化粧スレート

化粧スレートとは

化粧スレート

化粧スレートとは、セメントを原料として板状に加工したスレートを塗装したものです。

スレートは繊維強化セメント板としてJIS A 5430に規定されており、化粧スレートは国土交通大臣認定の不燃番号NM-8577に指定されています。セメントと繊維を水で混ぜて製作するスレートは、平板の他、波形状のものも存在します。

化粧スレートの他に、粘板岩を薄く切断して板状にした天然スレートという屋根材も存在しますが、コストが高く重量があるため、化粧スレートのほうが多く使用されています。

化粧スレートの使用用途

化粧スレートは屋根材に使用されます。軽量で安価のため多くの住宅用の屋根に使用されます。素材にセメントが入っているため耐火性、耐熱性に優れていますが、塗装が劣化するため、定期的な塗り替えが必要です。

スレートの耐用年数は約20~30年と言われています。セメントでできているため耐水性が少なく、塗装の剥がれは雨漏りのリスクが伴います。

2003年まで、スレートにはアスベストが含まれていました。屋根の吹き替えを行う際にアスベストを含んでいれば、専門の業者に依頼して撤去する必要があります。

削岩機

削岩機とは

削岩機

削岩機とは、先端を振動させ、岩に打ち付けることによって壁や岩を粉砕または穴を空けるための建設機械です。

削岩機は1800年初期にイギリスで発明され、日本では1900年初期に小型の削岩機が開発されました。英語では「 Drifter Drill」や「Rock Drill」と呼ばれ、人力削岩で使われていたRock Barが機械化された物です。ドリルとは、ロックバーを連続反復して石に打ちつけることを意味しています。

削岩機の使用用途

1. 建設現場

削岩機は、土木や建築現場において岩石に穴をあけたり、割ったりする際に使用されます。 建設現場での作業では、舗装面や既設構造物の取壊しなども多く、削岩機が活躍します。

2. 鉱山やトンネル工事

削岩機は、鉱山やトンネル工事などで、岩盤に爆薬を装填するための穴をあけたりする際に使用されます。鉱山やトンネル工事での掘削は、発破工法が広く採用されています。削岩機で削孔することで、効率的な作業が可能となります。

3. 水中工事

削岩機は水中でも使用できるタイプもあり、河川工事などで使用されます。河川工事では水中にある既設物の撤去や、新たに構造物を設置することもあるため、その際に水中で利用できる削岩機が活躍します。

4. 石材加工

削岩機は、石材の切り出しや成形にも使用されます。自然石の加工や美術品の制作などでは、削岩機が重宝します。

削岩機の構造

削岩機は、機械本体・ロッド・ビットの3つで構成され、圧縮空気や油圧、電気で駆動するタイプなどがあります。削岩機の構造はシンプルで、人がノミをハンマーで叩くのと同じ原理で、ロッドの先端に付いているビットを押しつけ、回転と打撃 (振動) により岩石を削孔します。

削岩機の種類

削岩機は土木工事で広く使用されます。削岩機の種類には以下のようなものがあります。

1. 削岩機・ブレーカー・電動ハンマー

削岩機は自然石や岩盤の削孔などに使用され、ブレーカーや電動ハンマーと呼ばれる機械は、コンクリートやアスファルトを壊すために使用されます。削岩機とブレーカーは同じと認識されている方がいますが、削岩機は打撃と回転により対象物を破砕するのに対し、ブレーカーや電動ハンマーは衝撃力のみで破砕します。

ブレーカーは、「大型ブレーカー」と「ハンドブレーカー」の2つの工法に分類されます。大型ブレーカー工法は、油圧ショベルに装着したアタッチメントにより取り壊しを行い、ハンドブレーカー工法は、人力での施工が可能です。機械が侵入できない狭いエリアでの作業に使用されます。

電動ハンマーも基本的には同じ仕組みで、一般的に出力の小さな電動工具を指します。削岩機、ブレーカー、電動ハンマーは同じ役割を持つ建設機械ですが、特徴に違いがあるため、目的にあった機械を選定することが大切です。

2. 振動ドリル

振動ドリルは、一般的にドリルは回転のみの機能であることに対し、振動する機能が備わっているドリルです。工具先端に装着したドリルビットの回転と振動により、コンクリートなどに穴を開けられます。

振動ドリルは、振動を停止する機能がついている商品が多く、電気ドリルとして使用することができます。

3. ハンマードリル

ハンマードリルは、ドリルとハンマーの両方の機能を兼ね備えた機械で穴開けやはつり、溝掘りなどの作業に使用されます。振動ドリルが回転+振動に対し、ハンマードリルは回転+打撃により対象物に穴を開けたりすることができます。ハンマードリルは、「回転&打撃」「回転のみ」「打撃のみ」の3パターンから選択可能です。

4. ダウンザホール

ダウンザホールは、垂直方向に穴を掘ったり岩盤を破砕する工法で、地質調査や採掘現場などで使用されています。スクリューの先端にダウンザホールハンマーを取付け、コンプレッサーから送られる高圧エアーを利用したピストン運動 (打撃) で、強固な岩盤を削孔することができます。

5. クローラドリル

クローラドリルは、クローラ (キャタピラ) により自走可能な車体に、穿孔装置を保持した掘削機械です。主に土木工事や鉱山、採石場などで使用されます。ブームに装着されたドリルは掘削角度を変更することが可能なため、さまざまな現場に対応することができます。

光触媒

光触媒とは光触媒

光触媒とは、光のエネルギーを利用して化学反応を促進する物質のことです。

光触媒は日本で開発されました。1967年に東京大学大学院生であった藤嶋昭氏が、水中の酸化チタン電極に光を当てると気泡が出ていることを発見したのがきっかけです。アナターゼ型の結晶構造をもつ酸化チタン (TiO2) が光触媒として最も多く使われていますが、開発当初は波長の短い紫外線でしか機能しませんでした。

応用できる市場が広い純国産技術ということもあって、国や企業が力を注いだ結果、可視光でも機能する、効率の高い光触媒が次々と登場しています。

光触媒の使用用途

光触媒の機能と用途

図1. 光触媒の機能と主な用途

光触媒は、光のエネルギーさえあれば有機汚染物質を分解可能です。超親水性を発揮するため、幅広い分野で特性を活かした用途があります。

1. 防汚・セルフクリーニング

タイル等の建材やガラス用のコーティング剤として、数多くの実用化事例があります。太陽光があたる屋外では、建築物外壁、窓ガラス、交通標識、看板などに用いることでセルフクリーニング効果と同時に消毒、抗菌、防曇効果が発揮されるためです。

2. 空気中の有害物質の除去

屋内では紫外線ランプと組み合わせて、空気清浄機、脱臭機、エアコンのフィルターなどに用いられています。また、可視光応答型の光触媒であれば、家屋の内壁やドアなどに用いることで、抗菌・防臭とシックハウス症候群の対策に役立ちます。

3. その他

研究開発中のものも含めれば、飲料水の浄化、貯水槽の浄化、大気や湖沼の浄化、排水処理、土壌の除染、人工光合成 (水を分解して水素と酸素を作る) にも使用されています。

光触媒の原理

紫外線があたっている光触媒には、有機物などを酸化・分解する酸化作用と水を全くはじかない超親水性があります。実は光触媒がこれらの機能を発揮するメカニズム、特に下記ヒドロキシルラジカルの発生機構については、研究者の間でも見解が統一されていません。従ってここでは、広く一般的に語られている説明を纏めます。

1. 活性酸素の発生

活性酸素発生のしくみ

図2. 光触媒表面での活性酸素の発生

光触媒に光のエネルギーを与えると結晶内部が高エネルギー状態となり、結晶表面の電子が一時的に結晶構造から離れて移動します。この電子はマイナスに荷電しており、電子が抜けた孔 (正孔) はプラスに荷電していて、どちらも非常に不安定で反応性が高い状態です。

このため、電子は空気中の酸素と結合して O2 (スーパーオキサイドイオン) を作り、正孔は触媒表面に触れる水から電子を抜き取って·OH (ヒドロキシルラジカル) を作ります。

2. 酸化作用

O2 と·OHはいずれも活性酸素と言われるもので、触媒表面に近付く有機物などと反応して酸化分解します。この時、光触媒は酸素と水を活性酸素に変えることで酸化反応を促進しますが、反応には加わらないため自身を消耗することはありません。このように、光触媒は半永久的に効果を発揮します。

3. 超親水性による防汚効果

超親水性のしくみ

図3. 超親水性の発現

活性酸素によって光触媒の表面に吸着した微細な疎水性有機物が分解されると同時に、触媒の表面が水酸基 (-OH) で覆われるために超親水性が発揮されると考えられています。また、水の膜が酸化チタンと汚れの間に入り込むことで、大きな汚れが落ちやすくなります。

光触媒の種類

現在主流となっている光触媒は、酸化チタンあるいは三酸化タングステンをベースとしたものです。酸化チタンは物理的にも化学的にも安定で、価格も比較的安いため、多くの光触媒製品に用いられてきましたが、当初は紫外線のエネルギーしか利用できない等の問題がありました。

この問題を解決するために開発されたのが、三酸化タングステンの光触媒です。現在は、両者のいずれについても、独自の工夫を施した多くの製品が販売されています。

1. 可視光応答型光触媒

太陽光中のエネルギーの割合でいえば、紫外線はわずか約3%で可視光が約50%です。膨大な可視光のエネルギーを利用するために可視光応答型光触媒が開発されました。

現在では、酸化チタンや三酸化タングステンの結晶構造中に微量の窒素や金属を混入させたものや、それらの表面に金属や金属酸化物を付着させたものなど、様々なタイプの可視光応答型光触媒が製品化されています。

2. 防護対象を損傷しない光触媒

光触媒としての性能が高ければ高いほど、有機繊維などの酸化分解されやすい素材に直接触れる形で用いることはできなくなります。この問題を解決するために、アパタイトと複合させて酸化チタンが素材に直接触れないように工夫した光触媒や、有機物基材の表面を覆いつくして光触媒と直接接触させない接合材などが製品化されています。

ロックウール

ロックウールとは

ロックウール

ロックウールとは、建築物の断熱材として使用される鉱物繊維です。

鉄を製造するときに発生する高炉スラグや玄武岩を1,500~1,600℃まで加熱し、回転させることで繊維状に変形させて加工します。用途に応じて、繊維化したものを綿状または板状に加工します。

ロックウールの使用用途

ロックウールは、高い断熱性能や防音性能を持ち、多くの用途で使用されています。建築物の屋根や壁、床の断熱材として使われることが一般的です。

吸音材として使用されることもあります。その他、配管やタンクなどの保温材、防火材、自動車や船舶、鉄道車両などの車両内部も用途の1つです。

ロックウールの特徴

ロックウールは、岩石から作られた繊維状の断熱材です。断熱性や防音性、耐火性などに優れています。

長所

1. 断熱性や防音性が高い
断熱材として使用することで、冷暖房効率を向上させ、省エネ効果を高めることができます。また、防音性能によって、騒音を軽減し、快適な居住空間を実現することが可能です。特に、厚みのあるロックウールを使用することで、より高い断熱効果を発揮します。

2. 耐火性に優れている
ロックウールは耐火性に優れているため、火災のリスクを低減することができます。建築物の防火性能を高める目的として、使用されることも多いです。さらに、耐腐食性もあり、長期間にわたって使用することができます。ロックウールは、自然繊維で作られているため、環境に優しい素材としても注目されています。

短所

1. 有害物質が発生する
切断時に発生する繊維が有害であることです。このため、ロックウールを扱う際は、マスクや手袋などの防護具を着用する必要があります。

2. 湿気に弱い
湿気に弱く、適切な施工が必要です。湿気が入り込んだ場合、断熱性能が低下するため、しっかりと施工する必要があります。

3. 比較的高価
他の繊維と比べると高価です。しかし、その高い性能を考慮すると、コストパフォーマンスは高いと言えます。

ロックウールの種類

ロックウールには、板状のものやロール状のものなど、さまざまな形状があります。また、繊維の種類によっても性能が異なります。例えば、玄武岩を原料とするものや、ガラス繊維を使用したものなどがあります。

玄武岩を原料としたロックウールは、高い耐熱性や耐久性を持ち、防火性能に優れてい流のが特徴です。一方、ガラス繊維を使用したロックウールは、軽量で柔軟性があり、施工性に優れています。

ロックウールの選び方

ロックウールは、用途に合わせて必要な機能があるものを選ぶことが大切です。断熱性や防音性、耐火性の高さは製品によって異なります。

また、厚みや形状、寸法なども検討する必要があります。特に、施工する場所の形状や条件に合わせて、適切なサイズを選択することが大切です。

ロックウールの使い方

1. 板状のロックウール

板状のロックウールは、建物の屋根や壁、床の断熱材として使用されます。この場合、ロックウールを貼り付ける前に、建物の骨組みに合わせて板状にカットする必要があります。

施工方法としては、接着剤を使用して固定する方法や、針金やネジで留める方法などがあります。接着剤を使用する場合は、適切な接着剤を選ぶことが必要です。

2. ロール状のロックウール

ロール状のロックウールは、管やダクトの保温材として使用されることが多いです。ロール状のロックウールは、必要な長さに切り取って巻きつけることが可能で、施工が簡単です。

ただし、ロール状のロックウールを巻きつける際は、十分な厚みを保たせる必要があります。 また、防音効果を高めたい時は、二重構造にしたり、防音シートを組み合わせたりする方法がおすすめです。

メラミン塗装

メラミン塗装とは

メラミン塗装とは塗装する対象物に、熱で硬化するアミノ系メラミン樹脂と、ポリエステル系樹脂アルキド樹脂を合成した塗料を塗布した後に100℃以上の温度を加えて樹脂成分である塗装皮膜を硬化させる焼付塗装です。

一般的に塗料に温度をかけて乾燥させる塗装方式を「焼付塗装」といいますが、メラミン塗装は焼付塗装の中でも硬化させる温度が低いため扱いやすく、焼付塗装の中では一般的な塗装方法になります。

また、メラミン塗装の特性として焼き付けた表面に光沢があります。そして硬化した後の塗装皮膜は耐水性、耐摩耗性、耐衝撃性、耐酸性が優れています。
しかし、耐候性が良くないため紫外線の影響が少ない屋内で使用する事務機器やデスク、パソコンなどに使用されます。

メラミン塗装の使用用途

メラミン塗装の用途としては、車やバイク部品の焼付塗装があります。特に自動車製造においてはメラミン塗装が欠かせません。メラミン塗装は耐久性が高く、傷が付きにくい塗装です。また剥がれにくい特性があるため車両の外板用塗装として使用されています。

また、産業用設備機械の操作ボックスや板金カバーなど塗装の耐久性が要求されるような場所のコーティング、耐熱性が必要とされる電気機器(照明機器、ストーブなど暖房機)、さらに鋼製家具、各種事務機器、シャッター、看板、標識など多くの製品に使用されています。

メラミン塗装の種類

メラミン塗装で使用される塗料はアミノ系メラミン樹脂とポリエステル系アルキド樹脂の二つの成分を混合した塗料です。
実際には、金属の焼付塗装用塗料にするためペースト分散安定剤、消泡剤、レベリング剤を配合します。

このように混合された塗料は熱硬化させる場合、メラミン樹脂とアルキド樹脂の混合比により熱硬化塗膜の硬度が変化します。実際には塗料中のメラミン比率が60%付近のものが最大の硬度を示します。この場合、塗膜自体が硬くなりますが脆くなります。また、アルキド樹脂が多くなると、塗膜が十分に硬化するまで高温で長時間の焼付時間が必要となります。
このため、一般的にはメラミン比率を30%から40%付近に調整しています。この結果塗膜が熱硬化した時の硬度と弾力性のバランスが最適になるように調整されています。

メラミン塗装は1回の塗装で約15ミクロンの塗膜が形成されます。メラミン塗装の特徴として塗膜を重ねて形成することが出来ます。この塗膜の厚さにより製品の見た目や、塗装の耐久性などが変わってきます。製品によっては膜厚を100ミクロン位まで重ねることも可能になります。

重ね塗りの回数に関しては、製品の大きさや、塗装する環境、そして製品の使用目的などで変わってきます。また、塗装色に関しては塗料の素材が樹脂であるため任意の塗装色を選択することが可能です。

シリコン焼付塗装

シリコン焼付塗装とは

シリコン焼付塗装とは、シリコン樹脂を主原料とした塗料を塗布した後、100℃~200℃に昇温した乾燥炉の中に入れて焼付を行う塗装方法です。

母材が乾燥炉に入らない場合は、赤外線ヒーターやヒートガンを使用します。シリコン焼付塗装を施した製品は耐熱性があり、フライパンや鉄鍋などの高温で使用する調理器具に使用します。

焼付塗装は自然乾燥や強制乾燥に比べて短時間で乾燥できる特徴があります。自然乾燥であれば乾燥までに数日かかるものが、焼付塗装では数十分もあれば完全に硬化することが可能です。

シリコン焼付塗装の使用用途

シリコン焼付塗装は耐熱性があるため、高温で使用する材料の塗装に使用します。鉄の中華鍋や天ぷら鍋、フライパンの場合は、内側にシリコン焼付塗装を施すことによって、調理によるフライパンへの焦げのこびりつきや、錆の発生を防いでいます。

調理器具の内側には、シリコン焼付塗装ではなくクリアー塗装のものもありますが、クリアー塗装の場合は調理する前に「焼き切る」という保護皮膜を剥がす必要があります。シリコン焼付塗装を行った器具は、焼き切りの処理は不要です。

シリコン焼付塗装の原理

シリコン樹脂系耐熱塗料の耐熱温度は純シリコン樹脂で200~250℃です。アルミニウム粉末やグラファイト、セラミック粉末を添加すると400℃以上に耐熱温度が上がります。

シリコン樹脂の温度を上げていくと、側鎖の有機基が300~500℃の間で分解し、有機基が完全になくなり無機系塗膜に変換します。無機系塗膜は鉱物などの無機物を主成分としているため、有機物に比べて耐熱性が高いです。

皮膜中に存在するアルミニウムや、その他金属が塗装する母材となる金属の中に拡散して、合金鋼をつくることで、耐熱性はさらに600℃以上になります。

耐酸防止になるほか、耐腐食性も上がります。Si-OHの脱水縮合反応によって、シロキサン結合 (Si-O-Si) が生成されシリコン樹脂塗料が硬化されます。

シリコン樹脂耐熱塗料の処方例として、純シリコンワニス (メチル・フェニルシロキサン) にAlペースト、キシレン、ステンレス鋼紛を配合させたものがあり、配合させる割合を変えることで、常用最高温度が異なります。

エポキシ粉体塗装

エポキシ粉体塗装とは

エポキシ粉体塗装とは、エポキシ樹脂を主成分とした粉体塗料を用いて塗装することです。

エポキシ粉体塗装とはエポキシ樹脂を主成分とした粉末状の塗料を対象物に静電気で付着させたあと、焼き付け工程により樹脂を溶解させて固着させます。

エポキシ粉体塗装に使用されるエポキシ樹脂はプラスチック素材に分類されます。また、工業用接着剤として使用した場合には非常に高い性能を持っています。そして、耐久性、耐水性、耐薬品性、耐食性など優れた特性があります。

一般の塗料には人体や環境に有害な有機溶剤が含まれているため、取り扱いには十分な注意が必要です。しかしエポキシ粉体塗装には溶剤は含まれていません。このため人体や環境に対して影響が低いため、広く使用されています。

エポキシ粉体塗装の使用用途

エポキシ粉体塗装では主成分がエポキシであるため耐久性、耐水性、耐薬品性、耐食性には優れていますが耐候性が劣ります。このため、紫外線の影響が少ない自動車や電機機械、屋内用建具、家具、家電製品、雑貨品のコーティングに使用されます。また、エポキシ樹脂の特性として耐薬品性が高いため薬品槽や工作機械などのコーティングに使用されます。

その他には、エポキシ樹脂の耐水性を生かして水道管の内面をエポキシ粉体塗装でコーティングして配管の防食対策を行う地方自治体もあります。

また金属への密着性、耐食性の高さと、溶剤塗料の上塗り適合性が高いことから、溶剤塗料の下塗りとして使われるケースもあります。

エポキシ粉体塗装の種類

エポキシ粉体塗装に使用されるのはエポキシ樹脂を主成分とした粉末状の塗料ですが、その中でも使用用途にあった特性を持つ粉体塗料が使用されます。 エポキシ樹脂を主成分とするのが一般的なエポキシ粉体塗料です。この塗料は熱硬化性粉体塗料として初めて商業化された製品です。特性として耐久性、耐水性、耐薬品性、耐食性が優れています。しかし、耐候性が劣るため、屋外で使用する場合は紫外線の影響が少ない場所に使用されます。 主な使用用途は自動車部品、屋内金属家具、家電、電気メーター、電機モーター、鉄筋、水道関連資材、パイプコーティングなど野外機器などのコーティング向けとなります。以下にエポキシ粉体塗装の種類を記します。

1. エポキシ樹脂(超低温焼付粉体塗料)

エポキシ樹脂を主成分とした低温焼付熱硬化型粉体塗料です。 通常のエポキシ粉体塗装の焼付温度は180℃位ですが、超低温焼付粉体塗料は110℃(焼付時間は20分)で焼付可能であり耐熱プラスチックなど高温にすることが出来ない素材へのコーティングが可能となります。

2. エポキシ樹脂(ジンクリッチ粉体塗料)

ポキシ粉体塗料に特殊な亜鉛粉末大量の配合して亜鉛の犠牲防食性(使用時に亜鉛部が優先的に腐食するため素地金属の腐食進行を防ぐ)を利用した下塗り用エポキシ粉体塗料です。代表的な用途ではガードレールや照明ポールなどの下地塗装に使用されます。

3. ハイブリッド型(エポキシポリエステル)

「ハイブリッド粉体」と言われている粉体塗料です。 エポキシ樹脂と酸末端ポリエステル樹脂を触媒で反応させてコーティングします。 特徴としては、コーティング後の外観がつや消し塗装となります。また、エポキシを使用しているため耐候性が劣ります。このため使用用途としては消火器、オイルフィルタ、機械部品、電動工具、事務家具などに使用されます。

鋼板曲げ加工

鋼板曲げ加工とは

鋼板曲げ加工

鋼板曲げ加工とは、板状の金属材料に力を加えて変形させる加工方法です。一般的にはベンダーブレーキと言われる曲げ加工専用機を使用します。ベンダーブレーキはこの他にベンダー、ベンディングマシン、ブレーキプレスなど色々な呼び方があります。曲げ加工板金加工の基本的な工法の1つに分類されます。

対象となる金属材料は、スチール、アルミ、ステンレス、があります。一般的に扱える板厚は材質にもよりますが、1.0~3.2mmが多く使用されています。しかし、加工メーカーや素材によっては0.3mmから30mm程度の範囲で加工が可能ですが、一般的に流通していない板厚には対応できないことがあります。

ベンダーブレーキには下運動を行うプレス部分(パンチ)と受け側に金型(ダイ)が上下に設置されています。
パンチとダイの間に曲げ加工を行う素材を設置します。この状態でパンチを下降させ、素材に力を加えて板金など金属素材を曲げます。

パンチが1往復すると、1箇所の曲げ加工が行われるため量産加工に向いています。
金属素材を曲げるには大きな力が必要になるため、油圧式、サーボモーター式、油圧サーボ、機械式など用途に合わせた駆動方式があります。

鋼板曲げ加工の使用用途

鋼板曲げ加工では1工程で1箇所の曲げ工程になりますが、工程を複数回繰り返すことで複雑な構造でも対応することができます。また、鋼板曲げ加工には加工方法により、V曲げ、R曲げ、Z曲げ、ヘミング曲げ(自由曲げ)などの種類があります。

鋼板曲げ加工は非常に多くの製品を製造する場合に使用されています。
身近な物ではワインオープナー、カッターの芯金、ピザカッター、パソコンの筐体などや金属ボックスケース、工業製品では固定金具などの製造に使用されています。
しかし、これら多くの製品は鋼板曲げ加工だけではなく他の加工も併せて加工して製品になることがあります。

鋼板曲げ加工の種類

鋼板曲げ加工には、大きく分類するとV曲げ、R曲げ、Z曲げ、ヘミング曲げ(自由曲げ)の4種類に分類されます。
また、メーカーによってはV曲げ、L曲げ、U曲げ、自由曲げと呼ばれていますが、基本的には、曲げ角が90以上の加工、角のない丸みを帯びた曲げ加工、直角もしくは曲げ部が複数ある加工、曲げ角度が自由な加工の4種類になります。その他はこれらの加工を拡張したものになります。
曲げ加工の場合、1つの加工方法で完結する場合もあれば、複数の加工工程を経て作られる場合もあります。

1. V曲げ

金属素材を90度以上のV字型に折り曲げる加工方法です。V字型のベンダーを使用して加工するため、加工部分の形状が鋭角になります。この加工方法は曲げ加工の中でも非常に多く使用されています。

2. R曲げ

R曲げは、角のないベンダーを用いて曲げ加工を行います。ベンダーに角がなく丸みを帯びているため、加工された金属素材も角のない丸みを帯びた形状になります。

3. Z曲げ

Z曲げは、Z型のベンダーを使用して加工する金属材料をZ形に曲げる加工方法です。
Z曲げの加工方法は2種類あります。
1つはV曲げを2回行う方法です、もう1つは専用のZ形ベンダーを使用して1工程で加工する方法です。

4. 自由曲げ

自由曲げは、V曲げを拡張した加工方法です。一般的には「パーシャルベンディング」と言われています。
自由曲げは、V曲げ加工の途中でパンチを停止することにより金属素材を曲げる角度を自由に調整する加工方法です。この加工方法は、金属素材に加える圧力が低いため他の加工方法と比較した場合、金属素材のそり(スプリングバック)が大きいため、加工精度は低くなります。

メタミドホス

メタミドホスとは

メタミドホス(英: methamidophos)とは、化学式C2H8NO2PSで示される有機リン化合物の1種です。

CAS登録番号は10265-92-6、分子量は141.1、純度の高いものは無色の針状結晶結晶として単離されます。西ドイツのバイエルが開発した殺虫剤で殺虫効果は高いですが、ヒトへの有毒性も強く、日本国内では農薬取締法に基づき製造・輸入・使用は禁止されています。

メタミドホスの使用用途

メタミドホスは、昆虫を殺すために農作物に使用される有機リン系殺虫剤や殺ダニ剤としての用途が知られています。神経伝達物質であるアセチルコリンを分解する酵素アセチルコリンエステラーゼの活性を阻害することにより、分解されずに過剰となったアセチルコリンが神経に作用し、殺虫効果を示します。

日本国内では農薬として登録されていないため使用できませんが、国外では国によっては農作物 (穀類、野菜、果実など) を限定して使用が許可されています。国外では使用されており、国内登録農薬であるアセフェートの加水分解物としてメタミドホスが生成することから、日本においてもポジティブリスト制度やコーデックス委員会 (WHO/FAO 合同食品規格委員会) の基準を参考に残留基準が設定されています。

日本でのメタミドホスの残留基準値は品目によって異なりますが、0.01 ppm~1 ppm以下です。

メタミドホスの性質

メタミドホスの高純度品は融点44.5℃、常温では無色の固体で、玉ねぎの腐敗臭の様なにおいがあります。水への溶解性は高く、アルコール、アセトンなどにも可溶です。一方で、ベンゼンやキシレン、ジクロロメタンやエーテルなどへの溶解度は低いです。また、加熱 (160℃以上) により分解される特徴があります。

メタミドホスのその他情報

1. メタミドホスの人体への毒性

メタミドホスは動物において、シナプスに存在するアセチルコリンエステラーゼの活性を阻害する働きがあります。それによって、アセチルコリンが分解されずに過剰となり、中枢神経系の働きを阻害し、胃けいれん、下痢、嘔吐といった症状が起きます。

これらは典型的な有機リン化合物の中毒症状です。メタミドホスなどの有機リン化合物は摂取量によっては後遺症が残ったり、死に至ることもあります。有機リン中毒の治療としては胃腸を洗浄する、ヨウ化プラリドキシム (PAM) による解毒治療、硫酸アトロピンの使用などが行われます。

食品を介したメタミドホスによる中毒事例は過去に実際に発生しています。シンガポールや台湾では、生鮮野菜を介した中毒事故が発生しています。また、日本国内においても中国製冷凍餃子事件で健康被害が発生し、食の安全を脅かす大きな問題となりました。

2. メタミドホスの合成経路

メタミドホス (O=P(SCH3)(NH2)(OCH3)) は、下記のようなスキームで合成されます。

合成経路1 (米国特許 第3,887,658号)
三塩化リンと硫黄を反応させて塩化チオホスホリルを得ます。

  PCl3 + S → S = PCl3

塩化チオホスホリルをメタノールでエステル化し、O-メチルホスホロジクロロチオエートを得ます。

  S = PCl3 + CH3OH → S = PCl2(OCH3) + HCl

O-メチルホスホロジクロロチオエートをトリエチルアミンなどの三級アミンの存在下で加熱してメチル基を硫黄原子上に転位させ、メタノールおよびアンモニアと化学反応させます。

  S = PCl2(OCH3) → O = PCl2(SCH3)・・・転移反応
  O = PCl2(SCH3) + CH3OH + NH3 → O = P(SCH3)(NH2)(OCH3) + 2HCl

合成経路2 (特公昭42-021811)
塩化チオホスホリルをメタノールでエステル化し、O,O-ジメチルホスホロクロロチオエートを得ます。

  S = PCl3 + 2CH3OH → S = PCl(OCH3)2 + 2HCl

O,O-ジメチルホスホロクロロチオエートをアンモニアもしくはアンモニア水と反応させてアミド化します。

  S = PCl(OCH3)2 + NH3 → S = P(NH2)(OCH3)2 +HCl

ジメチル硫酸等を触媒としてメチル基を硫黄原子上に転位反応させます。

  S = P(NH2)(OCH3)2 → O = P(SCH3)(NH2)(OCH3)・・・転移反応

シクロブタン

シクロブタンとは

シクロブタン(C4H8)はシクロアルカンで別名テトラメチレンといいます。

融点は-80℃、沸点は13℃、常温で無色透明の可燃性液体で、水に溶けずエタノールやアセトンに溶けます。

構造式は正方形で書かれるシクロブタンですが、実際には4つの炭素原子は同一平面状にはなく、約25°の角度で折れ曲がった構造を取ります。

そのため炭素骨格の配置はほぼ80°となっています。
しかし、シクロブタンは曲がった結合を形成することで結合角はほぼ109°となり、通常のシクロアルカンの結合と同様になります。

そのためにシクロプロパンとは異なり無置換のシクロブタンは環開裂反応を起こしにくいです。

シクロブタンの使用用途

シクロブタン単体では、熱源以外の用途はありませんが、その誘導体はさまざまな分野で使用されています。
ペニトレムやグランジソルはシクロブタンが誘導体として構成されています。

例えば、シクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸ジアンヒドリドは洗浄剤や溶剤の材料物質として用いられ、以下の反応剤として使用されています。

  • 生物活性分子および薬理活性分子の合成
  • 高性能有機薄膜トランジスターに用いる光感受性ポリイミド材料の合成
  • 光デバイスに用いるポリイミドの選択的交差架橋

参考文献
https://www.sigmaaldrich.com/JP/ja/product/aldrich/161330