クロスバイスとは
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クロスバイスとは、加工対象を強く固定し、X軸方向およびY軸方向に移動させるために使用される工具です。
そのほか、「クロススライドバイス」「クロススライディングバイス」「2軸スライドクロスバイス」「クロスフラットテーブルバイス」「クロスフラットベンチバイス」「X-Yバイス」「2ウェイX-Yベンチクランプ」など、さまざまな名称で呼ばれています。
単なるバイスとの違いは、固定した材料を動かせる点にあります。製品によっては0.001mmレベルの精度で、正確に前後左右の位置調整が可能です。しかし、クロスバイスは、X軸方向とY軸方向の調整にかぎられているため、上下方向の調整はできません。そのため、使用用途に合った高さのものを選ぶ必要があります。
クロスバイスの使用用途
クロスバイスは、材料に穴をあけるボール盤などに取り付けて使用するのが一般的です。固定した材料を、X軸方向とY軸方向に自由自在に動かせるため、複数の穴をあける際などに、その都度材料を取り外して位置を変える必要がありません。
ハンドルを回せば簡単に位置調整ができるため、加工作業を効率的に行えます。また、ボール盤にエンドミルを取り付けて、クロスバイスで材料を移動させながら削れば、簡易フライス盤として切削加工もできます。
しかし、基本的にボール盤は、材料に対して垂直方向に穴をあけるための機械です。フライス盤に比べて剛性が弱く、水平方向に負荷がかかる設計にはなっていません。
そのため、水平方向に強い負荷がかかるとテーブルが傾いたり、ドリルチャックが外れてしまう危険性があります。また、振動も大きくなるので、精度の高い切削加工はできません。特に硬い材料の切削加工は強い負荷がかかりやすく、注意が必要です。
クロスバイスの原理
クロスバイスは、加工対象を固定するクランプ部、X軸方向の位置調整をする摺動部、Y軸方向の位置調整をする摺動部の3点で構成されています。上段はクランプ部、中段はX軸方向の摺動部、下段はY軸方向の摺動部になっており、それぞれにハンドルがついています。ハンドルはレバータイプのものが多いです。
クランプ部のハンドルは左側、X軸方向の摺動部のハンドルは右側、Y軸方向の摺動部のハンドルは手前側に位置し、作業しやすいようになっています。X軸方向およびY軸方向の摺動部のハンドルには目盛りがついており、前後左右の正確な位置調整をサポートします。
クロスバイスの選び方
クロスバイスを選ぶ際のポイントは、以下の4点です。
1. サイズ
クロスバイスは、小型のものから大型のものまで、さまざまなサイズの製品があります。取り付けるボール盤や、加工したいもののサイズに合わせて選ぶのがポイントです。
クロスバイスは、前後左右の位置調整はできますが、上下の高さ調整はできません。そのため、ボール盤に取り付ける際は、実際に加工可能な高さであるかを事前に確かめる必要があります。
2. 精度
クロスバイスは、位置調整の精度が0.1mm単位や0.001mm単位など、製品によって幅があります。一般的に精度が高くなれば、価格も高くなります。
DIYレベルの精度で良ければ安価な製品でもかまいません。しかし、精密部品の加工レベルを求めるのであれば、高価なものを選ぶ必要があります。
3. 移動幅
クロスバイスで位置調整できる移動幅は、100mmから200mm程度まで製品によって違います。大きい材料を広範囲に加工したいのであれば、移動幅の大きいものを購入したほうが、効率的な加工作業が可能です。
しかし、一般的に移動幅が大きくなるほど価格も高くなります。予算が合わない場合は、移動幅が小さい製品でも、材料を取り外して位置調整し直すことでカバーできます。
4. 口の広さや深さ
クロスバイスの口が広いほど固定できる材料は大きくなり、口が深いほど厚い材料を固定できます。加工する材料に合った口の広さや深さの製品を選ぶと、使い勝手が良いです。