エリアセンサーとは
エリアセンサーとは、予め設定したエリア内の人や物体を検知するセンサーです。
光線や音波を発信し、その反射もしくは透過を検出することで物体を検知します。セーフティライトカーテンなどもエリアセンサーの1種です。
近年では、2次元の面を検知する製品のみではなく、3次元的に空間の検知をするセンサーも販売されています。
エリアセンサーの使用用途
エリアセンサーは産業用または防犯用などに使用される製品です。以下はエリアセンサーの使用用途一例です。
1. 工場設備の侵入検出
産業機器には、人体を容易に破壊する圧力・トルクで動く設備が多数存在します。産業廃棄物処理用プレスや石炭燃料運搬用ベルトコンベアなどがその一例です。これらの設備に作業者や通行人が不用意に近接した場合、人身災害の危険性があります。
容易に接触できないようにパンチングメタルや手すりで囲って対策するのが一般的ですが、人の出入りが頻繁な箇所や定期メンテナンスが必要な箇所を完全に覆ってしまうと不便です。そのような箇所にはエリアセンサーを設置して、人が侵入した際に設備が停止するようにします。なお、このような安全用途で使用されるエリアセンサーをセーフティライトカーテンとも呼びます。
2. 無人搬送車の物体検知用
工場や自動倉庫では省人化やコスト削減を目的に、自動で物品を搬送するAGV (無人搬送車) が使用される場合があります。AGVの走行方向や周辺の物体検知に、エリアセンサーが使用されるケースも多いです。なお、AGVに使用されるようなエリアセンサーは、セーフティライトスキャナなどとも呼ばれます。
3. 人の検知
自動ドアの開閉や門燈の点灯のため、人の検知を目的として利用されることもあります。人を検知するセンサーを特に人感センサーと呼びます。
また、防犯用途として夜間の不許可侵入者を検知するために使用される場合があります。防犯カメラに付属し、人を見つけるとズームしたり警報を発報したりします。照明器具とセットで防犯用センサーライトとして、販売されていることも多いです。
エリアセンサーの原理
エリアセンサーの検知媒体としては赤外線、超音波、可視光などが用いられます。
1. 赤外線
赤外線は、可視光よりも波長が長い光線のことです。目視できず景観を損ねないため、一般用防犯器具から産業用途まで幅広く使用される検出媒体です。一般的には、1~1,000μm程度の波長光を使用して検知します。
赤外線は外気よりも、温度が高い物体から自然と放出される特徴があります。その特性から体温を持つ人体の検出に最適で、門燈や防犯照明の点灯などに使用されます。また、水栓の開閉には感知温度差による検知方法が用いられる場合があり、検出エリア内で温度差を検知した後に電気信号に変換して検出する機構が用いられます。
2. 超音波
人間の可聴域よりも波長が短い音波を超音波と呼びます。超音波は、人の耳には聞こえない上に反射速度で周囲の物体を検出することが可能なため、エリアセンサーに使用される場合があります。超音波で物体を検出するセンサーを超音波センサーとも呼びます。
音が反射して戻ってくるまでの時間を測定した後に、電気信号に変換して物体との距離を検知します。
3. 可視光
可視光によって物体を検知するセンサーを光電センサーと呼びます。光電センサーと同様の原理を使用したエリアセンサーも販売されています。光を出す投光部と光を受ける受光部から構成され、投光が遮光または反射したことを受光部で検知して物体を検知します。
エリアセンサーの種類
エリアセンサーには上記原理の違いなどから以下のような種類が存在します。
1. ライトカーテン・セーフティライトカーテン
複数の光電センサを並べて平面検知とした製品をライトカーテンと呼び、特に安全対策に特化した製品をセーフティライトカーテンと呼びます。一般的に、エリアセンサーと言うとこの種類を指す場合が多いです。
2. 赤外線センサー・人感センサー
赤外線を検出するセンサーで、人の検知に使用される場合が多いです。防犯や安全の確保を目的としています。
3. レーザースキャナ
レーザースキャナは、光線を扇状に発信することで周囲の物体を感知するセンサーです。センサーを中心に広い範囲を3次元的に検出可能です。特に安全の用途で使用されるレーザスキャナをセーフティレーザースキャナと呼びます。
近年は、検出範囲の広さから、車載センサーとして開発も盛んに行われています。