高速切断機とは
高速切断機とは、切断砥石を用いて、鉄パイプやワイヤーロープなどの金属製の細長い素材を素早く切断できる機械のことです。
類似の製品であるディスクグラインダーと比較した際の特徴としては主に2点あります。1点目は高速切断機はディスクグラインダーと比べて切断砥石が大きくモーター出力も大きいため、切断時間が早いこと、2点目はディスクグラインダーが手持ちで使用するのに対して高速切断機は卓上に設置して使用するため狙った部分を高い精度で切断できることです。
ただし、高速切断機は切断専用の機械であり、ディスクグラインダーのように研磨砥石等を取り付けることはできません。
高速切断機の使用用途
高速切断機は、短時間で安定した切断作業を実現するため、以下のような用途に適しています。
1. 薄い素材や細長い素材の切断
アームとバイスで素材をしっかり固定できるため、薄い金属板や細いパイプなどの切断に向いています。そのため、手ぶれが生じにくく、精度の高い仕上がりが得られます。
2. 大量切断作業
高速切断機は大量の金属素材を効率よく切断できるため、農業資材や単管パイプなどを複数本まとめて加工する現場で活用できます。均一な切断面を維持しながら連続作業をこなせる点が利点です。
3. 角度切断
バイスを傾斜させることで、45度までの角度切断が可能です。そのため、アングル材や鋼材を用いたフレーム作製や構造部品の加工に適しています。傾斜角度が細かく調整できるため、複雑な設計にも対応可能です。
高速切断機の原理
高速切断機は、切断砥石と素材をアームとバイスで固定した状態で切断を行います。高速切断機により、振動や手ぶれを抑え、高精度かつ安全に切断の実現が可能です。
切断砥石の大きさにより、切断可能な素材の厚が異なります。現在主流となっている切断砥石の大きさは305mm、355mmです。305mmの切断砥石は厚さ90mmまで切断可能で、数本まとめて切断するのに適しています。一方355mmのものは厚さ120mmまで切断可能で、丸パイプなどを1本ずつ切断するのに適しています。機種によって取り付け可能な切断砥石の大きさが違うため注意が必要です。
切断したい素材の大きさに合わせてバイスの開き具合を選定します。回転数は切断面の美しさに関わり、回転数の多いものほど綺麗な切断面を可能にします。また、消費電力が大きいほど、切断する際のパワーが大きくなります。
高速切断機の種類
高速切断機にはさまざまな種類があり、用途や現場の環境に応じて適切な機種を選ぶ必要があります。以下に、主要な分類方法とそれぞれの特徴を詳しく解説します。
1. 電源方式による分類
高速切断機は、主に電源方式の違いから「AC電源式」と「充電式」に分けられます。
- AC電源式
据え置き型が基本で、主に工場や作業場での使用に適しています。単相100V、単相200V、三相200Vといった種類があり、使用する砥石のサイズによって電源容量を選定する必要があります。 - 充電式
コードレスで取り回しやすく、電源が確保しづらい現場で活用できます。ブラシレスモーター採用の機種が多く、コンパクトながらパワフルな切断が可能です。
2. 切断砥石のサイズによる分類
切断砥石の外径サイズによって、高速切断機の切断能力や用途が異なります。
- 305mm砥石
薄い素材や短い金属の連続切断に適しており、DIYや小規模作業向けです。 - 355mm砥石
標準的なサイズで、丸パイプや角パイプなどの幅広い用途に対応します。 - 405mm砥石以上
業務用として大型の素材や厚みのある金属の切断に適しています。
3. 電圧による分類
AC電源式の高速切断機は、電圧によって3つのタイプに分けられます。
- 単相100V
一般家庭用電源で使用可能なタイプです。主に305mmや355mmの砥石を使用します。 - 単相200V
パワーが強く、主に業務用機種に採用される電源です。大きな砥石を使用する場合に適しています。 - 三相200V
工場や大型現場向けで、大きな出力を必要とする機種に使われます。405mm以上の砥石で大型素材を切断する際に適しています。
4. 用途別分類
用途に応じて最適な高速切断機の種類が変わります。
- DIY向け
小型・軽量なモデルで、家庭での簡単な切断作業に適しています。 - 業務用
高出力で耐久性に優れ、大量切断や長時間作業を必要とする現場に最適です。 - 角度切断対応機種
45度までの角度切断に対応しており、フレーム製作や構造物の加工に役立ちます。
5. 切断素材の種類に対応した分類
高速切断機は、切断素材に合わせて性能を選ぶ必要があります。
- 金属専用モデル
鉄、ステンレス、鋼材などの切断に特化しています。 - マルチ対応モデル
アルミや塩ビなど、熱に弱い素材や非金属素材にも対応する機種です。