シリコン焼付塗装

シリコン焼付塗装とは

シリコン焼付塗装とは、シリコン樹脂を主原料とした塗料を塗布した後、100℃~200℃に昇温した乾燥炉の中に入れて焼付を行う塗装方法です。

母材が乾燥炉に入らない場合は、赤外線ヒーターやヒートガンを使用します。シリコン焼付塗装を施した製品は耐熱性があり、フライパンや鉄鍋などの高温で使用する調理器具に使用します。

焼付塗装は自然乾燥や強制乾燥に比べて短時間で乾燥できる特徴があります。自然乾燥であれば乾燥までに数日かかるものが、焼付塗装では数十分もあれば完全に硬化することが可能です。

シリコン焼付塗装の使用用途

シリコン焼付塗装は耐熱性があるため、高温で使用する材料の塗装に使用します。鉄の中華鍋や天ぷら鍋、フライパンの場合は、内側にシリコン焼付塗装を施すことによって、調理によるフライパンへの焦げのこびりつきや、錆の発生を防いでいます。

調理器具の内側には、シリコン焼付塗装ではなくクリアー塗装のものもありますが、クリアー塗装の場合は調理する前に「焼き切る」という保護皮膜を剥がす必要があります。シリコン焼付塗装を行った器具は、焼き切りの処理は不要です。

シリコン焼付塗装の原理

シリコン樹脂系耐熱塗料の耐熱温度は純シリコン樹脂で200~250℃です。アルミニウム粉末やグラファイト、セラミック粉末を添加すると400℃以上に耐熱温度が上がります。

シリコン樹脂の温度を上げていくと、側鎖の有機基が300~500℃の間で分解し、有機基が完全になくなり無機系塗膜に変換します。無機系塗膜は鉱物などの無機物を主成分としているため、有機物に比べて耐熱性が高いです。

皮膜中に存在するアルミニウムや、その他金属が塗装する母材となる金属の中に拡散して、合金鋼をつくることで、耐熱性はさらに600℃以上になります。

耐酸防止になるほか、耐腐食性も上がります。Si-OHの脱水縮合反応によって、シロキサン結合 (Si-O-Si) が生成されシリコン樹脂塗料が硬化されます。

シリコン樹脂耐熱塗料の処方例として、純シリコンワニス (メチル・フェニルシロキサン) にAlペースト、キシレン、ステンレス鋼紛を配合させたものがあり、配合させる割合を変えることで、常用最高温度が異なります。

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