横フライス盤とは
フライス盤とは、フライスという刃物を主軸に設置し、回転させて機械に固定した対象物に加工を施す機械のことです。
地面と横向きに主軸が取り付けられたフライス盤のことを横フライス盤や横形フライス盤といいます。主軸の取り付けられた方向だけでなく、テーブルを動かすか、主軸を動かすかなどの操作の違いによってさらに分類することができます。
一般的に多くの場合が立フライス盤ですが、横フライス盤は溝や穴を削る、切断などの加工に適しており他のフライス盤ではできない側面の加工をすることができます。
主軸に取り付けて用いる切削工具にはJIS規格で定められたボアとシャンクに大別することができ、切削の刃を変えることでフライス盤で行うことが加工の種類が変わります。
横フライス盤の使用用途
ボアタイプは円盤の形をしていて円周上に刃がついてる工具で、横フライス盤では平フライスや側フライスや角フライスなどを使用しますが、横フライスでの平面加工は効率が良くないので平面加工をする平フライスはあまり用いられません。
側フライスは、溝や段を削ったりや側面を加工することができるので横フライス盤でよく使用されています。両側面に施された均一な切削刃の形状を変えることで加工を変化させることができます。
角フライスは、円周上の切削刃に角度が施してあり2か所で同時に切削を行うことでv字などの溝を加工することができます。
シャンクタイプは、エンドミルなどの棒状の工具で先端についている切刃で穴や溝の削り加工を行います。
横フライス盤の原理
フライス盤は、対象物を機械に固定し地面と水平に設置されている主軸にフライスと呼ばれる刃物を加工に合わせて取り付け、主軸を旋盤とは反対の向きに刃物を高速に回転させて加工します。
フライス盤による加工は、基準を面に取っており刃物を対象物に少し接触させて少し削れた部分をゼロ点とし、面全体を削って加工をしています。
横フライス盤は、立フライス盤と構造が異なり主軸を地面に対して横向きにして力の伝わり方や方向を変化させ、立フライス盤ではできない深さのある穴の加工に加え、横フライス盤のみが側面加工をすることができます。
また、横フライス盤から派生した横型マシニングセンタだと、NC制御によりテーブルが360°回転するマシニングセンタもあり、テーブルが回転することで4面加工が可能です。
そのため縦フライス盤では裏面を加工する時に一度加工物を脱着する必要がありますが、横型マシニングセンタを用いれば脱着せずに裏面加工ができるのがメリットです。
横フライス盤のその他の情報
1. 横フライス盤の特徴
横フライス盤は主軸が加工物に対して水平方向に加工していくため、加工している際に放出される切り屑が加工物や固定している治具に溜まりにくいといった特徴があります。
加工物に切り屑が溜まりすぎると視認性の低下、治具や加工物への傷、刃物の破損、構成刃先の発生といった様々なデメリットが発生するので定期的に掃除をしたりブロワーで飛ばす必要があります。
横フライス盤では切り屑が溜まりにくい特徴を活かし、金型の型彫り加工といった比較的長時間にわたり加工し続ける用途に使われます。
自動パレット交換機能を用いることで段取り替えをすることなく連続で無人稼働が可能となっています。
2. 横フライス盤の注意点
縦フライス盤の取り扱いに慣れているとX/Yの方向が混乱する状況が発生しやすいため、ハンドルを操作してX/Y方向の確認をしながら作業すると事故防止に繋がります。
また、水平方向に刃物を取り付ける性質から、ホルダーの長い重量のある刃物を取り付けると重力に負けてたわんでしまうため精度と剛性が落ちます。そのため、縦フライス盤よりもホルダーの長さはできるだけ短く刃物をチャッキングする必要があります。
横型特有の弱点として主軸から噴出されるクーラントが重力で刃先に届きにくい点も注意してクーラントの向きや圧力を調整する必要があります。
参考文献
https://www.kousakukikai.tech/milling/
https://www.furaisuban.com/info_06.html
https://www.furaisuban.com/info_01_2.html#2
http://kousyoudesignco.dip.jp/meel4.html