ジャッキ

ジャッキとは

ジャッキとは、対象物を持ち上げる工具です。横向きに使用可能なジャッキの場合、水平方向に力を加えて対象物を横移動させることもできます。

ジャッキには3つの作動方式があります。ネジあるいは歯車を回転させる機械式、油圧などを使用する液体作動式、コンプレッサなどで空気を送り込む空気作動式です。機械式の代表的なジャッキは、ラチェット式ねじジャッキ、軸受付ねじジャッキ、ラック駆動ジャッキです。液体作動式は、油圧式ジャッキが主に使用されています。

また様々な耐荷重量(最大荷重)のジャッキが販売されています。卓上で趣味や実験に用いる耐荷重量3kg程度の小型ジャッキ、自動車の修理や建設現場で使用する耐荷重量2-5tのジャッキ、工場で据え付けて使用する耐荷重量5t以上のリフト(ジャッキ)です。 

ジャッキの使い方

ここでは多くの作業で使用されている、耐荷重量2-5t程度のジャッキの使用方法ならびに使用時の注意点を説明します。

  • 対象物の設置ポイント(接点)の確認
    持ち上げる対象物におけるジャッキ設置ポイントを決めます。自動車などあらかじめ設置ポイントが定められているものもあります。定められていない場合は、作業箇所、荷重のバランスを考慮し設置ポイントを決めましょう。なお設置ポイントには持ち上げる力に耐えうる硬い場所を選びます。対象物へ傷付きを防止するために、設置ポイントにゴムパットなどの緩衝材を挟むと良いでしょう。
  • ジャッキの設置
    設置面には、水平かつ硬く安定した場所を選びます。設置面が不安定あるいは対象物が高所にある場合は、サンドルを組み設置面を安定させます。
  • ジャッキアップ
    ジャッキを操作し、対象物をゆっくり上昇させます。上昇時は次の点を確認します。設置面の状態(安定しているか)、対象物の設置ポイント(食い込みなどがないか)、対象物のバランス(横移動をしていないか)です。
  • 作業
    対象物を上昇後、すぐ作業に取り掛かることは禁止です。ジャッキは単に対象物を持ち上げているだけであり、バランスが崩れて倒れる危険性があります。リジッドラックなどで対象物を支えるなど、落下防止措置を施した後に作業を開始しましょう。
  • ジャッキダウン
    ジャッキを操作し、対象物をゆっくり下降させます。上昇時と同様に、設置面の状態、対象物の設置ポイント、対象物のバランスを確認しながらゆっくり下降させます。 

ジャッキの選び方

ジャッキを選ぶ際に重要なポイントは、耐荷重量および高さです。また作業内容に合わせてジャッキのタイプを選択します。またタイプ別のメリット・デメリットおよび用途を説明します。

  • 耐荷重量
    ジャッキが持ち上げることができる最大の重量を耐荷重量といいます。持ち上げる対象物の重量より耐荷重量が大きいジャッキを選ぶことが重要です。ジャッキ1個で対象物の重量を超えられない場合は、ジャッキを複数個用意して対象物を持ち上げます。
  • 高さ
    ジャッキが持ち上げられる最低の高さを最低位、最高の高さを最高位といいます。作業に必要な高さを確保できるジャッキを選びます。
  • タイプ別のメリット・デメリット
    タイプ別のメリット・デメリットは以下のとおりです。作業箇所や作業内容に適切なタイプを選択します。

機械式は、液体作動式と比較して重量が軽く、取り扱いが容易であることがメリットです。また横向きに使用することで、対象物を横移動できる利点があります。ジャッキの持ち運びを伴う作業に使用するとよいでしょう。作業効率の悪さや、内部のネジや歯車が壊れ易いことがデメリットです。

液体作動式は、機械式と比較して重量が重いものの、作業効率の良さがメリットです。最近では容易に持ち運びができる小型タイプも販売されています。主に自動車の修理や建築作業で用いられています。デメリットは横向きに使用不可であること、および油漏れなど取り扱いに注意を要することです。

空気作動式は、液体作動式と比較し、油漏れや引火の危険性がなく安全に使用できることがメリットです。今日ではコンプレッサー式、排気ガス式、手動ポンプ式と様々なタイプが販売されています。作業に合わせて選択するとよいでしょう。しかしながら耐荷重量が大きいジャッキはコンプレッサーが必要になり、煩雑になることがデメリットです。 

灯油用ポリタンク

灯油用ポリタンクとは

灯油用ポリタンクとは、灯油の持ち運びや保管に用いられる容器です。

材質には主にポリエチレンが用いられており、保存している灯油によって容器が劣化しないようになっています。「色」「容量」「口の数」など、さまざまな種類があり、どれくらいの量をどのくらいの期間で保存するかによって、適切な製品を選ぶことが大切です。

製品によっては、何十個もスタッキングして保管できるものや、インテリアになじむような落ち着いたデザインのものも存在します。

灯油用ポリタンクの使用用途

灯油用ポリタンクは、文字通り灯油を保存するために使用されます。灯油をストーブなどに使用する場合は、ノズルや灯油ポンプを使って灯油を機械に注入します。このとき灯油をこぼすと、思わぬ事故につながるため注意が必要です。

ポリタンクは、灯油を長期間保存できます。しかし、中身の灯油は、光や空気と反応して劣化するため、5年以上の保管は推奨されていません。なお、劣化した灯油は、ガソリンスタンドなどで安全に引き取ってもらえます。

灯油用ポリタンクの原理

灯油用ポリタンクは、太陽の紫外線による劣化を防ぐために、透明ではなく赤や青などで着色されています。東日本では赤のポリタンク、西日本では青のポリタンクが使われるのが一般的です。ただし、ポリタンクの色に規定はないため、黒やモスグリーン、オレンジなどのポリタンクもあります。

どの色のポリタンクを使用しても構いませんが、誤飲や誤用を防ぐために、飲料用や軽油用などとは区別がつくようにしておくことが大切です。灯油用ポリタンクに軽油を入れる際は、ポリタンクに「軽油」の表示をすることが消防法で決められています。軽油には、軽油用ポリタンクがあるため、そちらを利用したほうが安全です。

灯油用ポリタンクの選び方

灯油用ポリタンクの選び方を、以下の6点にわけて解説します。

1. 容量

灯油用ポリタンクの容量は、10リットルの比較的コンパクトなものから、20リットルの大きなものまで数種類あります。最も一般的な容量は、18リットルです。満タンにした場合、灯油の重さが約14.5kgで、ポリタンクの重さが約1kgのため、合計で15.5kgほどの重さになります。

10リットルのサイズは、持ち運びが便利です。20リットルのサイズは、大量保管に適しています。そのため、暖房の使用頻度が高い地域では、20リットルの大きい製品がよく使用されています。

2. 形状

灯油用ポリタンクには、容量のほかにも形状の違いがあります。立方体型のものや、1辺だけが短くて薄い長方形型のものなど、さまざまな形状があるため、収納スペースに応じた製品を選ぶことが可能です。

積み重ねて保管できるスタッキングタイプは、収納スペースを有効に使えます。

3. 口の数

灯油用ポリタンクは、口の数が1つのものと、2つのものがあります。2つのものは、片方の口が斜めになっている製品が多く、ノズルをつけて傾けて給油するのに便利です。

灯油ポンプを使用する場合や、ポリタンクに灯油を補充する際は、水平の口を利用したほうが取り扱いやすいです。

4. ノズル

灯油用ポリタンクから給油する際は、別売りのノズルや灯油ポンプが必要です。しかし、製品によっては、あらかじめノズルがついている便利な製品もあります。

5. 色やデザイン

灯油用ポリタンクには、決められた色やデザインがありません。色々な見た目の製品があるため、インテリアに応じて選べます。例えば、緑で落ち着いた色や、青の華やかな色、ミリタリー調のデザインなどの製品が存在します。

6. JISマーク

灯油用ポリタンクの色やデザインに決まりはありませんが、品質を保証するためのJIS規格が定められています。JISマークのついている製品であれば、安全性に十分配慮して製造されているため、安心して使用できます。

圧着ペンチ

圧着ペンチとは

圧着ペンチとは、電線の端末を圧着処理する際に使用する工具です。

主に電気工事や電子工作の際に用いられます。一般的に、圧着ペンチは、「電工ペンチ」と呼ばれることもあり、日本工業規格 (JIS) にも規定はないため、同じ意味で扱われることが多いです。

電気工事関係者は、ケーブルをかしめる機能のみをもつ「圧着ペンチ」とケーブルカッター機能や被覆を剥く機能を持つ「電工ペンチ」に区別して呼称することがあります。

圧着ペンチの使用用途

圧着ペンチは電線を取り扱う作業で使用する工具です。日常生活で目にすることはあまりありません。リングスリーブの圧着や、裸端子圧着などに使用されます。

リングスリーブ用では、接続する2本の電線をリングスリーブにくぐらせ、圧着ペンチで強く力をかけることで圧着します。2本の電線を接続する際に使用します。裸端子圧着用では、端子に対して被覆を剥いた電線を差し込み、強く力をかけることで圧着します。

圧着ペンチの原理

圧着ペンチはダイス、ラチェット機構部、ハンドルなどで構成されます。

1. ダイス

ダイスは、圧着端子を締め付ける先端部分を指します。用途に応じて形状が多少異なります。通常は、1つの圧着ペンチに対していくつかのダイスが付いており、電線径に応じて選択することが可能です。ただし、人力の圧着ペンチでは22mm径端子程度の圧着が限界であるため、それ以上は油圧式か電動式となります。

2. ラチェット機構

ラチェット機構部は、締め付けている途中ではハンドルが戻らないようにする機構です。不完全圧着の防止に寄与します。圧着ペンチを十分締め付けると、ラチェット機構が開放されてスプリングによってハンドルが開放されます。

3. ハンドル

ハンドルは、圧着時の持ち手部分です。滑り止めのために持ち手にはゴムが貼り付けてあります。また、作業ミス防止のために、用途に応じて色別されています。赤は裸圧着端子用、黄色はリングスリーブ用、水色が絶縁被覆端子用です。

圧着ペンチの種類

圧着ペンチには用途に応じて種類があります。以下はその一部です。

1. リングスリーブ用圧着ペンチ

リングスリーブを圧着する際に使用する工具です。小、中、大の3種類が1セットの製品が多く販売されています。ハンドル部分は黄色に着色されています。

2. 裸圧着端子用圧着ペンチ

裸圧着端子を圧着する際に使用する工具です。電線径に合わせて圧着できるように、規格に合わせた種類が販売されています。多く使用される線径は、1.25mm用、2.0mm用、3.5mm用などの細線用です。ハンドル部分が赤色に着色されています。

3. 絶縁被覆付端子用圧着ペンチ

絶縁被覆付端子を圧着する際に使用する工具です。ダイスの先端が長楕円型である点が特徴です。絶縁被覆の色で規格が定められており、赤、青、黄などの被覆付端子が多く使用されます。ハンドル部分は青色に着色されて色別されています。

4. 棒端子用圧着ペンチ

棒端子を圧着する際に使用する工具です。電線は複数の素線で構成されていますが、棒端子によって一つの導体にまとめることが可能です。棒端子を穴に通し、周囲から均等にかしめるような構造の圧着工具です。ハンドルの色は決まっておらず、製品によってまちまちです。

圧着ペンチの選び方

圧着ペンチ選定時の留意点は以下の通りです。

1. 使用用途

圧着ペンチは用途に応じた製品を選ぶ必要があります。目的とする圧着に適さないペンチを用いた場合、接合部が外れたり電線が切れてしまったりといった不具合が生じる可能性があります。

2. グリップ・ハンドル

ケーブルを圧着するのには強い力が必要なため、グリップの性能は重要です。握りやすいよう形状や素材の製品を選定します。

3. 機能

初心者にとって圧着ペンチの扱いは難しい場合があります。補助機能として、圧着前に仮押さえができるタイプや圧着後の刻印で正常に圧着できたか確認できるタイプなどが販売されています。

4. 電工ペンチとの比較

電工ペンチは電線の圧着の他にケーブルカッター機能や被覆を剥く機能を有しているため、汎用性の高い工具が求められる場合やコスト面で余裕がある場合は電工ペンチの導入が考えられます。

ドリルビット

ドリルビットとは

ドリルビット

画像出典元: Amazon

ドリルビットとは、ドリルドライバーの先端に装着する工具のことです。

ドリルドライバーは、電動ドリルの機能や電動ドライバーの機能などを備えた工具であるため、その先端であるビットにもさまざまな種類があります。また、ビットによって加工対象とする材料は異なり、「木材用」「金属用」「コンクリート用」「石材用」「プラスチック用」のものなどが存在します。

ビットの種類は豊富であるため、汎用性の高いものをセットで購入し、必要に応じて買い足すことが一般的です。ネジを締めたり緩める際に、片手でも作業がしやすいように、磁石化されているビットもあります。

ドリルビットの使用用途

ドリルビットの使用用途は広く、主な使い方としてドリルで材料に穴をあけたり、穴の拡張、ドライバーでネジ等を締めたり緩めたりすることが挙げられます。ドリル用途で対象とする材料も幅広く、金属やコンクリートなどの固い素材にも穴をあけられます。

ドライバー用途においても、ネジ用やナット用のものがあり、用途に応じて選択することができます。さらに、砥石や工業用ダイヤモンドを素材とすることで材料の研磨を行ったり、金属の切削や面取りを行ったりすることも可能です。

ドリルビットの原理

ドリルビットとは、ドリルに使用される錐のことです。回転ドリルなど電動工具に取り付け、上から力を加えつつ回転させることにより、切削をしながら穴を開けます。

先端の尖った金属の棒に、らせん状に溝が掘られており、削り屑を後方へ排出しつつ、穴を開ける際の摩擦抵抗を減らす役割もしています。先端が丸まってくると切削能力が減り、ドリルビットとしての働きが悪くなるので、交換時期の見極めも重要です。

ドリルビットの種類

1. プラス・マイナス

最も一般的でよく使われるビットです。先端が+ (プラス) と - (マイナス) になっており、ネジを締めたり緩めるのに使用します。サイズが1、2、3とあるので、ネジのサイズに合ったものを選ぶことが大切です。

2. 四角ビット

ビットを上から見ると四角になっているタイプです。スクエアビットとも呼ばれており、ネジ穴を潰しにくく、木造住宅などで使用されています。

3. 六角ビット

先端が正六角形になっています。プラスや四角状よりも力が加えやすく、狭い場所での使用に向いています。そのため、六角ネジは家具や家電、金属加工品などで使われる場合が多いです。

4. トルクス

星型のような形をしており、一般的にはあまり使用する場面はありません。簡単に分解されたくない精密機器の組み立てや修理の際に使用されます。

5. 穴あけ用ドリルビット

下穴を開ける際に使用するドリル状のビットです。コンクリート用やタイル用、アルミやステンレス、鉄などの金属用、木工用など多岐にわたって種類が用意されています。

6. ステップビット

円錐型をしており、穴の拡張やバリ取り、面取りなどによく使われます。あまり聞かないパーツですが、建設現場や金属加工の際によく使用されます。

7. 研磨用

先端が球状の砥石製のものやブラシ状、フェルト製のものもあります。これらは、金属の錆を落としたり、塗装を剝がしたり、艶出しのために用いられます。

ドリルビットの選び方

ドリルビットを選ぶ際に気を付けることは、以下の通りです

1. 使用用途

ドリルビットの使用用途が広いため、目的に合ったビットを用いることが必要です。ドリルの用途とドライバーの用途を区別することは当然ですが、異なる材料用のビットの使用は推奨されません。

例えば、金属加工用ビットを用いて木材に穴をあけることは可能ですが、木材用ビットでは耐久性などの面で適しません。ビットの耐久性や仕上がりの綺麗さなどを考えると、用途に合ったビットを使用することが大切です。

2. サイズ

ビットの長さおよび太さによって、開けられる穴の形状や締められるネジは大きく変わります。例えば、開ける穴に対してビットの径が大きすぎると、目的の大きさのネジやナットがはまらず、使い物にならなくなってしまいます。

3. 差込口の形状

先端の形状だけではなく、機械本体への差込口 (シャット) の形状もさまざまです。ストレートシャットや六角軸、テーパーシャットなどがあります。

気を付けなくてはいけないのが、棒状のストレートシャットのビットの場合、六角軸の電動インパクトでははまらないことです。ドリルチャックと呼ばれるパーツを使用する必要があります。

4. 素材

ビットそのものの素材にも、一般的なハイス鋼以外にさまざまな種類があります。例えば、ビット寿命を長くすることを目的として窒化チタンや窒化クロムなどをコーティングしたもの、硬度を高め加工の精密性を上げることを目的としたニッケル混合焼結素材などが挙げられます。

クロスバイス

クロスバイスとは

クロスバイス

画像出典元: Amazon

クロスバイスとは、加工対象を強く固定し、X軸方向およびY軸方向に移動させるために使用される工具です。

そのほか、「クロススライドバイス」「クロススライディングバイス」「2軸スライドクロスバイス」「クロスフラットテーブルバイス」「クロスフラットベンチバイス」「X-Yバイス」「2ウェイX-Yベンチクランプ」など、さまざまな名称で呼ばれています。

単なるバイスとの違いは、固定した材料を動かせる点にあります。製品によっては0.001mmレベルの精度で、正確に前後左右の位置調整が可能です。しかし、クロスバイスは、X軸方向とY軸方向の調整にかぎられているため、上下方向の調整はできません。そのため、使用用途に合った高さのものを選ぶ必要があります。

クロスバイスの使用用途

クロスバイスは、材料に穴をあけるボール盤などに取り付けて使用するのが一般的です。固定した材料を、X軸方向とY軸方向に自由自在に動かせるため、複数の穴をあける際などに、その都度材料を取り外して位置を変える必要がありません。

ハンドルを回せば簡単に位置調整ができるため、加工作業を効率的に行えます。また、ボール盤にエンドミルを取り付けて、クロスバイスで材料を移動させながら削れば、簡易フライス盤として切削加工もできます。

しかし、基本的にボール盤は、材料に対して垂直方向に穴をあけるための機械です。フライス盤に比べて剛性が弱く、水平方向に負荷がかかる設計にはなっていません。

そのため、水平方向に強い負荷がかかるとテーブルが傾いたり、ドリルチャックが外れてしまう危険性があります。また、振動も大きくなるので、精度の高い切削加工はできません。特に硬い材料の切削加工は強い負荷がかかりやすく、注意が必要です。

クロスバイスの原理

クロスバイスは、加工対象を固定するクランプ部、X軸方向の位置調整をする摺動部、Y軸方向の位置調整をする摺動部の3点で構成されています。上段はクランプ部、中段はX軸方向の摺動部、下段はY軸方向の摺動部になっており、それぞれにハンドルがついています。ハンドルはレバータイプのものが多いです。

クランプ部のハンドルは左側、X軸方向の摺動部のハンドルは右側、Y軸方向の摺動部のハンドルは手前側に位置し、作業しやすいようになっています。X軸方向およびY軸方向の摺動部のハンドルには目盛りがついており、前後左右の正確な位置調整をサポートします。

クロスバイスの選び方

クロスバイスを選ぶ際のポイントは、以下の4点です。

1. サイズ

クロスバイスは、小型のものから大型のものまで、さまざまなサイズの製品があります。取り付けるボール盤や、加工したいもののサイズに合わせて選ぶのがポイントです。

クロスバイスは、前後左右の位置調整はできますが、上下の高さ調整はできません。そのため、ボール盤に取り付ける際は、実際に加工可能な高さであるかを事前に確かめる必要があります。

2. 精度

クロスバイスは、位置調整の精度が0.1mm単位や0.001mm単位など、製品によって幅があります。一般的に精度が高くなれば、価格も高くなります。

DIYレベルの精度で良ければ安価な製品でもかまいません。しかし、精密部品の加工レベルを求めるのであれば、高価なものを選ぶ必要があります。

3. 移動幅

クロスバイスで位置調整できる移動幅は、100mmから200mm程度まで製品によって違います。大きい材料を広範囲に加工したいのであれば、移動幅の大きいものを購入したほうが、効率的な加工作業が可能です。

しかし、一般的に移動幅が大きくなるほど価格も高くなります。予算が合わない場合は、移動幅が小さい製品でも、材料を取り外して位置調整し直すことでカバーできます。

4. 口の広さや深さ

クロスバイスの口が広いほど固定できる材料は大きくなり、口が深いほど厚い材料を固定できます。加工する材料に合った口の広さや深さの製品を選ぶと、使い勝手が良いです。

タッカー

タッカーとは

タッカーとは、建設現場で内装材や断熱材の固定に用いられる工具です。

形状としては大きなステープラー (ホッチキス) であり、薄い素材のものを打ち付けるために使用されます。ステープラーとの違いは、針の先端が折れ曲がることなくそのまま垂直に刺さる点です。

手動で針を打ち付けるガンタッカーや連続して針を打てる電動タッカー、エアーコンプレッサーを用いるエアータッカーなど、さまざまな種類のタッカーが存在するため、使用用途に応じた使い分けが必要です。

タッカーの使用用途

タッカーは、壁や板などに薄い素材を打ち付けるために使用されます。片手で操作することができるので、打ち付ける木材などをもう片方の手で押さえながら作業を行うことが可能です。

そのため、壁紙やシートなどの貼り付け作業に広く使用されています。電動タッカーを用いれば連続して針の打ち付けが可能で、高所など危険を伴う場所でも素早く作業を終えることができます。

また、エアータッカーは針を打ち付ける力が強く、ソファのレザー張替えなどにも有用です。

タッカーの原理

ホチキスは針の先端を折り曲げて対象物を固定しますが、タッカーはコの字のまま刺さって対象物を固定します。ホチキスと同じように、打ち付けたい場所にタッカーを水平に押し当て、ボタンを押します。

ステープルの先は針のように尖っているため、薄い木材や布など厚みのあるものに対しても使用可能です。

タッカーの種類

1. ガンタッカー

一般的な手動のタッカーで、ハンドタッカーとも呼ばれます。小さいものは工作などからDIYに使われ、大きく強固なものは建築現場でも使用されます。手でトリガーを握ることで、ステープルを打ち付けます。

2. ハンマータッカー

ハンマーのように打ち付けるタッカーです。手首のスナップを利用して打ち付けるため、正確な位置にというよりは、おおよその位置を狙って打ち付けます。

3. 電動タッカー

電気の力を使ってステープルを打ち付けます。ボタンひとつで打ち付けられるので、長時間の作業に適しています。コード式と充電式があります。

4. エアタッカー

空気圧を使ってステープルを打ち付けます。パワーがあります。コンプレッサーとエアーホースが必要です。主に内装工事などの建築用に使われます。

タッカーの選び方

タッカーを選ぶ際に気を付けることは、作業用途や重さ、ステープルの種類です。

1. 使用用途

作業用途に合わせたタッカーを選択することをお勧めします。DIYで薄いものを固定するのであればガンタッカーでも大丈夫ですが、建築現場など厚みのある場合や強固な固定を必要とする場合、長時間の作業が必要な場合は、電動タッカーやエアタッカーが向いています。

最近では、バッテリーの進歩によって、電動タッカーもエアータッカーに劣らないパワーのものも出てきました。小型タイプも多く、電動タッカーがDIY上級者や専門的な現場では主流になってきています。そのほか、専用のパーツをつけることで、ホチキスとして使用できるものもあります。

2. 重さ

エア式はパワーがありますが重いうえ、コンプレッサーやエアーホースも必要になります。そのため、高所での作業には充電式のものやハンマータッカーが向いています。

3. 針 (ステープル) の種類

針の足の長さは、6mm程度から25mm程度まで幅広く存在するため、固定する材料に応じてその長さを検討する必要があります。主な規格として「CT線」「RT線」「J線 (マキタ) 」があり、それぞれに応じた肩幅や断面長さ、足長さが決められています。

また、ステープルによってはエアータッカー用であったりハンマータッカー用であったりと使用可能なタッカーが異なる場合があります。そのため、ステープルに合ったタッカーを選ぶことが大切です。その際、できるだけ使用するタッカーとステープルのメーカ―を揃えることが、団詰まりを防ぐためにも推奨されています。

卓上糸ノコ盤

卓上糸ノコ盤とは

卓上糸ノコ盤とは、木材、プラスチック、金属、セラミックなど、さまざまな素材の曲線や角度、複雑な形状を切断するために使用される電動工具です。

モーターに取り付けられた往復運動する鋸刃で構成されており、鋸刃を上下に高速で動かして切断します。卓上糸ノコ盤は、作業台やテーブルに固定できる安定したベースに取り付けられており、手持ちのよりも高い精度と制御性を備えています。

木工、金属加工、クラフトなどさまざまな用途で、趣味の人、DIY愛好家、プロの職人たちによく使われています。

卓上糸ノコ盤の使用用途

卓上糸ノコ盤の用途は、木材、プラスチック、金属など、さまざまな素材を曲線や角度、複雑な形状に切断することです。糸ノコ刃の往復速度を調整することによって、粗削りにも精密切断にも使用できます。

卓上糸ノコ盤の一般的な用途として、以下3つが挙げられます。

1. 木工

家具のカーブカット、装飾品の複雑なデザイン、ジグソーパズルのパターン作成する際に使用されます。

2. 金属加工

板金で複雑な形状を切り出したり、メタルアートのパターンを作ります。

3. 工作

DIYや装飾品の製作など、さまざまな素材から形やデザインを切り出す際に使用されます。

 

卓上糸ノコ盤は、さまざまな産業や趣味の分野で、幅広い切断用途に使用できる汎用性の高い工具です。

卓上糸ノコ盤の原理

卓上糸ノコ盤は、モーターに取り付けられた往復運動するノコギリ刃を高速で上下させ、さまざまな材料を切断します。卓上糸ノコ盤の電源を入れると、テーブルの溝を通して刃が上下に駆動します。

被切断材をテーブルに沿って誘導し、糸ノコ刃を使って複雑で正確なカットを実現しています。刃はスピード調整が可能です。切断する材料によって、異なる種類の刃に交換することもできます。

卓上糸ノコ盤の原理は単純ですが、往復運動する糸ノコ刃とモーターを使った切断動作で、さまざまな素材の切断に対応します。中には、切断精度を向上させられる速度調整機能や、作業スペースを清潔に保つことができる集塵システムなどの付加機能を備えているものもあります。

卓上糸ノコ盤の種類

卓上糸ノコ盤は、機能、デザイン、使用目的などの点でさまざまな種類があります。

1. 標準タイプ

標準タイプは、軽作業用に設計されており、初心者に最適です。小型の刃とモーターを搭載しており、使い勝手が良いのが特徴です。

2. 可変速機能付き

可変速機能付きは、切断する材料の種類に応じて刃の速度を調整することができます。複雑な作業や細かい作業に最適です。

3. 傾斜機能付き

傾斜機能付きは、テーブルとブレードを傾けて角度のあるカットを行うことができます。複雑なデザインや形状の切断に最適です。

4. フリーアーム

フリーアームは、アームが上に折れ曲がるようになっているので、中抜き加工が可能です。

5. ブロアー機能付き

ブロアー機能付きは、切断時にでる木屑を吹き飛ばす「ブロアー機能」がついています。

6. 集塵機能対応

集塵機能に対応している場合は、切断時にでる木屑を吸い取る集塵機能を取り付けることができます。

7. ライト付き

ライト付きは、LEDワークライトがついており、手元を明るくすることができます。

卓上糸ノコ盤の選び方

卓上糸ノコ盤は、用途に合ったものを選ぶために考慮すべきいくつかの要素があります。

1. モーターパワー

卓上糸ノコ盤のモーターパワーは、糸ノコ刃の速度と切断能力を決定します。より強力なモーターは、厚くて硬い材料を扱うことが可能です。

あまり強力でないモーターは、薄くて柔らかい材料に適しています。切断する材料の種類を考慮し、選択します。

2. 糸ノコ刃のサイズ・タイプ

刃のサイズと種類によって、カットできる種類とカットできる材料が決まります。切断したい種類に適した刃の大きさのものを選び、異なる種類の刃に対応できることを確認することが大切です。

3. テーブルのサイズ・傾き

テーブルのサイズと傾きによって、切断できる材料のサイズと切断できる角度が決まります。用途に適したテーブルサイズを選び、角度のあるカットのためにテーブルを傾けることができることを確認します。

4. 可変速機能

可変速機能は、切断する材料に合わせて刃の速度を調整することができます。特に、繊細な素材や複雑な素材をカットするときに便利です。

5. 集塵機能

集塵システムが内蔵されている鋸は、作業スペースを清潔に保ち、ゴミのない状態にするのに役立ちます。選ぶ際には、集塵システムのサイズと効率性を考慮します。

卓上糸ノコ盤のその他情報

卓上糸ノコ盤の使い方

ここでは、卓上糸ノコ盤を使用する際の一般的な手順を紹介します。

1. 卓上糸ノコ盤を設置する
卓上糸ノコ盤が安定した水平な場所に正しく設置されていることを確認します。また、糸ノコ刃が正しく取り付けられ、締め付けられていることの確認も必要です。

2. 素材を用意する
切断する材料に、希望するパターンやデザインで印をつけます。材料を卓上糸ノコ盤のテーブルにしっかりと固定します。

3. 電源を入れる
卓上糸ノコ盤の電源を入れ、切る素材に合わせてスピードと糸ノコ刃のテンションを調整します。

4. 切断を開始する
卓上糸ノコ盤を起動し、マークされた線に沿って切断を開始します。指や体の一部を常に刃に近づけないよう注意が必要です。両手で材料を刃に沿わせ、正確にカットします。

5. 必要な調整をする
正確なカットを行うために、必要に応じて速度、糸ノコ刃のテンション、テーブルの角度を調整します。

6. カットを終了する
切断が完了したら、電源を切り、刃が完全に停止するのを待ってから材料を取り除きます。

 

卓上糸ノコ盤を使用する際は、常に安全ガイドラインに従うことが重要です。保護メガネを着用し、刃に引っかかるような緩い服やアクセサリーを身につけないようにします。

また、作業場を清潔に保ち、ゴミがないようにし、卓上糸ノコ盤が作動したまま放置しないよう注意が必要です。

ガス腐食試験

ガス腐食試験とは

ガス腐食試験は、電子部品やメッキ製品などに対して、腐食性ガス環境における耐久性を評価する試験です。

ガス腐食試験は、情報・通信機器、OA機器、車載機器などで使われるコネクタ、リレー、スイッチ、プリント基板、各種めっき材料などに対して実施されます。

ガス腐食試験で使用される腐食性ガスには、硫化水素二酸化硫黄(亜硫酸ガス)、二酸化窒素、塩素ガスなどがあります。ガス腐食試験では、これらの腐食ガスを単独使用、または製品使用時の大気環境を再現するために混合ガスとして使用します。

PCB分析

PCB分析とは

PCB分析とは、対象物のPCB含有状況を調べる試験です。

PCBは「Poly Chlorinated Biphenyl (ポリ塩化ビフェニル) 」の略称であり、合成化学物質の一つです。PCBは絶縁性・耐薬品性が優れていることから、かつては電気機器の絶縁油や塗料などに幅広く使用されていました。

ただし、人体や生活環境に悪影響を及ぼす有害物質であることが判明し、1972年以降製造を禁止されています。

PCB分析の使用用途

PCB分析は、電気機器などを破棄する際に用いられます。1972年以前に製造された電気機器が稼働している場合は、廃棄する際にPCB分析でPCB含有有無を調査します。

また、1990年付近に製造された機器でも意図的ではない微量のPCBが絶縁油中に確認される場合もあるため、PCB分析が必要です。PCB分析でPCB含有が確認された機器は、通常の産業廃棄物ではなく、PCB汚染廃棄物として処分しなければなりません。

近年では、PCB分析結果が無ければ廃棄を請け負わない産廃業者も少なくないため、そのような場合はPCB分析を実施して不含を確認します。

PCB分析の原理

PCB分析には、低濃度PCB含有廃棄物の測定法と絶縁油中の微量PCB簡易測定法の2通りがあります。

1. 低濃度PCB含有廃棄物の測定方法

低濃度PCB含有廃棄物の測定方法は、廃棄物中の濃度が5,000mg/kg以下のものと100,000mg/kg以下のもの、微量PCB汚染物があります。これらの判定を行うには、環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理推進室が公表している低濃度PCB含有廃棄物の測定方法に従うことが大切です。

この公開文章では、廃棄物の種類ごとに試験方法が定められています。それぞれについて試薬や器具などが定められており、試料の操作についても公開されています。

2. PCB分析の簡易測定法

PCB分析の簡易測定においては、マニュアルを環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部産業廃棄物課が公表しています。絶縁油の測定にあたっては、共存する妨害物質の存在について留意が必要です。

共存する妨害物質には、1種から7種までの物質が定められています。

PCB分析のその他情報

1. PCBと廃棄物処理法

PCBを含む廃棄物のうち微量PCB汚染廃電気機器は、2009年の11月に廃棄物処理法に定める無害化処理認定制度の対象廃棄物に追加されました。2010年の6月には、同制度のもとで焼却による処理が行われるようになりました。

その後の2012年8月には、PCB含有量が5,000mg/kg以下のPCB汚染物質等も同制度の処理対象廃棄物に加えられました。結果として、微量PCB汚染廃電気機器と上述したPCB汚染物質が低濃度PCB廃棄物と呼ばれ、無害化処理認定施設によって焼却処理できるようになりました。

上記の取扱いについては、低濃度PCBに関するガイドラインが作成されて環境省より公表されています。

2. PCB汚染廃棄物の処分方法

高濃度PCB廃棄物はJESCOで処理し、低濃度PCBは民間事業者で処理する方法が一般的です。JESCOとは、国などから委託を受けてPCB廃棄物の処理を行う政府全額出資による特殊会社のことを指します。

民間事業者でPCB廃棄物を処理する場合には、民間事業者が環境大臣による認定と都道府県市による許可を受けていなければなりません。高濃度PCB廃棄物については、PCB特別措置法に基づいた処分期間もしくは特例処分期限日までに処分を委託する必要があります。

低濃度PCB廃棄物については、2027年の3月31日までに処分委託を行わなければなりません。

3. PCB廃棄物の収集と運搬方法

PCB廃棄物の収集と運搬に関しては、主に収集運搬事業者が行います。収集運搬事業者はPCBの漏洩防止対策を施した運搬容器で運搬しなければなりません。

運搬車には応急措置設備が搭載され、緊急時の連絡設備などが備え付けられている必要があります。運搬に関する業務に従事する者は、PCBの性状や応急措置の知識と技能を有した者に限られます。

IP試験

IP試験とは

IP試験とは、電気機械器具が水や粉塵などの異物対してどの程度保護することができるのかを評価するための試験です。

この試験によって評価された結果は、保護等級と呼ばれるコードによって表されます。日本ではJIS C 0920、欧州ではIEC 60529の規格に基づいてコード化されます。

IP試験の使用用途

IP試験は電気機械器具を対象としており、感電事故や接触事故等を防止するのが目的です。屋外に設置される機械は、日常的に雨やほこりに晒される頻度も高いため、防水構造や防塵構造を施す必要があります。

IP試験では、「正しい構造であるかどうか」「性能が優れているかどうか」を判断するために評価を行います。

IP試験の原理

IPは「International Protection」の略で、国際保護という意味を持ちます。つまり、国際的に定められた試験であり、電気機械器具が持つ水や埃などへの耐性を把握するための指標です。

IPコードは、人体および固形異物 (粉塵など) に対する保護等級である第1記号と水の浸入に対する保護等級である第2記号を組み合わせて表現されます。例えば、「IP67」の場合、第1記号である「6」は人体および固形異物 (粉塵など) に対する保護等級、「7」は水の浸入に対する保護等級を表します。

IP試験の種類

対象物に対してどの程度保護できるのかを確認したい場合、対応する試験方法と合否判断基準に基づいて試験を実施します。保護等級ごとに試験方法が分けられているため、試験の種類はさまざまです。

保護等級の数字が大きくなるほど性能が高いと判断されるため、試験条件と合格基準も厳しくなります。また、人体、固形物、水など、対象になるものによっても細かく分けられており、各試験条件において保護できる最大の保護等級をIPコードとして表記します。

1. 人体または固形物の接近に対する試験

IPコードの第1記号にあたる試験です。保護等級は0〜6で表され、試験を行わない場合は「X」で表されます。危険な箇所に対して拳、指、工具、針金等、様々な直径を持つ物体が接近したことを想定して試験を実施します。

試験にはプローブと呼ばれる測定のために挿入する針を使用し、一部又は全体が機械に侵入しないかどうかで保護されているかを評価します。

2.水の侵入に対する試験

IPコードの第2記号にあたる試験です。保護等級は0〜8で表され、人体及び固形物に対する試験同様、試験を実施しない場合は「X」で表されます。

屋外に設置され、雨に晒される可能性のある電気機械器具に対して行われます。あらゆる角度や条件下において、水によって有害な影響を及ぼすことがないよう保護されているかを評価する試験です。

鉛直、傾斜、噴流、高温、潜水、高圧など角度や条件によって保護等級が分けられています。保護等級が大きくなるほど水の流量も多くなるため、より性能の高い機械でなければなりません。

3. 人体の接近に対する試験 (付加特性文字)

第1記号の人体の接近に対して、危険な箇所が保護されているかを評価する試験方法や保護内容は変わりませんが、この試験が実施される場面には2つの条件があります。

一つ目は、危険な箇所の接近に対する保護が第一特性数字で示されている等級より上位の場合です。二つ目は、および危険な箇所の接近に対する保護だけを表示し、第一特性数字が「X」で示される場合です。

4. 任意の試験

第2記号又は付加特性文字の後ろに配置することができます。H、M、S、Wの文字を使用して、製作者が必要と判断した機械に関する情報が一目で分かるように行う任意の試験結果について示すことが可能です。

「H」は高圧機器の保護等級、「M」は水の試験中に動作させた場合です。「S」は停止させた場合で、「W」は所定の天候条件下における保護の程度を評価します。

IP試験のその他情報

身近なIP試験

近年、IP試験は工場などで使用される電気機械器具だけでなく、身近な機械にも行われています。例えば、スマートフォンやiPhoneです。最新の機種であれば水に対する保護等級は、最大の8を誇るものもあります。

ただし、防水効果の高いスマートフォンであっても、試験時の水には水道水を使用しているため、温泉水やプール、海水など、化学物質や塩分の含んだ水分には注意が必要です。