クリープ試験

クリープ試験とは

クリープ試験とは、高温を発生させる電気炉の中に試験片を入れ、試験片を引っ張る荷重を加えて変形を発生させ、試験片が破断するまでの時間を求める試験です。

クリープ試験は計測の目的によって引っ張る力だけでなく、試験片を圧縮したり、曲げやねじれを加えたりする試験も存在します。クリープ現象とは、試験片に一定の荷重を発生させると変形が止まりますが、試験片が高温に晒されていると荷重を加えなくても変形し続ける現象です。

クリープ試験の使用用途

クリープ試験は、長時間の使用に耐えうる部材を試験する場合に行われます。例えば、化学プラントや原子炉に使用する部材を選定する場合、クリープ現象で変形する部材を選定してしまうと、安全な運転ができなくなってしまいます。

そのため、クリープ試験は、安全な部材選定をする意味でも非常に重要です。また、クリープ試験は、部材がある応力で破断するまでの時間を求める場合にも使用されます。

クリープ試験は、破断試験、引っ張り試験、圧縮試験の3つが基本です。それぞれの試験によって得られたひずみ量や膨張量、縮小量、表面のひび割れなどをもとに、安全な材料であるかを測定します。

クリープ試験の原理

クリープ試験機により、部材にクリープ現象によるクリープ変形を生じさせることが基本の原理です。クリープ試験は、高温を発生させる電気炉の中に試験片を入れ、試験片を引っ張る荷重を加えてクリープ変形を発生させ、試験片が破断するまでの時間を求めます。

クリープ試験の種類

クリープ試験は、クリープ破断試験、引っ張りクリープ試験、圧縮クリープ試験の3種類が存在します。それぞれ使用用途が違いますが、部材にクリープ現象を起こさせる点が共通しているため、3種類ともクリープ試験に分類されます。

1. クリープ破断試験

クリープ破断試験とは、ある試験温度を設定し、部材に外力を加え、破断するまでの時間と応力の経過を追う試験です。クリープ破断試験で部材が破断するまでの時間を「クリープ強度」と呼びます。

クリープ現象が起こるまでの時間は温度によって異なるため、高温下で使用される部材の強度や寿命を調べる際に行われます。

2. 引っ張りクリープ試験

クリープ試験で最も一般的な試験が、引っ張りクリープ試験です。試験方法は引っ張り試験とほとんど変わりません。引っ張り方向に負荷を与える単軸引っ張り試験で、部材の伸びやひずみ、試験時間を計測します。

ただし、実際に化学プラントや原子炉では単軸引っ張りではなく、二軸や三軸引っ張りの場合が多いため、一概に引っ張りクリープ試験だけを行うだけでは不十分なこともあります。

3. 圧縮クリープ試験

圧縮クリープ試験とは、部材を圧縮することで、クリープ現象を起こさせる試験です。引っ張りクリープ試験とは逆向きの外力を加えますが、それでもクリープ現象は起きます。圧縮によるひずみや応力、試験時間を計測する試験です。

クリープ試験のその他情報

1. クリープ現象とは

クリープ現象とは、ある状況下で引っ張り応力よりも小さい応力で部材が破断する現象のことです。部材を高温化で変形させる場合、部材の弾性限度以下の応力でも、外力を加え続けることで変形量が増大し、引っ張り試験などで知られる引っ張り応力よりも小さい応力で破断することがあります。これがクリープ現象です。

2. クリープ現象が起こる例

日常的なクリープ現象の例として、プラスチックの変形が挙げられます。プラスチックは、重い物を乗せて長時間放置した場合に変形します。

外力が大きい場合には、時間が経つにつれて変形が増大し、いずれプラスチックは破断に至ります。ねじを長時間締めたままにしておくと、座面にねじの痕が残るのも、長時間の外力によって座面がクリープ変形した例です。

その他、コンクリートもクリープ変形します。乾燥したり、荷重が大きかったりすると、クリープ変形が起こりやすいです。

 

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