圧着ペンチ

圧着ペンチとは

圧着ペンチとは、電線の端末を圧着処理する際に使用する工具です。

主に電気工事や電子工作の際に用いられます。一般的に、圧着ペンチは、「電工ペンチ」と呼ばれることもあり、日本工業規格 (JIS) にも規定はないため、同じ意味で扱われることが多いです。

電気工事関係者は、ケーブルをかしめる機能のみをもつ「圧着ペンチ」とケーブルカッター機能や被覆を剥く機能を持つ「電工ペンチ」に区別して呼称することがあります。

圧着ペンチの使用用途

圧着ペンチは電線を取り扱う作業で使用する工具です。日常生活で目にすることはあまりありません。リングスリーブの圧着や、裸端子圧着などに使用されます。

リングスリーブ用では、接続する2本の電線をリングスリーブにくぐらせ、圧着ペンチで強く力をかけることで圧着します。2本の電線を接続する際に使用します。裸端子圧着用では、端子に対して被覆を剥いた電線を差し込み、強く力をかけることで圧着します。

圧着ペンチの原理

圧着ペンチはダイス、ラチェット機構部、ハンドルなどで構成されます。

1. ダイス

ダイスは、圧着端子を締め付ける先端部分を指します。用途に応じて形状が多少異なります。通常は、1つの圧着ペンチに対していくつかのダイスが付いており、電線径に応じて選択することが可能です。ただし、人力の圧着ペンチでは22mm径端子程度の圧着が限界であるため、それ以上は油圧式か電動式となります。

2. ラチェット機構

ラチェット機構部は、締め付けている途中ではハンドルが戻らないようにする機構です。不完全圧着の防止に寄与します。圧着ペンチを十分締め付けると、ラチェット機構が開放されてスプリングによってハンドルが開放されます。

3. ハンドル

ハンドルは、圧着時の持ち手部分です。滑り止めのために持ち手にはゴムが貼り付けてあります。また、作業ミス防止のために、用途に応じて色別されています。赤は裸圧着端子用、黄色はリングスリーブ用、水色が絶縁被覆端子用です。

圧着ペンチの種類

圧着ペンチには用途に応じて種類があります。以下はその一部です。

1. リングスリーブ用圧着ペンチ

リングスリーブを圧着する際に使用する工具です。小、中、大の3種類が1セットの製品が多く販売されています。ハンドル部分は黄色に着色されています。

2. 裸圧着端子用圧着ペンチ

裸圧着端子を圧着する際に使用する工具です。電線径に合わせて圧着できるように、規格に合わせた種類が販売されています。多く使用される線径は、1.25mm用、2.0mm用、3.5mm用などの細線用です。ハンドル部分が赤色に着色されています。

3. 絶縁被覆付端子用圧着ペンチ

絶縁被覆付端子を圧着する際に使用する工具です。ダイスの先端が長楕円型である点が特徴です。絶縁被覆の色で規格が定められており、赤、青、黄などの被覆付端子が多く使用されます。ハンドル部分は青色に着色されて色別されています。

4. 棒端子用圧着ペンチ

棒端子を圧着する際に使用する工具です。電線は複数の素線で構成されていますが、棒端子によって一つの導体にまとめることが可能です。棒端子を穴に通し、周囲から均等にかしめるような構造の圧着工具です。ハンドルの色は決まっておらず、製品によってまちまちです。

圧着ペンチの選び方

圧着ペンチ選定時の留意点は以下の通りです。

1. 使用用途

圧着ペンチは用途に応じた製品を選ぶ必要があります。目的とする圧着に適さないペンチを用いた場合、接合部が外れたり電線が切れてしまったりといった不具合が生じる可能性があります。

2. グリップ・ハンドル

ケーブルを圧着するのには強い力が必要なため、グリップの性能は重要です。握りやすいよう形状や素材の製品を選定します。

3. 機能

初心者にとって圧着ペンチの扱いは難しい場合があります。補助機能として、圧着前に仮押さえができるタイプや圧着後の刻印で正常に圧着できたか確認できるタイプなどが販売されています。

4. 電工ペンチとの比較

電工ペンチは電線の圧着の他にケーブルカッター機能や被覆を剥く機能を有しているため、汎用性の高い工具が求められる場合やコスト面で余裕がある場合は電工ペンチの導入が考えられます。

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