自記圧力計とは
自記圧力計は、配管中を通過する気体や液体の圧力を測定し、そのデータを記録する装置です。
これにより、現在の圧力の絶対値を把握するだけでなく、時間の経過に伴う圧力の変化を追跡し、配管の漏れやその他の異常を検知するのに使用されます。圧力を測定する装置にはマノメータもありますが、マノメータは主に二点間の圧力差を測るために使用され、その特性からクリーンルームや空調システムの性能測定に適しています。
一方で、自記圧力計は圧力の絶対値を連続的に記録することができるため、配管システムの監視や異常検出に特に有効です。このように、自記圧力計は配管等のシステムの健全性を維持するための重要なツールとして利用されています。
自記圧力計の使用用途
自記圧力計は、特に配管の気密試験において広く使用されています。この用途では、圧力発生器具と自記圧力計を検査対象の配管に接続し、所定の圧力の供給が可能です。記録された圧力値が一定時間内に所定の範囲を保持し続ける場合、気体や液体の漏れがないと判断し、その配管は合格とされます。
圧力の記録は、温度変化などの外部要因の影響を受ける可能性があるため、補正が必要です。最近では、温度補正機能を備えたデジタル方式の自記圧力計が主流となっており、これによりより正確な測定結果が出力されるようになっています。
このような進化により、自記圧力計はより信頼性の高い試験結果を提供し、さまざまな産業での安全と効率を確保する重要なツールとして機能しています。
自記圧力計の原理
自記圧力計には、主に機械式と電気式ダイヤフラム式の二種類が存在します。
1. 機械式
機械式自記圧力計は、ブルドン管やチャンバーベローズといった弾性体を利用して圧力の検出が可能です。これらの弾性体は配管に接続され、流体の圧力によって変形します。この変形は、装置内部の水晶時計を回転させ、ペンアームを動かして圧力の時間変化を記録するメカニズムに変換されます。
2. 電気式ダイヤフラム式
電気式ダイヤフラム式自記圧力計では、固定されたダイヤフラムが配管に接続されており、かかる圧力によるダイヤフラムの歪みを検出して記録します。この歪みは非常に微細なため、静電容量の変化として測定されます。
具体的には、ダイヤフラム上に設置された移動電極と測定電極間の静電容量の変化を測定し、参照電極と比較して電気信号を増幅することにより、圧力の変化をより明確に記録します。装置の検出部を大気に開放すればゲージ圧を、真空に保つことで圧力の絶対値を記録することが可能です。
自記圧力計の選び方
自記圧力計を選ぶ際には、用途に合わせて適切なタイプと仕様を選定することが重要です。選定においては、次の点を考慮します。
1. 圧力の範囲
計測したい圧力の範囲を考慮し、使用する圧力計が測定範囲内で正確な読み取りを提供できるかどうかを確認する必要があります。また、圧力のタイプ (絶対圧、ゲージ圧、差圧) に応じて適切なモデルを選ぶことも大切です。
2. 計測環境の条件
例えば、極端な温度や腐食性ガスが存在する計測環境では、それに耐える材質や保護機能を備えた圧力計をびます。また、設置スペースの制約や、設置や保守の容易さも選定の際に考慮すべき要素です。
3. 精度と解像度
使用する圧力計の精度が高いほど、微小な圧力変化も正確に検出できるため、精密な測定が求められる用途では特に高精度のモデルが必要になります。また、データの記録や出力形式についても、必要なデータ解析やシステムとの互換性を考慮する必要があります。
4. 情報処理方式
デジタル式は読み取りが容易でデータ処理が自動化されていることが多く、リモートでの監視やデータ転送が容易になります。一方、アナログ式は電源が不要であり、シンプルな構造でコストが低い場合が多いです。
参考文献
https://www.measuring.jp/sou/sou06#
https://www.m-system.co.jp/rensai/pdf/r0210.pdf