オートレベル

オートレベルとは

オートレベル

オートレベルとは測量機器の一種で、水平な地面に設置しレンズを覗きこむ事によって水平の視準線を確認し、地面や建造物の水平さの確認や高低差の計測等に使用され、自動レベルとも呼ばれます。

自動機能を持っていないレベルは地面に対して完全に設置する必要があり、また、設置の際に目視で水平性を確認する必要がありましたが、自動レベルは一定の範囲であれば地面の傾きを自動で補正する機能があるため、設置場所をあまり選ばず、また、設置の際の水準の確認も省くことができます。

オートレベルの使用用途

オートレベルは土木、建築の分野で幅広く使用されています。最もポピュラーな使い方は土地や道路の測量においては2点間の高低差を確認する用途です。また、建物を建設する際には地面が水平であるかどうかを確認し、必要に応じて均すために使われます。また、目盛の読み取りまでを自動で行うレベルは電子レベルと呼びます。

また、精度を落として機能性を重視したオートレベルの一種であるレーザーレベルでは、レーザーの持つ直進性を生かして水平の確保に用いられるだけはなく、勾配の設定や建設機械の操作など、より機能を活かした積極的な利用がされています。

オートレベルの原理

オートレベルの目盛表示が水平さを保つ原理としては、振り子の特性を応用したものが最も一般的です。

水平ではない地面に設置した場合、補正がなければレンズから覗きこむ目盛も同様に傾くため、自動機能を持たないレベルでは棒状気泡管を用いて目視で補正を行っていました。オートレベルは振り子が鉛直方向を常に指し示す性質を利用し、目盛表示の部分を振り子に吊るし、ある一定の範囲であれば常に鉛直方向に補正されるように設定されています。また、振り子を止めて安定させるためにはピストンやシリンダを用いた空気制動式、磁石を用いた磁気制動式などが用いられます。目盛の表示形式は光学式によるものが一般的です。

電子レベルの原理はオートレベルと同じになりますが、目盛をバーコード上で割り当て、画像を解析する事によって目盛の読み取りを自動化します。
電子レベルを用いた測量の場合、観測者による誤差が発生せず精度が高いため、国土地理院の測量等にも利用されています。

参考文献

https://electrictoolboy.com/media/14170/

今さら聞けない測量機のあれこれ レベル編

https://www.gsi.go.jp/common/000063332.pdf

黒体炉

黒体炉とは

黒体炉とは、赤外線を利用した装置の検査や校正に用いる機器のことです。

全ての波長を吸収する黒体を模した炉の中に検査対象の機器を入れ、基準光源から光を照射することによって、外部環境の影響を除いた環境において検査機器の検査や校正を行います。

物質が周囲の光源から光を受けると、ある波長の光は吸収され、ある波長の光は反射します。私たちが目に見えるのは反射された光ですが、光源からの多くの波長の光が物質によって吸収されると、その物質は黒く見えます。逆に多くの波長の光が反射されれば、光源に近い色で見えます。例えば光源が太陽光で、物質でほとんどの波長の光が反射されれば、物質は白く見えます。

世の中には全ての波長の光を吸収する理想黒体は存在しませんが、黒体炉では近似的に黒体を再現した空間を設けることによって、赤外線を利用した検査装置の検査・校正を行う装置です。

黒体炉の使用用途

黒体炉は大きく次の4つの目的で使われています。

1. 物質の熱放射の研究

黒体炉は、物質が放射する熱エネルギーを研究するために使用されます。特定の温度での物質の放射スペクトルを調べることが可能です。

2. 赤外線センサーのキャリブレーション

赤外線センサーのキャリブレーションに使用されます。赤外線センサーは非接触の温度計に使われていますが、他には自動ドア、自動点灯/消灯する照明機器、防犯装置、車の自動運転装置などにも利用されているものです。

3. 熱画像測定

熱画像測定装置に使われる赤外線カメラのキャリブレーションも、黒体炉の使用用途の一つです。熱画像測定装置によって、物体の表面温度を非接触で測定することができます。

4. 材料の熱物性の評価

材料の熱伝導率や熱容量などの熱物性を評価も、黒体炉の使用用途の一つです。特定の温度で材料に熱エネルギーを供給し、その応答を測定することで、材料の熱物性を調べることができます。

黒体炉の種類

黒体炉には大きく2つの種類があります。1つ目は、空洞構造の光源部を有し高温の測定に向いたキャビティ黒体炉です。2つ目は平面黒体炉で、放射率の高い塗料を塗布した金属を光源部とし、低温や大きなものの測定に向いています。

黒体炉の原理

非接触式温度計は対象から発生する赤外領域の黒体放射エネルギーを計測する事により温度を求めていますが、校正の際に、完全黒体 (放射率1) からの放射強度と温度の関係性を示した理論であるプランク分布との照らし合わせが必要です。

黒体炉の種類のうちキャビティ黒体炉では、炉内に黒鉛やカーボンナノチューブ等の光を吸収する物質を用い、装置内部の温度を均一化し、また形状や表面の仕上げを反射されやすい構造とすることにより、放射エネルギーを多重反射させ、放射率0.99程度の模擬的な黒体放射を実現しています。この環境下で放射率に応じた補正を掛けて試験を行うことにより、非接触温度計の数値をプランク分布から導かれる理論値と比較し、校正することができます。

また、平面黒体炉の場合は、光を多重反射させることができず、塗料の制約上放射率が最大でも0.95程度となるため、使用時にキャビティ黒体炉で校正を行った非接触式温度計を用いた補正作業が必要です。

黒体炉の構造

黒体炉は、特定の温度で黒体放射を模倣する装置であり、大きく以下の4つの構造を持っています。

1. 加熱源

黒体炉では特定の温度で測定することから、加熱源があります。これは電気ヒーターやガスバーナーなどの方法で炉内の温度を上昇させるための装置です。

2. 炉 (黒体)

黒体炉の内部は、高温で黒体放射を行うよう設計されています。一般的には、黒い塗料や黒い表面コーティングが施された金属やセラミックスなどの材料が使用されます。これにより、入射された光が完全に吸収され、黒体放射が再現されています。

3. 温度制御部

黒体炉は、特定の温度に保つための温度制御装置を備えています。加熱源の出力を調整して、黒体の温度を設定された値に維持しすることによって、黒体放射の特性を正確に再現することが可能です。

4. 出力測定部

黒体炉から放射される光の強度やスペクトルを測定するためのセンサーや検出器が設置されています。これにより、黒体放射の特性を評価し、必要に応じて調整することができます。

参考文献
https://www.irsystem.com/technical/%E9%BB%92%E4%BD%93%E7%82%89%E3%82%BB%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89/
https://www.japansensor.co.jp/manage/wp-content/uploads/2015/03/IR10110_infrared_source.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tetsutohagane1955/59/5/59_5_668/_pdf
https://www.aist.go.jp/Portals/0/resource_images/aist_j/aistinfo/aist_today/vol06_12/vol06_12_p10_p11.pdf
https://www.ushio.co.jp/jp/technology/glossary/glossary_ka/full_radiator.html

自記圧力計

自記圧力計とは

自記圧力計は、配管中を通過する気体や液体の圧力を測定し、そのデータを記録する装置です。

これにより、現在の圧力の絶対値を把握するだけでなく、時間の経過に伴う圧力の変化を追跡し、配管の漏れやその他の異常を検知するのに使用されます。圧力を測定する装置にはマノメータもありますが、マノメータは主に二点間の圧力差を測るために使用され、その特性からクリーンルームや空調システムの性能測定に適しています。

一方で、自記圧力計は圧力の絶対値を連続的に記録することができるため、配管システムの監視や異常検出に特に有効です。このように、自記圧力計は配管等のシステムの健全性を維持するための重要なツールとして利用されています。

自記圧力計の使用用途

自記圧力計は、特に配管の気密試験において広く使用されています。この用途では、圧力発生器具と自記圧力計を検査対象の配管に接続し、所定の圧力の供給が可能です。記録された圧力値が一定時間内に所定の範囲を保持し続ける場合、気体や液体の漏れがないと判断し、その配管は合格とされます。

圧力の記録は、温度変化などの外部要因の影響を受ける可能性があるため、補正が必要です。最近では、温度補正機能を備えたデジタル方式の自記圧力計が主流となっており、これによりより正確な測定結果が出力されるようになっています。

このような進化により、自記圧力計はより信頼性の高い試験結果を提供し、さまざまな産業での安全と効率を確保する重要なツールとして機能しています。

自記圧力計の原理

自記圧力計には、主に機械式と電気式ダイヤフラム式の二種類が存在します。

1. 機械式

機械式自記圧力計は、ブルドン管やチャンバーベローズといった弾性体を利用して圧力の検出が可能です。これらの弾性体は配管に接続され、流体の圧力によって変形します。この変形は、装置内部の水晶時計を回転させ、ペンアームを動かして圧力の時間変化を記録するメカニズムに変換されます。

2. 電気式ダイヤフラム式

電気式ダイヤフラム式自記圧力計では、固定されたダイヤフラムが配管に接続されており、かかる圧力によるダイヤフラムの歪みを検出して記録します。この歪みは非常に微細なため、静電容量の変化として測定されます。

具体的には、ダイヤフラム上に設置された移動電極と測定電極間の静電容量の変化を測定し、参照電極と比較して電気信号を増幅することにより、圧力の変化をより明確に記録します。装置の検出部を大気に開放すればゲージ圧を、真空に保つことで圧力の絶対値を記録することが可能です。

自記圧力計の選び方

自記圧力計を選ぶ際には、用途に合わせて適切なタイプと仕様を選定することが重要です。選定においては、次の点を考慮します。

1. 圧力の範囲

計測したい圧力の範囲を考慮し、使用する圧力計が測定範囲内で正確な読み取りを提供できるかどうかを確認する必要があります。また、圧力のタイプ (絶対圧、ゲージ圧、差圧) に応じて適切なモデルを選ぶことも大切です。

2. 計測環境の条件

例えば、極端な温度や腐食性ガスが存在する計測環境では、それに耐える材質や保護機能を備えた圧力計をびます。また、設置スペースの制約や、設置や保守の容易さも選定の際に考慮すべき要素です。

3. 精度と解像度

使用する圧力計の精度が高いほど、微小な圧力変化も正確に検出できるため、精密な測定が求められる用途では特に高精度のモデルが必要になります。また、データの記録や出力形式についても、必要なデータ解析やシステムとの互換性を考慮する必要があります。

4. 情報処理方式

デジタル式は読み取りが容易でデータ処理が自動化されていることが多く、リモートでの監視やデータ転送が容易になります。一方、アナログ式は電源が不要であり、シンプルな構造でコストが低い場合が多いです。

参考文献
https://www.measuring.jp/sou/sou06#
https://www.m-system.co.jp/rensai/pdf/r0210.pdf

自動計量機

自動計量機とは

自動計量機とは、物体の重さを自動的に計測するための機器です。

一般的には、商品や製品の重量を計量するために使用されます。自動計量機は高い精度で計量を行うため、人間のミスや主観的な判断の影響を排除できます。正確な計量結果が得られ、品質管理や取引の信頼性が向上します。

また、高速で計量を行うことが可能です。人手による計量に比べて作業時間が短縮されるため、業務の効率性が向上します。特に大量の商品や製品を計量する場合や、短い時間枠で多くの計量を行う必要がある場合には、自動計量機の導入が非常に有益です。

製品によっては計量データを自動的に記録し、データベースに保存することもできます。これにより、計量の履歴や統計情報を容易に追跡し、分析が可能となるため、品質管理や生産性向上が実現されます。

自動計量機の使用用途

自動計量機は、さまざまな産業や使用用途で活用されます。

1. 小売業

小売業では、商品の重量を計量して販売価格を決定します。スーパーマーケットでは野菜・果物や肉・魚の重さを計測し、それに基づいて価格を設定する場合が一般的です。

また、自動計量機はパンや菓子などの包装済み商品の重さを計量する際にも使用されます。

2. 農業

農業では、収穫物や農産物の重量の計測が必要です。果樹園では収穫されたリンゴやオレンジの重量を計測し、出荷前の品質管理や価格設定に活用します。

3. 養鶏業

養鶏業では鶏卵の重さを計測し、分類やグレード分けに使用します。

4. 物流業

物流業では、荷物や貨物の重量を計測して輸送の手配や料金の計算を行うことが必要です。運送業者は荷物を受け取る際に自動計量機を使用し、正確な重さを確認して適切な輸送手段や料金を決定します。

自動計量機の原理

自動計量機は、重量を感知するためにセンサーを使用します。一般的に使用されるセンサーは、ロードセルや圧力センサーです。センサーは物体の重さを感知し、その情報を取得します。

センサーから取得した重量情報はアナログ信号として受信することが多いです。このアナログ信号はアンプやアナログ-デジタル変換器  (ADC) などの回路を通じてデジタル信号に変換されます。デジタル信号に変換されたデータは、内蔵のコンピューターシステムで処理されます。

処理されたデータは、重量の数値としてディスプレイに表示されるのが一般的です。また、多くの自動計量機は計量データを記録する機能も備えており、内部のデータベースや外部の記録装置に計測結果を保存します。

ただし、正確な重量を計測するために校正が必要です。校正は既知の重量を使用して計量機を調整するプロセスです。時間の経過や外部要因による影響を補正するために、自動計量機は定期的なメンテナンスや再補正が必要になります。

自動計量機の種類

自動計量機には、さまざまな種類が存在します。以下は自動計量機の種類一例です。

1. 台秤

大型の計量プラットフォームを備えた自動計量機です。主に工業や物流業界で使用され、大きな荷物やパレットなどの重量計測に適しています。高い耐荷重能力を持ち、頑丈な構造で重量計測を行います。

2. パッケージングスケール

商品を包装する際に使用される自動計量機です。商品を正確に計量し、パッケージに詰める際の重量制御を行います。食品や医薬品、化粧品などの包装ラインで広く使用されます。

3. ベルトスケール

ベルトコンベアの上を通過する物体や製品の重量を計量する自動計量機です。主に物流や製造業界で使用され、流れる製品の計量や統計データの収集に適しています。

鉱山や採石場などの鉱業では、鉱石や骨材などの重量計量が重要です。ベルトスケールはベルトコンベア上を流れる鉱石を計測し、出荷量の管理や品質管理に使用されます。

4. ホッパースケール

物体や材料を自動的に供給されるホッパーに入れ、重量を計量する自動計量機です。ホッパースケールは計量結果に基づいて制御を実行することができます。

供給の開始や停止、バッチの制御などを自動化して生産プロセスを効果的に制御可能で、他のシステムや装置との統合も容易です。粉体の連続測定も可能なため、スナック菓子袋詰めラインで調味料の正確な供給などに寄与します。また、バッチの混合や反応プロセスにおける材料供給にも使用されます。

参考文献
https://dl.cdn-anritsu.com/ja-jp/test-measurement/reffiles/About-Anritsu/R_D/Technical/85/85_04.pdf
https://www.plusonetec.jp/products_cat/petit-scale/
https://alpha-kabu.com/product/weight/zero

絶縁トランス

絶縁トランスとは

絶縁トランス

絶縁トランスとは、一次側と二次側の電気回路が導線で繋がっていないトランスのことです。

トランスは日本語で「変圧器」と呼び、電源電圧を変更する場合に用います。一般的な電気回路は、電源から需要機器まで導線で繋がっていますが、絶縁トランスを使用することで電源と需要設備の導線を分離することができます。

電源用として使用されるトランスは、ほとんどが絶縁トランスです。

絶縁トランスの使用用途

絶縁トランスは産業用電源から家庭用電源まで幅広い用途で使用されます。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • 発電所・変電所の電源変換用
  • OA機器の耐雷用
  • 工場・商業設備用の電源供給用
  • 古いACアダプタ内部
  • 一般家庭の送電用
  • 半導体製品向けのノイズ除去用

上記の通り、絶縁トランスは送配電用途として幅広く使用されています。また、ノイズ除去や耐雷などを目的に設置される場合もあります。

絶縁トランスの原理

絶縁トランスは電磁誘導作用を使用して変圧・絶縁する装置です。一次・二次巻線、鉄心、ケーシングなどで構成されます。

一次巻線は電源から電圧・電力を受信する巻線です。巻線の中心には鉄心が通されており、同じ鉄心に二次巻線が通されています。この構造から巻線同士に電磁誘導作用が働き、一次巻線と二次巻線の巻数に応じた電圧を二次巻線へ供給します。

一次巻線と二次巻線の巻数の比を巻線比と呼びます。一次巻線を多く巻くほど巻線比が大きくなるのが特徴です。巻線比が大きいほど、一次巻線で受電した電圧を小さくして二次巻線へ送り出すことができます。

絶縁トランスのその他情報

1. 絶縁トランスと非絶縁トランス

一般的な電源用トランスは絶縁トランスですが、稀に非絶縁トランスが使用されます。非絶縁トランスとは、一次側巻線の一部を二次側巻線が使用したトランスです。非絶縁トランスは構造から単巻トランスとも呼ばれます。

対して、絶縁トランスは複巻トランスと呼ばれます。単巻トランスは巻線に使用する線が少なく済むため、複巻トランスより安価です。ただし、一次側が二次側と絶縁されていないので、一次側での異常電圧 (落雷など) が二次側に波及して需要設備を破壊する危険があります。単巻トランスは小型化を目的として天井クレーン上部やラジオ内部などに使用されます。

2. 絶縁トランスとノイズ

絶縁トランスの使用目的の一つはノイズ除去です。ただし、普通の絶縁トランスが除去できるノイズは低周波数 (コモンモードノイズ) のみで、高周波数ノイズ (ノーマルモードノイズ) は除去できません。ノーマルモードノイズを除去するために、一次側巻線と二次側巻線に静電遮蔽を施したトランスが販売されています。

電気機器は高機能化と小型化に伴って回路同士が近くなり、ノイズに対する耐性が低下傾向です。電気回路や電子回路へのノイズの混入は、システムの動作に大きなダメージを与える可能性があります。ノイズの影響を受けやすいのは小型化が進む半導体部品の欠点です。

その中でもシステムを制御するコントローラは、チップの高集積化が進んでノイズへの耐性がありません。このような部品にノイズが混入するとシステムの誤動作や内部データ破損復帰不可能などの影響が起こります。したがって、半導体製品に対しては、静電遮蔽付き絶縁トランス使用などのノイズ対策が必要不可欠です。

3. 絶縁トランスと接地

絶縁トランスは一次巻線と二次巻線が絶縁されていますが、地震などの事故で巻線同士が混触するリスクが考えられます。巻線同士が混色した場合、高圧側の電圧が低圧側へ波及して感電災害などが発生する危険があります。

そのため、高圧以上の変圧器には低圧側一か所を接地することが義務付けられています。この際に使用する接地がB種接地です。B種接地は絶縁トランスの低圧側中性点や混触防止板などと接続されます。B種接地工事を絶縁トランスに施すことで漏電検知機器が漏電を検知しやすくなり、混触時の流入電圧も小さくすることが可能です。

参考文献
https://www.yodohen.co.jp/glossary/ka/ka02/
http://fa-ubon.jp/tech/001_bell52_54-55.html
https://www.daihen.co.jp/technologygeeks/cat01/cat01_01/29/
https://www.kitagawa-denki.co.jp/products/about/whats/
https://as76.net/asn/zetuen_tr.php
https://www.kamidenshi.co.jp/magazine/1497/
https://www.fujielectric.co.jp/technica/faq/cuttrans/08.html

温水ボイラ

温水ボイラとは

温水ボイラ

温水ボイラとは、燃料を燃焼させることによって水を温め、温水を供給する装置です。

同じ原理で高温の水蒸気を供給するものについては蒸気ボイラと呼ばれ、用途によって区別されています。温水ボイラの燃焼によって発生する排気ガスは適切に排出処理を施す必要があり、適切な保守点検や管理が求められます。

地域や建物の規模によって異なる種類や仕様の温水ボイラが存在し、専門の業者や技術者による適切なメンテナンスが必要なケースも多いです。

温水ボイラの使用用途

温水ボイラーは、日常のさまざまな場所で使用されています。代表的な使用用途は、住宅や建物内の暖房システムや給湯システムなどです。

1. 暖房システム

暖房システムとしては、床暖房などに使用されます。加熱された温水が暖房ラジエーターや床暖房などを通じて室内に供給されます。住宅やオフィス、ホテルなどの建物で使用される場合が多いです。

2. 供給システム

給湯システムとしては、お湯の供給に利用されます。温水ボイラから供給された温水が蛇口から出てくるお湯となり、シャワーや洗面所などの給湯設備で利用されます。

住宅やホテルなどで使用されるのが一般的エス。給湯設備に適切な温度のお湯を供給することで、快適な入浴を可能にします。

 

その他、工業用に使用される場合もあります。食品加工業界では、温水ボイラが製品の加熱や殺菌処理に使用され、プロセスの特性やニーズに応じて、異なる仕様や設計の温水ボイラを用います。

温水ボイラの原理

温水ボイラは燃焼器、熱交換器、制御装置などで構成されます。

1. 燃焼器

燃焼器は、ガスなどの燃料を燃焼させる部分です。燃料の燃焼によって熱が発生し、温水の加熱に利用されます。燃焼器は燃料供給装置や燃焼制御装置と組み合わせて使用するのが基本です。

2. 熱交換器

熱交換器は、温水と燃焼ガスとの間で熱の移動を促す役割を果たします。通常は金属製の管やフィンなどの構造で構成され、燃焼ガスが通過する一方で温水が循環します。燃焼ガスから発生した熱が温水に移され、温水が加熱されます。

3. 温水ボイラ

温水ボイラには、適切な温度制御や安全性の確保を行うための制御装置が搭載されています。制御装置は温水の供給や温度制御、点火・消火制御、排気ガスの排出制御などを管理します。また、一部の温水ボイラでは燃焼の比例制御を行い燃焼効率を上げる制御装置などが使用されます。

温水ボイラの種類

温水ボイラには容器内の圧力などに応じて4種類に分類されます。

1. 真空式

ボイラ内部を負圧 (真空) に保つことで、低温下でも水を沸騰させることができるボイラです。真空状態における沸点は低いため、比較的低温の熱源を使用して水を加熱します。

一般的に低温の熱源が利用可能な場合や、高地などの沸点が低い環境で使用されます。また、地下などの低圧環境においても効果的です。

2. 大気圧式

常圧下で水を加熱するボイラです。燃焼器から発生した熱エネルギーによって水を加熱して沸騰させます。一般的な家庭や建物の給湯・暖房システムで広く使用されています。

大気圧下での運転なので、沸点の制約がなく、一般的な温度範囲で効率的に温水を供給することができます。

3. 貯湯式

一定量の水を貯めて加熱するボイラです。貯湯タンクに水を貯め、熱源によって水を加熱します。加熱された水は貯湯タンク内で保温され、必要な時に使用されます。

給湯用途で一定量の温水を確保する必要がある場合に適しています。水を貯めておくことで、需要が発生した際にすぐに温水を供給することができます。また、大量の熱湯が必要な場合にも使用されます。

4. 貫流式

温水が必要な時に直接供給するボイラです。水を瞬時に加熱し、需要がある度に温水を供給します。瞬時式給湯器とも呼ばれることがあります。

給湯が必要な瞬間にのみ温水を供給するため、効率的で省エネルギーです。一般的に小型でコンパクトな設計であり、住宅やホテル、レストランなどの需要が不定な場所でよく使用されます。

参考文献
https://ene.osakagas.co.jp/product/steam_hotwater/hotwater/structure.html
https://eee.tokyo-gas.co.jp/product/hotwaterboiler/index.html
https://www.miuraz.co.jp/product/boiler/heater/

浄化装置

浄化装置とは

浄化装置

浄化装置とは、気体や液体に含まれている望ましくない物質を取り除き、次工程や外部に流出させないようにする、もしくは環境自体を維持、改善するための装置です。

浄化装置には様々な種類があります。例えば、対象物質をフィルターなどで捕集および吸着して物理的に対象物質を取り除くものです。その他、対象物質を高温環境下や触媒存在環境下に誘導して分解するもの、殺菌や酸化など作用のある光触媒などの物質を供給して対象物質を無害化するものなどが挙げられます。

浄化装置の使用用途

浄化装置は、液体を浄化するあるいは気体を浄化するのに多く使用されています。液体を浄化する浄化装置としては、家庭用や事業用の水処理に関する浄化装置が代表的です。最も身近な例は浄水器や水槽のフィルターで、望ましくない物質を捕集し必要に応じて消毒物質などを付加して水質を維持しています。

また、気体を浄化する使用用途の浄化装置としては、自動車の排気ガスの浄化装置が代表的です。自動車の排気ガスの浄化装置では、燃料を燃焼させた際に発生する有害な物質を触媒存在下で無害な物質へと分解しています。この浄化装置を使用すれば、無害となった排気を大気中に排出できるため大気への影響を防止できます。

浄化装置の原理

浄化装置の原理は、浄化の仕組みにより異なります。ここでは、水の浄化に用いられる浄化装置と自動車の排気ガスの浄化などに使用される気体の浄化装置を解説します。

1. 活性炭フィルターを使用した水の浄化装置

水の浄化に使用される浄化装置では、活性炭よりなるフィルターを使用して浄化する方法が一般的です。活性炭よりなるフィルターに水を通した場合、活性炭の表面からの引力 (ファン・デル・ワールス力) によって、水中の望ましくない物質の微粒子が活性炭の表面に吸着します。吸着した微粒子は、活性炭の表面の細孔に毛管現象により引き込まれるため、水が浄化されます。

この浄化装置の場合、活性炭表面の細孔の大きさを調整すれば、活性炭よりなるフィルターの目の細かさを調整可能です。そのため、捕集する物質の粒径がわかっている場合には、フィルターの目の細かさを任意に設定すれば、捕集する物質の種類を変更可能です。

2. イオン交換膜を使用した水の浄化装置

また、純水の製造では、水中に含まれるカルシウムやナトリウム、塩化物などの塩類成分を取り除く必要があります。これらの塩類成分は水中にイオンとして存在しています。このため、正または負に帯電したイオン交換膜をフィルターに用いて、陽イオンもしくは陰イオンを吸着し除去して浄化可能です。

活性炭を用いたフィルターを使用する場合も、イオン交換膜を利用する場合も、吸着効率をあげるために、液体の接触面積を大きくする工夫がなされています。

3. 気体の浄化装置

自動車の排気ガスの浄化などに使用される浄化装置は、触媒を利用して浄化する仕組みです。触媒を利用した浄化装置では、目的の液体や気体を触媒部分と接触させて、無害化します。自動車の排気ガスの浄化装置では、燃焼で発生したガスを三元触媒下に導入して、有害成分であるCOをCO2、炭化水素をCO2とH2Oに酸化し、同時にNOxをN2とO2に還元して無害化しています。

触媒を使用した場合でも、反応の効率を上げるため、気体の接触面積を広くする工夫が必要です。

浄化装置のその他情報

1. 水槽の浄化装置

私たちの身の回りで身近な浄化装置の1つに水槽の浄化装置が挙げられます。熱帯魚などを飼育するアクアリウムには必須の設備です。水槽の浄化方法は大きく分けて以下の3つです。

物理ろ過
物理ろ過は、熱帯魚のフンや餌の食べ残し、枯れて分解された水草などを網やスポンジなどの目の大きい資材で捕獲します。目視できるくらいのゴミを取り除くのが目的です。

化学ろ過
化学ろ過では、イオン交換樹脂ゼオライトや活性炭などの資材を用いて水中の目に見えないゴミを取り除きます。これら資材には微小な穴が空いており、ゴミを吸着して水中から取り除きます。

生物ろ過
生物ろ過では、バクテリアなどの微生物の働きによって水中の有機物質および有害物質を分解して水をきれいにします。物理ろ過や化学ろ過では取り除けない毒性の強いアンモニアや亜硝酸塩を無害化できるため、アクアリウムでは特に大切なろ過方法です。

2. 水浄化装置を手作りする方法

ここでは、身の回りにあるもので手作りできる水の浄化装置を解説します。ただし、この装置では水の浄化はできますが、飲料用水にはならないため決して飲まないでください。用意するものは以下の資材です。

  • 空ペットボトル (2リットル程度) 
  • 布 (手ぬぐいなど) 
  • ティッシュ
  • 小石、じゃり、活性炭、砂

浄化装置では大きなゴミから徐々に小さなゴミを取り除く工程を経て浄化しています。そこで、キャップをはめたペットボトルの底をくり抜き、キャップ側を下にして、上から次の順番で資材を投入していきます。

  • ティッシュ
  • 小石
  • 砂利
  • 活性炭

つまり、キャップ側から、ティッシュ、小石、砂利、活性炭、砂、布順番で積み上げられている状態です。浄化はキャップを外し、くり抜いたペットボトルの底の部分からゆっくりと泥水を注いで行います。すると、中の資材で不純物は大きなものから順に捕集され、口の方から浄化された水がゆっくりと流れ出てくる仕組みです。

参考文献
https://motor-fan.jp/tech/10012501
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj1989/48/6/48_6_583/_pdf/-char/ja
https://kcr.kurita.co.jp/wtschool/004.html
http://water-solutions.jp/tech_basic-2/intro_basic/
https://tropica.jp/2018/02/01/post-11527/#i-2
http://www.kitakata-suidou.jp/kids/handicraft.php

止水板

止水板とは

止水板

止水板とは、水の侵入を防ぐ部材です。

大きく分けて、土木建築材料としての止水板と建築物などの浸水対策に使われる止水板があります。土木建築材料である止水板は、コンクリート構造物の継ぎ目部分に配置する建材です。地下建造物の建築工事や、ダムやトンネル、高架橋の土木工事などで用いられています。

一方の建築物などの浸水対策に使用される止水板は、台風やゲリラ豪雨などの大雨による浸水から家屋などを守る機材です。このタイプの止水板には一般家屋用の小規模なものから河川の氾濫を防止する大規模なものまで、様々なサイズがあります。

止水板の使用用途

止水板は、大きく分けて、土木建築材料の止水板と建築物などの浸水対策に使用される止水板の2種類です。

1. 土木建築材料の止水板

土木建築材料の止水板は、コンクリート構造物の継ぎ目に配されるものです。コンクリート構造物は、建築の際、まず基礎となるコンクリートを打設し、このコンクリートが乾いてから再びコンクリートを打設しており、このような方法を打ち継ぎといいます。

打ち継ぎ部に配されるのが建築材料の止水板です。地下建造物やダム、トンネルや防潮堤など水が発生する様々な環境のコンクリート構造物に使用されています。

2. 建築物などの浸水対策に使われる止水板

建築物などの浸水対策に使われる止水板は、水が侵入しやすい場所に配置して浸水を防いでいます。具体的な配置場所は、地下鉄の出入り口や店の出入り口、さらにビルやマンションの出入り口、地下駐車場などです。浸水対策に使われる止水板には、河川の氾濫の可能性が高い場所に配されて水害を防ぐ大規模なものもあります。

止水板の原理

止水板の原理は、種類によって異なります。

1. 土木建築材料の止水板

土木建築材料の止水板は、コンクリートの打ち継ぎ部に配置されるものです。打ち継ぎ部では、既に乾いている基礎となるコンクリートと新たに打設したコンクリートが混ざり合うことはなく、間に継ぎ目ができてしまいます。この継ぎ目から水が浸水してしまうため、継ぎ目を埋める打継処理が行われます。

一般的な工法は、この打継処理に金属製の止水板が使用される方法です。コンクリート打設前の配筋状態で金属製の止水板をコンクリートの打ち継ぎする場所に設置します。金属製の止水板が基礎となるコンクリートの表面から垂直方向に突出しており、次に打設されるコンクリートの内部にも入り込みます。そのため、両者の継ぎ目に水が入り込もうとしても、この止水板により防止されます。

2. 建築物などの浸水対策に使用される止水板

建築物などの浸水対策に使用される止水板は、建築物の入り口などに配置して浸水を防ぐものです。そのため、軽量で頑丈なアルミ板などが使用されています。

止水板の種類

ここでは、建築物などの浸水対策に使用される止水板の種類について解説します。主な種類は扉方式、電動式、手動式、スライド式、スイング式、脱着式などです。

1. 扉方式

名前の通り、止水板の形状が扉の形のタイプです。

2. 電動式

平常時は建築物内などに収納されており、稼働時に電気的に止水板を稼働させ止水可能な状態にします。

3. 手動式

手動式は、電動式と形状は同様ですが、設置動作を手操作で行うタイプです。

4. スライド式

スライド式は止水板が横方向に移動し、スイング式は垂直方向に回転軸を持っており、回動して止水板が所定の位置に移動します。

5. 着脱式

脱着式は必要な時のみ取り出して設置するタイプです。収納スペースが必要ですが、低コストでメンテナンスがほぼ不要であるなどのメリットがあります。

止水板のその他情報

止水板の活用

近年、台風や集中豪雨などの突発的な災害で住宅などの浸水が頻発しています。このような状況を踏まえ、自治体などを中心に家庭で行える浸水対策に関する情報が発信されており、家庭用止水板が注目されています。家庭用止水板としてテーブルなどの長い板状の家具を用い、家屋や建屋の出入口に設置し、固定する方法が有効です。

この場合、設置する板の幅は出入口の横幅全体を覆うものを用意する必要があり、設置する板の高さはひざ下程度を目安として適宜調整します。設置する板が動かないように、しっかりと固定することが重要です。固定する手段としては、水のうや、ブロック、ポリタンク、脚立などがあります。また、板と固定部材をブルーシートでくるんだ状態として、これ全体を止水板として使用すれば、止水性の向上が可能です。

その他、家庭でも使用できるさまざまな止水板が各メーカーから販売されています。市販されている止水板は、取り付ける場所に応じて様々な形状のものがあります。例えば、家屋のサッシ枠などに対して簡単に取り付けられる構造を有しているものもあり、短時間での取り付け作業が可能です。

参考文献
http://www.fuji4186.co.jp/
https://www.monotaro.com/k/store/%E6%AD%A2%E6%B0%B4%E6%9D%90/
https://www.dainichikasei.co.jp/notice/ssf.html
https://www.monotaro.com/
https://www.sanwa-ss.co.jp/digital_catalog/pdf/s_100.pdf
http://www.kyokujitsu-group.com/merit.html
https://naruphalt.com/products/uchitsugi/images/kiso_pamphlet.pdf
https://www.dainichikasei.co.jp/notice/ws.html
http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/bosai/page-c_02782.html
http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/
https://www.asahi-souken.com/shisuiban

止水材

止水材とは

止水材とは、水の侵入や流出を防ぐための各種シール材や塗料、専用のセメント、資材などのことです。

建築・土木分野において、コンクリートには打ち継ぎや、硬化時の収縮などの原因により微細な間隙が発生します。止水材を用いることにより、こうした間隙からの水の侵入を防ぐことが可能です。また、橋梁の伸縮装置などにも漏水を防ぐためのシール材や樹脂をはじめとする資材が使われており、こうしたものも止水材に分類されています。

一方、洪水などから家屋等を防ぐための建材には、止水板があります。止水板は設置する場所や、その規模に応じて様々なタイプが用意されています。

止水材の使用用途

コンクリート用の止水材は、コンクリート構造体の漏水箇所を止水するため、広く用いられています。具体的な用途には下記が挙げられます。

  • 地下室・地下道・地下鉄・地下街などの地下施設
  • シールド工事
  • 上下水道
  • 貯水池
  • プール
  • トンネルにおけるクラック (湧水対策)

上記用途における目的としては、次のような例が挙げられます。

  • 電線管路口、配管廻りやダクト廻りの隙間
  • ハンドホール内や地下ピット内
  • スリーブ廻りの隙間
  • ベルマウス廻りの水漏れ対策
  • 電気BOX内の封止・結露対策
  • エレベーターピット廻りの漏水対策
  • 防波堤護岸やその他諸工事の際における湧水箇所の止水

水力発電所ダム通水管などにも用いられている部材です。

止水材の原理

1. 概要

止水剤には、様々な物質が使用されており、モルタル系物質や、ポリウレタン・ポリオレフィンなどの合成樹脂、ベントナイトを使用したものなどがあります。硬化成分以外では、有機溶媒を含まない水性タイプのものや、鉄筋・鉄骨等の腐食を防ぐアルカリ性タイプのものなど、組成は製品によって様々です。

モルタルのように短時間で硬化して水の侵入を防ぐものや、樹脂成分のように水と反応して膨潤することによって止水効果を発揮する物質などがあります。

2. 主要な止水機構

親水性ウレタン樹脂を主成分とする止水材では、 水と接触するとすぐに反応して最大20%膨潤し、ポリマーゲルを形成します。このポリマーゲルは、弾性に富んだ強靭な優れた止水性・防水性を発揮します。間隙に充填して使用する液状のシール材のほか、橋梁の伸縮装置などで使用される乾式止水材があります。

ベントナイトは、粘土鉱物であるモンモリロナイトを主成分とする岩石ですが、水との接触による膨潤性が高い物質です。ベントナイトを主成分とする止水材は、固体形状をしており、コンクリート打ち継ぎ部に施工すると、細かな隙間を塞ぎ、その目詰め効果により止水効果を発揮します。コンクリートの侵入水と接触すると膨潤しますが、水との接触による膨潤と乾燥は繰り返されるため、半永久的な止水効果が保たれます。

止水材の種類

1. 概要

前述の通り、止水材には、液状のシール材や乾式止水材、ベントナイト系止水材、モルタル系止水材などの種類があります。

止水モルタルは、コンクリートやモルタルなどのひび割れ、水漏れに使用されますが、急結硬化により60秒から120秒ですばやく固まるものが多いです。作業時間は30秒ほどで行う必要があります。防水性・耐水性に優れており、鉄筋など金属が腐食しないという特徴があります。

2. 伸縮装置で使用される止水材

乾式止水材は、橋梁などの伸縮装置で使用される固形の止水材の一種です。いくつかの層で構成されており、収縮性の高い発泡ウレタンなどを使うことで、伸縮しても高い止水性を保つことができます。

また、桁下に水が漏れないようにするため、伸縮装置の下にさらに二次止水材が使用される場合もあります。

ジェラフィンと呼ばれる素材も近年使用されている止水材です。別名では耐圧防水樹脂と呼ばれており、主剤と硬化剤の2種類の液体を混合させて使用するウレタン樹脂です。防水性だけでなく、耐圧性や防湿性、防塵性・防蝕性などに優れる素材と言われています。

参考文献
http://www.fuji4186.co.jp/products/disaster_plate/?yclid=YSS.1000816336.EAIaIQobChMIxouC-vqN7gIVkNeWCh0UKwCwEAAYASAAEgKRffD_BwE
https://www.monotaro.com/k/store/%E6%AD%A2%E6%B0%B4%E6%9D%90/
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https://www.sanwa-ss.co.jp/digital_catalog/pdf/s_100.pdf
http://www.kyokujitsu-group.com/merit.html

横フライス盤

横フライス盤とは横フライス盤

フライス盤とは、フライスという刃物を主軸に設置し、回転させて機械に固定した対象物に加工を施す機械のことです。

地面と横向きに主軸が取り付けられたフライス盤のことを横フライス盤や横形フライス盤といいます。主軸の取り付けられた方向だけでなく、テーブルを動かすか、主軸を動かすかなどの操作の違いによってさらに分類することができます。

一般的に多くの場合が立フライス盤ですが、横フライス盤は溝や穴を削る、切断などの加工に適しており他のフライス盤ではできない側面の加工をすることができます。

主軸に取り付けて用いる切削工具にはJIS規格で定められたボアとシャンクに大別することができ、切削の刃を変えることでフライス盤で行うことが加工の種類が変わります。

横フライス盤の使用用途

ボアタイプは円盤の形をしていて円周上に刃がついてる工具で、横フライス盤では平フライスや側フライスや角フライスなどを使用しますが、横フライスでの平面加工は効率が良くないので平面加工をする平フライスはあまり用いられません。

側フライスは、溝や段を削ったりや側面を加工することができるので横フライス盤でよく使用されています。両側面に施された均一な切削刃の形状を変えることで加工を変化させることができます。

角フライスは、円周上の切削刃に角度が施してあり2か所で同時に切削を行うことでv字などの溝を加工することができます。

シャンクタイプは、エンドミルなどの棒状の工具で先端についている切刃で穴や溝の削り加工を行います。

横フライス盤の原理

フライス盤は、対象物を機械に固定し地面と水平に設置されている主軸にフライスと呼ばれる刃物を加工に合わせて取り付け、主軸を旋盤とは反対の向きに刃物を高速に回転させて加工します。

フライス盤による加工は、基準を面に取っており刃物を対象物に少し接触させて少し削れた部分をゼロ点とし、面全体を削って加工をしています。

横フライス盤は、立フライス盤と構造が異なり主軸を地面に対して横向きにして力の伝わり方や方向を変化させ、立フライス盤ではできない深さのある穴の加工に加え、横フライス盤のみが側面加工をすることができます。

また、横フライス盤から派生した横型マシニングセンタだと、NC制御によりテーブルが360°回転するマシニングセンタもあり、テーブルが回転することで4面加工が可能です。

そのため縦フライス盤では裏面を加工する時に一度加工物を脱着する必要がありますが、横型マシニングセンタを用いれば脱着せずに裏面加工ができるのがメリットです。

横フライス盤のその他の情報

1. 横フライス盤の特徴

横フライス盤は主軸が加工物に対して水平方向に加工していくため、加工している際に放出される切り屑が加工物や固定している治具に溜まりにくいといった特徴があります。

加工物に切り屑が溜まりすぎると視認性の低下、治具や加工物への傷、刃物の破損、構成刃先の発生といった様々なデメリットが発生するので定期的に掃除をしたりブロワーで飛ばす必要があります。

横フライス盤では切り屑が溜まりにくい特徴を活かし、金型の型彫り加工といった比較的長時間にわたり加工し続ける用途に使われます。

自動パレット交換機能を用いることで段取り替えをすることなく連続で無人稼働が可能となっています。

2. 横フライス盤の注意点

縦フライス盤の取り扱いに慣れているとX/Yの方向が混乱する状況が発生しやすいため、ハンドルを操作してX/Y方向の確認をしながら作業すると事故防止に繋がります。

また、水平方向に刃物を取り付ける性質から、ホルダーの長い重量のある刃物を取り付けると重力に負けてたわんでしまうため精度と剛性が落ちます。そのため、縦フライス盤よりもホルダーの長さはできるだけ短く刃物をチャッキングする必要があります。

横型特有の弱点として主軸から噴出されるクーラントが重力で刃先に届きにくい点も注意してクーラントの向きや圧力を調整する必要があります。

参考文献
https://www.kousakukikai.tech/milling/
https://www.furaisuban.com/info_06.html
https://www.furaisuban.com/info_01_2.html#2
http://kousyoudesignco.dip.jp/meel4.html