気密試験

気密試験とは

気密試験

気密試験とは、容器や配管内に空気や窒素などの気体、または水などの液体を一定の圧力で充填し、漏洩が発生していないかを確認する検査のことです。

気密試験は、主に液化石油ガス (LPG) の配管設備の設置や改修後に実施され、ガス供給前に不活性ガスを使用して行われます。試験は規定の圧力と時間で実施され、漏れや異常がないことを保証します。特に、LPG設備における気密試験は法的な資格が必要で、「液化石油ガス設備士」の免状を持つ者のみが実施可能です。

気密試験の使用用途

気密試験の使用用途として、液化石油ガス (LPG) 配管設備の安全確認、圧力容器や配管設備のメンテナンス、冷凍・空調設備の点検、自動車や航空機の部品検査、医療機器や電子機器の気密性保証の5つが挙げられます。

1. 液化石油ガス (LPG) 配管設備の安全確認

液化石油ガスでの気密試験では不活性ガスを使用し、配管内部の漏洩箇所がないか確認します。安全基準にもとづいて実施されるため、試験を実施する者には資格が必要です。

2. 圧力容器や配管設備のメンテナンス

石油精製や化学工業で使用される圧力容器や配管の気密試験は、設備の耐久性を確認し、事故を未然に防ぐために欠かせません。運用中の設備に対して定期的に行うことで、老朽化による問題を早期に発見できます。

3. 冷凍・空調設備の点検

冷媒を使用する冷凍機や空調システムでは、冷媒の漏れを防ぐことが重要です。気密試験により、圧力損失や漏洩箇所を特定し、エネルギー効率を高めるとともに環境保護を実現します。

4. 自動車や航空機の部品検査

自動車のエアバッグシステムや航空機の油圧システムでは、部品や配管の気密性が性能に影響します。気密試験はこうしたの産業でも品質保証の一環として重要とされています。

5. 医療機器や電子機器の気密性保証

医療機器や電子機器では、内部への湿気や外部からの異物混入を防ぐため、気密性が求められます。

気密試験の原理

気密試験の原理として圧力差による検出、発泡試験、水没試験、ガス漏れ試験、真空法の5つが挙げられます。

1. 圧力差による検出

試験対象に一定の圧力を加え、その後の圧力変化を測定します。もし圧力が徐々に低下する場合、漏洩が発生している可能性があります。圧力差による検出は配管や容器の大規模検査に適しています。

2. 発泡試験

試験対象の外部に発泡剤 (石鹸水など) を塗布し、漏れがある場合に発生する気泡を目視で確認します。発泡試験は簡便で、漏洩箇所を正確に特定する際に利用されます。

3. 水没試験

対象物を水中に沈めて漏れを確認する方法です。漏洩箇所から気泡が発生するため、視覚的に簡単に特定できます。水没試験は、耐圧力が比較的低い部品の検査に適しています。

4. ガス漏れ試験

窒素やヘリウムなどの不活性ガスを充填し、漏洩を専用のセンサーで検知します。特に高精度を要求される産業で広く用いられます。

5. 真空法

試験対象内を真空状態にし、漏れ箇所から外部の気体が侵入することで圧力変化を検知します。真空ポンプや高精度の圧力センサーが必要で、医療機器や航空部品で使用されます。

気密試験の種類

気密試験の種類として圧力試験、ヘリウムリーク試験、石鹸水試験、水没試験、圧力センサー試験、真空試験の6種類が挙げられます。

1. 圧力試験

容器や配管に常用圧力以上の圧力をかけて行う方法です。主に産業機械や配管設備で使用され、漏洩の有無だけでなく、耐圧性能も確認できます。

2. ヘリウムリーク試験

高精度な漏れ検出が可能な方法で、主にヘリウムガスを使用します。ガス検知器を使って微細な漏洩も確認できるため、医療機器や航空部品で広く用いられています。

3. 石鹸水試験

簡便で一般的な方法です。配管や容器に圧力をかけた状態で石鹸水を塗布し、漏れ箇所に発生する泡で漏洩を検出します。低コストで実施できるため、家庭用設備の試験にも適しています。

4. 水没試験

小型部品や短い配管の漏洩確認に使用されます。水中に沈めるだけで漏洩箇所を確認できるため、視覚的に分かりやすいのが特徴です。

5. 圧力センサー試験

電子センサーを用いて、容器や配管の内部圧力をリアルタイムでモニタリングします。この方法はデータを記録できるため、大規模な試験や高度な分析に適しています。

6. 真空試験

真空状態で行う試験です。外部からの気体侵入を高感度で検知できるため、特殊な産業で活用されています。ガス分析装置を併用する場合もあります。

曲げ試験

曲げ試験とは曲げ試験

曲げ試験とは、材料に対する強度試験の一種で、材料である試験片に上から荷重を加え、材料の曲げる力に対する強度を測定する試験です。

3点試験と4点試験では試験の性質が異なるため、用途に応じて試験方法を選ぶ必要があります。例えば、人工骨などの医療品は3点試験を使用する場合が多いです。

曲げ試験では、試験片に荷重を加えたときの試験片のたわみ量を測定し、荷重とたわみ量をプロットした曲線を解析ソフトにかけて、曲げ応力と曲げひずみの線図を求めます。この応力−ひずみ線図から求めた最大応力が、試験片の曲げ強さです。

曲げ試験の使用用途

曲げ試験は、材料が曲がる際に発生する応力を測定して、材料の性質や機械的な性能などを調べるために行われています。また、脆性材料にかかる曲げによる破壊強さを測定するためにも有効です。

一般的に曲げ試験は、試験段階の材料や製品、サンプルの強度評価に用いられます。曲げ試験により得たデータをもとに、製品の性能評価が行われます。

例えば、プラスチックなどで形成されるコップなどの生活必需品の性能評価などです。その他、人工骨などの医療製品の性能評価にも曲げ試験が利用されているため、日用品や医療製品問わず、幅広く利用されている試験方法です。

曲げ試験の原理

曲げ試験は、試験片である材料を両端の支点で支え、支点間に外力を加えることで成り立ちます。3点試験の場合は支点間の外力が1つ、4点試験の場合は支点間の外力が2つになります。

それぞれ外力を加える個数は異なりますが、支点間に外力を加える点は同じです。試験の対象はプラスチック、セラミック、金属など多岐にわたるため、原理は同じでも発生する現象が異なります。異なる現象を調べることが、曲げ試験の目的です。

曲げ試験の種類

曲げ試験は主に3点試験と4点試験があり、以下のようにそれぞれ目的が異なります。

  • 3点試験
    曲げ加工を行うのに適した材料かを調べる。
  • 4点試験
    材料そのものの性質を調べる。

一般的に、「曲げ試験を使用する」というと「3点試験を使用すること」を指します。3点試験は、4点試験よりも容易に試験ができることが特徴として挙げられます。3点試験と4点試験は基本原理は同じですが、試験方法と使用用途が異なります。

一般の試験機では、3点試験しか対応していない場合も多いです。そのため、適切な試験場や会社を選択することが、正確な試験を行うために欠かせません。

1. 3点試験

3点試験は、試験片である材料の両端を支えて中央に外力を加える試験です。両端で2点、中央で1点の計3点に外力が加わることから、3点試験と呼ばれています。

3点試験は、材料のせん断力の分布が一様にはならず、材料の性質を正確に調べるには不向きです。そのため、材料の性質を調べるためには後述する4点試験が適しています。

3点試験は、材料の曲げ加工に似た外力を加えるため、曲げ加工を行うのに適した材料かを調べるのが目的です。曲げ加工に適した材料か判断する際は、材料に外力を加えたときに発生する亀裂の有無を確認します。

亀裂が無い場合には曲げ加工に適した材料とみなされ、亀裂がある場合には材料の選定などを再度行う必要があるとみなされます。

2. 4点試験

4点試験は、試験片である材料の両端を支点で支えて、支点の間に2つの同じ大きさの外力を加える試験です。支点で2点、中央で2点の計4点に外力が加わることから、4点試験と呼ばれています。

4点試験は、支点以外の2つの外力間のせん断力が一定です。また、曲げモーメントも一定になるので、純粋曲げの状態になります。そのため、材料の性質を調べることに向いています。

4点試験は、試験の困難さから現象のばらつきが測定されることもあります。そのため、4点試験を行う際は適切な環境、適切な試験機を選択し、正確に試験を行うことが重要です。

引張り試験

引張り試験とは

強度試験の種類

図1. 強度試験の種類

引張り試験とは、曲げ試験圧縮試験と同様、材料に対する強度試験の一種です。

試験片の両端を外側に引っ張る力、すなわち引張り力を加えたときの強度を測定する試験です。引張試験機万能試験機により引張荷重を加え、ロードセルひずみゲージ変位計などを用いて測定を行います。試験により得られた、ひずみと負荷荷重または応力の関係を分析することで、材料の力学的特性を評価することができます。

引張り試験は、様々な分野で実施されています。試験により得られたデータは、安全で安心して利用できる製品の開発に寄与しています。

引張り試験の使用用途

引張り試験は、土木・建築・機械・医学など様々な分野で行われています。

引張り試験の目的は研究開発や品質保証であり、金属・ゴム・プラスチック・紙など様々な材料が対象です。また、大学等の授業に用いられることもあり、実際に材料を引き延ばし、破断に至るまでの様子を観察、データの分析や考察を行うことで、材料についての学びを深めます。

引張り試験により得られるデータは、各種シミュレーションや設計などを行う際に用いられます。安全で安心に利用できる製品の開発にとって、その基礎を支えるような重要なデータです。

引張り試験の原理

応力-ひずみ曲線_

図2. 応力 – ひずみ曲線

試験片の両端に引張り力を加えると、材料は引張り力の方向に伸びはじめ、最終的に、破断に至りますが、引張り試験では、この間の、応力とひずみの関係、試験片の様子に基づき材料の評価を行います。

材料に加わる応力とひずみは比例しますが、引張り力を加え続けると、応力 – ひずみ間の比例関係が崩れ、ひずみの変化に対する応力の上昇のし方が緩やかになります。さらに加重し降伏点と呼ばれる状態を過ぎると、応力は一度下がりますが、再び加重とともに応力が上がります。このときの応力の最大値が引張り強度です。

引張り強度は、試験片が破断されるまで続けることで、信頼性のあるデータになります。

引張り試験のその他情報

1. 引張り試験により得られるデータ

引張り試験より得られるデータの例

図3. 引張り試験より得られるデータの例

引張り試験により得られる情報は、応力 – ひずみ曲線や伸び・絞り・ポアソン比などがあり、応力 – ひずみ曲線を分析することで、弾性率・上降伏点・下降伏点・引張り強さ・破断点などの情報が得られます。

1. 伸び (%)
伸びは、試験片が破断までにどれだけ伸びたのかを示す割合のことであり、一般的に、高強度であるほど小さく、低強度であるほど大きな値となります。試験片の2か所に標点と呼ばれる印をつけ、試験開始前と破断時に標点間の距離を測定します。もともとの標点間の距離に対する距離の変化量を百分率で表したものが伸びとなります。

2. 絞り (%)
絞りは、試験片の断面積がどれだけ変化したのかを表す割合のことであり、この値が大きいほど、深絞り加工などに向いているということになります。破断後の試験片において最もくびれた部分の断面積を測定します。もともとの断面積に対する断面積の変化量を百分率で表したものが絞りとなります。

3. ポアソン比
ポアソン比は、引張荷重が加えられた方向のひずみとそれに垂直な方向のひずみの比の絶対値です。試験片に2軸のひずみゲージを貼り付け、引張り試験を実施しることで求めることができます。材料ごとに一定の値であり、ポアソン比が大きいほど、引張荷重に対して垂直な方向にひずむということになります。

4. 弾性率 (N/mm2)
弾性率は、応力とひずみの関係を一次式で表すことができる区間、弾性域における傾きのことです。ここで、弾性域とは、材料が変形したとしても、荷重を取り除けば元の形状に戻る区間のことです。この傾きが緩やかであるほど、柔らかい材料であるということになります。

5. 上降伏点 (N/mm2)
上降伏点は、弾性域と塑性域の境界で、応力値が最も高くなる点のことで、一般的に降伏点と呼ばれます。ここで、塑性域とは、荷重を取り除いても変形が戻らない区間のことであり、塑性変形が急激に生じ始める現象を降伏と呼びます。降伏点が高いということは、塑性変形しにくいということになります。

6. 下降伏点 (N/mm2)
下降伏点は、降伏棚において応力値が最も低い点のことであり、この値が低いほど塑性加工の成型能がよくなります。ここで、降伏棚とは、上降伏点で急激に降伏が始まった後に現れる、応力度が低下し、ひずみが増加しても応力が増加しない区間のことです。

7. 引張り強さ (N/mm2)
引張り強さは、引張り試験中に加わった最大引張応力であり、材料のもつ最大強度のことです。引張り強さが高いほど、高強度であるということになります。

8. 破断点
破断点は、応力 – ひずみ曲線において、試験片が破断したときの点のことであり、そのときの応力を破断応力、ひずみを破断ひずみといいます。 

2. 引張り試験に必要な設備

引張り試験では、引張荷重を加える目的で引張り試験機や万能試験機が、測定の目的でロードセル・ひずみゲージ・変位計が用いられます。

試験機には、モーター式・油圧式・電磁式などの種類があります。万能試験機は治具を取り替えることで様々な試験を実施することができますが、引張り試験においては、ねじ式平面つかみ具、空気式平面つかみ具、定位置くさび式つかみ具などの治具が用いられます。

ひずみゲージは、試験片に貼り付けて使用され、測定対象と一緒にひずみ、その際の電流の変化量を測定することによって、ひずみを算出します。測定に用いられる変位計には、接触式と非接触式のものがあり、前者は小さな伸びを高精度で測定することができ、後者は接触による試料への影響を抑えることができます。これらは、いずれも、さらに、いくつかの種類があるため、材料や用途により使い分けられます。

参考文献
https://info.shiga-irc.go.jp

外観検査

外観検査とは

外観検査

外観検査とは、製品の外観を人の目で確認して良品・不良品に分ける検査のことです。

外観検査は、製品の品質を保証することを目的としています。形状の不備、色の違いや塗装ムラ、印字ミス、表面の傷、異物の付着など、機械で自動的に検査することが難しい項目について、外観検査が行われます。

外観検査は、良品判定の条件を定量化することが難しいという点が特徴です。そのため、検査員による検査結果のバラツキを防ぐために判定用の限度見本と比較しながら検査する方法があります。また、肉眼で確認する目視検査だけでなく、拡大鏡、顕微鏡、画像処理システムを利用した検査も外観検査に分類されます。

外観検査の使用用途

外観検査の使用用途として製造業における品質保証、製品の外観評価、医薬品や食品の安全性確認の3つが主に挙げられます。

1. 製造業における品質保証

製造業では、外観検査が製品の完成度をチェックし、品質基準を満たしているかを確認する重要な工程です。例として、自動車部品の表面の傷やバリ、電子部品の配線不備、塗装面のムラ、食品パッケージの異物混入などが挙げられます。外観検査により、顧客への不良品流出を防ぎ、製品の信頼性を確保します。

2. 製品の外観評価

製品の見た目や手触りは、ブランドイメージに影響を与えます。例えば、高級家電や化粧品などでは、表面の美観や仕上がりの滑らかさが重要です。外観検査により、デザイン基準を満たしていることを確認します。

3. 医薬品や食品の安全性確認

食品や医薬品業界では、異物混入やラベルの印字ミスが命に関わる問題となります。外観検査はこれらのリスクを防ぐための防衛線として機能します。

外観検査の原理

外観検査は、製品の外観的な欠陥を発見するために行われます。外観検査の原理は、視覚的な判断基準と道具を駆使して、製品の状態を評価することです。具体的には目視検査の基本原理、拡大検査の活用、画像処理システムの利用の3つを解説します。

1. 目視検査の基本原理

目視検査は検査員が製品を目で見て判断する方法です。形状や色、傷、異物の有無を直接観察しますが、人間の視覚に依存するため、経験や体調、照明条件により結果が左右される可能性があります。限度見本と比較することで、基準を明確化し、ばらつきを抑えます。

2. 拡大検査の活用

肉眼では確認しきれない細かな傷や異常を発見するため、拡大鏡や顕微鏡を使用します。特に電子部品や精密機器など、微細な欠陥が製品の性能に重大な影響を及ぼす場合に効果的です。

3. 画像処理システムの利用

近年、画像処理技術を利用した外観検査が普及しています。画像処理システムの利用した方法では、カメラで製品の画像を撮影し、専用のソフトウェアで分析を行います。人間の目では見落としやすい細かい異常も検知可能です。

外観検査の種類

外観検査には、製品や用途に応じてさまざまな種類があります。主に以下の3つに分類されます。

1. 目視検査

検査員が直接目で確認する方法で、最も一般的な外観検査です。照明条件や視覚基準を一定に保つことが重要です。人間の感覚を活かした柔軟な対応が可能な反面、疲労や主観の影響を受けやすい点が課題になります。

2. 拡大鏡・顕微鏡を用いた検査

目視検査の限界を補完するために、拡大鏡や顕微鏡を利用します。例えば、精密な製品や小型部品において、表面の微細な傷や異常を検出する際に活用されます。

3. 自動化検査

AIや画像処理システムを利用した外観検査は、自動車部品や電子機器製造業で多く採用されています。自動化検査は検査速度が速く、結果が一貫しているため、大量生産品の検査に適しています。例えば、CCDカメラやレーザーセンサーを使い、製品の形状や異常を検出します。

4. 特殊検査手法

製品の材質や用途に応じて、UVライトや蛍光塗料、熱感知システムなどを用いた特殊な検査が行われることもあります。そのため、通常の検査では見つけにくい欠陥を検出することが可能です。

圧縮試験

圧縮試験とは

圧縮試験

圧縮試験 (英: compression test) とは、材料である試験片に圧縮力を加えることで材料の耐久性を測定する試験です。

引張試験と同じく、材料に対する強度試験の一種です。圧縮試験では、比例限度や弾性限度、降伏点やヤング率などを測定する点でも引張試験と似ています。しかし、圧縮試験特有の圧縮強度を求められる点が大きな違いです。

圧縮試験は別名耐圧試験とも呼ばれ、試験片に上から荷重を加えて、圧縮する力に対する材料の耐圧性を測定します。耐圧性を測定する対象は、ばねや自動車のタイヤなどさまざまです。ばねなどの弾性係数の調査や、タイヤの耐圧性能の調査に利用されます。

圧縮試験の使用用途

圧縮試験は、主に材料の圧縮強度を調査するために使用されます。例えば、ばねの弾性や自動車・自転車のタイヤがどれくらいの圧力に耐えられるのかを調査するときなどです。さらに、タイヤで使用されるボールベアリングでは自動車などの重みに耐えられるように入念に圧縮試験が行われます。

圧縮試験で材料を圧縮する場合、材料が座屈するのが問題です。座屈とは圧縮を加えた場合、急に材料が折れ曲がる現象を指します。材料が座屈することを確認できた場合には、材料を変更するなどの工夫が必要になります。

材料の座屈問題は、建築部材などで顕著です。コンクリートなどの建築部材は、建物の重みに耐えかねて座屈する場合があります。そのため、コンクリートなどの建築部材の安全性を評価する上でも、圧縮試験が使用されます。

圧縮試験は圧縮試験機に材料をセットして行われるため、試験したいコンクリートなどが圧縮試験機で設定した圧力に耐えられるのかを検証します。使用用途は多岐にわたるため、引張試験と同様に重要な試験です。

圧縮試験の原理

圧縮試験は、材料である試験片に圧縮力を加えることで材料の耐久性を測定することで成り立ちます。圧縮試験では、比例限度や弾性限度、降伏点やヤング率などを測定します。

圧縮試験機に材料をセットすることを位置決めと呼びます。位置決めを正確に行わなければ、材料にかかる圧力が均等にならず、正確な圧縮強度を測定することができないので注意が必要です。

位置決めが終わると、圧縮試験機から材料に圧縮を加えます。ここで圧縮強度を測定しますが、所期の圧縮強度を満たす材料か測定する場合もあれば、純粋に圧縮強度がわからず、圧縮強度を求めたい場合もあります。そのため、試験の目的を明確にしておくことが大切です。

圧縮加重を加えることで、ある程度の圧縮力を加えると、材料は破壊されます。材料が破壊されたときの圧縮加重はどれくらいなのかを測定することで、材料の耐久性が分かります。

圧縮試験のその他情報

1. 圧縮試験で得られる情報

圧縮試験では主に、比例限度、縦弾性係数、弾性限度、降伏点の情報が得られます。

比例限度
比例限度とは、材料の応力とひずみが比例関係にある領域の最大応力のことです。引張試験などにも用いられる用語です。応力−ひずみ線図を描き、応力とひずみが比例関係にある領域をプロットすることで求められます。

縦弾性係数
縦弾性係数はヤング率とも呼ばれ、応力−ひずみ線図で応力とひずみが線形の関係になっている領域の傾きのことです。比例限度までの応力であれば、応力とひずみは比例するため、縦弾性係数が求められ、応力も求められれば、ひずみの値が一意に決まります。

弾性限度
弾性限度とは、材料が弾性変形する限界の応力の値のことです。材料が弾性限度を超えると、圧縮試験機で外力を除荷したとしても、ひずみが残ります。すなわち、弾性変形ではなくなります。

2. 圧縮試験の方法

圧縮試験では、試験片に対して上から一定の速度で荷重を加え、試験片が破壊するまで、または荷重が規定の値に達するまで圧縮し、試験片にかかる力と変位を測定します。

圧縮試験で得た値を応力−ひずみ線図に変換し、線図から求めた最大圧縮応力が試験片の圧縮強さです。また、応力−ひずみ線図の規定された2点間の応力の差をひずみの差で割った値が、圧縮弾性率になります。

バーンイン試験

バーンイン試験とは

バーンイン試験とは、電子部品や半導体製品に対して行われる信頼性試験の一種です。

バーンイン試験では、製品使用条件の温度・電圧の負荷をかけることによって、製品出荷に際して初期不良品を検出し除去します。また、使用条件よりも高い温度・電圧を長時間かけることで、製品の信頼性を評価します。

半導体製品は、一般に出荷直後の初期不良による故障率が非常に高く、時間経過とともに故障率は減少します。したがって、バーンイン試験によって出荷前の初期不良品を除去することにより、製品の故障率を軽減し、信頼性の高い製品を市場に出すことが可能です。

バーンイン試験の使用用途

バーンイン試験の使用用途は、大きく以下の2つに区分されます。

  1. 電子部品の組立品の初期不良 (動作の不具合品) のスクリーニングの用途
  2. 半導体製品の初期の特性変動を考慮した、電気的特性安定化のための用途

試験の形態としては完成品のボード実装試験と半導体ウエハ状態でのプローブ試験に分かれるものの、使用用途としては上記の2つが該当します。

バーンイン試験の原理

半導体製品の信頼度試験でよく用いられる言葉に「バスタブカーブ」があります。通常の製品は初期不良に相当する不具合発生の期間を経て、偶発故障領域の期間、および製品の寿命に相当する摩耗故障期間の故障発生カーブを描きます。この故障発生頻度の経時カーブがバスタブの形状に似ているため、バスタブカーブという呼称がついています。

バーンイン試験の目的は、主に最初の比較的発生確率の大きな初期不良領域の不具合品を、過負荷をかけて取り除くことです。過負荷の方法には、内部の素子に一般に電圧や電流を大きく印加する電気的なものや、温度を通常の動作保証温度よりも高く設定して初期不良を加速させるものが多いですが、特殊なバイアス印加や製品によってはサージに近いバイアス試験を課す場合もあります。

またバーンイン試験には、半導体素子の初期の特性変動を抑制して寿命保証を確実なものとするための試験としての面もあります。例えば、レーザーダイオードにおいては、電気的なバイアス電流を印加して実際に所望のレーザー光が発光するまでのバイアスが閾値電流です。この閾値電流は、初期の動作期間は多少変動することが多いです。

レーザーの寿命は動作電流の定格内という定義が一般的な規格であり、この電流の変動を極力抑制し安定領域で出荷する目的でバーンイン試験が使用されています。同様に、バイポーラトランジスタの電流増幅率の変動抑制にも同じ理論でバーンイン試験が活用されています。

バーンイン試験の種類

バーンイン試験は目的に沿う試験をできるだけ低コストで実現したいという思惑を背景に、大きく2種類に試験形態を区分できます。

1. オンウェハでのバーンイン試験

半導体ICチップをウエハ状態でプローブ評価し、必要に応じて負荷をかけ初期スクリーニングを実施する試験です。この試験のメリットは、ICをパッケージやモジュール等に組み立てた後の選別やスクリーニングで不具合を取り除くよりも、コスト低減が期待できる点です。

一般に電子製品は後工程になればなるほど、付加価値が増えます。よって製品の組み立ての最終段階でのスクリーニングよりは、前工程段階での選別がコストの抑制面からは効果的です。

2. 試験炉体を用いたバーンイン試験

ウエハ状態でのバーンイン試験のみならず、電子部品の製品では複数の部品が搭載されたパッケージ実装状態でのバーンイン試験の実施が必要な場合が多いです。

プローブ評価ではスクリーニング困難な場合や、複数のICや部品にまたがる試験を実施したい場合等がこれに該当します。この場合は専用の試験炉体に複数個のパッケージ品を専用ボードへ搭載し、電圧加速や高温内放置等の様々な負荷を製品へ印加して、初期不具合品を除去します。

バーンイン試験のその他情報

最近の電子部品や半導体素子はその部品の高機能化のために、内部のICにデジタル回路での制御を集積している場合が多いです。内部素子の所望の動作をバーンイン試験保証するために、複雑な制御を施す必要がありますが、ICのすべてのテストパターンを試験するのはコストと時間面で非現実的な場合が多く、FPGAで効果的な試験のみを抽出して試験する手法も確立されています。

ダイナミック・バーンイン試験とも称されるこの試験はASIC向けの高速なクロックサポートと共に、システムLSI等を活用して対応すべく、バーンイン試験の測定器メーカーから技術サポートがなされています。

クリープ試験

クリープ試験とは

クリープ試験とは、高温を発生させる電気炉の中に試験片を入れ、試験片を引っ張る荷重を加えて変形を発生させ、試験片が破断するまでの時間を求める試験です。

クリープ試験は計測の目的によって引っ張る力だけでなく、試験片を圧縮したり、曲げやねじれを加えたりする試験も存在します。クリープ現象とは、試験片に一定の荷重を発生させると変形が止まりますが、試験片が高温に晒されていると荷重を加えなくても変形し続ける現象です。

クリープ試験の使用用途

クリープ試験は、長時間の使用に耐えうる部材を試験する場合に行われます。例えば、化学プラントや原子炉に使用する部材を選定する場合、クリープ現象で変形する部材を選定してしまうと、安全な運転ができなくなってしまいます。

そのため、クリープ試験は、安全な部材選定をする意味でも非常に重要です。また、クリープ試験は、部材がある応力で破断するまでの時間を求める場合にも使用されます。

クリープ試験は、破断試験、引っ張り試験、圧縮試験の3つが基本です。それぞれの試験によって得られたひずみ量や膨張量、縮小量、表面のひび割れなどをもとに、安全な材料であるかを測定します。

クリープ試験の原理

クリープ試験機により、部材にクリープ現象によるクリープ変形を生じさせることが基本の原理です。クリープ試験は、高温を発生させる電気炉の中に試験片を入れ、試験片を引っ張る荷重を加えてクリープ変形を発生させ、試験片が破断するまでの時間を求めます。

クリープ試験の種類

クリープ試験は、クリープ破断試験、引っ張りクリープ試験、圧縮クリープ試験の3種類が存在します。それぞれ使用用途が違いますが、部材にクリープ現象を起こさせる点が共通しているため、3種類ともクリープ試験に分類されます。

1. クリープ破断試験

クリープ破断試験とは、ある試験温度を設定し、部材に外力を加え、破断するまでの時間と応力の経過を追う試験です。クリープ破断試験で部材が破断するまでの時間を「クリープ強度」と呼びます。

クリープ現象が起こるまでの時間は温度によって異なるため、高温下で使用される部材の強度や寿命を調べる際に行われます。

2. 引っ張りクリープ試験

クリープ試験で最も一般的な試験が、引っ張りクリープ試験です。試験方法は引っ張り試験とほとんど変わりません。引っ張り方向に負荷を与える単軸引っ張り試験で、部材の伸びやひずみ、試験時間を計測します。

ただし、実際に化学プラントや原子炉では単軸引っ張りではなく、二軸や三軸引っ張りの場合が多いため、一概に引っ張りクリープ試験だけを行うだけでは不十分なこともあります。

3. 圧縮クリープ試験

圧縮クリープ試験とは、部材を圧縮することで、クリープ現象を起こさせる試験です。引っ張りクリープ試験とは逆向きの外力を加えますが、それでもクリープ現象は起きます。圧縮によるひずみや応力、試験時間を計測する試験です。

クリープ試験のその他情報

1. クリープ現象とは

クリープ現象とは、ある状況下で引っ張り応力よりも小さい応力で部材が破断する現象のことです。部材を高温化で変形させる場合、部材の弾性限度以下の応力でも、外力を加え続けることで変形量が増大し、引っ張り試験などで知られる引っ張り応力よりも小さい応力で破断することがあります。これがクリープ現象です。

2. クリープ現象が起こる例

日常的なクリープ現象の例として、プラスチックの変形が挙げられます。プラスチックは、重い物を乗せて長時間放置した場合に変形します。

外力が大きい場合には、時間が経つにつれて変形が増大し、いずれプラスチックは破断に至ります。ねじを長時間締めたままにしておくと、座面にねじの痕が残るのも、長時間の外力によって座面がクリープ変形した例です。

その他、コンクリートもクリープ変形します。乾燥したり、荷重が大きかったりすると、クリープ変形が起こりやすいです。

 

EMC試験

EMC試験とは

EMC試験

EMC試験とは、EMC (Electromagnetic Compatibility:電磁両立性) の性能を確認する試験です。

EMC試験は、EMI試験とEMS試験から構成されてます。EMI試験 (Electromagnetic Interference:電磁障害) は、電子機器等が外部に対して放出する電磁波を測定する試験です。EMI試験では、電子機器等から外部に放出される空間に放射される電磁波のレベルが規格の基準に入っているかを確認しています。

具体的には、電磁波または電源ハーネスや通信ハーネスから伝導によって外部に放出される電磁波を測定します。一方で、EMS (Electromagnetic Susceptibility:電磁感受性) 試験は、電子機器等が外来電磁波を受けた際の耐性を確認する試験です。

EMS試験では、電子機器等に静電気や放射電磁界等の外来ノイズを印可し、電子機器が規格の基準内のノイズを受けても正常動作するかを確認しています。

EMC試験の使用用途

EMC試験は、各国や各地域で規定されたEMC規格や製品群毎に規定されたEMC規格の基準を満たすために行われています。販売前の製品開発の段階で、規格で規定されたEMC試験を実施し、基準適合性を確認するのが目的です。

基準を満たせると、電子機器を世の中に販売できるようになります。

EMC試験の原理

EMC試験は、IEC ( International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議)とIECの委員会であるCISPR (International Special Committee on Radio Interference:国際無線障害特別委員会) が定めた国際規格が標準となっています。IECは、EMS試験の規格が中心ですが、CISPRはEMI試験の規格が中心です。

各国、各地域のEMCに関する法規制は、IEC、CISPR規格をベースにしています。米国や欧州では、EMCに関して法規制で厳しく制限しています。日本では、EMCに関する法規制は無く、VCCI等の業界団体が自主規制措置を取っているのが現状です。

EMC試験の種類

1. 放射妨害波エミッション試験

電子機器から放射される電磁波をアンテナを用いて定量化し、測定した値が既定の基準以内であるかを確認する試験です。電波暗室またはオープンサイトで試験を実施し、30MHz以上の周波数を対象として測定します。

2. 伝導妨害波エミッション試験

電子機器の電源線または通信線から伝導放射される電磁波をスペクトラムアナライザを用いて定量化し、測定した値が既定の基準以内であるかを確認する試験です。電波暗室またはシールドルームで試験を実施し、9kHzから30MHz以下の周波数を対象として測定します。

3. 静電気放電イミュニティ試験

静電気が電子機器に印可された場合に、電子機器が正常動作するかを確認する試験です。静電気放電試験器の静電気放電ガンから電子機器に静電気を印可して試験を実施します。

電子機器に、直接静電気を印可する直接放電試験と、電子機器近傍の導体物から静電気が印可する間接放電試験があります。

4. 放射電磁界イミュニティ試験

高周波の電磁波が電子機器に放射された場合に、電子機器が正常動作するかを確認する試験です。電波暗室またはオープンサイトで試験を実施し、試験用のアンテナを用いて、80MHz以上の周波数を電子機器に印可します。

5. 電気的ファスト・トランジェントバーストイミュニティ試験

コイルやインダクタの遮断時に発生する過渡的な異常電圧が発生した場合に、電子機器が正常動作するかを確認する試験です。ノイズの印可箇所は、電子機器の電源線または通信線です。

試験対象が電源線の場合は、電子機器のインレットにノイズを印可します。試験対象が通信線の場合は、電子機器の通信ハーネスをカップリング装置でクランプした上で、通信線にノイズを印可します。

6. サージイミュニティ試験

雷発生時やスイッチのON/OFF時に発生する過渡的な異常電圧が発生した場合に、電子機器が正常動作するかを確認する試験です。ノイズの周期は、トランジェントバーストより長いです。専用の試験器を用いて、電子機器の電源線または通信線にノイズを印可します。

高速切断機

高速切断機とは

高速切断機とは、切断砥石を用いて、鉄パイプやワイヤーロープなどの金属製の細長い素材を素早く切断できる機械のことです。

類似の製品であるディスクグラインダーと比較した際の特徴としては主に2点あります。1点目は高速切断機はディスクグラインダーと比べて切断砥石が大きくモーター出力も大きいため、切断時間が早いこと、2点目はディスクグラインダーが手持ちで使用するのに対して高速切断機は卓上に設置して使用するため狙った部分を高い精度で切断できることです。

ただし、高速切断機は切断専用の機械であり、ディスクグラインダーのように研磨砥石等を取り付けることはできません。

高速切断機の使用用途

高速切断機は、短時間で安定した切断作業を実現するため、以下のような用途に適しています。

1. 薄い素材や細長い素材の切断

アームとバイスで素材をしっかり固定できるため、薄い金属板や細いパイプなどの切断に向いています。そのため、手ぶれが生じにくく、精度の高い仕上がりが得られます。

2. 大量切断作業

高速切断機は大量の金属素材を効率よく切断できるため、農業資材や単管パイプなどを複数本まとめて加工する現場で活用できます。均一な切断面を維持しながら連続作業をこなせる点が利点です。

3. 角度切断

バイスを傾斜させることで、45度までの角度切断が可能です。そのため、アングル材や鋼材を用いたフレーム作製や構造部品の加工に適しています。傾斜角度が細かく調整できるため、複雑な設計にも対応可能です。

高速切断機の原理

高速切断機は、切断砥石と素材をアームとバイスで固定した状態で切断を行います。高速切断機により、振動や手ぶれを抑え、高精度かつ安全に切断の実現が可能です。

切断砥石の大きさにより、切断可能な素材の厚が異なります。現在主流となっている切断砥石の大きさは305mm、355mmです。305mmの切断砥石は厚さ90mmまで切断可能で、数本まとめて切断するのに適しています。一方355mmのものは厚さ120mmまで切断可能で、丸パイプなどを1本ずつ切断するのに適しています。機種によって取り付け可能な切断砥石の大きさが違うため注意が必要です。

切断したい素材の大きさに合わせてバイスの開き具合を選定します。回転数は切断面の美しさに関わり、回転数の多いものほど綺麗な切断面を可能にします。また、消費電力が大きいほど、切断する際のパワーが大きくなります。

高速切断機の種類

高速切断機にはさまざまな種類があり、用途や現場の環境に応じて適切な機種を選ぶ必要があります。以下に、主要な分類方法とそれぞれの特徴を詳しく解説します。

1. 電源方式による分類

高速切断機は、主に電源方式の違いから「AC電源式」と「充電式」に分けられます。

  • AC電源式
    据え置き型が基本で、主に工場や作業場での使用に適しています。単相100V、単相200V、三相200Vといった種類があり、使用する砥石のサイズによって電源容量を選定する必要があります。
  • 充電式
    コードレスで取り回しやすく、電源が確保しづらい現場で活用できます。ブラシレスモーター採用の機種が多く、コンパクトながらパワフルな切断が可能です。

2. 切断砥石のサイズによる分類

切断砥石の外径サイズによって、高速切断機の切断能力や用途が異なります。

  • 305mm砥石
    薄い素材や短い金属の連続切断に適しており、DIYや小規模作業向けです。
  • 355mm砥石
    標準的なサイズで、丸パイプや角パイプなどの幅広い用途に対応します。
  • 405mm砥石以上
    業務用として大型の素材や厚みのある金属の切断に適しています。

3. 電圧による分類

AC電源式の高速切断機は、電圧によって3つのタイプに分けられます。

  • 単相100V
    一般家庭用電源で使用可能なタイプです。主に305mmや355mmの砥石を使用します。
  • 単相200V
    パワーが強く、主に業務用機種に採用される電源です。大きな砥石を使用する場合に適しています。
  • 三相200V
    工場や大型現場向けで、大きな出力を必要とする機種に使われます。405mm以上の砥石で大型素材を切断する際に適しています。

4. 用途別分類

用途に応じて最適な高速切断機の種類が変わります。

  • DIY向け
    小型・軽量なモデルで、家庭での簡単な切断作業に適しています。
  • 業務用
    高出力で耐久性に優れ、大量切断や長時間作業を必要とする現場に最適です。
  • 角度切断対応機種
    45度までの角度切断に対応しており、フレーム製作や構造物の加工に役立ちます。

5. 切断素材の種類に対応した分類

高速切断機は、切断素材に合わせて性能を選ぶ必要があります。

  • 金属専用モデル
    鉄、ステンレス、鋼材などの切断に特化しています。
  • マルチ対応モデル
    アルミや塩ビなど、熱に弱い素材や非金属素材にも対応する機種です。

高温高湿試験

高温高湿試験とは

高温高湿試験

高温高湿試験とは、様々な部品や機器類が高温高湿状態の環境下に長時間置かれることで、電気的な特性や機械的な特性、外観の状態がどのように変化するかを確認する試験です。

高温および高湿の環境下での製品自体の耐久性を判定できます。 高温高湿の環境下では通常の温度や湿度と比較して動作不良や不具合および故障が発生しやすくなり、 寿命の劣化が加速する条件にもなるため、部品や機器の耐久性の確認が必要です。

高温高湿試験の使用用途

高温高湿試験は、以下のような用途や目的で使用されます。

  • 製品の耐久性:高温高湿環境課下に放置することによる製品の劣化や故障の評価
  • 材料試験:プラスチック、金属、ゴムなどの素材の耐候性評価
  • 電子部品の評価:回路基板、半導体、電子機器の性能維持の確認
  • 医薬品および化粧品の安定性試験:保存期間中の品質維持の確認
  • 包装材の試験:梱包材の保護性能の確認

高温高湿試験の原理

高温高湿下での製品試験は、製品が過酷な環境条件にさらされた場合にどのように動作し、耐久性があるかを評価する目的で行われますが、この試験は次の原理に拠るものです。

  • 高温
    熱エネルギーが分子の運動を活発にし、材料の化学反応速度 (例として酸化や分解) が加速します。これはアレニウスの法則 (温度が10℃上がると化学反応速度が約2倍になる) に基づいています。
  • 高湿
    水蒸気が材料内部や接合部に侵入し、腐食や膨張を引き起こします。例えば、金属部品では酸化や腐食が促進されます。

高温高湿試験の種類

高温高湿試験には、主に以下のような種類があります。これらの試験は、電子機器、建築材料、自動車部品、医療機器など、多くの分野で実施され、製品の信頼性や耐久性の向上に役立っています。どの試験を実施するかは、製品の用途や想定される使用環境に応じて選択されます。

1. 恒温恒湿試験

  • 概要:一定の温度と湿度を維持した環境で試験を行う
  • 目的:長期使用時の劣化や性能低下を確認する
  • 試験条件の例:温度40℃/湿度90%での24時間評価など

2. 高温高湿サイクル試験

  • 概要:温度と湿度を一定範囲で変化させる
  • 目的:環境の変化による膨張・収縮や結露の影響を確認する
  • 試験条件の例:温度25℃~60℃/湿度80%~95%のサイクルを繰り返す

3. 高温高湿ストレス試験

  • 概要:高温・高湿度条件で加圧を加え加速試験を行う
  • 目的:信頼性の評価を短時間で行う
  • 試験条件の例:温度120℃/湿度100%、2気圧で96時間

4. 結露試験

  • 概要:高湿度から低温に急激に変化させ、結露が発生する状況を再現
  • 目的:結露による腐食や電気特性の変化を評価する
  • 試験条件の例:温度60℃/湿度95%から0℃まで冷却

5. 高温高湿バイアス試験

  • 概要:高温高湿環境下で電圧を加えながら試験を行う
  • 目的:電気的ストレスと環境的ストレスの複合的影響を確認する
  • 試験条件の例:温度85℃/湿度85%、定電圧印加で1000時間

6. 腐食試験 (耐湿性試験)

  • 概要:高湿度環境下で腐食や錆びの発生を調査
  • 目的:耐腐食性や防湿性能の確認
  • 試験条件の例:温度40℃/湿度90%で500時間

高温高湿試験のその他情報

1. 試験時の注意点

高温高湿試験は、試験対象品に結露が付いていない状態を模擬した試験であるため、試験中は試験対象品に結露が発生することを防ぐ必要があります。結露が発生すると、電気的特性または機械的特性が過剰に劣化する可能性があります。

結露が発生する条件は、温度の高い恒温恒湿槽へ温度の低い試験対象品を急に入れた場合です。恒温恒湿槽内の水蒸気が凝縮され、試験対象品に結露が付着しやすくなります。電気部品に結露が発生した場合、基板パターン間の短絡や電気絶縁性の劣化が発生し、適切な試験が出来なくなります。

結露の発生を防ぐ方法は、試験対象品を恒温恒湿槽に入れた後、試験温度とは少し低めの温度まで予備加熱したあとに、試験する温度まで上昇させることです。

2. 測定機器の設置場所

試験中に電気的特性を測定する場合、測定機器の設置場所に注意する必要があります。測定機器を恒温恒湿槽の中に入れた状態で試験を実施した場合、測定機器の動作保証温度は常温が多いため、測定機器が誤動作したり故障したりする可能性があるからです。

測定機器の誤作動を防ぐために、試験を実施する際は、測定機器を恒温恒湿槽の外に置き、測定機器を常温の状態にして試験することになります。その場合は電気信号を測定するためのケーブルを恒温恒湿槽外に配線し電気的特性を測定しますが、ケーブルが長くなるためノイズが乗り易くなります。従って、様々なノイズ対策が必要になる場合があります。