RDX

RDXとは

RDX (Removable Disk Exchange) とは、取り外し可能なディスクを使用するデータバックアップシステムです。

RDXは、テープ型とディスク型の利点を併せ持っています。小型・軽量でありながら、非常に頑丈で高さ1mから落としても大丈夫なくらい物理的な衝撃に強いことが特徴です。

RDXカートリッジを専用ドライブに挿入し、USBケーブルでパソコンに接続することで、データを転送することができます。このため、外付けディスクに似た感覚での利用が可能です。

さらに、RDXはオフラインで持ち運んだり、外部で保管したりすることができるため、重要なデータをネットワーク経由でのコンピュータウイルスの攻撃から保護する役割もあります。

RDXの使用用途

RDXの主な使用用途は、中小企業やSOHO (Small Office, Home Office) におけるシステムやデータのバックアップです。中小企業や個人事業主の場合、専門の知識を持ったエンジニアがいないケースも多く、テープによるバックアップは取り扱いが難しいです。

RDXであれば比較的取り扱いが簡単なため、専門的な知識がなくても重要なデータを頑丈なRDXカートリッジにバックアップすることが可能です。また、RDXはデータの移行や転送にも有用です。

例えば、旧式のシステムから新しいシステムにデータを移行する場合には、RDXを使用してデータを取り込むことができます。また、多数の場所に分散して保存されたデータをまとめるためにもRDXを使用します。

さらに、RDXはオフサイトでのデータ保管にも適しています。データをRDXカートリッジに保存し、オフサイトの保管場所に移動することで、自然災害やデータ漏洩などのリスクからデータを守ることが可能です。

RDXの原理

RDXは、SATAもしくはUSB3.0のインターフェースを持つドライブと着脱可能なカートリッジから構成されています。カートリッジは、ハードディスクドライブもしくはSSDを内蔵し物理的な衝撃を吸収する緩衝剤を装備しています。

システムやデータをカートリッジ内のハードディスクドライブもしくはSSDへコピーすることでバックアップが可能です。バックアップ後に取り外して安全な場所に保管することで、コンピュータウイルスからの攻撃を防御できます。

また、大きなサイズのデータをバックアップする場合は、複数のカートリッジを使って対応します。

RDXの種類

1. 外付け型RDX単体ドライブ

USB3.0のインターフェースを持ち、1個のRDXカートリッジを挿入することができます。コンピュータからは外付けディスクとして取り扱うことができるので、さまざまなバックアップソフトウェアの利用が可能です。

2. 内蔵型RDX単体ドライブ

パソコンの5インチベイもしくは5.25インチベイに取り付けることができます。接続インターフェースには、USB3.0とSATAの2つのモデルが存在します。通常の内蔵ディスクとして取り扱うことができます。

3. ラックマウント型

複数のRDXカートリッジを一度に装着可能で、ラックマウントできるタイプです。コンピュータとは、10Gbネットワークで接続されます。主にサーバ向けの製品です。

RDXのその他情報

データのバックアップ方法

コンピュータのデータをバックアップする方法には、テープ型とディスク型の2つの大きな種類があります。

1. テープ型
テープ型は、カートリッジが丈夫でコストが低いという利点がありますが、順次アクセスしかできません。そのため、任意のデータを取り出すことができず、データの転送速度も遅くなります。また、テープからコンピュータに転送するのが面倒なことも欠点です。

2. ディスク型
ディスク型は、ランダムアクセスが可能な上、任意データを取り出すことができます。データの転送速度も速く、転送手順も簡単なことが利点ですが、衝撃に弱いという欠点があります。

これらの欠点を補うバックアップ方法が、RDXによるバックアップです。RDXのカートリッジには小型のHDD (ハードディスクドライブ) が内蔵されており、衝撃吸収材で覆うことで、衝撃からHDDを守ることができます。

RDXは一般的な外付けHDDと同じように利用できるため、衝撃に弱いというディスク型の欠点を補いつつ、HDDの長所を活かすことが可能です。

バッテリーコネクタ

バッテリーコネクタとはバッテリーコネクタ

バッテリーコネクタとは、バッテリーと電子製品の接続の際に使用される相互接続デバイスです。

携帯電話・コンピュータ・医療機器などの携帯型電子製品に使用されているため、小型化が進んでいます。電圧ごとに色や形状を変えたものを組み付けることで、誤組付けを防止することが可能です。

バッテリーへの使用に適していますが、スライド式または圧縮式モジュールの接続など電池関連以外にも多種多様な用途に使用されています。

バッテリーコネクタの使用用途

大電流の高負荷に耐え、保守が不要なコネクタであるため電気自動車、潜水艦、モータースポーツ分野で使用されています。組付けを外すだけで安全にメンテナンス・確認が可能です。

シンプルな構造であることから信頼性が高いため、医療機器や輸送機器に使用されています。リチウムイオンバッテリーから単位面積に対する電力容量が大きく、形状の自由度が高いリチウムポリマーバッテリーの技術が進歩しているのに伴い、バッテリーの薄型・小型化が進んでいます。

バッテリーコネクタの原理

1. バッテリーコネクタの端子

バッテリーコネクタは、バッテリーのプラス及び-端子のどちらにも対応するように設計されています。コネクタを電圧ごとに色分けすることで同じ色と組み付ける、または狙い通りの組み合わせではない場合は組み付かないように形状を変えることで誤配線を防ぎます。

シンプルな構造であるため設計の柔軟性が高く、極数・動作高・端子ピッチによってサイズ変更が容易です。また、エンドツーエンドスタックとコンタクトには様々な金属が使用されているため、高サイクル寿命を実現します。

2. ピンの役割

バッテリーパックとの接続の際は、システムとバッテリーパックの間にパワーの入出力フローが必要です。入出力フローをバッテリーコネクタのピンが担っています。

例えば、8ポジションコネクタを使用する場合、システムからバッテリーパックへのパワーフロー用に3つのピンと、バッテリーパックからシステムへのパワーフロー用に別の3ピンを使用します。

バッテリーコネクタの選び方

バッテリーとの接続方式には、リーフタイプ・ポゴピンタイプ・プラグインタイプなど、用途に合わせて適した方式を選択します。携帯電話など薄型バッテリーには、リーフタイプが適しています。

ヘッダの種類として、キーレス取り付けまたは左側/右側キーイング構成の垂直あるいは水平マウント用のヘッダもあります。そのため、0° ~ 90°の角度範囲での組付け・取り外しにも対応しており、バッテリーパックとシステムとの位置関係に合わせたバッテリーコネクタの選定が可能です。

バッテリーコネクタのその他情報

1. 定格電流

バッテリーコネクタの最大電流容量は、ピンあたりの最大電流に端子数を乗算するわけではなく、単一端子を使用した場合の容量が最大電流容量と定義されます。そのため、パワーの伝送で多数端子を使用した場合、個々の端子の最大電流容量は減少します。

2. 設計時の注意点

製品属性を理解することで、目的の用途に対する最良の製品を選択できます。重要な物理属性としてはポジション数、コネクタタイプ、マウント角度等が挙げられます。

システムとバッテリーパックの間で必要な合計電流や耐久性篏合サイクル、動作温度などを確認しておくことも重要です。

3. バッテリーコネクタの互換性

バッテリーコネクタはソケットとプラグの差がなく、同一形状であることから保管も容易です。充電器やDC / DCコンバータなど、50A以下の比較的大きな電流が流れるケーブル用のコネクタであるコネクタのことをアンダーソンコネクタと呼びます。

バッテリーコネクタはアンダーソンコネクタとの互換性もあり、組付け、取り外しが容易です。

参考文献
https://www.solton.co.jp/catalog/pdf/MC_Applications-B%20BCC.pdf
https://jp.rs-online.com/web/c/connectors/mains-dc-power-connectors/battery-connectors/
https://www.smk.co.jp/products/subindex/Battery_Connectors/?seni=bun

エアノズル

エアノズルとは

エアノズル

エアノズル (Air nozzle) とは、圧空配管の先端に取り付けるノズルのことです。

気体の流れる方向、量、強さを定めて圧縮空気を噴射したり供給したりする時に用います。ノズルから噴射される形状は用途によって異なるため注意が必要です。

使用圧力が変わると、流量やスプレー角も変わってくるため、ノズル毎に標準使用圧力や適正圧力が定められています。この圧力に従う流量やスプレー角がカタログ値として提示されています。

エアノズルの使用用途

エアノズルは清掃作業時間を短縮するために、油、水滴、切粉などを除去したり、加熱物の表面に温度を調節した空気を供給することによる加熱、冷却、乾燥などをしたりする際に使用されます。

産業分野では、洗浄、加熱、冷却などを目的として、量産機器に組み込んだり、ベルトコンベア上に設置したりすることも多いです。その他、試験場や食品工場など、クリーンルームの入口に設置されているエアーカーテンやエアーシャワーにも付いています。

エアノズルの原理

エアノズルの種類と特徴

エアノズルの原理は単純です。圧空配管の先端に取り付けることで圧空の流れる方向を規定し、外気とのせん断による損失を防ぐことで、圧縮空気のエネルギーを無駄にせず対象物に噴射できるようにしています。

また、エアノズルの中には、高速で噴射される圧縮空気に巻き込まれる外気や、ベルヌーイの定理により圧力が下がることを利用する製品もあります。その他、外気を引き込み、流量を増加させることを狙ったものなど、種類は多いです。

エアノズルの選び方

エアノズルの選定手順

エアノズルの選定は、大きく分けて3つのステップに分けられます。

1. 距離・幅・長さの確認

まずは、空気を吹き付ける際に必要な距離、幅、長さを実験して確かめる必要があります。当然ながら、遠距離で広い幅で強く吹き付けるほど、必要な圧力や空気量は大きくなります。

これらの値はエアノズルのカタログスペックとして記載されているため、その値からエアノズルを選択することが可能です。

2. 配管・空圧回路の確認

次に、エアノズルを設置することになる配管・空圧回路をチェックします。ポンプからエアノズルまでの配管長が長かったり、折れ曲がる箇所や分岐箇所が多かったり、配管の太さが変わったりすると、末端部の圧力も変わるため注意が必要です。

配管計画に従って使用圧力を予測し、必要な流量を供給できるポンプ、コンプレッサ、配管、エアノズルかどうかを確認すします。エアノズルのスペックは満たしていても、それを十分に発揮できる配管・空圧回路でなければ、性能を発揮することはできません。

3. 圧力・流量の予測

圧力は、配管のノズル取り付け部を基準に定められています。そのため、使用圧力を測定する場合は、エアノズルに近い位置の圧力を参考にします。

流量は、JIS B 0100において単位時間に流れる流体の体積または質量と定義されており、単位はSI単位系でl/minです。2箇所の流量をQ1とQ2、その圧力をP1とP2とすると、その関係式は下記のようになります。

Q1:Q2=√P1:√P2

つまり、圧力が高まるほど流量も増加するということです。 そのため、使用目的に応じて必要な流量をあらかじめ予測することが可能で、その予測からエアーノズルの数や先端形状を選定することができます。ただし、上記の式では、空気の圧縮性や粘性を考慮していないので、注意が必要です。

エアノズルのその他情報

エアノズルの選定でこだわりたい場合

エアノズルを選定する際に、さらにこだわりたい人はエアノズルの使用流量の最小化を目指します。圧縮空気は決して費用の安いものではなく、大きな電気コストがかかっています。エアノズル内でできるだけ損失が少ないような構造のものを使用することで使用流量を節約することが可能です。

圧縮空気のコスト

さらに、乱流による損失が減少することで、騒音も低減します。必要な打力や流量などを満足しつつ、各社の提供しているエアノズルの性能を細かくチェックすることで、より最適なノズルを選択できます。

参考文献

https://www.keyence.co.jp/ss/products/process/flowmeter/technique/pressureloss.jsp
http://kikakurui.com/b0/B0100-2013-01.html
https://www.kirinoikeuchi.co.jp/download/file/catalog/700c.pdf

チューブマーカー

チューブマーカーとは

チューブマーカーとは、ケーブル、電線、チューブなどに線番などを印字することができるプリンターです。

チューブプリンター、マークプリンター、ケーブルIDプリンターなどの別名があります。電気配線やエアー配管には、線番などを印字したマークチューブをつける必要があり、チューブマーカーはその印字のために使用される機械です。マークチューブ・電線・ケーブルへの印字の他、テープ・ラベルへの印字が可能なものもあります。

チューブマーカーの使用用途

チューブマーカーは、配線ミスを防いだり、保守作業を容易にしたりする目的で使用されます。主には、

  • 電気設備
  • 制御盤・配電盤 (発電設備、送電設備、産業用ロボット、工作機械、鉄道、航空機、船舶、家電)
  • コントロールボックス (モーターやアクチュエーター等のハーネスや、自動車、オートバイ)
  • LAN配線
  • 計装・プラント工事

のような分野で使用されています。チューブマーカーの用途は、これらの分野において、端子台などに接続される電線の線番や記号をチューブやラベルに印字することです。チューブマーカーで印字された認識番号は視認性が良く、回路を整理整頓することができます。図面と対応させて一本一本の電線がどこと接続されているのかを明示することで、端子台・回路全体の見通しが良くなり、保守点検や確認作業が効率化されます。

電線の他、エアーチューブ・油圧配管などの認識番号の印字に用いられることがあります。

チューブマーカーの原理

1. 基本的な印字機能

一般的なチューブマーカーは、据え置き型と、持ち運びのできるポータブルタイプに二分されます。ポータブルタイプはちょうどテプラのような、キーボードタイプのラベルライターに類似した形状です。

印字方式には、熱転写方式が用いられ、サーマルヘッド方式やホットスタンプ方式などが中心です。解像度は300dpi程度の製品が多く、PVCチューブ及び熱収縮チューブなどへの印字に対応しています。製品にもよりますが、マークチューブは様々な太さがあることから、チューブマーカーも内径Φ1.5 mm~Φ10 mmなどの幅広い太さに対応していることが多いです。製品によっては、チューブ以外に、ラベルテープや端子記銘板などへの印字が可能です。数字とアルファベットのみの印字の機種もありますが、近年ではJIS第1水準、JIS第2水準の文字種に対応している機種もあります。

2. その他付随機能

チューブウォーマーが内蔵されている機種では、冬場の低温下のマーキング作業でもチューブを温めることでチューブの硬化を防ぎ、綺麗な印字を保つことができます。可動式の自動チューブ送り・切断ユニットが組み込まれているケースが多いです。

また、USBメモリを外部記憶媒体に採用している機種では、データの取り込みや外部保存を容易に行うことが可能です。PCでのデータ作成に対応している機種もあります。動作の環境条件としては最低温度が5℃〜15℃、最高温度35℃程度である商品が多いです。また、大型のバックライトディスプレイが搭載されているものも多く、見やすさも増しています。

チューブマーカーの種類

チューブマーカーには、前述の通り据え置き型とポータブル型があります。通常、据え置き型が重量10kg以上、ポータブル型は重量約3kgです。ACアダプタの他、ポータブル型は単3形などの充電池などを使用することができます。機能面では、マークチューブのみに印字が可能なチューブ印字専用機種と、前述の通りラベルなどの作製も可能な多機能機種とがあるため、注意が必要です。印字フォントなども機種によって異なっており、選定の際に確認しておくと良いと考えられます。

製品によってはインターフェイス接続で、電線加工機と連動が可能なものもあります。用途や目的に合わせて適切なものを選定することが必要です。

参考文献

https://denki-tool.com

チューブヒーター

チューブヒーターとは

チューブヒーターとはシリコンゴムチューブ、フッ素樹脂チューブにシリコンラバーヒーターを巻き付けたヒーターのことです。

シリコンラバーヒーターの応用製品として発明されました。柔軟性に長けており、配管に使用すれば液体や気体を保温することが期待されます。シリコンラバーヒーターとは柔軟性の面で難のあった金属ヒーターに代わる面状発熱体のことです。従来の面上発熱体はカーボンが主に使用されているのに対し、シリコンラバーヒーターはニッケル合金抵抗線をパターン化しており、需要に合わせて製作することができます。

チューブヒーターの使用用途

チューブヒーターの使用用途は文字通りチューブを温めることです。加熱するというよりは保温を目的とされています。

耐薬品性では鉱物油、水、塩酸、アンモニア水、ガソリン、有機溶剤には条件も関係してきますが、耐性があります。また使用上の注意もいくつかあります。

屋外の使用は劣化が進む為に避けなければなりません。180度以上の温度には耐性が弱いので、ヒーターは180度以下にして下さい。また上記以外の対薬品性は保証されていません。

チューブヒーターの原理

チューブヒーターの仕組みは上下2枚のシリコンゴムシートの間に抵抗エレメントを配置、内部エアーを取り除いた後に圧縮プレスをして薄いシート状に一体化した構造になっています。発熱線をシリコンゴムを挟む形になっています。ここで使われる発熱線は電気ストーブなどにもよく使われるニクロム線と呼ばれる耐久性の高い熱線となっています。この線に電圧をかけることでシート全体が熱くなるという仕組みになっています。

シートの耐熱温度自体は商品によるものの、180度前後でありますが、発熱温度は全くの別物です。 発熱温度はヒーターの面積×電力密度=W数 という計算式で求められ、W数と温度の関数グラフを見れば発熱温度が求められます。

温度調整は熱電対、白金抵抗体、サーミスタで行われ、ヒーター表面にサーモスタット温度センサーを組み込むことも可能で過加熱防止です。 過加熱を防止し、きちんと使用すれば柔軟性や耐薬品性があるため長寿命であるので便利な製品であります。

参考文献

https://www.hagitec.co.jp

パレタイザ

パレタイザとは

パレタイザ

パレタイザとは、出荷や保管のためパレット上に製品を載せる、パレタイズという作業を行うための機械です。

工場で商業用に製造された製品は、その後工場内や倉庫に保管されたり、取引先へ出荷されたりしますが、大量の製品を平面に置くためにはスペースの確保が必要となるため、縦積みによって、少ないスペースでも保管が可能になります。 しかし、単に積み上げるだけでは、下部の製品を取り出すのに上部の製品を一旦取り除く必要性が発生するため、手間が掛かります。

そこでパレットを使用することにより、高さを小分けにして縦積みすることが可能となり、効率の良い物流が実現できます。

パレタイザの使用用途

パレタイザは、様々な荷物をパレットへ載せるのに使用されます。 一般的なものとしては、各種製品が詰められた段ボールですが、その他にも袋詰めされた肥料や小麦粉、一斗缶、円筒型の缶など様々な形状のものがあります。

単品種のアイテムを大量に製造するラインでは、高速に対応する必要があるため、単純な機械式パレタイザが用いられますが、多品種を少量ずつ生産するラインでは、様々な形の製品の積みつけに対応する必要が出てくるため、ロボット式パレタイザを用います。

パレタイザの特徴

パレタイザは、その種類によって特徴や機構が異なります。機械式パレタイザは、先述のとおり、少ない品種の製品を高速で積みつける際に便利です。

ひたすら同じ操作を繰り返すため、高速稼働でも荷姿が美しいですが、レイアウトの自由性はロボット式と比較して劣ります。従ってアームの可動性も少なくて済むため、アームにはクランクアームを用いるものが存在します。その種類には、吸着式と低床落とし込み式などがあります。吸着式の場合、一点ないし二点で吸着させてパレタイズします。低床落とし込み式では、製品を落下させる心配無しに積み込み作業を行うことができます。

ロボット式パレタイザは、こちらも先述のとおり、荷物の荷姿等に合わせて積みつけを行うため、レイアウトの自由性は勝りますが、荷姿が整わないこともあります。プログラムを組んでアームの動きを制限する仕組みですが、人間と同じように可動域が決まっており、必要な場所以外で動いても安全に作業が出来るようにするため、アームの周辺は安全柵を設置して使われるケースが多いです。

参考文献

https://jutenki-sanmi.com/product/palaterizer/
https://recruit.fujiyusoki.co.jp/about/palletizer/
http://fujigiken.racms.jp/paretaiza/

ピンホール検査装置

ピンホール検査装置とはピンホール検査装置

ピンホール検査装置とは、プラスチックフィルムなどの包装材のピンホールの有無を調べる装置です。

ピンホールとは、包装材などにできた針で刺したくらいの微小な穴や、施工後の外壁などの塗面にできた気泡が潰れたようなごく小さい穴を指します。なお、今回は、包装材などにできるピンホールの有無を調べる当該装置を解説します。

この装置は非破壊状態で検査ができるため、再検査や不良発生の原因追求が容易になったり、製品に気泡がある場合も検査ができたりする点がメリットです。

ピンホール検査装置の使用用途

ピンホール検査装置は、私たちの生活に身近な製品を製造する際の品質検査に使用されています。例えば、食品では液体分を多く含むゼリーやプリン、豆腐などはプラスチックフィルムなどの包装材でくるまれて流通しています。ご飯パックやソーセージなど、固形分の多い食品も同様です。

これら液体を多く含む食品の包装材に微小な穴が存在すると、そこから液体が漏れ出し、品質を保証できません。また、固形物を多く含む製品であっても、包装材に微小な穴が存在すると、そこからカビの菌などが侵入し、品質を保証できません。

洗剤や歯磨き粉、シャンプーなどの生活用品や、医療現場で使用される血液や輸液のパック、目薬などもプラスチックフィルムなどの包装材でくるまれた製品です。これらの場合も、包装材に微小な穴が存在すると、品質を保証できません。そこで、これら包装材の微小な穴、ピンホールを検出する当該装置が使用され、品質検査が行われています。

ピンホール検査装置の原理

ピンホール検査装置の中で最もメジャーなものは、高電圧放電式です。この方式は、ある一定の距離を空けて電極を置いた回路に高電圧を発生させた際の、放電の発生の有無によりピンホールの有無を判別する仕組みです。

通常、離して置いた2個の電極間の空気は、両電極と接続する高電圧発生器の電圧を徐々に上げていくと破壊され、電気的な絶縁性を失う放電現象が発生します。包装材に使用されるプラスチック類は一般的に空気より高い絶縁性を持っており、空気が破壊されるよりも強い電圧 (絶縁耐圧) に耐えられます。

そのため、微小な穴が無い製品を電極間に通過させても放電現象は発生しません。しかし、ピンホールがある製品を電極間に通過させると、ピンホール部分は空気と同じ絶縁性しかないので、絶縁耐圧を与えると放電が発生します。

そこで、この際の電流の変化を検出器によって検知し、放電の有無からピンホールの有無を検出しています。

ピンホール検査装置のその他情報

1. 高電圧放電式以外のピンホール検査装置

高電圧による放電の有無で検査する高電圧放電式が最もメジャーな方式ですが、他にも色々な種類があります。そのため、検査する物の素材や特性に応じて種類の選択が可能です。高電圧放電式以外の検査装置および検査方法としては、主に以下のようなものがあります。

シート検査装置
ライン上に流れている紙やフィルムなどのシート状の試料のピンホールを、CCDカメラ  (ラインカメラ)  を用いて検査する装置です。CCDカメラの画像を解析すればピンホールの位置の検出も可能です。

超音波検査装置
検査対象の容器などに圧縮した空気をいれると、ピンホールがあった場合には空気が噴出し、超音波が生じます。この検査装置は、超音波による音調でピンホールを検出する仕組みです。

気密検査
検査対象の容器などに気体をいれ、水槽に沈めた時に水面に泡が出てくるかでピンホールを検出する「水没検査」と、ピンホールに反応して発泡する発泡液を用いて検出する「発泡検査」があります。

2. ピンホール検査装置の重要性

紙やフィルムなどのシート状の包装材に微小な穴、ピンホールができる主な原因は、出っ張りに引っかかる、輸送中の振動により摩擦を受けるなどの小さな衝撃です。微小な穴、ピンホールができた状態のまま放置しておくと、その穴から腐食が始まり物体の損傷に繋がります。

また、容器などの場合は、内容物が漏れ出てしまったり、逆に外から汚染物質などが容器などに入ってしまったり、内容物に影響を及ぼす可能性があります。そのため、わずかな微小な穴も検出する必要があり、ピンホール検査装置の役割は非常に重要です。

参考文献
http://www.sinko-denki.co.jp/products/pinhole.html
https://www.mutual.co.jp/product/leakpecio/
http://www.sanko-denshi.co.jp/pinhole/syo-sai2.html
http://www.sanko-shoji.jp/lecture/cn10/pg128397.html

https://commwave.co.jp/leak-tester-d-1.html
https://www.measuring.jp/scene/hihakai-kensa.html
https://www.fukuda-jp.com/msp/?utm_source=yahoo&utm_medium=cpc&utm_campaign=5-1bousui 

遠心分離機

遠心分離機とは

様々な実験用遠心分離機

図1. 様々な実験用遠心分離機

遠心分離機とは、比重の異なる混合物 (液体-液体、もしくは液体-固体) に遠心力を加えることで分離させる機械です。

混合物は比重差を利用して自然沈降させることもできますが (分液漏斗など) 、重力 (1G) を利用した分離となり、分離が完了するまでに時間がかかります。遠心分離機を利用すると、数千Gもの力をかけられるため、速く分離することが可能です。尚、数万G以上をかけられる遠心分離機は、特に超遠心機と呼ばれています。

遠心分離機の使用用途

遠心分離機は、大学や企業の研究室、医療機関、メーカーの製造現場など、様々な用途で用いられます。それぞれの分野において、用途・スケールに応じた製品が利用されています。

1. 研究室での使用用途

遠心分離機は生化学系の研究室などで多く使用されます。代表的な用途は、液体中に混合した細胞を回収する操作や、タンパク質やペプチドの分離・回収などです。

医薬品メーカーにおいては、比重の異なる混合液体を分離させる操作などに用いられます。品質管理室などで医薬品成分の分析を行う目的での使用などが多いです。いずれも実験用のものが用いられます。

2. 医療機関での使用用途

医療機関では、凝固検査や生化学検査などの血液検査の際に使用されています。抗凝固剤入りの採血管に採取した血液を遠心分離にかけると、血球成分が採血管の底に沈降するので上澄みとして血漿を採取することができます (凝固検査)。

また、抗凝固剤を含まない容器に採血して、血液を凝固させたのち、遠心分離を行うと、固形物 (血球成分と凝固成分) が沈降し、上澄みとして血清を採取することが可能です (生化学検査)。

3. 工業での使用用途

工業用途では、食品工場において砂糖の精製や、乳脂肪分の分離などに用いられたり、化学工場において樹脂の脱液、スラリーの分離、触媒の回収などに利用されています。また、下水処理、汚泥処理などの分野でも活用されています。これら産業分野で主に使用されている遠心分離機は、デカンタ型遠心分離機や円筒型遠心分離機です。

遠心分離機の原理

遠心沈降の模式図

図2. 遠心沈降の模式図

比重の異なる液体-固体、または、液体-液体の混合液体は、静置することによって重力を利用した分離が可能です (重力沈降)。しかし、重力沈降は1Gしか作用しないため、時間がかかります。

遠心分離機は、数千G程度の遠心力を加えることによって、重力沈降よりも速いスピードで物質を分離するを可能とした装置です。分離したい物質の回転軸からの距離と、回転速度によって遠心力の大きさは変わります。

1. 実験用遠心分離機

実験用遠心分離機は主に、試料容器を保持して回転する「ロータ」、回転軸の「ドライブシャフト」、ドライブシャフトと繋がっている「モータ」から構成されています。

試料容器は沈殿管と呼ばれ、試験管、スピッツ管、ディープウエルプレート、マイクロチューブなど、さまざまな形状の容器が使用されます。そのため、通常はロータ部の交換やアダプター交換により、さまざまな容器への対応が可能です。

実験用の遠心分離機を使用する際には、バランスをとったサンプルを、ロータの回転軸に対して対称に配置する必要があります。さらに、スウィングロータの場合には、バケット内の重心がスウィング軸上となるように、サンプルを配置することも必要です。

バランスが正しく取れていない場合、サンプルの適切な分離ができない場合があります。多くの遠心分離機では、インバランスを検出すると自動で停止する機能が備えられています。

2. 工業用遠心分離機

デカンタ型遠心分離機の概略図

図3. デカンタ型遠心分離機の概略図

実験用よりスケールが大きい工業用遠心分離機の1つにデカンタ型があります。デカンタ型遠心分離機は、ボウルを高速回転させることで分離を行う仕組みです。混合物はフィードパイプから入り、スクリューコンベアで運ばれる間に遠心力で脱水されます。固形物と液体はそれぞれケーシングによって集められ、機外に排出される仕組みです。

遠心分離機の種類

遠心分離機は用途によって分類することができます。

1. 実験用遠心分離機

実験用遠心分離機には、小型のものから大型のものまで各種の大きさがあり、卓上モデル、フロアモデルなどに分けることができます。沈殿管は、小さなものでは、容量2mL以下のマイクロチューブ類に対応しているものから、大きなものでは数百mLから1Lを超える容器に対応しているものまであります。

構造上、通常、一度に複数の試料を分離させることが可能です。また、生体サンプルを扱うことを考慮して、ロータと空気との摩擦による発熱を冷却する仕組みが付いている製品もあります (冷却遠心機) 。

2. 工業用遠心分離機

工業用遠心分離機は、遠心沈降機と遠心濾過機の2種類に分けられます。

  • 遠心沈降機
    回転体にフィルター及び液体の通過する孔がないタイプの遠心分離機です。回転体の壁面にそれぞれの層が形成され、排出することで分離液を回収します。
  • 遠心濾過機
    回転体に壁面に穴の開いたバスケットなどを用い、ろ過材 (布、金属フィルター) を取り付けておきます。沈降物がろ過材によってバスケット内に留まり、ろ過材の目よりも小さい水分がバスケットの穴から外へ排出されまるという仕組みです。

また、先に挙げたデカンタ型の他に、円筒型と呼ばれる種類もあります。用途・産業に合わせて様々な製品が用意されていることが特徴です。

参考文献
http://hiroshimamm-chemtech.com/hiroshimawp/wp-content/uploads/2018/04/%E9%81%A0%E5%BF%83%E5%88%86%E9%9B%A2%E6%A9%9F.pdf
https://www.tomo-e.co.jp/machinery/centrifuge/separation.html
https://www.beckman.jp/resources/fundamentals/principles-of-centrifugation
https://www.beckman.jp/resources/fundamentals/principles-of-centrifugation/dr-beckman/v32
https://www.kosei-hospital.kiryu.gunma.jp/cms/wp-content/uploads/2018/04/sonota20170701.pdf
http://www2.hosp.med.tottori-u.ac.jp/departments/establishment/inspection/biochemistry/specimen-type.html
http://www.jsac.or.jp/bunseki/pdf/bunseki2020/202001p02.pdf
https://www.beckman.jp/resources/fundamentals/principles-of-centrifugation/dr-beckman/v5

錠剤硬度計

錠剤硬度計とは錠剤硬度計

錠剤硬度計とは、医薬品などの錠剤の硬さを計測する道具のことです。

錠剤の硬度は、医薬品の物理的特性と相関関係があり、一般に硬度が高いと体内での溶解性が低いとされているため、当初の設計どおりの時間で薬剤が送達しない等の問題が生じる可能性もあります。一方で硬度が低い場合は、輸送中に錠剤が破砕されることがあり、製品の安定性や均一性が損なわれるだけでなく、物によっては成分が変化する可能性もあります。 したがって、錠剤の硬度を管理する必要が生じます。

その他、体内での溶解性が十分であるかを確認する試験には崩壊試験があり、こちらは日本薬局方に規定されています。 従来、錠剤の硬度が低いと崩壊性が高くなる傾向があるとされてきましたが、最近では硬度が低くとも崩壊性は高いという、口腔内速崩壊錠といった種類の錠剤も開発され販売されています。

錠剤硬度計の使用用途

錠剤硬度計は、医薬品を中心とした錠剤の研究開発・品質管理に用いられることが一般的です。 医薬品メーカーでは、医薬品の設計・改良段階において様々なアウトプット項目を確認する必要があります。ラボレベルの開発作業を経て、製造ラインにて製造工程の妥当性を評価するバリデーションの実施の際、品質に関係する項目を確認しますが、硬度の測定も確認項目の一つとなることがあり、錠剤硬度計などを用いて計測します。

設計段階で問題ないことを確認後、製造を開始しますが、日本薬局方で規定されていない硬度も管理項目として、決められた頻度で試験を行うメーカーも存在します。クレームが発生した際も、品質確認のため錠剤硬度計で硬度を測定することもあります。

錠剤硬度計の原理

錠剤硬度計は、基本的には錠剤を2枚の板に挟み、一方向より一定速度の力をかけて加圧し、錠剤が破壊する直前の力を計測する仕組みになっています。 この硬度を示す値には、錠剤の断面に破断が起こるbreaking strengthと、形状自体が破壊され構造を消失するcrushing strengthのいずれか、または両方が反映されたものとなっており、硬度計により異なります。

なお、測定結果に影響を与える要素がいくつかあります。 錠剤を挟む板である加圧板は、錠剤との接触面が摩擦のないよう滑らかである必要があり、また平行状態でなければいけません。 加圧する際の荷重負荷速度も、一定である必要があります。予測できない破砕が発生したり、急激に荷重がかかる可能性があるからです。 再現性のある結果を出すためには、錠剤の向きも一定でないといけません。例えば割線入り錠剤の場合ですと、割線の位置が加圧板と平行または垂直になるように置く必要があります。

錠剤硬度計は、錠剤保持部の構造や加圧版が移動する機構などの要素の違いによって、様々な種類のものが存在します。 比較的簡単な構造を持った手動式の錠剤硬度計としては、ばねとねじで圧力をかけるモンサント型、工具の一つであるプライヤ状のファイザー型、圧搾空気により荷重をかけるストロングコブ型などがあります。

参考文献

https://www.sanyo-si.com/products/detail/th3シリーズ/?taxo=principle&parent_id=347
https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000172069.pdf
https://www.pmda.go.jp/files/000229668.pdf

異物検査装置

異物検査装置とは

異物検査装置とは、食品や医薬品を製造する過程で混入する可能性のある各種異物の有無を、製造ライン上にて非破壊状態で調べる装置のことです。

食品や医薬品など、人の口に入るものに異物が含まれていると、ケガなどの健康被害を起こしかねません。最悪の場合、健康被害が発生すると会社自体が無くなってしまうリスクもあります。したがって、HACCPにおいても重点的に管理されるポイントの一つです。

種類としては、金属検出器やX線検出器などがあり、髪の毛などの有機物は、従来人が目視で有無を確認していましたが、最近ではそれらも判別出来る機械が開発されています。

異物検査装置の使用用途

異物検査装置は、食品・医薬品工場の製造ライン上で用いられます。 例えば野菜の加工品を製造する工場の場合ですと、原料の野菜を加工後、狭雑物の有無を確認するために、光学技術とディープランニング技術を使用した検査装置を通過させます。その後混合工程を経て、充填工程後に充填物を金属検出器やX線検出器に通過させ、殺菌、箱詰等の流れで製造します。

このように、一つの製品の製造工程だけでも数種類の異物検査装置が使用されていますが、製品によって含まれる異物の種類も異なるため、使用する装置の種類は異なります。

異物検査装置の原理

異物検査装置は、その種類の違いによって原理が異なります。 金属検出器の場合ですと、検査したい製品を通過させると、金属が混入していることで電磁波が変化する仕組みを利用します。

X線検出器だと、照射されたX線が検査対象を通過して、ライン上のセンサにて計測される際に、X線の透過量の違いによって画像として撮影される仕組みを利用しています。レントゲン撮影も同様の原理であり、密度の高い物質ほど検知しやすくなっています。金属も検出できるため、金属検出器の役割も兼ねて導入されるケースもありますが、薄い金属や粉状の金属等、密度が低いものについては、金属検出器の方が検出精度が高くなります。

その他にも、様々な異物検査装置の開発が進められています。 例えば近赤外線を照射することで、食品における水分や成分の吸収波長の違いから異物を発見できる装置があります。この装置によって、製品と同色の異物や、食品の腐敗状態を発見することが出来るようになったため、人の目に頼らなくても更に高い精度で異物検査ができたり、時間が掛かる微生物検査の結果を待たずとも製品の出荷をいち早くストップさせることができる等のメリットがあります。

参考文献

https://www.system-square.com/examination/
https://www.jfe-tec.co.jp/jfetec-news/56/1p.html
https://www.jfe-tec.co.jp/inspection/nir-food.html
https://www.ave.nikon.co.jp/cp/products/detector/