トリエチルアルミニウム

トリエチルアルミニウムとは

トリエチルアルミニウムの基本情報

図1 トリエチルアルミニウムの基本情報

トリエチルアルミニウム (Triethylaluminium, TEA) は、化学式C6H15Al、分子式Al(C2H5)3で表される、アルキルアルミニウム (有機アルミニウム化合物) の一つです。CAS登録番号は、97-93-8です。

分子量は114.165、融点は-50 ℃、沸点は128-130 ℃であり、常温では密度0.8324 g/mLの無色透明の液体です。水に難溶 (溶解度は0.002g/100mL・20℃)ですが、エタノールやエーテルなどの有機溶媒に混和します。

CAS登録番号は、97-93-8で、揮発性物質です。腐食性を持ち、空気に触れると自然発火します。また、水と爆発的に反応しメタンガス等を発生するため、空気との接触、空気中の水分や水との接触がさけるべき条件になり、内容物を不活性ガス中に保管することが必要です。

トリエチルアルミニウムの使用用途

トリエチルアルミニウムは、ロケットエンジンの点火器・ナパーム剤や高性能ジェット燃料への添加剤など高性能燃料の成分として多く用いられています。これは、トリエチルアルミニウムが酸化されやすく空気中では自然発火する性質を持つためです。

また、反応性が高いことから、化学材料・反応剤としても多く用いられます。代表的な用途は窒化アルミ製造原料、アルミメッキ原料、及びトリエチルガリウム (TEG) 製造原料や医薬合成の反応剤、化学工業における重合触媒などです。

その他には、有機アルミニウム試薬として、実験室スケールの有機合成一般にも用いられています。

トリエチルアルミニウムの原理

トリエチルアルミニウムの原理を合成方法と化学的性質の観点から解説します。

1. トリエチルアルミニウムの合成方法

トリエチルアルミニウムの合成方法

図2. トリエチルアルミニウムの合成方法

トリエチルアルミニウムは、アルミニウムジエチル亜鉛との反応により合成可能です。工業的には、エチレン・水素・アルミニウムを用いた多段階反応により効率的に合成されています。その他に、Al2Cl3Et3から合成する合成ルートも存在します。

2. トリエチルアルミニウムの化学的性質

トリエチルアルミニウムの化学的性質

図3. トリエチルアルミニウムの化学的性質

トリエチルアルミニウムは、AlEt3と表記されますが、実際は2分子が会合してAl2Et6のような構造で存在しています。反応性が強く、還元剤として各種反応に利用される有機金属化合物です。その酸化されやすさのため、トリエチルアルミニウムは、空気中では自然発火する性質を持ちます。

また、水とは爆発的に反応します。これらの性質から、空気との接触、空気中の水分や水との接触を避けて保管する必要がある化合物です。ヘキサントルエンなどの炭化水素触媒に可溶であるため、しばしば炭化水素溶液で扱われます。もしくは、不活性ガス中にて保管します。

四塩化チタン (TiCl4) もしくは三塩化チタン (TiCl3) とトリエチルアルミニウムを混合したものはチーグラー・ナッタ触媒と呼ばれ、オレフィンの重合に用いられます。この触媒中におけるトリエチルアルミニウムの役割は、四塩化チタン (TiCl4) もしくは三塩化チタン (TiCl3) の活性化です。

トリエチルアルミニウムの種類

現在、市販されているトリエチルアルミニウムには、有機合成化学用試薬としての製品や、工業用化学薬品製品などの種類があります。トリエチルアルミニウムは空気中で自然発火するため、実験室用の試薬製品では通常、ヘキサンまたはトルエン溶液の状態で取り扱われます。

1.0mol / L溶液100mLなどの製品などが主流です。これらの溶液製品においても、加水分解しやすく水と接触すると容易に沈殿を生じます。そのため、このような試薬を採取する場合は、よく乾燥して窒素を充填した注射器等を用いることが必要です。

工業用製品では、純粋なトリエチルアルミニウム製品も提供されている場合がありますが、大変危険なため水や空気を遮断した専用容器にて取り扱われます。容量には、150mL程度のものから、0.4L , 1Lレクチャーボトル、10L , 20L , 100L鋼製ボンベ、1.45m3特殊鋼製シリンダーまで、様々な種類があります。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/0642.html

テトラゾール

テトラゾールとは

テトラゾール (英: tetrazole) とは、分子式CH2N4で表される複素環式芳香族化合物です。

分子量は70.05で白色の板状結晶です。環内に窒素を含む五員環化合物はアゾール (英: azole) と呼ばれますが、4を意味する接頭語テトラ (英: tetra) をアゾールの前に付けて、テトラゾールと呼ばれます。五員環の構成元素の内4つが窒素原子、1つが炭素原子となっています。また、ヒュッケル則を満たしており、芳香族化合物としての性質を有しています。

テトラゾールは、1H‐1,2,3,4‐テトラゾールと2H‐1,2,3,4‐テトラゾールの互変異性体として存在しており、溶液で両異性体を分離することはできません。

テトラゾールの使用用途

1. 自動車用エアバッグシステム

テトラゾールの誘導体である5-アミノテトラゾールは、熱や衝撃により多量の窒素ガスを放出することが知られています。このような性質を活かし、自動車用エアバッグシステムのガス発生剤として、毒性や爆発性等種々の問題を持つアジ化ナトリウム系ガス発生剤代替として用いられることがあります。

2. 電子材料分野

電子材料分野では、エッチング用途として用いられています。エッチングとは、化学薬品などの腐食作用を利用した表面加工の技法です。

プリント基板や半導体の電子回路は、基盤に貼り付けた銅箔から不溶部を取り除くエッチングにより形成されます。テトラゾール誘導体を銀用のエッチング液などに添加することで、銀が過剰にエッチングされにくくなります。

3. 創薬化学分野

テトラゾールはカルボン酸と同程度の酸性を示しながらも脂溶性が高いという特徴を有しています。そこで、カルボン酸をテトラゾールで置換すれば、同じく脂溶性の生物細胞と相性が良いと考えられ、服用した薬物が全身に循環する割合が向上すると期待できます。このようなことから、セフェム系抗生物質やサルタン系血圧降下剤の構造の一部となっています。なお、これら医薬品は欧州を中心とするジェネリック医薬品メーカーが生産しているようです。

4. その他

その他の用途としては、核酸医薬の分野でも使用されています。核酸合成法の主流であるホスホロアミダイト法 (1980年代に開発) の中で、カップリング反応を行う工程においてテトラゾールは用いられています。

テトラゾールのその他情報

1. テトラゾールの性質

融点は89~91 ℃、沸点は156~158 ℃、白色の板状結晶で、昇華性があります。

水やエタノールアセトン、そして酢酸には可溶ですが、エーテルやベンゼンには難溶です。窒素原子に付いた水素原子はプロトンとして外れやすいため、水溶液は酸性を示します。また、金属と置換してできるテトラゾールの金属塩は、加熱したり、強くたたいたりすると爆発します。

1位の窒素原子に結合したプロトンはpKa = 8.2で、カルボン酸と同程度の酸性を示します。このため、カルボン酸の等価体として用いられることがあります。熱や衝撃により爆発することがあります。

2. テトラゾールの製造法

シアン化水素 (HCN) とアジ化水素 (HN3) を反応させることにより、製造することができます。

また、テトラゾール誘導体はニトリル (R-C≡N) とアジ化化合物 (-N3を有する化合物の総称) 誘導体の付加環化反応により得られます。

3. テトラゾールの取り扱い

消防法に定める、第5類アゾ化合物 第1種自己反応性物質に該当します。

湿気と熱を避ける必要があり、保管時には不活性ガスの充填が必要です。熱、火花、裸火のような着火源から遠ざけ、粉砕、衝撃、摩擦が起こる取り扱いをしないよう気を付けて下さい。大量爆発の危険性があります。皮膚と眼に対して刺激があるため、使用時は保護手袋と保護眼鏡を着用するようにします。皮膚に付着したり目に入った場合は、多量の水で注意深く洗い流すようにしましょう。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/288-94-8.html

セレン化水素

セレン化水素とは

セレン化水素とは、セレンと水素の化合物です。

化学式は H2Se で表されます。通常では、無色の気体として存在しており、ニンニクのような臭気と毒性があることが特徴で、硫化水素に性質が似ています。水溶液 (セレン化水素酸) 中では、セレン化物イオン (Se2-) と水素イオンに電離しやすいです。そのため、酸性を示します。

セレン化水素の使用用途

セレン化水素は、セレンとアルミニウム粉末をマグネシウムリボンの火を用いて反応させ、セレン化アルミニウムとし、その後、窒素気流中で水を滴下することで得られます。

主に、有機セレン化合物の合成に使用されています。有機セレン化合物には、セレノール、セレニド、ジセレニドなどがあり、これらも別の化合物の合成原料として使用されています。その他にも、半導体に少量のセレンを添加 (ドープ) するのに用いられることもあります。

セレン化水素の性質

セレン化水素は下記のような点で硫化水素と性質が似ています。これはセレンと硫黄が同じ16族の元素 (カルコゲン)であることに起因すると考えられます。 セレン化水素と硫化水素はともにカルコゲンの水素化合物として類似の性質を持っています。

1.沸点が低い

水素結合図1. 水素結合

セレン化水素の沸点は -41.25℃ です。硫化水素の沸点は-60℃ なので近い温度ですが、セレンや硫黄と同じカルコゲンの水素化合物である水 (H2O)の沸点 は100℃ であり、非常に高い温度になっています。

液体の水は水素結合によって水分子同士が強く結合しているため、この結合を切って気化させるには高いエネルギーが必要です。水分子は極性分子といって分子内部で電気的な偏りがあります。したがって、ある水分子の中にあるわずかに正の電気を帯びた水素と近くの水分子の中にあるわずかに負の電気を帯びた酸素が電気的に引き合います。

セレン化水素や硫化水素も極性を持つ分子ですが、セレンや硫黄の電気陰性度は水素よりわずかに大きい程度なので極性は小さくなっています。そのため、水素結合が弱く結果として沸点が低くなっています。

2.刺激臭がある

セレン化水素にはニンニクのような強い臭いがあり、吸引すると鼻や呼吸器の粘膜が刺激されます。硫化水素にも「腐った卵の臭い」と表現される刺激臭があります。

3.水に溶けると酸性を示す

セレン化水素の電離図2. セレン化水素と硫化水素の電離

セレン化水素を水に溶かすと、セレン化物イオン (Se2-) と水素イオンに電離します。そのため酸性を示します。硫化水素も水に溶かすと、硫化水素イオン (HS) や硫化物イオン (S2-) と水素イオンに電離して、酸性を示します。

4.燃えやすい

セレン化水素の燃焼図3. セレン化水素と硫化水素の燃焼

セレン化水素は非常に燃えやすく、燃えると水と二酸化セレンができます。硫化水素は燃えると水と二酸化硫黄ができます。二酸化セレンは常温で固体ですが、二酸化硫黄は常温で気体です。

セレン化水素の構造

セレン化水素の分子の形は折れ線型分子構造になっています。2つの水素原子の間の結合角は約91° です。このような構造のため、わずかに極性があります。

セレン化水素のその他情報

1. セレン化水素の製造

セレン化アルミニウムに水を加えると酸化アルミニウムと共に生成します。また、セレン化アルミニウムに塩酸を加えると塩化アルミニウムと共に生成します。

セレンと金属の化合物から生成する方法の他にセレンの単体と水素を直接的に反応させることでも生成可能です。

2. セレン化水素の安全性情報

労働安全衛生法では、危険物・可燃性のガスに指定されており、毒劇法においては、毒物 (指定令第1条) に指定されています。

セレン化水素は高圧ガス保安法で特殊高圧ガスに指定されています。特殊高圧ガスには他にアルシン、ジシラン、ジボラン、ホスフィン、モノゲルマン、モノシランが指定されていて、いずれも可燃性・毒性があり危険なガスです。

水、アルカリ、酸化剤、ハロゲン化炭化水素に接触すると、火災や爆発を起こす恐れがあります。空気に触れると爆発性混合ガスを生成する危険性があります。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/7783-07-5.html

セライト

セライトとは

セライトとは、ケイソウ土を炭酸ナトリウムとともに焼成した多孔質固体です。

ケイソウ土の一種という位置づけであり、セライトという商標名で、ケイソウ土そのものとして販売されてている商品もあります。成分は主に酸化ケイ素で、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどを含みます。

セライトの使用用途

セライトの原料であるケイソウ土は、植物性プラントンの1つであるケイソウの化石です。植物プランクトンの化石には、微細な穴が開いており、セライトは、それを利用してろ過に使用します。

1. 工業的用途

果汁や医薬品・ゼラチン・排水・オイルなど、粘度が高いものでも、比較的安定に長時間のろ過が可能です。工業的には、ろ過速度を維持するために、セライト水に混濁させて、ろ紙の間に約2mm厚でプレコートして使用する方法が多く用いられています。

2. 実験室的用途

実験室でも、ろ紙では目詰まりがひどい検体のろ過に用いられます。また、物質によってろ過される速度が違うので、実験室的には液体クロマトグラフィーのカラムや薄層クロマトグラフの薄層成分、カラムクロマトグラフィーの担体にも使われます。

セライトの特徴

セライトの原料となるけいそう土は、数万年~数千万年前に地球上に繁殖していたけいそうと呼ばれる藻 (植物プランクトン) の化石です。ケイソウは現在も世界中の海や川や湖に生育しています。

海藻とおなじく一般に藻類の仲間です。特に細胞の周りにガラス質の殻をもつものを、ケイソウと呼びます。ケイソウは、地球上いたるところに生育する単細胞の光合成生物です。数十マイクロメートルの大きさで、水中のシリカを取り込んで、内部と外部に通じる0.1~1.0μmの無数の細孔を作ります。

そして、ケイソウが大量に死滅、沈積し、化石となると、シリカ質の遺骸のみを残してケイソウ土となるのです。このケイソウに炭酸ナトリウムを加え焼成すると、セライトとなります。

セライトの種類

セライトは、ろ過性能によっていくつかの種類に分かれます。一般的にケイソウ土といわれるグレードの製品も、セライトという名称で発売されており、ろ過がスムーズな液に使用されています。

ろ過の難しい液やゲル、コロイドに使用されるグレードは、国内では503と535、545です。一般的には535と545が多用されています。

1. セライト No. 503

  • 粒径:12~20マイクロメートル
  • 流速比:約900
  • 150メッシュの残留率:9%
  • 用途:比較的ろ過しずらい液に使用

2. セライト No. 535

  • 粒径:20~30マイクロメートル
  • 流速比:約1,350
  • 150メッシュの残留率:9%
  • 用途:比較的ろ過しずらいビール・果汁・寒天・抗生物質・酵素・ポリマー・アルギン酸・粗糖・アルカリ液・動物油・グリセリン・糖液・水処理水などに使用

3. セライト No. 545

  • 粒径:25~40マイクロメートル
  • 流速比:約2,160
  • 150メッシュの残留率:12%
  • 用途:ニカワ・ペクチン・鉱物油・寒天・松ヤニ・ラテックス・タール、触媒など粘度が高く、異物の特に多い原液に使用

セライトのその他情報

1. セライトの法的規制

セライトは、労働安全衛生法では、名称等を表示すべき危険有害物に指定されています。 (※安衛法57条・有害物表示対象物質 労57-2)

また、CASNoはケイソウ土として68855-54-9が付加されています。

2. セライトろ過の原理

ろ過は、小さな穴の開いたろ剤を通して異物を取り除く作業です。ろ紙の場合、セルロースに物質が吸着しやすく、引っかかって、次第に詰まってしまいます。セライトの主成分である二酸化ケイ素は、物質を吸着しにくい性質を持っています。

セライトをろ紙の上に敷き詰めると、ろ紙に物質が吸着して詰まるを防ぎ、ろ紙を詰まらせる原因になる微細な粒子は、セライトが捕捉してくれるので、スムーズなろ過ができ、時間が節約できます。また、セライトを使っている場合、表面を削れば再度ろ過スピードを上げることが可能です。

スルホン酸

スルホン酸とは

スルホン酸は、炭素骨格にスルホン基が置換した有機化合物の総称です。

スルホン基は、親水性を持つ置換基であるため、スルホン酸は水に溶け、水溶液は、強酸性を示します。

母体の炭化水素の違いにより、脂肪族スルホン酸・芳香族スルホン酸・複素環系スルホン酸などの種類に分かれます。

例えば脂肪族スルホン酸は、アルカンと三酸化硫黄との反応により合成されます。芳香族スルホン酸は、芳香族炭化水素を発煙硫酸でスルホン化することにより得られます。

スルホン酸の使用用途

スルホン酸の主な用途は、染料・界面活性剤・医薬品などの有機化合物の合成時によく利用されています。代表的なスルホン酸化合物を以下に示します。

  • メタンスルホン酸:医薬品塩の酸成分・脱水縮合反応の酸触媒として使われています。
  • ベンゼンスルホン酸:酸触媒・試薬・ベシル酸塩にする原料として用いられています。
  • p-トルエンスルホン酸:酸触媒、合成時に副成されたオルト体は、サッカリンの原料となります。
  • トリフルオロメタンスルホン酸:純硫酸の約1000倍の強酸性を示します。そのため、酸触媒として、利用されています。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/75-75-2.html
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/98-11-3.html
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/1493-13-6.html

スルホラン

スルホランとは

スルホランとは、無色~黄褐色の澄明 (ちょうめい) ~微濁な液体の有機化合物です。

化学式はC4H8O2S、分子量は120.00、CAS登録番号は126-33-0です。ブタジエンと亜硫酸ガスとの反応で生成するスルホレン (Sulfolene, Dihydrethiophene-1, 1-dioxide) を接触還元することで生産されます。

スルホランの使用用途

スルホランの使用用途は主に下記の通りです。

1. 反応溶媒

スルホランは非プロトン性の極性溶媒として働きます。化合物の分極を増大させ、また化合物をより多く溶解させることで反応性を向上させます。非プロトン性の溶媒であるので、アニオンに対する溶媒和が小さくアニオンの活性も増強されます。

これに対し、カチオンは溶媒和され安定化されます。このためヘテロ原子のアルキル化反応やアシル化反応、芳香族嗅覚置換反応、ダイポール付加反応、水素化ホウ素ナトリウムによる還元反応、フリーデルクラフト型ニトロ化反応などで使用されます。同類の非プロトン性極性溶媒であるジメチルスルホキシドやDMFと比較して副反応が低いというメリットがあります。

2. 抽出溶媒

石油精製プロセスで灯油や軽油を得る方法は次の通りです。まず原油を蒸留した時の蒸留残差を減圧蒸留します。この減圧蒸留した各留出物に対し接触還元や熱分解を施します。ここで得られる灯油や軽油はB (ベンゼン) 、T (トルエン) 、X (キシレン) などの芳香族化合物を含みます。この芳香族化合物は燃焼効率を低下させたり、燃焼後、人体や環境に悪影響を与えます。また、芳香族化合物自体は化学原料としての一定の需要があります。

そこで灯油や軽油と芳香族化合物を分離し灯油や軽油を精製する操作が必要となります。この操作は芳香族溶媒抽出法と呼ばれます。溶媒抽出法では、さまざまな極性溶媒が検討されていますが、スルホランを用いる方法をスルホラン法と言います。

そのほか天然ガスなどを精製する際に発生する排ガスから酸性ガスを抽出する溶媒、脂肪族炭化水素からメルカプタンや三塩化リンを抽出する溶媒、ナフサから硫黄を抽出する溶媒として使用されます。

3. 高分子用溶媒

スルホランはポリアクリロニトリルやポリフッ化ビニルなどを良く溶かします。また、ポリアミドやポリアクリロニトリルなどを重合により生成する際の反応溶媒としても使用されます。

4. 添加剤

スルホランはポリビニルアルコールポリ塩化ビニル、ポリアミドに可塑剤として転化されます。高分子の粘性を保持するための安定剤やカラー写真としての分散剤としても転化されます。

5. リチウム電池の電解液

スルホランは、沸点が高く、化学的にも安定な化合物です。さらにリチウム塩化合物を溶解させる性質があるため、リチウムイオン電池の電解液として使用されます。

6. その他

その他では半導体基板の洗浄時の洗浄溶媒、コンデンサの電解液、ポーラログラフィー用溶媒として用いられています。

スルホランの性質

スルホランは、融点が27℃、沸点が285℃、引火点が174℃、水に極めて溶けやすいです。ほとんどすべての溶媒と混和します。また脂肪族炭化水素よりも芳香族炭化水素の溶解性がよい性質があります。溶解力が強く、通常の高分子を溶解させます。さらに溶解度は小さいが、イオウを溶解することもできます。

熱安定性は220℃まではきわめて良好ですが、これ以上では徐々に亜硫酸ガスを 発生して分解します。無水塩化コバルト (Ⅱ) 、三フッ化ホウ素、ボラン類と錯体を形成します。

スルホランのその他情報

法規情報

スルホランは、消防法で「危険物第四類・第三石油類・危険等級Ⅲ 水溶性」に指定されているだけで、毒劇法や安衛法といったその他の主な国内法規での指定はありません。

参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0119-0570JGHEJP.pdf
https://www.nite.go.jp/chem/chrip/chrip_search/dt/html/GI_10_001/GI_10_001_126-33-0.html

スカンジウム

スカンジウムとは

スカンジウムとは、元素記号がSc 、原子番号が21の元素です。

スカンジウムは第3族元素、希土類元素、遷移元素です。銀色の軟らかい金属であり、空気中で酸化されることによって淡黄色もしくは淡桃色の不動態が生成します。また、常温の状態でハロゲン元素と反応するという特徴も持っています。

地球上において、スカンジウムはとくに希少な元素ではありません。存在度は15-25ppmと予想されており、元素の中で50番目に多いと言われています。しかし、濃縮されて存在している訳ではなく、鉱物中に少量混ざっています。

スカンジウムの使用用途

スカンジウムは、ハロゲン元素との反応性が高いだけでなく、価格も高いため、元素や化合物の状態を問わず、あまり応用されてきませんでした。しかし、近年は新素材として注目を集めています。

最も注目を集めているのが、照明への利用です。ヨウ化スカンジウム (ScI3) をメタルハライドランプに使用することでより強い光が得られることが報告されました。それ以外にも、アルミニウム合金に添加したり、ニッケル・アルカリ蓄電池の陽極にスカンジウムを加えて電圧の安定や長寿命化を計るなどの用途も見出されています。

スカンジウムの重量比で考えた主な用途は、高機能素材であるアルミニウム-スカンジウム合金です。一部の航空宇宙用部品のほか、自転車、野球、射撃、ラクロスなどのスポーツ用品の材料になっています。

スカンジウムの性質

スカンジウムの比重は2.99、融点は1,541°C、沸点は2,836°Cです。スカンジウムは水や希酸に、徐々に溶解します。熱水や酸には容易に溶けます。

ただし、フッ化水素酸と硝酸を1:1で混合した溶液には反応しません。これは不動態層が形成されるためだと考えられています。スカンジウムを空気中で燃焼すると、黄色い輝く炎を発し、酸化スカンジウム (III) を形成します。通常スカンジウムの酸化数は+3です。

常温常圧で安定なスカンジウムの結晶構造は、六方最密充填構造 (HCP、α-Sc) です。加熱することによって、さらに2つの形態 (β、δ) があります。それぞれの結晶構造は、立方最密充填構造と面心立方格子です。

スカンジウムのその他情報

1. スカンジウムの名称

スウェーデンの分析学者であるラース・フレデリク・ニルソン (英: Lars Fredrik Nilson) が、スカンジナビア (英: Scandinavia) を意味するラテン語のスカンジア (英: Scandia) から、スカンジウムと命名しました。

なお、スカンジウム源はスカンジナビア半島やマダガスカル島で産出される希少鉱石のトルトバイタイト (英: Thortveitite) 、ユークセナイト (英: Euxenite) 、ガドリン石 (英: Gadolinite) などが知られています。例えば、トルトバイタイトには最大で45%のスカンジウムが、酸化スカンジウムとして含まれています。

2. スカンジウムの生成

カリウムリチウム、塩化スカンジウムの共晶混合物を、700〜800°Cで電気分解することで、金属スカンジウムが生成されます。

3. スカンジウムの同位体

天然に存在するスカンジウムの同位体は、45Scの1種類のみです。スカンジウムには13個の放射性同位体が知られています。その中で最も安定な46Scの半減期は、83.8日です。

また、47Scの半減期は3.35日、48Scの半減期は43.7時間、残りのすべての半減期は4時間以下であり、その多くは2分以下です。さらにスカンジウムには、100以上の核異性体が存在します。スカンジウムの同位体の質量数は、40から54の間を取ります。

質量数が45未満のものは電子捕獲などによって崩壊し、その生成物はカルシウムです。それに対して、質量数が45より大きいものは主にベータ崩壊が起こり、崩壊生成物はチタンです。スカンジウムの安定同位体は、超新星爆発時に起きるr過程により合成されます。

参考文献
https://www.ecomer.biz/msds/sc.pdf

ジイソプロピルエーテル

ジイソプロピルエーテルとは

ジイソプロピルエーテルの基本情報

図1. ジイソプロピルエーテルの基本情報

ジイソプロピルエーテル (英: Diisopropyl ether, DIPE) とは、分子式C6H14Oで表される有機化合物です。

イソプロピルエーテルの名称で呼ばれることもあります。示性式は(CH3)2CH2Oと表記され、二級エーテルに分類される化合物です。CAS登録番号108-20-3の有機化合物です。

分子量102.17、融点-60℃、沸点68℃であり、常温では無色の澄明な液体です。特異臭を呈します。密度は0.725g/mLです。エタノールジエチルエーテルに極めて溶けやすく、水に溶けにくい性質があります。

ジイソプロピルエーテルは、引火点が-6.7℃と低く、引火性の高い液体及び蒸気です。このため、消防法では「危険物第四類・第一石油類・危険等級Ⅱ」に指定されており、労働安全衛生法では「名称等を表示すべき危険有害物」「危険物・引火性の物」に指定されています。

ジイソプロピルエーテルの使用用途

ジイソプロピルエーテルは、抽出溶剤、一般溶剤、合成化学原料などの用途で広く使用されています。抽出溶剤としては、動植物油、鉱油、ろう、樹脂などを溶解するために用いられます。それ以外にも、医薬、抗生物質等の抽出溶剤として用いられる他、タバコからニコチンを抽出したり、魚の肝臓からビタミンAを抽出したりするなどの用途があります。香料の抽出や、希薄水溶液から酢酸乳酸、石炭酸などを回収する際にも利用されている物質です。

一般溶剤としては、アルコールとの混合溶液は硝化綿を溶解してコロジオン液をつくることが知られており、帽体原糸、タイプ原紙などに用いられます。また無煙火薬、ラバーセメントの製造などの用途もある他、ペイントワニス類のはく離剤、レンズ、金属部品の清拭剤としても使用される物質です。

合成原料としては、染料の製造などの用途があります。アルキル化剤として用いられることの多い物質です。また、イソオクタンとの混合液はアンチノッキング剤としてガソリンに添加されています。

ジイソプロピルエーテルの性質

1. ジイソプロピルエーテルの合成

ジイソプロピルエーテルの合成

図2. ジイソプロピルエーテルの合成

ジイソプロピルエーテルは、イソプロピルアルコールから合成されます。無機酸によるイソプロピルアルコール同士の合成反応の他、ウィリアムソンエーテル合成反応などの方法があります。

また、プロピレンの水和反応によるイソプロパノールの合成の際、副生成物として生成する化合物でもあります。

2. ジイソプロピルエーテルの化学的性質

ジイソプロピルエーテルの関連物質

図3. ジイソプロピルエーテルの関連物質

ジイソプロピルエーテルは、光により変質するおそれがあります。保管時には、高温と直射日光を避けることが必要です。

また、年単位の長期間に渡って空気中で放置した場合には爆発性の過酸化物 (ペルオキシド) を生成する恐れのある物質です。安定剤として、重合禁止剤であるヒドロキノンが利用されることもあります。ヒドロキノンは、ラジカル捕捉剤としての効果があります。この理由により、ジイソプロピルエーテルの代替物としてしばしばメチルターシャリーブチルエーテルが利用されます。

ジイソプロピルエーテルの種類

市販されているジイソプロピルエーテルの種類には、主に研究開発用試薬や、工業用薬品などがあります。

研究開発用試薬製品は、100mL、500mL、1L、2.5L、12kgなどの容量の種類で提供されています。実験室で取り扱いやすい容量規格です。通常、室温保管可能な試薬製品として取り扱われます。安定剤としてヒドロキノンを含む場合があります。

工業用薬品の荷姿の種類には、石油缶 (12kg) 、ドラム (143kg) 、コンテナ (1000L) 、ローリーなどがあります。工場などでの大スケール需要に合わせた容量規格です。

参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0116-0951JGHEJP.pdf
https://www.nite.go.jp/chem/chrip/chrip_search/dt/html/GI_10_001/GI_10_001_108-20-3.html

ジアゾメタン

ジアゾメタンとは

ジアゾメタンの基本情報

図1. ジアゾメタンの基本情報

ジアゾメタン (Diazomethane) とは、有機化合物の一種で、分子式CH2N2で表される物質です。

分子中にジアゾ基を持つため、ジアゾ化合物に分類されます。ジアゾメタンはジアゾ化合物の中で最も単純な構造の物質であり、CAS登録番号は、334-88-3です。

分子量42.04、融点-145℃、沸点-23℃であり、常温ではカビ臭を呈する黄色の気体として存在しています。密度は1.4 (空気=1) です。爆発性が高いため、衝撃、熱、光、アルカリ金属の存在によって爆発する場合があります。

水とは反応しますが、エーテルないしはジオキサン溶液は比較的安定です。それ以外では、ベンゼンに容易に溶解し、エタノール、エチルエーテルに僅かに溶けますが、アルコールとも徐々に反応して分解する性質があります。

また、皮膚刺激や吸入によって人体に害を及ぼす物質であるため、取り扱いには注意が必要です。労働安全衛生法では、名称等を表示すべき危険有害物、危険物・可燃性のガスに指定されています。

ジアゾメタンの使用用途

ジアゾメタンの主な使用用途には、メチル化剤、農薬原料、医薬原料などがあります。有機合成の実験室では、特に、カルボン酸やフェノール性ヒドロキシ基のO-メチル化 (メチルエーテル誘導体やメチルエステル誘導体を生成する) やケトンのエポキシド化を経由するC-メチル化などの反応に使用されています。

爆発性があるため、通常はエーテル溶液、もしくはジオキサン溶液として用時調整して使用されますが、より安全で扱いやすい代替試薬が用いられることも非常に多いです。

ジアゾメタンの特徴

ジアゾメタンの共鳴構造式

図2. ジアゾメタンの共鳴構造式

ジアゾメタンはπ電子が非局在化しているため、ルイス構造は共鳴混成体として表現され、分子構造は直線構造です。非常に不安定な物質であるため、前述の通り、衝撃、摩擦、振動を加えると、爆発的に分解することがあります。

100℃への加熱や、粗面との接触も爆発を誘引する因子です。さらに、希釈していない液体や濃縮溶液中に不純物や固体が存在する場合にも、高強度の光の下で爆発することがあります。

ジアゾメタンの種類

ジアゾメタンそのものは、非常に不安定で危険な取り扱いにくい物質であるため、市販されていません。前述の通り、通常はエーテル溶液、もしくはジオキサン溶液として用時調整して使用されます。

一方、トリメチルシリルジアゾメタン ((CH3)3SiCHN2) は、ジアゾメタンとほぼ同様な反応性を持つ物質でありながら、爆発性のない安定な液体です。扱いやすいため、化学試薬として一般に市販もされています。

どうしてもジアゾメタンそのものを用いないとならない特別な場合を除いて、一般的にはこちらを用いることが主流であり、安全面からも望ましいとされます。トリメチルシリルジアゾメタンの試薬製品は、通常は10%ヘキサン溶液などの状態です。5mL , 25mL , 100mLなどの種類があり、冷蔵保管が必要な試薬として取り扱われます。

ジアゾメタンのその他情報

1. ジアゾメタンの合成

ジアゾメタンの合成法

図3. ジアゾメタンの合成法

ジアゾメタンは前述の通り爆発性があるため、エーテルまたはジオキサン溶液として用時調整して使用します。アシル化またはスルホン化されたN-メチル-N-ニトロソアミンを濃アルカリ水溶液中と反応させて合成する方法が一般的です。

具体的な実験操作としては下記の流れで得ることができます。

  1. 濃アルカリ水溶液の上にエーテルないしはジオキサン層を張って二層系ビーカーを用意する。
  2. 氷冷下攪拌しながらN-メチル-N-ニトロソアミン誘導体を少量ずつ加える。
  3. エーテル層に発生するジアゾメタンを捕集する。

2. ジアゾメタンの化学反応

ジアゾメタンは、光分解によりメチレンCH2を発生する物質です。酸塩化物と反応させると、ジアゾメチルケトンまたはクロロメチルケトンが生成します。

活性なアセチレン類の三重結合やエチレン類の二重結合とは、1,3-双極子付加反応してピラゾール誘導体ないしはピラゾリン誘導体を生成します。また、アーント・アイシュタート合成による環状ケトンの環拡大反応などにも利用される物質です。

フェノールあるいはカルボン酸のO-メチル化剤として汎用される場合、氷冷した過剰量のジアゾメタンのエーテル溶液を攪拌し、フェノールあるいはカルボン酸の溶液にに少量ずつ加えて反応を進行させる実験操作が一般的です。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/0748.html

シラン

シランとは

シランは、ケイ素の水素化物で、特異な臭気を有する無色の気体です。

化学式SiH4で表される無機化合物で、分子量は32.12です。ケイ素 (Si) の数が1つの場合の水素化物をシラン (別名: モノシラン) と言い、ケイ素の数が2つの場合の水素化物をジシラン、ケイ素の数が3つの場合の水素化物をトリシランと言います。

シランの使用用途

シランは、半導体シリコンの原料であり、工業用材料として重要なものです。420 ℃以上でシランがケイ素 (Si) と水素 (H) へ分解するため、シリコンの化学蒸着に使うことができます。

シランの4つの水素が、アルコキシ基とアルキル基に置き換わった化合物 (例えば(CH3O)3SiCH3) は、主に無機フィラーなどの表面処理による分散、流動性改良などに使用されます。また、ヘキサメチルジシラザン ((CH3)3SiNHSi(CH3)3) は無機材の表面処理による有機樹脂へのなじみ改良などに用いられます。

また、ジメチルクロロシラン ((CH3)2SiHCl) は、シリル化剤やシランカップリング剤などの原料となります。これらは、有機質材料と無機質材料とを結びつける重要な役割を果たしており、医薬品合成や合成樹脂、接着剤、ガラス繊維など、様々な用途で利用されています。

さらに、ジメチルクロロシランの加水分解・重合を行えば、シリコーンオイルが得られます。シリコーンは、シロキサン結合 (ケイ素と酸素が交互に結合してポリマーが形成された状態) に有機基が付いたオルガノポリシロキサンをベースとした材料の総称です。

シリコーンポリマーは、シロキサン結合が主骨格であるため耐熱性や耐候性、化学的安定性などに優れています。有機基 (主にメチル基CH3) を有することから、撥水性や離型性といった独特の界面特性も備えています。

ケイ素系高分子化合物ポリシラン (主鎖がSi-Si結合で構成され、側鎖としてメチル基やフェニル基などの有機置換基を有する物質) は、有機感光体材料や有機EL、有機薄膜太陽電池などの光電子材料として知られています。ポリシランの一種であるポリジメチルシランは、炭化ケイ素繊維の原料として利用されています。

シランの性質

空気中の酸素により、速やかに酸化されて水 (H2O) と二酸化ケイ素 (SiO2) に分解します。また、水と徐々に反応するため、取り扱いには注意が必要です。融点は-185 ℃、沸点は-112 ℃で、エーテルやベンゼンクロロホルムエタノールには不溶です。

シランのその他情報

1. シランの製造法

金属ケイ素 (Si) と塩酸 (HCl) との反応で主に生成するトリクロロシラン (SiHCl3) を、触媒を用いた不均化反応によって、ジクロロシラン (SiH2Cl2) 、テトラクロロシラン (SiCl4) 、モノクロロシラン (SiH3Cl) 、シランの混合物を得ます。その後、蒸留によって精製分離することでシランが製造されます。

その他シランの工業的製造法としては、クロロシランやテトラエトキシシラン ((CH3CH2O)4Si) を還元する方法、ケイ化マグネシウム (Mg2Si) とアンモニウム塩とを反応させる方法、トリアルコキシシラン (RO3SiH) を不均化する方法などが知られています。

2. シランの取り扱い・保管

シランは、極めて可燃性・引火性の高いガスで、空気に触れると自然発火することがあります。また、加熱や燃焼によって分解し、シリコン、水素を生じ、火災や爆発の危険をもたらします。そのため、熱や火花のような着火源、酸化剤や酸素、爆発物、ハロゲン、圧縮空気、酸・塩基などから話して保管することが大切です。

容器は密閉し、直射日光や火気を避け、40℃以下の温度で換気の良い場所で施錠して保管します。また、皮膚刺激、強い眼刺激、呼吸器への刺激のおそれがあるため、取り扱いの際は適切な保護手袋、保護眼鏡、保護面を着用し、換気の良い区域でのみ使用する必要があります。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/0806.html