気密試験とは
気密試験とは、一定の圧力で空気や窒素などの気体や水といった液体を充填し、定められた時間にて加圧し続けて容器からの漏洩がないかを検査する試験です。
主に液化石油ガスの配管設備を設置した時や変更後に行われ、ガスを供給する前に不活性ガスを充填し、規定の圧力にて異常がないかを調べます。
なお、液化石油ガス設備の気密試験は、「液化石油ガス設備士」の免状の交付を受けた者でないと、気密試験を実施することはできません。
気密試験とは、一定の圧力で空気や窒素などの気体や水といった液体を充填し、定められた時間にて加圧し続けて容器からの漏洩がないかを検査する試験です。
主に液化石油ガスの配管設備を設置した時や変更後に行われ、ガスを供給する前に不活性ガスを充填し、規定の圧力にて異常がないかを調べます。
なお、液化石油ガス設備の気密試験は、「液化石油ガス設備士」の免状の交付を受けた者でないと、気密試験を実施することはできません。
曲げ試験とは、材料に対する強度試験の一種で、材料である試験片に上から荷重を加え、材料の曲げる力に対する強度を測定する試験です。
3点試験と4点試験では試験の性質が異なるため、用途に応じて試験方法を選ぶ必要があります。例えば、人工骨などの医療品は3点試験を使用する場合が多いです。
曲げ試験では、試験片に荷重を加えたときの試験片のたわみ量を測定し、荷重とたわみ量をプロットした曲線を解析ソフトにかけて、曲げ応力と曲げひずみの線図を求めます。この応力−ひずみ線図から求めた最大応力が、試験片の曲げ強さです。
曲げ試験は、材料が曲がる際に発生する応力を測定して、材料の性質や機械的な性能などを調べるために行われています。また、脆性材料にかかる曲げによる破壊強さを測定するためにも有効です。
一般的に曲げ試験は、試験段階の材料や製品、サンプルの強度評価に用いられます。曲げ試験により得たデータをもとに、製品の性能評価が行われます。
例えば、プラスチックなどで形成されるコップなどの生活必需品の性能評価などです。その他、人工骨などの医療製品の性能評価にも曲げ試験が利用されているため、日用品や医療製品問わず、幅広く利用されている試験方法です。
曲げ試験は、試験片である材料を両端の支点で支え、支点間に外力を加えることで成り立ちます。3点試験の場合は支点間の外力が1つ、4点試験の場合は支点間の外力が2つになります。
それぞれ外力を加える個数は異なりますが、支点間に外力を加える点は同じです。試験の対象はプラスチック、セラミック、金属など多岐にわたるため、原理は同じでも発生する現象が異なります。異なる現象を調べることが、曲げ試験の目的です。
曲げ試験は主に3点試験と4点試験があり、以下のようにそれぞれ目的が異なります。
一般的に、「曲げ試験を使用する」というと「3点試験を使用すること」を指します。3点試験は、4点試験よりも容易に試験ができることが特徴として挙げられます。3点試験と4点試験は基本原理は同じですが、試験方法と使用用途が異なります。
一般の試験機では、3点試験しか対応していない場合も多いです。そのため、適切な試験場や会社を選択することが、正確な試験を行うために欠かせません。
3点試験は、試験片である材料の両端を支えて中央に外力を加える試験です。両端で2点、中央で1点の計3点に外力が加わることから、3点試験と呼ばれています。
3点試験は、材料のせん断力の分布が一様にはならず、材料の性質を正確に調べるには不向きです。そのため、材料の性質を調べるためには後述する4点試験が適しています。
3点試験は、材料の曲げ加工に似た外力を加えるため、曲げ加工を行うのに適した材料かを調べるのが目的です。曲げ加工に適した材料か判断する際は、材料に外力を加えたときに発生する亀裂の有無を確認します。
亀裂が無い場合には曲げ加工に適した材料とみなされ、亀裂がある場合には材料の選定などを再度行う必要があるとみなされます。
4点試験は、試験片である材料の両端を支点で支えて、支点の間に2つの同じ大きさの外力を加える試験です。支点で2点、中央で2点の計4点に外力が加わることから、4点試験と呼ばれています。
4点試験は、支点以外の2つの外力間のせん断力が一定です。また、曲げモーメントも一定になるので、純粋曲げの状態になります。そのため、材料の性質を調べることに向いています。
4点試験は、試験の困難さから現象のばらつきが測定されることもあります。そのため、4点試験を行う際は適切な環境、適切な試験機を選択し、正確に試験を行うことが重要です。
図1. 強度試験の種類
引張り試験とは、曲げ試験や圧縮試験と同様、材料に対する強度試験の一種です。
試験片の両端を外側に引っ張る力、すなわち引張り力を加えたときの強度を測定する試験です。引張試験機や万能試験機により引張荷重を加え、ロードセル・ひずみゲージ・変位計などを用いて測定を行います。試験により得られた、ひずみと負荷荷重または応力の関係を分析することで、材料の力学的特性を評価することができます。
引張り試験は、様々な分野で実施されています。試験により得られたデータは、安全で安心して利用できる製品の開発に寄与しています。
引張り試験は、土木・建築・機械・医学など様々な分野で行われています。
引張り試験の目的は研究開発や品質保証であり、金属・ゴム・プラスチック・紙など様々な材料が対象です。また、大学等の授業に用いられることもあり、実際に材料を引き延ばし、破断に至るまでの様子を観察、データの分析や考察を行うことで、材料についての学びを深めます。
引張り試験により得られるデータは、各種シミュレーションや設計などを行う際に用いられます。安全で安心に利用できる製品の開発にとって、その基礎を支えるような重要なデータです。
図2. 応力 – ひずみ曲線
試験片の両端に引張り力を加えると、材料は引張り力の方向に伸びはじめ、最終的に、破断に至りますが、引張り試験では、この間の、応力とひずみの関係、試験片の様子に基づき材料の評価を行います。
材料に加わる応力とひずみは比例しますが、引張り力を加え続けると、応力 – ひずみ間の比例関係が崩れ、ひずみの変化に対する応力の上昇のし方が緩やかになります。さらに加重し降伏点と呼ばれる状態を過ぎると、応力は一度下がりますが、再び加重とともに応力が上がります。このときの応力の最大値が引張り強度です。
引張り強度は、試験片が破断されるまで続けることで、信頼性のあるデータになります。
図3. 引張り試験より得られるデータの例
引張り試験により得られる情報は、応力 – ひずみ曲線や伸び・絞り・ポアソン比などがあり、応力 – ひずみ曲線を分析することで、弾性率・上降伏点・下降伏点・引張り強さ・破断点などの情報が得られます。
1. 伸び (%)
伸びは、試験片が破断までにどれだけ伸びたのかを示す割合のことであり、一般的に、高強度であるほど小さく、低強度であるほど大きな値となります。試験片の2か所に標点と呼ばれる印をつけ、試験開始前と破断時に標点間の距離を測定します。もともとの標点間の距離に対する距離の変化量を百分率で表したものが伸びとなります。
2. 絞り (%)
絞りは、試験片の断面積がどれだけ変化したのかを表す割合のことであり、この値が大きいほど、深絞り加工などに向いているということになります。破断後の試験片において最もくびれた部分の断面積を測定します。もともとの断面積に対する断面積の変化量を百分率で表したものが絞りとなります。
3. ポアソン比
ポアソン比は、引張荷重が加えられた方向のひずみとそれに垂直な方向のひずみの比の絶対値です。試験片に2軸のひずみゲージを貼り付け、引張り試験を実施しることで求めることができます。材料ごとに一定の値であり、ポアソン比が大きいほど、引張荷重に対して垂直な方向にひずむということになります。
4. 弾性率 (N/mm2)
弾性率は、応力とひずみの関係を一次式で表すことができる区間、弾性域における傾きのことです。ここで、弾性域とは、材料が変形したとしても、荷重を取り除けば元の形状に戻る区間のことです。この傾きが緩やかであるほど、柔らかい材料であるということになります。
5. 上降伏点 (N/mm2)
上降伏点は、弾性域と塑性域の境界で、応力値が最も高くなる点のことで、一般的に降伏点と呼ばれます。ここで、塑性域とは、荷重を取り除いても変形が戻らない区間のことであり、塑性変形が急激に生じ始める現象を降伏と呼びます。降伏点が高いということは、塑性変形しにくいということになります。
6. 下降伏点 (N/mm2)
下降伏点は、降伏棚において応力値が最も低い点のことであり、この値が低いほど塑性加工の成型能がよくなります。ここで、降伏棚とは、上降伏点で急激に降伏が始まった後に現れる、応力度が低下し、ひずみが増加しても応力が増加しない区間のことです。
7. 引張り強さ (N/mm2)
引張り強さは、引張り試験中に加わった最大引張応力であり、材料のもつ最大強度のことです。引張り強さが高いほど、高強度であるということになります。
8. 破断点
破断点は、応力 – ひずみ曲線において、試験片が破断したときの点のことであり、そのときの応力を破断応力、ひずみを破断ひずみといいます。
引張り試験では、引張荷重を加える目的で引張り試験機や万能試験機が、測定の目的でロードセル・ひずみゲージ・変位計が用いられます。
試験機には、モーター式・油圧式・電磁式などの種類があります。万能試験機は治具を取り替えることで様々な試験を実施することができますが、引張り試験においては、ねじ式平面つかみ具、空気式平面つかみ具、定位置くさび式つかみ具などの治具が用いられます。
ひずみゲージは、試験片に貼り付けて使用され、測定対象と一緒にひずみ、その際の電流の変化量を測定することによって、ひずみを算出します。測定に用いられる変位計には、接触式と非接触式のものがあり、前者は小さな伸びを高精度で測定することができ、後者は接触による試料への影響を抑えることができます。これらは、いずれも、さらに、いくつかの種類があるため、材料や用途により使い分けられます。
圧縮試験 (英: compression test) とは、材料である試験片に圧縮力を加えることで材料の耐久性を測定する試験です。
引張試験と同じく、材料に対する強度試験の一種です。圧縮試験では、比例限度や弾性限度、降伏点やヤング率などを測定する点でも引張試験と似ています。しかし、圧縮試験特有の圧縮強度を求められる点が大きな違いです。
圧縮試験は別名耐圧試験とも呼ばれ、試験片に上から荷重を加えて、圧縮する力に対する材料の耐圧性を測定します。耐圧性を測定する対象は、ばねや自動車のタイヤなどさまざまです。ばねなどの弾性係数の調査や、タイヤの耐圧性能の調査に利用されます。
圧縮試験は、主に材料の圧縮強度を調査するために使用されます。例えば、ばねの弾性や自動車・自転車のタイヤがどれくらいの圧力に耐えられるのかを調査するときなどです。さらに、タイヤで使用されるボールベアリングでは自動車などの重みに耐えられるように入念に圧縮試験が行われます。
圧縮試験で材料を圧縮する場合、材料が座屈するのが問題です。座屈とは圧縮を加えた場合、急に材料が折れ曲がる現象を指します。材料が座屈することを確認できた場合には、材料を変更するなどの工夫が必要になります。
材料の座屈問題は、建築部材などで顕著です。コンクリートなどの建築部材は、建物の重みに耐えかねて座屈する場合があります。そのため、コンクリートなどの建築部材の安全性を評価する上でも、圧縮試験が使用されます。
圧縮試験は圧縮試験機に材料をセットして行われるため、試験したいコンクリートなどが圧縮試験機で設定した圧力に耐えられるのかを検証します。使用用途は多岐にわたるため、引張試験と同様に重要な試験です。
圧縮試験は、材料である試験片に圧縮力を加えることで材料の耐久性を測定することで成り立ちます。圧縮試験では、比例限度や弾性限度、降伏点やヤング率などを測定します。
圧縮試験機に材料をセットすることを位置決めと呼びます。位置決めを正確に行わなければ、材料にかかる圧力が均等にならず、正確な圧縮強度を測定することができないので注意が必要です。
位置決めが終わると、圧縮試験機から材料に圧縮を加えます。ここで圧縮強度を測定しますが、所期の圧縮強度を満たす材料か測定する場合もあれば、純粋に圧縮強度がわからず、圧縮強度を求めたい場合もあります。そのため、試験の目的を明確にしておくことが大切です。
圧縮加重を加えることで、ある程度の圧縮力を加えると、材料は破壊されます。材料が破壊されたときの圧縮加重はどれくらいなのかを測定することで、材料の耐久性が分かります。
圧縮試験では主に、比例限度、縦弾性係数、弾性限度、降伏点の情報が得られます。
比例限度
比例限度とは、材料の応力とひずみが比例関係にある領域の最大応力のことです。引張試験などにも用いられる用語です。応力−ひずみ線図を描き、応力とひずみが比例関係にある領域をプロットすることで求められます。
縦弾性係数
縦弾性係数はヤング率とも呼ばれ、応力−ひずみ線図で応力とひずみが線形の関係になっている領域の傾きのことです。比例限度までの応力であれば、応力とひずみは比例するため、縦弾性係数が求められ、応力も求められれば、ひずみの値が一意に決まります。
弾性限度
弾性限度とは、材料が弾性変形する限界の応力の値のことです。材料が弾性限度を超えると、圧縮試験機で外力を除荷したとしても、ひずみが残ります。すなわち、弾性変形ではなくなります。
圧縮試験では、試験片に対して上から一定の速度で荷重を加え、試験片が破壊するまで、または荷重が規定の値に達するまで圧縮し、試験片にかかる力と変位を測定します。
圧縮試験で得た値を応力−ひずみ線図に変換し、線図から求めた最大圧縮応力が試験片の圧縮強さです。また、応力−ひずみ線図の規定された2点間の応力の差をひずみの差で割った値が、圧縮弾性率になります。
バーンイン試験は、電子部品・半導体製品に対して行われる信頼性試験の一種です。
バーンイン試験では、出荷前の部品製品に対して、製品使用条件の温度・電圧の負荷をかけることによって、初期不良品を検出し除去します。また、使用条件よりも高い温度・電圧を長時間かけることによって、製品の耐久性を評価します。
電子部品・半導体製品は、出荷直後の初期不良による故障率が非常に高く、時間経過とともに故障率は減少します。したがって、バーンイン試験によって出荷前の初期不良品を選別し除去することで、製品の故障率を軽減し、信頼性の高い製品を市場に出すことができます。
クリープ試験とは、高温を発生させる電気炉の中に試験片を入れ、試験片を引っ張る荷重を加えて変形を発生させ、試験片が破断するまでの時間を求める試験です。
クリープ試験は計測の目的によって引っ張る力だけでなく、試験片を圧縮したり、曲げやねじれを加えたりする試験も存在します。クリープ現象とは、試験片に一定の荷重を発生させると変形が止まりますが、試験片が高温に晒されていると荷重を加えなくても変形し続ける現象です。
クリープ試験は、長時間の使用に耐えうる部材を試験する場合に行われます。例えば、化学プラントや原子炉に使用する部材を選定する場合、クリープ現象で変形する部材を選定してしまうと、安全な運転ができなくなってしまいます。
そのため、クリープ試験は、安全な部材選定をする意味でも非常に重要です。また、クリープ試験は、部材がある応力で破断するまでの時間を求める場合にも使用されます。
クリープ試験は、破断試験、引っ張り試験、圧縮試験の3つが基本です。それぞれの試験によって得られたひずみ量や膨張量、縮小量、表面のひび割れなどをもとに、安全な材料であるかを測定します。
クリープ試験機により、部材にクリープ現象によるクリープ変形を生じさせることが基本の原理です。クリープ試験は、高温を発生させる電気炉の中に試験片を入れ、試験片を引っ張る荷重を加えてクリープ変形を発生させ、試験片が破断するまでの時間を求めます。
クリープ試験は、クリープ破断試験、引っ張りクリープ試験、圧縮クリープ試験の3種類が存在します。それぞれ使用用途が違いますが、部材にクリープ現象を起こさせる点が共通しているため、3種類ともクリープ試験に分類されます。
クリープ破断試験とは、ある試験温度を設定し、部材に外力を加え、破断するまでの時間と応力の経過を追う試験です。クリープ破断試験で部材が破断するまでの時間を「クリープ強度」と呼びます。
クリープ現象が起こるまでの時間は温度によって異なるため、高温下で使用される部材の強度や寿命を調べる際に行われます。
クリープ試験で最も一般的な試験が、引っ張りクリープ試験です。試験方法は引っ張り試験とほとんど変わりません。引っ張り方向に負荷を与える単軸引っ張り試験で、部材の伸びやひずみ、試験時間を計測します。
ただし、実際に化学プラントや原子炉では単軸引っ張りではなく、二軸や三軸引っ張りの場合が多いため、一概に引っ張りクリープ試験だけを行うだけでは不十分なこともあります。
圧縮クリープ試験とは、部材を圧縮することで、クリープ現象を起こさせる試験です。引っ張りクリープ試験とは逆向きの外力を加えますが、それでもクリープ現象は起きます。圧縮によるひずみや応力、試験時間を計測する試験です。
クリープ現象とは、ある状況下で引っ張り応力よりも小さい応力で部材が破断する現象のことです。部材を高温化で変形させる場合、部材の弾性限度以下の応力でも、外力を加え続けることで変形量が増大し、引っ張り試験などで知られる引っ張り応力よりも小さい応力で破断することがあります。これがクリープ現象です。
日常的なクリープ現象の例として、プラスチックの変形が挙げられます。プラスチックは、重い物を乗せて長時間放置した場合に変形します。
外力が大きい場合には、時間が経つにつれて変形が増大し、いずれプラスチックは破断に至ります。ねじを長時間締めたままにしておくと、座面にねじの痕が残るのも、長時間の外力によって座面がクリープ変形した例です。
その他、コンクリートもクリープ変形します。乾燥したり、荷重が大きかったりすると、クリープ変形が起こりやすいです。
EMC試験とは、EMC (Electromagnetic Compatibility:電磁両立性) の性能を確認する試験です。
EMC試験は、EMI試験とEMS試験から構成されてます。EMI試験 (Electromagnetic Interference:電磁障害) は、電子機器等が外部に対して放出する電磁波を測定する試験です。EMI試験では、電子機器等から外部に放出される空間に放射される電磁波のレベルが規格の基準に入っているかを確認しています。
具体的には、電磁波または電源ハーネスや通信ハーネスから伝導によって外部に放出される電磁波を測定します。一方で、EMS (Electromagnetic Susceptibility:電磁感受性) 試験は、電子機器等が外来電磁波を受けた際の耐性を確認する試験です。
EMS試験では、電子機器等に静電気や放射電磁界等の外来ノイズを印可し、電子機器が規格の基準内のノイズを受けても正常動作するかを確認しています。
EMC試験は、各国や各地域で規定されたEMC規格や製品群毎に規定されたEMC規格の基準を満たすために行われています。販売前の製品開発の段階で、規格で規定されたEMC試験を実施し、基準適合性を確認するのが目的です。
基準を満たせると、電子機器を世の中に販売できるようになります。
EMC試験は、IEC ( International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)とIECの委員会であるCISPR (International Special Committee on Radio Interference:国際無線障害特別委員会) が定めた国際規格が標準となっています。IECは、EMS試験の規格が中心ですが、CISPRはEMI試験の規格が中心です。
各国、各地域のEMCに関する法規制は、IEC、CISPR規格をベースにしています。米国や欧州では、EMCに関して法規制で厳しく制限しています。日本では、EMCに関する法規制は無く、VCCI等の業界団体が自主規制措置を取っているのが現状です。
電子機器から放射される電磁波をアンテナを用いて定量化し、測定した値が既定の基準以内であるかを確認する試験です。電波暗室またはオープンサイトで試験を実施し、30MHz以上の周波数を対象として測定します。
電子機器の電源線または通信線から伝導放射される電磁波をスペクトラムアナライザを用いて定量化し、測定した値が既定の基準以内であるかを確認する試験です。電波暗室またはシールドルームで試験を実施し、9kHzから30MHz以下の周波数を対象として測定します。
静電気が電子機器に印可された場合に、電子機器が正常動作するかを確認する試験です。静電気放電試験器の静電気放電ガンから電子機器に静電気を印可して試験を実施します。
電子機器に、直接静電気を印可する直接放電試験と、電子機器近傍の導体物から静電気が印可する間接放電試験があります。
高周波の電磁波が電子機器に放射された場合に、電子機器が正常動作するかを確認する試験です。電波暗室またはオープンサイトで試験を実施し、試験用のアンテナを用いて、80MHz以上の周波数を電子機器に印可します。
コイルやインダクタの遮断時に発生する過渡的な異常電圧が発生した場合に、電子機器が正常動作するかを確認する試験です。ノイズの印可箇所は、電子機器の電源線または通信線です。
試験対象が電源線の場合は、電子機器のインレットにノイズを印可します。試験対象が通信線の場合は、電子機器の通信ハーネスをカップリング装置でクランプした上で、通信線にノイズを印可します。
雷発生時やスイッチのON/OFF時に発生する過渡的な異常電圧が発生した場合に、電子機器が正常動作するかを確認する試験です。ノイズの周期は、トランジェントバーストより長いです。専用の試験器を用いて、電子機器の電源線または通信線にノイズを印可します。
高速切断機は切断砥石を用いて、鉄パイプやワイヤーロープなどの金属製の細長い素材を素早く切断できる機械です。
類似の製品であるディスクグラインダーと比較した際の特徴としては主に2点あります。1点目は高速切断機はディスクグラインダーと比べて切断砥石が大きくモーター出力も大きいため、切断時間が早いこと、2点目はディスクグラインダーが手持ちで使用するのに対して高速切断機は卓上に設置して使用するため狙った部分を高い精度で切断できることです。
ただし、高速切断機は切断専用の機械であり、ディスクグラインダーのように研磨砥石等を取り付けることはできません。
高速切断機は切断砥石と切断したい素材をアームとバイスで固定して切断するので、安定して金属を切断することができます。そのため、薄い素材や細長い素材などの切断に向いています。
このように高速切断機は短時間で大量に金属製の素材を切断することが可能であり、農業関係の資材や単管パイプの切り出しに活用されています。さらにバイスの傾斜を調節することで、45度まで角度切断が可能です。そのためアングル材を組み合わせたフレームの作製時などにも重宝されてます。
機種選定の際には用途に応じて切断砥石の大きさ、バイスの開き具合、回転数および消費電力を確認する必要があります。
まず切断砥石の大きさですが、切断可能な素材の厚が異なります。現在主流となっている切断砥石の大きさは305mm、355mm、405mmです。305mmのものは厚さ90mmまで切断可能で、数本まとめて切断するのに適しています。一方355mmのものは厚さ120mmまで切断可能で、丸パイプなどを1本ずつ切断するのに適しています。ちなみに405mmは業務用で、さらに大きいサイズの切断砥石も存在します。機種によって取り付け可能な切断砥石の大きさが違うため注意が必要です。
次に、切断したい素材の大きさに合わせてバイスの開き具合を選定しましょう。
回転数は切断面の美しさに関わります。綺麗な切断面が望ましい場合は回転数の多いものを選びます。
最後に消費電力ですが、消費電力が大きいほど、切断する際のパワーが大きいので、できるだけ大きいものを選びましょう。
その他には機種によって左右で角度切断の可能な角度が異なる場合があるため、確認する必要があります。
高温高湿試験とは、電子部品または電子機器が長時間高温高湿状態の環境下に置かれることで電気的な特性や機械的な特性、外観の状態がどのように変化するかを確認する試験のことです。
本試験を実施することで、高温および高湿の環境下での製品自体の耐久性を判定できます。 高温や高温の環境下では、通常の温度や湿度と比較して動作不良や不具合および故障が発生しやすくなり、 寿命の劣化が加速する条件にもなるため、 耐久性の確認が必要です。
高温高湿試験では、高い温度や高い湿度が原因で起きる動作不良や不具合の発生有無を確認することができます。試験の目的は、電子部品または電子機器が高温および高温の環境下での輸送、保管又は動作に耐えることが出来るかどうかを判断するためです。
小型の電子部品または電子機器だけでなく、大型の電子部品または電子機器にも適用可能で、電子部品または電子機器内に発熱物が有る場合と無い場合の両方にも適用しています。
高温高湿試験は、一定の温度と湿度に制御された恒温恒湿槽の中で実施します。試験の厳しさは、試験する温度、湿度と実施時間の組み合わせで決まります。試験条件が厳しすぎる場合、実使用時には発生しない動作不良や不具合が試験時に発生する可能性があるため、試験対象品の仕様や寿命、適用する規格に合わせて試験条件をに決めることが大切です。
輸送状態や保管状態を模擬した試験を実施する場合は梱包状態で試験を実施し、 動作状態を模擬した試験を実施する場合は試験対象品の梱包はせず、動作状態で試験を実施します。試験の合否は、試験前、試験中、試験後の外観、電気的特性、機械的特性の測定をして判断します。測定方法は、製品規格の規定に従い特性と外観を測定します。
高温高湿試験は、試験対象品に結露が付いていない状態を模擬した試験であるため、試験中は試験対象品に結露が発生することを防ぐ必要があります。結露が発生すると、電気的特性または機械的特性が過剰に劣化する可能性があります。
結露が発生する条件は、温度の高い恒温恒湿槽へ温度の低い試験対象品を急に入れた場合です。恒温恒湿槽内の水蒸気が凝縮され、試験対象品に結露が付着しやすくなります。
電気部品に結露が発生した場合、基板パターン間の短絡や電気絶縁性の劣化が発生し、適切な試験が出来なくなります。
結露の発生を防ぐ方法は、試験対象品を恒温恒湿槽に入れた後、試験温度とは少し低めの温度まで予備加熱したあとに、試験する温度まで上昇させることです。
試験中に電気的特性を測定する場合、測定機器の設置場所に注意する必要があります。測定機器を恒温恒湿槽の中に入れた状態で試験を実施した場合、測定機器の動作保証温度は常温が多いため、測定機器が誤動作したり故障したりする可能性があるからです。
測定機器の誤作動を防ぐために、試験を実施する際は、測定機器を恒温恒湿槽の外に置き、測定機器を常温の状態にして試験するのが望ましいです。測定機器を恒温恒湿槽の外に設置する場合は、電気信号を測定するためのハーネスを恒温恒湿槽外に配線し、電気的特性を測定します。
電気信号を測定するためのハーネスが細すぎたり、長すぎたりすると電圧降下が発生したり、外来ノイズによる波形変化が発生し、正確な測定ができません。ハーネスによる電圧降下が電気的特性の測定に影響している場合は、ハーネスの径を大きくし、ハーネスの長さは短くすることでハーネスのインピーダンスが下がり、電圧降下を少なくすることができます。
外来ノイズの影響で波形変化が発生する場合は、ハーネスをツイストペアにするか、ハーネスにフェライトコアを接続することで外来ノイズの影響を少なくすることが可能です。