側に用いられる点が特徴です。高圧で使用可能な上に効率が良い利点があります。
3. ダイヤフラムポンプ
往復ポンプの一種で樹脂などの弾性膜による往復運動で送液するポンプです。シールレスな点が特徴で、薬液移送用途で多く使用されます。
脈動が発生するという欠点があり、ダイヤフラム動作時にのみ流量が発生します。瞬間的に大流量が出る場合、ピーク流量に合わせて配管径を大きめにする必要があります。エアチャンバーやアキュムレータをポンプ下流に導入したり、位相をずらして複数台並行設置することで脈流を打ち消します。
ストローク幅と回数の変更によって流量調整します。駆動源はさまざまですが、主にモーター駆動と電磁式(ソレノイド式)が使用されます。前者はインバーター、後者は電子制御によってストローク数を変更します。
圧電素子 (ピエゾ素子) を用いた超小型のダイヤフラムポンプはマイクロポンプと呼ばれます。数μL/minといった微小な流量を取り扱うことが可能です。
4. ネジポンプ
回転ポンプの一種で、ポンプ内部でネジ状のローターを回転させて送液するポンプです。脈動が極めて小さい点が特徴です。
5. ギヤポンプ
2枚のギヤがかみ合い、ギヤとケーシングの容積だけ送液するポンプです。ある程度流量が大きいときは脈動が少ない点が特徴です。流量を絞り回転数が少なくなると脈動が現れます。回転数をインバーター制御で調節して流量を調整します。
6. ベーンポンプ
回転ポンプの一種で、羽根車状のベーンとケーシングの容積だけ送液するポンプです。ポンプの中心から少しずれた位置にベーンを設けられます。
7. チューブポンプ
回転するローターに取り付けられた複数のローラーによってチューブ内の液を連続的に押し出すポンプです。定量性が高く機構が単純であり、分析機器の送液や薬液の添加に用いられます。
数μL/min程度の少量の薬液を移送することが可能です。ローラの回転数をインバータで制御することで流量を調整します。
8. シリンジポンプ
注射器のシリンジを一定の速度で押し込む方式のポンプで、全くの無脈動で微小流量の供給が可能です。ただしバッチ処理となり連続供給はできません。医療用などに用いられます。
参考文献
https://www.tacmina.co.jp/products/pump/motor/about/
https://www.iwakipumps.jp/blog/naruhodo/06/
http://magazine.eichitwo.com/?p=574