エアノズルとは
エアノズル (Air nozzle) とは、圧空配管の先端に取り付けるノズルのことです。
気体の流れる方向、量、強さを定めて圧縮空気を噴射したり供給したりする時に用います。ノズルから噴射される形状は用途によって異なるため注意が必要です。
使用圧力が変わると、流量やスプレー角も変わってくるため、ノズル毎に標準使用圧力や適正圧力が定められています。この圧力に従う流量やスプレー角がカタログ値として提示されています。
エアノズルの使用用途
エアノズルは清掃作業時間を短縮するために、油、水滴、切粉などを除去したり、加熱物の表面に温度を調節した空気を供給することによる加熱、冷却、乾燥などをしたりする際に使用されます。
産業分野では、洗浄、加熱、冷却などを目的として、量産機器に組み込んだり、ベルトコンベア上に設置したりすることも多いです。その他、試験場や食品工場など、クリーンルームの入口に設置されているエアーカーテンやエアーシャワーにも付いています。
エアノズルの原理
エアノズルの原理は単純です。圧空配管の先端に取り付けることで圧空の流れる方向を規定し、外気とのせん断による損失を防ぐことで、圧縮空気のエネルギーを無駄にせず対象物に噴射できるようにしています。
また、エアノズルの中には、高速で噴射される圧縮空気に巻き込まれる外気や、ベルヌーイの定理により圧力が下がることを利用する製品もあります。その他、外気を引き込み、流量を増加させることを狙ったものなど、種類は多いです。
エアノズルの選び方
エアノズルの選定は、大きく分けて3つのステップに分けられます。
1. 距離・幅・長さの確認
まずは、空気を吹き付ける際に必要な距離、幅、長さを実験して確かめる必要があります。当然ながら、遠距離で広い幅で強く吹き付けるほど、必要な圧力や空気量は大きくなります。
これらの値はエアノズルのカタログスペックとして記載されているため、その値からエアノズルを選択することが可能です。
2. 配管・空圧回路の確認
次に、エアノズルを設置することになる配管・空圧回路をチェックします。ポンプからエアノズルまでの配管長が長かったり、折れ曲がる箇所や分岐箇所が多かったり、配管の太さが変わったりすると、末端部の圧力も変わるため注意が必要です。
配管計画に従って使用圧力を予測し、必要な流量を供給できるポンプ、コンプレッサ、配管、エアノズルかどうかを確認すします。エアノズルのスペックは満たしていても、それを十分に発揮できる配管・空圧回路でなければ、性能を発揮することはできません。
3. 圧力・流量の予測
圧力は、配管のノズル取り付け部を基準に定められています。そのため、使用圧力を測定する場合は、エアノズルに近い位置の圧力を参考にします。
流量は、JIS B 0100において単位時間に流れる流体の体積または質量と定義されており、単位はSI単位系でl/minです。2箇所の流量をQ1とQ2、その圧力をP1とP2とすると、その関係式は下記のようになります。
Q1:Q2=√P1:√P2
つまり、圧力が高まるほど流量も増加するということです。 そのため、使用目的に応じて必要な流量をあらかじめ予測することが可能で、その予測からエアーノズルの数や先端形状を選定することができます。ただし、上記の式では、空気の圧縮性や粘性を考慮していないので、注意が必要です。
エアノズルのその他情報
エアノズルの選定でこだわりたい場合
エアノズルを選定する際に、さらにこだわりたい人はエアノズルの使用流量の最小化を目指します。圧縮空気は決して費用の安いものではなく、大きな電気コストがかかっています。エアノズル内でできるだけ損失が少ないような構造のものを使用することで使用流量を節約することが可能です。
さらに、乱流による損失が減少することで、騒音も低減します。必要な打力や流量などを満足しつつ、各社の提供しているエアノズルの性能を細かくチェックすることで、より最適なノズルを選択できます。
参考文献
https://www.keyence.co.jp/ss/products/process/flowmeter/technique/pressureloss.jsp
http://kikakurui.com/b0/B0100-2013-01.html
https://www.kirinoikeuchi.co.jp/download/file/catalog/700c.pdf