錠剤硬度計

錠剤硬度計とは錠剤硬度計

錠剤硬度計とは、医薬品などの錠剤の硬さを計測する道具のことです。

錠剤の硬度は、医薬品の物理的特性と相関関係があり、一般に硬度が高いと体内での溶解性が低いとされているため、当初の設計どおりの時間で薬剤が送達しない等の問題が生じる可能性もあります。一方で硬度が低い場合は、輸送中に錠剤が破砕されることがあり、製品の安定性や均一性が損なわれるだけでなく、物によっては成分が変化する可能性もあります。 したがって、錠剤の硬度を管理する必要が生じます。

その他、体内での溶解性が十分であるかを確認する試験には崩壊試験があり、こちらは日本薬局方に規定されています。 従来、錠剤の硬度が低いと崩壊性が高くなる傾向があるとされてきましたが、最近では硬度が低くとも崩壊性は高いという、口腔内速崩壊錠といった種類の錠剤も開発され販売されています。

錠剤硬度計の使用用途

錠剤硬度計は、医薬品を中心とした錠剤の研究開発・品質管理に用いられることが一般的です。 医薬品メーカーでは、医薬品の設計・改良段階において様々なアウトプット項目を確認する必要があります。ラボレベルの開発作業を経て、製造ラインにて製造工程の妥当性を評価するバリデーションの実施の際、品質に関係する項目を確認しますが、硬度の測定も確認項目の一つとなることがあり、錠剤硬度計などを用いて計測します。

設計段階で問題ないことを確認後、製造を開始しますが、日本薬局方で規定されていない硬度も管理項目として、決められた頻度で試験を行うメーカーも存在します。クレームが発生した際も、品質確認のため錠剤硬度計で硬度を測定することもあります。

錠剤硬度計の原理

錠剤硬度計は、基本的には錠剤を2枚の板に挟み、一方向より一定速度の力をかけて加圧し、錠剤が破壊する直前の力を計測する仕組みになっています。 この硬度を示す値には、錠剤の断面に破断が起こるbreaking strengthと、形状自体が破壊され構造を消失するcrushing strengthのいずれか、または両方が反映されたものとなっており、硬度計により異なります。

なお、測定結果に影響を与える要素がいくつかあります。 錠剤を挟む板である加圧板は、錠剤との接触面が摩擦のないよう滑らかである必要があり、また平行状態でなければいけません。 加圧する際の荷重負荷速度も、一定である必要があります。予測できない破砕が発生したり、急激に荷重がかかる可能性があるからです。 再現性のある結果を出すためには、錠剤の向きも一定でないといけません。例えば割線入り錠剤の場合ですと、割線の位置が加圧板と平行または垂直になるように置く必要があります。

錠剤硬度計は、錠剤保持部の構造や加圧版が移動する機構などの要素の違いによって、様々な種類のものが存在します。 比較的簡単な構造を持った手動式の錠剤硬度計としては、ばねとねじで圧力をかけるモンサント型、工具の一つであるプライヤ状のファイザー型、圧搾空気により荷重をかけるストロングコブ型などがあります。

参考文献

https://www.sanyo-si.com/products/detail/th3シリーズ/?taxo=principle&parent_id=347
https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000172069.pdf
https://www.pmda.go.jp/files/000229668.pdf

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