バーンイン試験

バーンイン試験とは

バーンイン試験とは、電子部品や半導体製品に対して行われる信頼性試験の一種です。

バーンイン試験では、製品使用条件の温度・電圧の負荷をかけることによって、製品出荷に際して初期不良品を検出し除去します。また、使用条件よりも高い温度・電圧を長時間かけることで、製品の信頼性を評価します。

半導体製品は、一般に出荷直後の初期不良による故障率が非常に高く、時間経過とともに故障率は減少します。したがって、バーンイン試験によって出荷前の初期不良品を除去することにより、製品の故障率を軽減し、信頼性の高い製品を市場に出すことが可能です。

バーンイン試験の使用用途

バーンイン試験の使用用途は、大きく以下の2つに区分されます。

  1. 電子部品の組立品の初期不良 (動作の不具合品) のスクリーニングの用途
  2. 半導体製品の初期の特性変動を考慮した、電気的特性安定化のための用途

試験の形態としては完成品のボード実装試験と半導体ウエハ状態でのプローブ試験に分かれるものの、使用用途としては上記の2つが該当します。

バーンイン試験の原理

半導体製品の信頼度試験でよく用いられる言葉に「バスタブカーブ」があります。通常の製品は初期不良に相当する不具合発生の期間を経て、偶発故障領域の期間、および製品の寿命に相当する摩耗故障期間の故障発生カーブを描きます。この故障発生頻度の経時カーブがバスタブの形状に似ているため、バスタブカーブという呼称がついています。

バーンイン試験の目的は、主に最初の比較的発生確率の大きな初期不良領域の不具合品を、過負荷をかけて取り除くことです。過負荷の方法には、内部の素子に一般に電圧や電流を大きく印加する電気的なものや、温度を通常の動作保証温度よりも高く設定して初期不良を加速させるものが多いですが、特殊なバイアス印加や製品によってはサージに近いバイアス試験を課す場合もあります。

またバーンイン試験には、半導体素子の初期の特性変動を抑制して寿命保証を確実なものとするための試験としての面もあります。例えば、レーザーダイオードにおいては、電気的なバイアス電流を印加して実際に所望のレーザー光が発光するまでのバイアスが閾値電流です。この閾値電流は、初期の動作期間は多少変動することが多いです。

レーザーの寿命は動作電流の定格内という定義が一般的な規格であり、この電流の変動を極力抑制し安定領域で出荷する目的でバーンイン試験が使用されています。同様に、バイポーラトランジスタの電流増幅率の変動抑制にも同じ理論でバーンイン試験が活用されています。

バーンイン試験の種類

バーンイン試験は目的に沿う試験をできるだけ低コストで実現したいという思惑を背景に、大きく2種類に試験形態を区分できます。

1. オンウェハでのバーンイン試験

半導体ICチップをウエハ状態でプローブ評価し、必要に応じて負荷をかけ初期スクリーニングを実施する試験です。この試験のメリットは、ICをパッケージやモジュール等に組み立てた後の選別やスクリーニングで不具合を取り除くよりも、コスト低減が期待できる点です。

一般に電子製品は後工程になればなるほど、付加価値が増えます。よって製品の組み立ての最終段階でのスクリーニングよりは、前工程段階での選別がコストの抑制面からは効果的です。

2. 試験炉体を用いたバーンイン試験

ウエハ状態でのバーンイン試験のみならず、電子部品の製品では複数の部品が搭載されたパッケージ実装状態でのバーンイン試験の実施が必要な場合が多いです。

プローブ評価ではスクリーニング困難な場合や、複数のICや部品にまたがる試験を実施したい場合等がこれに該当します。この場合は専用の試験炉体に複数個のパッケージ品を専用ボードへ搭載し、電圧加速や高温内放置等の様々な負荷を製品へ印加して、初期不具合品を除去します。

バーンイン試験のその他情報

最近の電子部品や半導体素子はその部品の高機能化のために、内部のICにデジタル回路での制御を集積している場合が多いです。内部素子の所望の動作をバーンイン試験保証するために、複雑な制御を施す必要がありますが、ICのすべてのテストパターンを試験するのはコストと時間面で非現実的な場合が多く、FPGAで効果的な試験のみを抽出して試験する手法も確立されています。

ダイナミック・バーンイン試験とも称されるこの試験はASIC向けの高速なクロックサポートと共に、システムLSI等を活用して対応すべく、バーンイン試験の測定器メーカーから技術サポートがなされています。

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