ピンホール検査装置とは
ピンホール検査装置とは、プラスチックフィルムなどの包装材のピンホールの有無を調べる装置です。
ピンホールとは、包装材などにできた針で刺したくらいの微小な穴や、施工後の外壁などの塗面にできた気泡が潰れたようなごく小さい穴を指します。なお、今回は、包装材などにできるピンホールの有無を調べる当該装置を解説します。
この装置は非破壊状態で検査ができるため、再検査や不良発生の原因追求が容易になったり、製品に気泡がある場合も検査ができたりする点がメリットです。
ピンホール検査装置の使用用途
ピンホール検査装置は、私たちの生活に身近な製品を製造する際の品質検査に使用されています。例えば、食品では液体分を多く含むゼリーやプリン、豆腐などはプラスチックフィルムなどの包装材でくるまれて流通しています。ご飯パックやソーセージなど、固形分の多い食品も同様です。
これら液体を多く含む食品の包装材に微小な穴が存在すると、そこから液体が漏れ出し、品質を保証できません。また、固形物を多く含む製品であっても、包装材に微小な穴が存在すると、そこからカビの菌などが侵入し、品質を保証できません。
洗剤や歯磨き粉、シャンプーなどの生活用品や、医療現場で使用される血液や輸液のパック、目薬などもプラスチックフィルムなどの包装材でくるまれた製品です。これらの場合も、包装材に微小な穴が存在すると、品質を保証できません。そこで、これら包装材の微小な穴、ピンホールを検出する当該装置が使用され、品質検査が行われています。
ピンホール検査装置の原理
ピンホール検査装置の中で最もメジャーなものは、高電圧放電式です。この方式は、ある一定の距離を空けて電極を置いた回路に高電圧を発生させた際の、放電の発生の有無によりピンホールの有無を判別する仕組みです。
通常、離して置いた2個の電極間の空気は、両電極と接続する高電圧発生器の電圧を徐々に上げていくと破壊され、電気的な絶縁性を失う放電現象が発生します。包装材に使用されるプラスチック類は一般的に空気より高い絶縁性を持っており、空気が破壊されるよりも強い電圧 (絶縁耐圧) に耐えられます。
そのため、微小な穴が無い製品を電極間に通過させても放電現象は発生しません。しかし、ピンホールがある製品を電極間に通過させると、ピンホール部分は空気と同じ絶縁性しかないので、絶縁耐圧を与えると放電が発生します。
そこで、この際の電流の変化を検出器によって検知し、放電の有無からピンホールの有無を検出しています。
ピンホール検査装置のその他情報
1. 高電圧放電式以外のピンホール検査装置
高電圧による放電の有無で検査する高電圧放電式が最もメジャーな方式ですが、他にも色々な種類があります。そのため、検査する物の素材や特性に応じて種類の選択が可能です。高電圧放電式以外の検査装置および検査方法としては、主に以下のようなものがあります。
シート検査装置
ライン上に流れている紙やフィルムなどのシート状の試料のピンホールを、CCDカメラ (ラインカメラ) を用いて検査する装置です。CCDカメラの画像を解析すればピンホールの位置の検出も可能です。
超音波検査装置
検査対象の容器などに圧縮した空気をいれると、ピンホールがあった場合には空気が噴出し、超音波が生じます。この検査装置は、超音波による音調でピンホールを検出する仕組みです。
気密検査
検査対象の容器などに気体をいれ、水槽に沈めた時に水面に泡が出てくるかでピンホールを検出する「水没検査」と、ピンホールに反応して発泡する発泡液を用いて検出する「発泡検査」があります。
2. ピンホール検査装置の重要性
紙やフィルムなどのシート状の包装材に微小な穴、ピンホールができる主な原因は、出っ張りに引っかかる、輸送中の振動により摩擦を受けるなどの小さな衝撃です。微小な穴、ピンホールができた状態のまま放置しておくと、その穴から腐食が始まり物体の損傷に繋がります。
また、容器などの場合は、内容物が漏れ出てしまったり、逆に外から汚染物質などが容器などに入ってしまったり、内容物に影響を及ぼす可能性があります。そのため、わずかな微小な穴も検出する必要があり、ピンホール検査装置の役割は非常に重要です。
参考文献
http://www.sinko-denki.co.jp/products/pinhole.html
https://www.mutual.co.jp/product/leakpecio/
http://www.sanko-denshi.co.jp/pinhole/syo-sai2.html
http://www.sanko-shoji.jp/lecture/cn10/pg128397.html
https://commwave.co.jp/leak-tester-d-1.html
https://www.measuring.jp/scene/hihakai-kensa.html
https://www.fukuda-jp.com/msp/?utm_source=yahoo&utm_medium=cpc&utm_campaign=5-1bousui