IP試験

IP試験とは

IP試験とは、電気機械器具が水や粉塵などの異物対してどの程度保護することができるのかを評価するための試験です。

この試験によって評価された結果は、保護等級と呼ばれるコードによって表されます。日本ではJIS C 0920、欧州ではIEC 60529の規格に基づいてコード化されます。

IP試験の使用用途

IP試験は電気機械器具を対象としており、感電事故や接触事故等を防止するのが目的です。屋外に設置される機械は、日常的に雨やほこりに晒される頻度も高いため、防水構造や防塵構造を施す必要があります。

IP試験では、「正しい構造であるかどうか」「性能が優れているかどうか」を判断するために評価を行います。

IP試験の原理

IPは「International Protection」の略で、国際保護という意味を持ちます。つまり、国際的に定められた試験であり、電気機械器具が持つ水や埃などへの耐性を把握するための指標です。

IPコードは、人体および固形異物 (粉塵など) に対する保護等級である第1記号と水の浸入に対する保護等級である第2記号を組み合わせて表現されます。例えば、「IP67」の場合、第1記号である「6」は人体および固形異物 (粉塵など) に対する保護等級、「7」は水の浸入に対する保護等級を表します。

IP試験の種類

対象物に対してどの程度保護できるのかを確認したい場合、対応する試験方法と合否判断基準に基づいて試験を実施します。保護等級ごとに試験方法が分けられているため、試験の種類はさまざまです。

保護等級の数字が大きくなるほど性能が高いと判断されるため、試験条件と合格基準も厳しくなります。また、人体、固形物、水など、対象になるものによっても細かく分けられており、各試験条件において保護できる最大の保護等級をIPコードとして表記します。

1. 人体または固形物の接近に対する試験

IPコードの第1記号にあたる試験です。保護等級は0〜6で表され、試験を行わない場合は「X」で表されます。危険な箇所に対して拳、指、工具、針金等、様々な直径を持つ物体が接近したことを想定して試験を実施します。

試験にはプローブと呼ばれる測定のために挿入する針を使用し、一部又は全体が機械に侵入しないかどうかで保護されているかを評価します。

2.水の侵入に対する試験

IPコードの第2記号にあたる試験です。保護等級は0〜8で表され、人体及び固形物に対する試験同様、試験を実施しない場合は「X」で表されます。

屋外に設置され、雨に晒される可能性のある電気機械器具に対して行われます。あらゆる角度や条件下において、水によって有害な影響を及ぼすことがないよう保護されているかを評価する試験です。

鉛直、傾斜、噴流、高温、潜水、高圧など角度や条件によって保護等級が分けられています。保護等級が大きくなるほど水の流量も多くなるため、より性能の高い機械でなければなりません。

3. 人体の接近に対する試験 (付加特性文字)

第1記号の人体の接近に対して、危険な箇所が保護されているかを評価する試験方法や保護内容は変わりませんが、この試験が実施される場面には2つの条件があります。

一つ目は、危険な箇所の接近に対する保護が第一特性数字で示されている等級より上位の場合です。二つ目は、および危険な箇所の接近に対する保護だけを表示し、第一特性数字が「X」で示される場合です。

4. 任意の試験

第2記号又は付加特性文字の後ろに配置することができます。H、M、S、Wの文字を使用して、製作者が必要と判断した機械に関する情報が一目で分かるように行う任意の試験結果について示すことが可能です。

「H」は高圧機器の保護等級、「M」は水の試験中に動作させた場合です。「S」は停止させた場合で、「W」は所定の天候条件下における保護の程度を評価します。

IP試験のその他情報

身近なIP試験

近年、IP試験は工場などで使用される電気機械器具だけでなく、身近な機械にも行われています。例えば、スマートフォンやiPhoneです。最新の機種であれば水に対する保護等級は、最大の8を誇るものもあります。

ただし、防水効果の高いスマートフォンであっても、試験時の水には水道水を使用しているため、温泉水やプール、海水など、化学物質や塩分の含んだ水分には注意が必要です。

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