ミーリング加工

ミーリング加工とはミーリング加工

ミーリング加工とは、切れ歯の付いた回転する工具を動かすことで工作物を切削加工する方法です。エンドミルやフライスという回転する工具を使用するため、フライス加工とも呼ばれています。

フライス盤やマシニングセンタなどの工作機械を使い加工していきます。

工作物は、角もの・箱もの・丸ものと様々な形状に仕上げることが可能です。
ミーリング加工には、「平面加工」「側面加工」「溝加工」「段加工」「穴加工」などの種類があります。

ミーリング加工の使用用途

ミーリング加工の主な用途は、フライスなどの工具を高速回転させ、前後左右に動かしながら、材料を切削することです。機械部品や金型などの部品加工に使われています。そのため、切削加工を必要とする製造現場では、様々な業界で広く利用されています。

大量生産をするような工場では、マシニングセンタを使用し、加工するのが主流となっています。少量生産や高級素材の精密加工を仕上げる場合には、手動で行う汎用フライス盤が使用されます。

ミーリング加工の種類

ミーリング加工には、目標とする形状や素材の性質などによって、様々な加工の種類があります。
フライス加工には、大きく分けて5種類の加工方法があります。また、使用する工具によって加工方法が異なります。

1.平面加工:テーブルに平行になるように材料の平面を切削する加工です。

  • 「正面フライス」:広い面積を効率的に削り、最も一般的な加工方法です。
  • 「平フライス」:材料の上面を削ります。荒加工や中仕上げに使用します。
  • 「エンドミル」:削れる面積は少ないものの、刃物の交換が少なく効率的に作業を行えます。

2.側面加工:材料の側面を切削する加工です。

  • 「正面フライス」:広い面積を効率的に削ることができます。
  • 「側フライス」:荒加工や中仕上げに使用します。
  • 「エンドミル」:外周の刃で側面を削ります。最も一般的な加工方法です。

3.段差加工:材料の平面と側面を同時に切削しながら、段差を作る加工です。

  • 「正面フライス」:広い面や低い段差の加工に使用します。
  • 「側フライス」:材料の段差を削ります。
  • 「エンドミル」:狭い面や高い段差の加工に使用します。

4.溝加工:材料に溝を掘るための加工です。
「エンドミル」を使用します。
一般的な溝加工の他、ポケット加工・ヘリカル加工などの加工も可能です。

5.穴加工:材料に穴を開ける加工です。
まずは、「ドリル」で穴を開け、「エンドミル」で広げていきます。

ホーニング加工

ホーニング加工とは

ホーニング加工

ホーニング加工 (英: Honing) とは、大量の切削油を流しながら円筒形状の部品内面に砥石を押し付け、回転させて研磨する加工方法のことです。

同じく工作物の内面を仕上げて砥石を使用する内面研削 (英: internal grinding) と似ています。

内面研削と比べて工作物内面に対する砥石の接触面積が大きくなり、ホーニング加工の方が円筒度、真円度、面粗さなどの精度が高いです。そのため高精度が求められる自動車のエンジンシリンダーなどの部品加工に利用可能です。

ホーニング加工の使用用途

ホーニング加工された工作物の内面には、「クロスハッチ (英: crosshatch) 」と呼ばれる細かい網目状の筋ができます。

このクロスハッチは、エンジンのシリンダでは潤滑溝となり、油だまりになるとピストンの摩耗・抵抗が小さくなって、焼き付けを防ぐ役割を果たします。

そのためピストン運動を行う部品には、ホーニング加工が使用される場合が多いです。そのほか、歯車の歯面加工にもホーニング加工が使われています。自動車産業を代表として、農業機械部品や医療器械部品などにも多く利用されています。

ホーニング加工の原理

ホーニング加工は、穴内部の仕上げのための加工方法です。磁石をホーニングヘッドに付け、工作物の内側に強く当てて、往復で回転する動きで仕上げます。

ホーニング加工は、内面研磨よりも穴を開ける精度が高いです。ホーニング加工は穴の内側を磨くため場所は動きませんが、内面研磨は芯だしの方法によって動く可能性があります。

ホーニング加工の種類

ホーニング加工は、ホーニング盤 (英: Honing machines) と呼ばれる工作機械を使います。ホーニング盤の形状、角度、向き、加工方法など、種類は多種多様です。一般的なホーニング盤以外にも、「CNC多軸ホーニング盤」「平行平面ホーニング研削盤」「液体ホーニング盤」の3種類の特殊なホーニング盤があります。内面を加工する以外にも平面、外面、歯車専用のホーニング盤などもあります。

1. 一般的なホーニング盤

ホーンと呼ばれる砥石を放射状に取り付けた工具を回転させながら、軸方向に上下往復運動させることで内面を仕上げます。

2. CNC多軸ホーニング盤

コンピューターを用いた数値制御によって、位置や速度を制御しながら加工します。一般的なホーニング加工の際には、荒仕上げから最終仕上げまで、各工程に応じて砥石の交換が必要です。それに対してCNC多軸ホーニング盤では、自動で全工程を行います。

3. 平行平面ホーニング研削盤

平面に特化して加工可能です。円盤型砥石2枚で挟み込み、往復回転させて加工します。そのため、形が違う場合でも同時に加工でき、複数の部品を同じ高さにできます。

4. 液体ホーニング盤

砥粒や水を混合し、噴射して加工します。つや消し、バリ取り、錆取り、塗装面の下地処理加工などに使用可能です。入り組んだ形状など、複雑な形の場合にも利用できます。

ホーニング加工の選び方

ホーニング加工は内面を仕上げる加工として、高精度の方法です。圧力を加えずにゆっくり研磨するため、熱の影響を受けやすい素材も加工しやすいです。

網目状の模様が残りますが、これはクロスハッチと呼ばれる砥石の回転と上下運動によって生じた研ぎ跡です。回転速度と上下運動速度を制御すれば、網目の交差角は20~60°に変えられます。

その一方でホーニング加工では、穴径の異なるサイズには対応できません。マンドレル (英: mandrel) により穴径が決まるため、加工物の内径に合わせて、マンドレルを準備する必要があります。ホーニング加工では被削材の形の変化が小さいため、前加工の精度が影響します。前加工の精度が良くない場合には内面研削の方が有利に働き、ホーニング加工では修正できないため注意が必要です。

絞り加工

絞り加工とは

絞り加工とは、金属板を金型・パンチによって押し込むことで、円筒状や箱型などの形状に成形する塑性加工法のことです。

絞り加工は、プレス加工の中でも特に板材を加工する技術の一つであり、主に金属容器や筒状の製品を作る際に使用されます。絞り加工の工程は、まず金属板を切断し、必要な大きさに切り揃えます。切り揃えた後、板を金型・パンチの上に載せ、上下のパンチで圧力をかけることで板を押し込み、形状を作り出します。

形状を作る際、パンチの形状によって作り出される製品の形状が決定されます。絞り加工の用途は、自動車や航空機、家電製品など、非常に幅広いです。また、高度な技術が要求される難削材や薄板加工にも応用されています。

絞り加工の使用用途

絞り加工は、容器をはじめとする様々な製品の製造に使用されています。継ぎ目のない円筒・角筒・円錐・角錐状の底付容器などの形状を、一枚の薄い金属板から成形できるためです。

絞り加工で作られる製品には、食品容器やペットボトルなどの小型のものから、自動車の燃料タンクやボディパネル、航空機の機体、建築設備の排水管やキッチンシンク、医療機器のケースなどの大型のものまで多岐にわたります。

さらに、絞り加工は高い加工性能から、自動車や航空機、住宅設備、食品製造機器、通信機器、医療機器などの多くの産業分野で、工業製品の部品として使用されています。その他、金型の設計・製作によって製品の形状を自由自在に設定することができるため、複雑な形状の製品も生産可能です。3Dプリンターと組み合わせて用いられることもあり、高度な技術が求められる分野で利用されています。

絞り加工の原理

絞り加工は、板材を金型上に配置し、専用の工具を用いて圧力をかけることで成り立つ加工方法です。絞り加工の金型には、円筒形や角筒形、円錐形や角錐形など、様々な形状があります。金型は板材が加工される際に、その形状に沿って加工されるため、金型の形状が最終的な製品形状に大きく影響します。

加工をはじめる際、板材を金型に設置して位置決め行い、板材に一定の圧力をかけることで成形が可能です。圧力をかける際に使用する工具をパンチと言います。パンチは板材の上部に配置され、圧力をかけることで、金型に沿って板材を加工が可能です。パンチは金型の形状に合わせて設計されるため、最終的な製品形状に合わせて専用のパンチが作られます。

加工が完了すると、板材は金型から取り外されます。専用の工具によって板材が切断されることによって不要な部分が切り離され、最終的には金型に沿って加工された板材が目的の形状に成形できます。

絞り加工のその他情報

1. 絞り加工の方法

絞り加工には、目標とする形状や素材の性質などによって、様々な加工方法があります。一般的な加工方法は、上下から金型を挟んで加圧することで成形する方法です。熱や液圧などを利用して成形する特殊な加工方法もありますが、代表的な加工方法として「温感成形法」と「対向液圧成形法」が挙げられます。

温感成形法
金属板に熱を加えた状態で加圧し、成形する加工方法です。加熱すると伸びるという金属の性質を利用し、通常の加工方法よりも深く絞ることができます。アルミニウムやステンレスなどの加工性が低い金属の加工に適しています。

対向液圧成形法
液体を満たした液圧室にパンチを押し込み、その時に生じる液圧を利用し、成形する加工方法です。液体から均等に圧力を受けるため、局所的な板厚減少を抑制し、傷やへこみが発生しにくいというメリットがあります。

2. 絞り加工の長所・短所

長所
絞り加工は、継ぎ目がなく滑らかな表面を持つ製品の成形が可能です。プレス加工の中でも比較的低コストで行うことができるため、金型を作成するコストが高い他の加工方法と比較しても、大量生産向いています。

短所
絞り加工では、板の厚さが均一であることが重要です。また、製品の形状によっては、複数の加工工程が発生します。そのため、金型の製作には時間がかかり、製品の種類によってはコストが高くなることもあります。

機械加工

機械加工とは

機械加工

機械加工とは、工作機械を使用して材料(例えば金属やプラスチック)を特定の形状に加工する作業のことです。

機械加工の手法は大きく3つに分けられます。1つ目の除去加工は、具体的な方法として「切削加工」「研削加工」「放電加工」があり、これらは材料から余分な部分を取り除くことで目的の形状を作り出します。

2つ目の成形加工は、「板金加工」「プレス加工」などが該当し、力を用いて材料を変形させます。3つ目の結合加工は、「溶接加工」「ロウ付け加工」が挙げられ、複数の材料を連結して1つの製品を作成します。

機械加工には、多種多様な工作機械が利用されます。「旋盤」「ボール盤」「中ぐり盤」「フライス盤」「研削盤」「歯切り盤」「マシニングセンタ」「ターニングセンタ」「放電加工機」などが主に使用され、使用用途は多種多様です。

機械加工の使用用途

機械加工の使用用途は、主に製品の完成に至るまでに必要な部品の作製です。具体的な設計図を基に、目指す形状へと材料を精密に加工します。

機械加工は一貫した精度で同じ形状の製品を大量生産する能力があり、工場製品を生産する目的にとって非常に重要です。同一の製品を一定の品質で大量に作り出すことは、製造業において必須の要素となります。

加えて、求められる形状が異なるため、必要とされる加工手順もさまざまです。結果として、それぞれ異なる特性を持つ工作機械が多く開発され、使用されています。製造業全般、つまり業界を問わずほとんどの製造部門で見受けられます。

機械加工の原理

機械加工のプロセスは多様な手法で実施され、大まかには除去加工、成形加工、結合加工の3つに分類され、それぞれ原理が異なります。

1. 除去加工

素材から不要な部分を削除する加工法です。具体的な手法としては、切削加工があります。切削加工は刃物を用いて素材の一部を削り取り、目指す形状を作り出します。

また、研削加工は粗削り後の仕上げ加工として重要で、砥石を回転させて素材表面を滑らかにすることが可能です。除去加工の1種である放電加工は、電極と加工対象との間に電圧を印加し、火花放電を利用して微細な部分を精密に加工します。

2. 成形加工

成形加工は、素材そのものの形状を変える手法です。板金加工は金属板を押す、引っ張る、曲げる等の力を加えて形状を変え、所望の製品形状を作り出します。また、プレス加工は強い圧力を利用して素材を押し込み、形状を変えます。

3. 結合加工

結合加工は、複数の部分を1つに結合する手法です。結合加工の1種である溶接加工は、高熱や圧力を利用して金属を溶かし、一体化させます。ロウ付け加工は金属間をロウ (鉛や亜鉛などの低融点金属) で接合します。

機械加工のその他情報

機械加工に使用する機械

機械加工は主に旋盤、フライス盤、ボール盤、研削盤、マシニングセンタが使用されます。

1. 旋盤
旋盤は機械加工の基本中の基本で、材料を回転させながら切削することで、円形や筒形の部品を製作します。高い精度を要求される部品の製造に頻繁に使用されます。

2. フライス盤
フライス盤は切削工具を高速回転させて材料を切る機械で、平面や溝、歯車など複雑な形状の部品を作り出すのに適しています。さまざまな方向から材料に対して切削が可能なため、三次元的な加工が行えます。

3. ボール盤
ボール盤はドリルビットを用いて材料に穴を開けるための機械です。ドリルビットのサイズを変えることで、さまざまな直径の穴を正確に開けることが可能です。

4. 研削盤
研削盤は非常に硬い材料を加工する時に利用されます。研削盤は高速回転する研削石を使用し、高い精度で仕上がり面を平滑にすることが可能です。

5. マシニングセンタ
マシニングセンタはコンピュータ数値制御 (CNC) を利用し、多彩な切削工具を自動的に交換できます。そのため、1つの設置で複数の工程を行うことが可能となり、効率的な大量生産に適しています。

ワイヤー放電加工

ワイヤー放電加工とは

ワイヤー放電加工とは、電流を通した細いワイヤーを使って金属の表面を加工する技術のことです。

ワイヤー線の直径が0.02mmから0.3mmの範囲にあり、通常の機械加工では困難な形状の作成や精密加工が可能な点が大きな特徴です。また、応用範囲は広く、導電性のある素材であれば、硬度が非常に高いものであっても加工可能できます。

例えば、鉄やステンレス、銅、アルミニウム、真鍮などの主要な金属素材などです。ワイヤー放電加工は、その精密性と対応可能な素材の幅広さから、今後さらなる発展と活用が期待される加工技術と言えます。

ワイヤー放電加工の使用用途

ワイヤー放電加工は、その高精度な性能から、複雑で精密な加工が必要な用途に広く利用されています。具体的には、微細ギアの製造や超精密プレス型の加工など、直径0.05mm以下の極めて緻密な加工を必要とする場面でその真価を発揮します。

この加工法は、導電体を対象にするため、形状に制限はほとんどありません。さらに、プログラムに従ってワイヤーが動き、繊細なパターンでも一貫して加工が可能です。従来の加工方法では「粗取り」「中仕上げ1」「中仕上げ2」「最終仕上げ」といった4段階の工程が必要でしたが、ワイヤー放電加工ではこれらが1度で済みます。

ワイヤー放電加工の原理

ワイヤー放電加工とは、放電現象を用いて金属を切断する技術です。極細のワイヤー電極と工作物の間に数千度の高温を発生させ、金属を融解・除去することで形成を行います。

具体的な手順として、工作物をテーブルにセットし、ワイヤー線をスタート穴に通します。ワイヤーと工作物を数十ミクロンまで接近させれば、パルス電流による火花放電の開始です。高温により工作物が融解し、純水が水蒸気爆発を起こして融解した金属を除去します。毎秒数十万回の放電により切断加工が行われます。

ワイヤー放電加工は、導電体であれば厚みや硬さに関係なく加工が可能で、直線だけでなく、円弧や複雑な形状の加工も可能です。さらに、加工に使用されるワイヤーが工作物と直接触れないため、刃先の消耗が少なく、コストを抑えられます。

ただし、ワイヤー放電加工の加工スピードは比較的遅く、時間がかかるため、大量生産には向いていないという欠点もあります。特性を理解した上で、ワイヤー放電加工が最適な使用環境を見極めることが重要です。

ワイヤー放電加工のその他情報

ワイヤー放電加工に使用される機械

ワイヤー放電加工に使われる機械としてCNCワイヤー放電加工機、マルチ軸ワイヤー放電加工機、マイクロワイヤー放電加工機、サブマージ型ワイヤー放電加工機、自動糸送りワイヤー放電加工機、ロボットアーム式ワイヤー放電加工機の6種類があります。

1. CNCワイヤー放電加工機
CNC (コンピュータ数値制御) ワイヤー放電加工機は、高精度の加工を実現するための最も一般的な機械です。ワイヤーの動きを精密に制御することで、複雑な形状の加工を可能にします。

2. マルチ軸ワイヤー放電加工機
マルチ軸ワイヤー放電加工機は、複数の軸を同時に制御することで、3次元の複雑な形状の加工を可能にします。一般に、3軸以上の制御を行うことが可能です。

3. マイクロワイヤー放電加工機
微細な加工が必要な場合には、マイクロワイヤー放電加工機が用いられます。極細のワイヤーを使用して、微細な部品や高精度な切断を行うことが可能です。

4. サブマージ型ワイヤー放電加工機
サブマージ型ワイヤー放電加工機は、加工部分を液体 (通常はデイオナイズドウォーター) で満たし、放電時の安定性を向上させるために使用されます。

5. 自動糸送りワイヤー放電加工機
自動糸送り機能付きのワイヤー放電加工機は、一連の作業を自動化することで、効率的な大量生産を可能にします。ワイヤーの破損や交換が自動的に行われ、生産性の向上に貢献します。

6. ロボットアーム式ワイヤー放電加工機
ロボットアーム式ワイヤー放電加工機は、柔軟性と効率性を兼ね備えています。ロボットアームを使用してワイヤーを操作することで、複雑な形状や大きな作業物に対応する能力を持ちます。

また、ロボットアームの高度なプログラム制御により、加工過程を自動化し、生産効率を大幅に向上させることが可能です。複雑なパートの製造や大規模な生産ラインで特に役立ちます。

ブローチ加工

ブローチ加工とは

ブローチ加工

ブローチ加工とは、ブローチと呼ばれる複数の刃が付いた棒状の工具使い、工作物の穴の内部や表面を削る加工です。
通常、穴の内部や表面に歯車のような切れ込みを入れる作業では、複数の工程を必要とします。
しかし、ブローチ加工で使用されるブローチには、「荒刃」「中仕上げ刃」「仕上げ刃」までの複数の刃が直線状に並んでついています。
そのため、ブローチを引き抜きながら動かすことで、1度の工程で荒加工から仕上げまでが行えます。

ブローチ加工の使用用途

ブローチ加工の主な用途は、穴開け加工された穴の内面を削り、溝や多角形の穴を作ることです。
エンジン部品や歯車のキー溝を作るのに欠かせない加工方法であり、「スプロケット」「スプライン」「歯車」などを製造する際によく使用されています。

ブローチ加工は、複雑な加工を一度で行えるので大量生産が可能です。また、内径の小さな部品の製造も得意です。
そのため、製品の精度や再現性が高いため、自動車産業や航空機産業などで使われる部品の加工に用いられます。

ブローチ加工の種類

ブローチ加工には、2種類の加工方法があります。

  1. 表面ブローチ加工
    サーフェスブローチという工具を引き抜くことで、金属の表面を決まった形状に削り、溝を作ります。表面ブローチ盤を使用して加工作業をしていきます。
    スプロケットやスプライン、歯車などを高精度・高効率で加工することができます。
  2. 内面ブローチ加工
    インターナルブローチという工具を引き抜くことで、穴の内面を削り、溝や多角形の穴を作ります。内面ブローチ盤を使用して加工作業を行います。
    キー溝やスプラインの軸受、内歯車などの加工をすることができます。「四角」「六角」「スプライン」「インボリュート」「セレーション」など様々な形状があります。

ブローチ加工には、どちらの加工方法においてもメリット・デメリットがあります。
ブローチ加工は、複数の工程を一度でできるため、高品質・高精度の製品を短時間に大量生産できるというメリットがあります。

しかし、ブローチ加工で使用する工具のブローチは、部品に合わせた専用のブローチを製造しなければなりません。そのため、ブローチは高額で制作に時間がかかります。よって、少量生産には向きません。
また、ブローチ加工の工程でブローチを貫通させることで一度にすべての工程を完成させるため、貫通させない加工は不向きです。

穴開け加工

穴開け加工とは穴開け加工

穴開け加工とは、ドリルなどの切削工具で穴を開ける切削加工の一つです。木材や鉄板、アルミ板やステンレス板などに加工を施します。 

切削工具に「ドリル」や「タップ」を使用することで、「ボルトの穴」「軸受けの穴」「ねじ穴の加工」などもできます。

穴開け加工には、穴の精度や目的により、「浅穴加工」「深穴加工」「ソリッドドリリング加工」「トレパニング加工」「カウンターボウリング」「座ぐり加工」「リーマ加工」「タップ加工」などがあります。

穴開け加工の使用用途

多くの部品には、「ボルトの穴」「軸受けの穴」「位置決めの穴」など様々な種類の穴やねじ穴が開いています。穴開け加工の主な用途は、その穴を作ることです。

一般的にドリルで穴を開けます。ドリルの刃先を専用のものに変えることにより、鉄板や木材、アルミ板やステンレス板、樹脂など様々な素材に穴を開けることができます。穴が開いていない機械部品がないように、「食品機械」「輸送機器」「機械」「建築」など使用されている分野は、多岐に渡ります。

穴開け加工の種類

穴の種類により加工方法が異なります。

  1. 浅穴加工
    穴径に対して、浅穴加工の長さが3倍以下の長さの穴を開ける加工方法です。スタブドリルを用いたり、ビットという工具で手回しで行うこともあります。
  2. 深穴加工
    穴形に対して、深穴加工の長さが10倍以上の長さの穴を開ける加工方法です。超硬ロングドリルが使われます。一般的なドリルと違い、折れやすく、曲がりが発生しやすいため、高度な技術を必要とします。
  3. ソリッドドリリング加工
    最も一般的な未加工の状態の素材に穴を開ける加工です。
  4. トレパニング加工
    穴の中心に円筒コアを残す穴開け加工です。高価な素材を切削する際にコア部分を再利用できるというメリットがあります。大径の穴開け加工に使用されています。
  5. カウンターボウリング加工
    すでに開いている穴をさらに大きくしていく加工です。
    穴開け後の加工として、以下の加工方法があります。
  6. 座ぐり加工
    座ぐりとは、ネジやボルト頭部などの飛び出しを防ぐための加工です。ざらざらした表面や傾斜面を平坦になるようにして、ネジの締付をよくするために加工します。座ぐりドリルやエンドミルなどの工具を用います。
  7. リーマ加工
    ドリルで開けた穴の内径の精度を上げて、内面のドリル跡を滑らかに仕上げる加工方法です。リーマという工具を用いて加工します。
  8. タップ加工
    タップと呼ばれる工具を利用して、ドリルで開けた下穴にねじ穴を作ります。

ダイアジノン

ダイアジノンとは

ダイアジノン (化学式: C12H21N2O3PS) とは、殺虫・殺ダニ剤の有機リン系の殺虫剤に分類される農薬の1種です。

神経の情報伝達を行う興奮性神経伝達物質の1種であるアセチルコリンの分解酵素の作用を阻害します。その結果、害虫やダニに興奮を与え続けることになり、殺虫効果が発現します。

ダイアジノンは土の中にいる害虫からイモムシ類、アブラムシなど多くの害虫に効果があり、家庭菜園の方からプロの農家まで広く利用されています。さらに、他の有機リン系の殺虫剤と比較して、人など哺乳類に対する毒性が低いのが特徴です。

ダイアジノンの使用用途

ダイアジノンは、害虫の防除を目的に使用されています。使用方法や使用時期のバリエーションが多く、栽培体系や害虫の特徴に合わせて使用できることが特徴です。

特に効果を感じられる害虫は、ケラやネキリムシ類、コガネムシ類の幼虫など土の中に潜んでいる害虫です。土の中に潜む害虫は土壌害虫とよばれ、土の中にいることが多く、特定が難しく防除が困難と言われています。

ダイアジノンを土壌に散布し、鍬やトラクターなどで耕うんし土と混ぜます。土壌でガス化するため、直接害虫と接触した部分だけではなく、広範囲に害虫に対しての殺虫力を示します。

また、他の有機リン酸エステル系殺虫剤などによって薬害を生じやすい農作物においても、薬害が発生しにくいです。そのため、イチゴやニンジン、ダイコン、トウモロコシ、トマト、ウリ類など多くの農作物において防虫、殺虫剤として使用されます。

ダイアジノンの特徴

長所

  • 幅広い農作物に、多くの使用方法で使用することができます。
  • 散布後時間をあけずに定植や植え付けができる農作物もあるので、作業がスムーズになります。
  • 土壌と混和するタイプでは、浸透移行性がなく農作物が根から農薬成分を吸収することはないので、安心して農作物を食べることができます。

短所

  • 薬剤や散布機などのコストがかかります。コストに見合う成果がでるか検討して選ぶことが大切です。
  • 形状や成分量の違いで異なる商品があります。商品によって登録作物や使用方法が異なるため、それぞれの違いを理解しておくことが大切です。

ダイアジノンの種類

ダイアジノンは形状によって、次のような種類に分けることができます。

1. ダイアジノン粒剤

ダイアジノン粒剤は、形状が粒状になっています。ネキリムシ類やコガネムシ類の幼虫など土壌害虫に対する高い効果と幅広い農作物に登録があることが特徴です。

浸透移行性がないため、農作物の根から吸収されることはなく、散布された土壌内で効果を発揮します。散布方法は土壌混和や土壌表面散布、種類によっては無人ヘリコプター散布を行えるものもあります。

2. ダイアジノン水和剤

ダイアジノン水和剤は、形状が粉状になっています。水和剤なので、水に希釈して使用します。水に希釈すると不透明な液体になり、放置しておくと沈殿ができることが特徴です。

多くの果樹類に登録があり、アブラムシ、コナカイガラムシ、シンクイムシ、アメリカシロヒトリに高い防除効果があります。散布方法は希釈して農作物に散布を行います。

3. ダイアジノン乳剤

ダイアジノン乳剤は、形状が液体になっています。乳剤なので、水に希釈して使用します。水に希釈すると白色の乳濁液になります。

キャベツ、ナス、キュウリなどの野菜類に登録があり、アブラムシ、アザミウマ、コナガなどのイモムシ類に対して防除効果が高いです。また、芝にも登録があるため芝の害虫に使用できるのが特徴です。散布方法は、希釈して農作物に散布を行います。

ダイアジノンその他情報

ダイアジノンの使用上の注意点

  • 1回の栽培において、使用できる回数が決まっています。また、同じダイアジノンが成分の農薬では総使用回数が決まっているので、全体の農薬使用回数にも注意が必要です。
  • 散布時は手袋やマスクを着用し、目や鼻、肌に直接かからないよう注意が必要です。
  • 解毒剤として硫酸アトロピン製剤およびPAM製剤があります。

スミチオン

スミチオンとは

スミチオンとは、住友化学が開発した有機リン・有機硫黄系の殺虫剤に分類される農薬です。

スミチオンは商品名であり、有効成分であるフェニトロチオン (化学式: C9H12NO5PS) が主成分となる化学物質です。駆除対象生物の神経に作用する殺虫剤で、神経の情報伝達を行う興奮性神経伝達物質の1種であるアセチルコリンの分解酵素の作用を阻害します。その結果、駆除対象生物に興奮を与え続け、殺虫効果が発現します。

野菜類のアブラムシ防除から樹木のケムシ類など多くの害虫に登録があり、さらに価格も比較的安価なため家庭菜園の方からプロの農家や造園関係者まで使用範囲は幅広いです。また、人畜に対する毒性は他の有機リン系の農薬と比べ低く、日本では半世紀にも渡って使用されている農薬です。

スミチオンの使用用途

スミチオンの使用用途は、害虫の防除です。多くの農作物に登録があり、特に防除できる害虫は樹木に発生するケムシ類、果樹に発生するシンクイムシやカイガラムシ類、イネに発生するウンカやイネシンガレセンチュウ、野菜類に発生するアブラムシやカメムシです。

この中でも樹木に発生するケムシ類の防除では、アブラムシやイモムシ類に比べてケムシ類に登録がある農薬が少ないため、スミチオンは大きな役割を果たします。スミチオンは微量でも高い殺虫効果を発揮し、農薬が害虫に当たると効果を発揮する接触毒、農薬が散布された葉や果実を口にすると効果がある食毒効果、害虫の卵をふ化させない殺卵効果に優れています。

接触毒と食毒効果は害虫が発生した時の対策で、殺卵効果は害虫の発生を防ぐ予防に使えます。

スミチオンの特徴

長所

  • イネや樹木、果樹、野菜類まで幅広い農作物に登録があります。
  • 散布した葉の表から裏へと染み渡る浸達性があるため、食毒効果により葉や果実をなめたり、かじったりする害虫に効果的です。
  • 低価格で購入できるため、気軽に使いやすいです。

短所

  • 薬剤や散布機のコストがかかります。コストに見合う効果がでるか検討してから使用することが大切です。
  • 形状や成分量が商品によって異なります。また、登録作物や使用方法も変わるため、それぞれの違いを理解する必要があります。

スミチオンの種類

スミチオンは形状により、次のように分類することができます。

1. スミチオン乳剤

スミチオン乳剤は形状が液体です。水に希釈して使用し、水に希釈すると白色の乳濁色になるのが特徴です。樹木のケムシ類や果樹のシンクイムシ、イネのウンカ類、野菜や花きのアブラムシなど幅広い農作物、害虫に登録があります。

散布方法は、希釈して農作物に散布を行います。作物によっては無人航空機による散布もできるため、作業の省力化できることも特徴の1つです。

2. スミチオン水和剤

スミチオン水和剤は形状が粉状です。水和剤なので水に希釈して使用します。水に希釈すると不透明な液体になり、放置しておくと沈殿ができることが特徴です。

多くの果樹類に登録されており、アブラムシ、カイガラムシ類、シンクイムシ、カメムシなどに高い防除効果があります。散布方法は、希釈して農作物に散布を行います。

3. スミチオン粉剤

スミチオン粉剤は、水和剤と同じく形状が粉状です。粉剤なので水で希釈はせずに、そのまま使用します。イネのウンカやカメムシ、ダイズのカメムシ防除に粉剤を散布して使用します。

スミチオンその他情報

スミチオンを使用する上での注意点

  • 散布時は手袋やマスクを着用し、目や鼻、肌に直接かからないよう注意が必要です。
  • 解毒剤として硫酸アトロピン製剤およびPAM製剤があります。
  • 農作物の受粉を助けるためのミツバチに影響が出るため、ミツバチを放飼中の施設では使用をさける必要があります。また、近隣で養蜂を行っている場合、関係機関に使用農薬の情報を提供する必要があります。

キャプタン

キャプタンとは

キャプタン (化学式: C9H8Cl3NO2S) とは、殺菌剤に分類され、糸状菌や細菌など植物病原菌の有害作用から農作物等を守る用途で使用される農薬の1種です。

特徴として、多作用点阻害の特性を持つことが挙げられます。他の殺菌剤は、菌糸の呼吸阻害や細胞壁阻害など特定の作用により殺菌効果を得ますが、キャプタンは、これらの複数の阻害作用を持っています。

農薬の作用機構による分類ではコード、M (多作用点接触活性) のグループに分類されています。複数の作用により菌糸の成長を阻害するため、菌に耐性がつきにくいことです。

常温常圧では無臭で、白色粉末状の個体として存在し、水に溶かして使用することが多いです。

キャプタンの使用用途

キャプタンは、殺菌剤として野菜・果樹の病気予防・治療を目的として使用されます。使用方法は大きく分類して、2種類あります。

1. 農作物に散布して使用

1つ目は、キャプタンを原料とする殺菌剤を、水に希釈して農作物に散布する方法です。この方法は生育初期から生育後期にかけて行います。

キャプタンの持つ多作用点阻害による殺菌効果により他の薬剤の耐性菌にも強いため、適用範囲が広いのが特徴です。リンゴ、梨、ブドウ、桃、梅などの果樹類、ナス科、ウリ科などの野菜類、薔薇などの花類まで幅広く適用可能です。また、観葉植物の病害防除もできます。

特に、キュウリのベと病対策や、ハウス栽培のトマトやイチゴの灰色かび病防除などに高い効果があります。農作物によっては、収穫前日まで散布できるものもあり、散布から収穫までの作業がスムーズに行える点が特徴です。

2. 種子にまぶして使用

2つ目は、キャプタンを原料とする殺菌剤を、種子にまぶして使用する方法です。登録の基準量として、種子重量の0.2%から0.4%の薬剤を種子に紛衣して使用します。

この方法は農作物の種子を播種するときに、種子の表面や内部、さらに畑の土や培土などに潜む病原菌から種子を守り、安定した発芽のために行います。

キャプタンの種子消毒により、トマトやナス、ピーマンなどのナス科やキュウリやメロン、スイカなどのウリ科、カボチャなどの苗立枯病の予防と未熟トウモロコシ、野菜類のピシウム、リゾクトニア菌による病害予防になります。

キャプタンの種類

キャプタンは使用する成分量で次のような殺菌剤に分けられて、使用されています。

1. オーソサイド水和剤80

オーソサイド水和剤80は、有効成分にキャプタンを80.0%含んでいます。野菜類の苗立枯病や、つる枯病、灰色かび病、果樹類の褐斑病、炭疽病、花き類の苗立枯病、ウリ科作物、ナス、ショウガの種子消毒などに登録があり、幅広い作物と病気に登録があることが大きな特徴です。

また、幼苗期の土壌潅注処理で登録がある作物もあり、苗の育苗期に高い効果を発揮します。

2. オキシラン水和剤

オキシラン水和剤は、有効成分にキャプタンを20.0%含んでいます。さらに、オキシラン水和剤はキャプタン以外に8-ヒドロキシキノリン銅を30.0%含んでいます。

野菜類のつる枯病や黒斑病、べと病、果樹類の炭疽病、斑点病、芝の葉腐病に登録があり使用できます。また、2つの有効成分を含有しているため、幅広い作物と病原菌に対して予防効果があることが特徴です。

3. キャプレート水和剤

キャプレート水和剤は、有効成分にキャプタンを60.0%含んでいます。さらに、キャプレート水和剤はキャプタン以外にベノミルを10.0%含んでいます。ナシの輪紋病や黒星病、ナスやトマトの灰色かび病に登録があり、使用できます。予防と治療効果があり、効果の効きが長いことが特徴です。

キャプタンその他情報

使用上の注意

  • 使用の際は、手袋、マスク、防護メガネを着用し、目や鼻や皮膚に直接かからないように注意が必要です。
  • 1日摂取許容量が定められているので、その数値以上の量を摂取しないことが求められます。
  • 蚕やミツバチ、天敵生物に一定量以上で障害がでる可能性があるため、近くにいる環境での使用は注意が必要です。