色彩選別機

色彩選別機とは

色彩選別機とは、収穫した作物をCCDカメラ、NIR(Near InfraRed:近赤外線)、カメラシュート(滑り台)により、良品・不良品・異物を選別・除去する機械のことです。

収穫した作物には食するのに適した良品のほかに、さまざまな原因で変色した不良品や小石・ガラス片などが交ざっています。

作物の粒が大量にあるため、人間の目で選別して不良品・異物を取り除くことは非現実的です。

色彩選別機を利用すれば、CCDカメラで検出した不良品や異物だけを空気噴射ノズルなどのエジェクタで選り分けられます。

デバッグツールにはソフトウェア開発者がバグを発見することを支援するさまざまな機能が備わっています。

色彩選別機の使用用途

色彩選別機の主な使用用途は米の選別です。

収穫した玄米には良品・不良品・異物が交ざっています。

不良品にはカビの生えた米などが、異物には小石やガラス片など口に入れてはいけないものがあり、危険です。

不良品は良品とは部分的に色彩が異なります。色彩選別機のCCDカメラで不良品を検知し、エジェクタから空気を噴射して除去可能です。

異物の中にはガラス片など見た目が良品に似ているものがあります。一部の色彩選別機には近赤外線により良品とガラス片などを識別するNIRカメラも備え付けられており、ガラス片なども除去可能です。

色彩選別機は米のほかに、小麦・大麦・大豆などに対応した製品もあります。

色彩選別機の原理

作物の良品・不良品・異物を識別するポイントは「色」の違いです。

ここでいう「色」とは、単なる「色彩」だけでなく、人間の目に見えない赤外線の「色」情報も含まれます。

物体はそれぞれの波長について、電磁波(可視光線の場合は光)を反射・透過する割合(分光反射率・分光透過率)が異なります。

不良品は可視光部分の分光反射率・分光透過率が異なるため、通常のCCDカメラにより検出可能です。

また、ガラス片など透明な異物は近赤外線の分光反射率・分光透過率が異なるため、近赤外線を検出するNIRカメラにより検出できます。

原料をベルトコンベアで流し、複数のLED光源、2つのCCDカメラ、1つのNIRカメラからなる光学部に投げ出します。

LED光源で光を当て、CCDカメラとNIRカメラでチェックすれば、良品・不良品・異物の分光反射率・分光透過率の違いを検出することが可能です。

同時に、カメラと連動したエジェクト部から空気を噴出し、良品と不良品・異物を選り分けます。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jbrewsocjapan1988/96/10/96_10_688/_pdf/-char/ja
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsam1937/68/3/68_3_18/_pdf/-char/ja

色温度計

色温度計とは色温度計

色温度計とは、対象が放射する光の波長の分布に対して単位をケルビン(K)とする色温度を指標に色を数値的に計測する装置です。

写真技術によって発展し、写真用色温度計、照明用色温度計などの分類があります。

色の物理的性質と人間の感覚との関係から光の輝度と相関色温度を同時に測定する色彩輝度計、照射された光の明るさを示す照度、RGB色度や色空間の距離である色差を測定することができる色彩照度計など関連した装置が存在します。

色温度計の使用用途

色温度計は写真や照明、デジタル画面などへの様々な応用があります。

色温度計により写真における色温度を光源の違いによってたとえば太陽光を5500K、タングステンライトを3200Kとして計測し、撮影や出力、印刷時の補正の指標とすることが可能となります。

同様に、照明用色温度計は人工的光源の色を物理的に測定することで、太陽光下の自然な固有色の再現に役立てられます。

また、デジタル領域のホワイトバランス、色の調整にも応用されています。

色温度計の原理

色温度計のうち、写真用色温度計では多波長の分光データから2色(赤青)の色温度を元に計測されています。

また、光源にフィルターを用いて色温度を補正する量で色温度を計測することができますが、これには色温度の逆数を用いたLB(色温度変換) ミレッド(Microreciprocal degree)値や、CC(Color Compensating)密度値などが使われます。

LB値は写真フィルムが低い色温度の設定では赤く、高い色温度では青く撮影されることに基づいています。

また、CC密度値はシアン、マゼンダ、イエローの3原色とその補色であるレッド、グリーン、ブルーのフィルターによって自然な色への補正を行うのに必要な値から計測されます。

照明用色温度計は色彩照度計とも呼ばれ、人間の感覚である分光感度をもとに光源に近似した色に見える黒体放射の温度である相関色温度を指標として計測します。

色温度計は相関色温度が緑の色を表すことができないことや、LEDに対応しているかどうかなど装置による特性を目的に応じて把握する必要があります。

参考文献
https://patents.google.com/patent/US5565990A/en
(Hosoi, N., Yamaguchi, S., Uematsu, M., & Okui, Y. (1996). U.S. Patent No. 5,565,990. Washington, DC: U.S. Patent and Trademark Office.)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/senshoshi1960/42/3/42_3_147/_pdf/-char/ja

線量計

線量計とは

線量計

線量計 (dosimeter) とは、放射線の量を測定する測定機器です。

放射線の測定機器は線量計・放射線測定器サーベイメーターなどの名称で呼ばれます。このうち線量計は、広い範囲の測定器を指し、機械構造を有するものも有しないものも広く含んでいます。

例えば、放射線による物質の変化を利用するもの (ガラス線量計、熱ルミネセンス線量計、光刺激ルミネセンス線量計) は放射線測定時に電源を必要としません。軽量であるため、人間が身につけて日常的な被ばく量を監視する目的に使用可能です。このような身に着ける線量計を個人線量計といいます。

一方、電源を必要とするものでは、半導体式線量計が個人線量計に用いられます。電子体温計程度の大きさに作ることができるためです。

放射線測定器は線量計とほぼ同じ意味です。一方、サーベイメーターは、空間放射線量や狭い範囲の表面が放射線に汚染されているかを調べる (サーベイする) 目的に特化した機器を指します。

線量計の使用用途

線量計は、日常生活や放射線がある場所で作業する際に、長期間の被ばく量を測るために使用します。

放射線を取り扱う医療施設・研究施設・工業分野などの現場では、法律に基づき厳格な放射線管理が必要です。医療施設ではX線画像撮影やCT画像撮影時、原子力関連の施設では原子炉運転や核燃料又は放射性物質を扱う際に、それぞれ被ばくする可能性があります。

放射線の被ばくは健康を害する危険性があるため、放射線を取り扱う現場の作業者は、個人線量計を身につけて作業することが義務づけられています。

線量計の原理

線量計は放射線の「線量」を測定する測定機器です。

この「線量」には、以下のような指標があります。

  • 放射線によって物質が得たエネルギーを表す「吸収線量 (単位Gyグレイ) 」
  • 個人の体全体に対する放射線の影響度を表す「実効線量 (単位Svシーベルト) 」
  • 照射された放射線の総量を表す「照射線量 (単位Rレントゲン) 」
  • 実効線量の代替として日常の放射線管理に用いられる「実効線量当量 (単位Svシーベルト) 」など

線量計が直接物理的に測定するのは、放射「線」の「本数」です。上記のさまざまな線量を評価するために、放射線の種類を区別して検出できる工夫がされています。放射線の種類ごとの本数を測定し、種類に応じた人体影響を考慮することで、放射線の総合的な人体影響を評価することが可能になります。

個人線量計で表示する線量は、実効線量当量 (単位Svシーベルト) です。人体への影響評価が目的であるため、実効線量を評価することが理想ですが、これを日常的に実測するのは困難です。そのため、実測は実用指標である実効線量当量を用います。

ただし、短時間に多量の放射線を浴びると危険なので、時間あたりの実効線量当量である線量当量率 (単位Sv/h) も測定可能な線量計があります。放射線を使用する事業所では、測定した実効線量当量を基に、作業者の実効線量を算出します。

線量計の種類

放射線にも種類があり、代表的なものには中性子線、α線、β線、γ線、X線などがあります。それぞれ特性と人体への影響度が異なります。ガラス線量計、熱ルミネセンス線量計、光刺激ルミネセンス線量計はβ線、γ線、X線を検出可能です。

1. ガラス線量計

ガラス線量計は放射線照射したガラスに紫外線を当てると蛍光を発生する現象を利用した線量計です。

2. 熱ルミネセンス線量計

熱ルミネセンス線量計は固体の熱ルミネセンス現象 (蛍光体などの物質が、外部から放射線の刺激を受けたあと、加熱すると発光する現象) を利用しています。

3. 光刺激ルミネセンス線量計

光刺激ルミネセンス線量計は光刺激ルミネセンス現象 (放射線の照射を受けて、準安定状態にある電子が光エネルギーを吸収して、基底状態に戻る現象) を利用した線量計です。

4. 半導体式線量計

半導体式線量計は放射線によって物質が電離したときに、半導体に電流が流れることを利用した線量計です。

線量計の選び方

選び方の大前提は、測定したい放射線の種類に適合した線量計を選ぶことです。例えばβ線とγ線用のもの、X線専用のものなどがあり、X線用のものはエネルギーの高低で製品が異なる場合があります。

1. ガラス線量計、熱ルミネセンス線量計、光刺激ルミネセンス線量計

上記の3つは長期間の放射線管理に適します。これは、その場で放射線量が判明するものではなく、あとで線量計に処理を加え、発光などを測定して初めて累積の放射線量が判明するものであるためです。このような性質をパッシブ型と呼びます。現在ではこの測定を専門業者で行うのが主流です。

その場で放射線量がわからないという欠点はありますが感度は高く、一カ月程度の累積線量で放射線管理をする場合に適します。また、業者に記録を作成してもらえるため便利です。

2. 半導体式線量計

半導体式線量計は、短時間に多くの被ばくが予想されるときなど、その場で放射線量を知りたいときに適します。線量をリアルタイムで知ることができるためです。このような性質をアクティブ型と呼びます。また、時間当たりの線量である線量当量を表示できるタイプや、一定以上の線量当量で警告音を発するタイプもあるため、これらの機能の有無も考慮するとよいでしょう。

ただし、本体に記録できるデータが少ない製品もあるため、その場合は線量データの記録方法を考えておく必要があります。作業中の随時の被ばく量の把握と、長期的な放射線管理を両立するため、アクティブ型とパッシブ型を併用する運用も多く行われています。

参考文献
http://www.jeta.or.jp/jeta127/pdf/kangikyou/houshasen-keisoku.pdf
https://www.kanehara-shuppan.co.jp/shinsai/r537_546.pdf
https://www.env.go.jp/chemi/rhm/kisoshiryo/attach/201510mat1s-01-4.pdf
https://core.ac.uk/download/pdf/234083377.pdf

空気質モニタ

空気質モニタとは空気質モニタ

空気質モニタとは、空気中の特定の気体濃度を計測したり、空気の温度や湿度、大気圧、PM2.5などの飛散粒子の濃度などを計測したりななど、空気環境のモニタリングに特化した測定機です。

空気質モニタで測定できる気体の種類は、主に酸素濃度、二酸化炭素濃度、一酸化炭素濃度、ホルムアルデヒド濃度、窒素濃度、オゾン濃度、揮発性の有機化合物濃度などがあります。有害物質や有害ガスなども測定可能です。機器によって網羅する範囲が異なるので、用途に合わせて測定できる気体に対応した機器を選択する必要があります。

空気質モニタを用いることで、室内などの特定環境の空気質を四六時中観察することが可能で、インターネットに接続できる機器であれば、場所や時間を問わずインターネット上で確認することができます。

空気質モニタの使用用途

空気質モニタの使用用途は、空調システムや室内環境などの保守点検、クリーンルームや医薬品や食品などの製造プロセス、密閉試験などです。一般的な事務所においても、環境評価として測定されることがあります。

その他、空気汚染の原因特定のため、粒子の測定や監視などを行う目的でも使用されています。

空気質モニタの原理

空気質の評価は、複数のパラメータの測定で行われます。空気質で測定できる対象は、以下の通りです。

1. 二酸化炭素

二酸化炭素濃度はCO2センサーで計測されます。CO2センサーにはいくつかの方式がありますが、現在は単光源二波長方式が主流です。

CO2センサーは二酸化炭素が赤外線を吸収する特性を利用したものですが、二酸化炭素を吸収する波長域と吸収しない波長域の光の透過量を比較することから、濃度へと変換されます。

2. 一酸化炭素

一酸化炭素は酸素が不足した状態において、燃料が燃焼した際に発生し、市街地の路上やトンネル内、工場構内などで測定されます。測定方法には非分散形赤外線吸収法 (NDIR) や定電位電解法、水素炎イオン化検出法などがあります。

3. 大気圧

大気圧の測定するのは気圧センサです。気圧センサのうち代表的な測定方法はピエゾ抵抗方式です。Si単結晶板を受圧素子として、圧力の変化を電気抵抗の変化として検出します。

ピエゾ抵抗効果呼ばれる現象を利用したものですが、これは圧力によって抵抗率が変化する現象のことです。

4. 相対湿度

湿度の計測には複数の方式がありますが、高分子系湿度センサ、金属酸化物系湿度センサ、電解質系湿度センサといった電気特性を利用したセンサが多く用いられています。

5. 温度

温度はNTCサーミスタで計測されます。NTCサーミスタは温度変化に応じて、抵抗値が3〜5%/℃変化する特性を利用したものです。

空気質モニタの種類

空気質モニタには、屋外の空気を測定するモニタと室内の空気を測定するモニタがあります。空気質を評価する指標の代表的なものは、空気質係数 AQI (Air Quality Index) です。

AQIは米国環境保護庁 (EPA) の全米環境大気質基準 (NAAQS) によって定められており、PM2.5やPM10なども評価に含まれます。AQIは0〜500の数値で表され、0〜50が良好と判断されます。

室内の空気質の評価に用いられる指標は、IAQ (Indoor Air Quality) です。一般社団法人日本環境保健機構が、検査認証制度として用いています。

空気質モニタのその他情報

二酸化炭素の濃度

二酸化炭素は通常の空気中には、0.03% (300ppm) 程度存在しています。室内で二酸化炭素濃度が高くなると人体には息苦しさ、眠気、倦怠感、頭痛などが生じるため、日本では室内の二酸化炭素濃度は1,000ppm以下です。

二酸化炭素濃度は増加傾向であり、世界が工業化する以前は約278ppmだったとされていますが、2021年の世界平均濃度は415.7ppmと公表されています。 ( 温室効果ガス世界資料センターによる解析結果)

参考文献
https://www.keisokuten.jp/products/1752.html
https://jp.rs-online.com/web/c/test-measurement/environmental-test-measurement/air-quality-monitors/
http://deltaohm.jp/portable-measuring-instrument/co2-indoor-air-quality-monitor/529.html
https://www.t-dylec.net/service/aqguard-aqguardambient/

硬化促進剤

硬化促進剤とは

硬化促進剤 (英: curing accelerator) とは、塗料や接着剤などの硬化を促進して接着効果を高める薬剤です。

瞬間接着剤は一度に多量を使用する場合は硬化時間が長く、白化することが多くあります。促進剤を用いることで、硬化時間を短縮して白化などを抑えられます。

硬化促進剤は多くの種類があり、使用する接着剤や期待する効果、使用環境などを十分検討したうえで選ぶことが大切です。

硬化促進剤の使用用途

硬化促進剤は、産業分野において部品の接着作業、塗装、セメント硬化などに使用されます。接着剤などを完全に硬化させたいときや硬化時間の短縮、多孔質の材質の接着、充填や盛りで多量に使用する際の白化防止などの用途で有用です。

また、前処理として汚れを落とした後に水分や油分を取り除くため、洗浄効果も期待できます。ただし、厚塗りすると接着効果が低下する点に注意が必要です。

使用する際は、スプレーや布、刷毛を使ったり、液中に浸して薄く均一に塗布したり、塗料などに混入したりする方法があります。

硬化促進剤の原理

1. エポキシ樹脂の硬化

硬化促進剤は接着剤や塗料の施工などに使われ、中でもエポキシ樹脂の硬化促進を測る場合が多くあります。エポキシ樹脂は硬化剤が酸無水物系、フェノールノボラック樹脂系などの場合は、加熱しても容易に硬化が進みません。この場合に硬化促進剤を使用すると、硬化時間の大幅な短縮が可能です。

硬化剤がフェノールノボラック樹脂系用のエポキシ樹脂硬化促進剤は、商品名がDBUやDBNと呼ばれる物質で、接着剤、塗料、半導体封止材などに使われます。

2. 瞬間接着剤の硬化

瞬間接着剤用の硬化促進剤の主成分は、具体的にはアセトン系、シクロペンタン系、アルコール系などです。アセトンは硬化速度と白化を防ぐ点で最も優れていますが、臭いや浸食性が強いので、少しの添加でひび割れや破損などを起こす場合があります。

シクロペンタン系は、硬化速度と白化を防ぐ効果が良く、浸食性や臭いもアセトンより少ないです。アルコール系は硬化時間が最長で白化を防ぐ効果も低いですが、浸食性による影響が少ない点がメリットとして挙げられます。

硬化促進剤の種類

塗料や接着剤の硬化を促進する場合、塗料・接着剤の材質に適した硬化促進剤があります。

1. エポキシ硬化促進剤

エポキシ樹脂の床用塗料は 2液溶剤型で、耐油性、耐薬品性、耐摩耗性に優れ、コンクリートの床塗装などに使われます。塗料18kgに対し、エポキシ硬化促進剤を0.5kg加えた場合、温度5~23℃です。使用可能時間が6~3hrになり、30℃以上は使用不可となります。

2. アクリルウレタン用硬化促進剤

アクリルウレタン樹脂の床用塗料は、耐候性に優れるので、屋外の床にも使用できます。耐薬品性、密着性、防塵性などが良好です。塗料15kgに対し、アクリルウレタン用硬化促進剤を0.5lg添加した場合、使用可能時間は温度5~23℃で1.5~1hrになり、30℃以上は使用不可となります。

3. ウレタン樹脂環境対応型硬化促進剤

硬質ウレタン樹脂の床用塗料は強靭で耐衝撃性、耐擦り傷性、耐摩耗性、耐熱性、耐薬品性、低臭性などに優れています。厨房、食品工場、研究室などの床に使用されます。

この塗料にウレタン樹脂環境対応型硬化促進剤を0.15kg加えた場合、温度0~23℃で使用可能時間は34~20hrとなり、30℃以上は使用不可です。

4. セメント硬化促進剤

セメント25kgに対し、無機系凝固促進剤を0.5kg加えると、外気温1~2℃で、仕上げ押さえまでの時間が、7.5hrから3.5hrまで短縮できます。

硬化促進剤のその他情報

硬化促進剤の使用上の注意   

1. 硬化促進剤の適切な選定
使用する接着剤や塗料などに適した硬化促進剤を選定します。エポキシ樹脂やウレタン樹脂など使用する樹脂の種類によって、硬化促進剤が異なります。    

2. 使用可能時間
硬化促進剤を添加すると硬化時間が速くなり、使用可能な時間の短縮が可能です。    

3. 適正量の添加
硬化促進剤は多く入れれば効果が高くなるわけではありません。適正量を添加する必要があります。量が多いと極端に効果が速くなり、作業性が悪化します。    

4. 低温
低温での硬化時間を速くするために、硬化促進剤をを入れることが多くあります。例えば、気温が5℃以下では、硬化促進剤の効果の悪化が顕著です。仕様を良く調べて、対処する必要があります。

参考文献
https://www.mekasys.jp/series/detail/id/HKL_0005
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223013578034/
https://www.alteco.co.jp/relation/use/
http://www.abysshr.com/mds_accelerator.html

研磨フィルム

研磨フィルムとは

研磨フィルムとは、細密な研磨作業で用いられる研磨用品の一種です。

フィルム研磨材とも呼ばれています。研磨フィルムは、高い研磨性を有しており、上質な仕上がりを実現できることが特徴です。このため、研磨布や研磨紙と比べて、よりきめ細かく研磨できます。

研磨フィルムの使用用途

研磨フィルムは、フィルム素材が持つ耐水性や強度を生かして、機械で行う自動研磨や、精密研磨作業、仕上げ作業などに用いられています。なお、適した素材としては、ガラスやプラスチック、樹脂などの高い仕上がりが求められる素材が挙げられます。具体例としては、これらの素材よりなる医療用機器などの研磨です。

研磨フィルムの原理

1. 研磨フィルムの構造

研磨フィルムの構造は、ポリエステルポリエチレンなどの強度が強い樹脂よりなるフィルムの上に研磨剤の微粒子が塗布されています。下地が樹脂フィルムであるため、水や油などにも耐性があり、湿式による研磨も可能です。

また、強度が高い樹脂のフィルムを使用していることから、引っ張りや裂け等に対して耐性が強く、機械を用いた自動研磨にも使用できます。

2. 研磨フィルムの製造方法

研磨フィルムの製造方法としては、樹脂フィルムの上にローラーを用いて研磨剤を塗布する方法と静電気を用いて研磨剤を付着させる方法があります。

樹脂フィルムの上にローラーを用いて研磨剤を塗布する方法
最初の工程で、ポリエステルポリエチレンなどの強度が強い樹脂を厚みが平らで滑らかになるように伸ばしてフィルム状にします。次は、ローラーを用いて研磨剤の微細な粒子を均一になるようにフィルム上に塗布して練りこむ工程です。その結果、フィルムの表面が研磨剤の粒子でコーティングされた研磨フィルムとなります。

静電気を用いて研磨剤を付着させる方法
まず、ポリエステルやポリエチレンなどの強度が強い樹脂フィルムの表面に接着剤を塗ります。次の工程は、接着剤上に静電気を用いて研磨剤の粒子を固着させます。最後の工程は、研磨剤の粒子が脱落するのを防ぐために、再度接着剤をコーティングする工程です。結果、フィルム上に研磨剤が接着剤により挟まれ固定された研磨フィルムが完成します。

 

2つの製造方法による研磨フィルムを比較すると、静電気を用いて研磨剤を塗布する方法の研磨フィルムの方が研磨力は高くなります。これは、静電気により研磨剤を塗布すると、研磨剤の粒子が静電気により同じ方向に揃うためです。

同じ方向に揃うことにより、研磨剤の研磨に寄与する部分をより多く研磨面に露出させることが可能です。静電気を用いて研磨剤を塗布する方法で製造された研磨フィルムでは、研磨作業時間を短縮できます。

研磨フィルムのその他情報

1. 研磨フィルムの粒度

研磨フィルムの仕様には#2000などと記載されており、「#xx」は研磨フィルム中の研磨剤粒子の粒度を示します。粒度とは砥粒の大きさを表す指標で、数字が大きいほど砥粒が小さく、より精密な研磨が可能です。通常、研磨フィルムを使う場合は、工程に応じて使用する粒度を変えます。例えば、粗仕上げをしたい場合は#2000程度を使用し、そこからより鏡面に近づけていく場合は#15000などを使用するのが一般的です。

研磨剤においては、粒度が小さいもの、特に#400までの場合はJISにて等級分類がなされており、研磨剤粒子の分類にはふるいを用い、砥粒の大きさによって25段階に分類されています。一方で、#400以上のものに関してはJIS規格で規定されていません。このため、表示は各メーカーの基準による表示です。また、#400を超える領域では粒度ではなく粒径を用いて表示されていることが多くあります。

#400以上の粒度においては、粒度と粒径対比が仕様として明確にされていない場合があるので、使用の際には注意が必要です。なお、換算目安は15000/粒度=粒径とされており、粒度もしくは粒径から、おおよその目安を知ることはできます。

ただし、メーカー毎に表記が異なる場合がありますので、あくまで参考値としてとらえ、詳細は発売元に問い合わせましょう。また、最近はダイヤモンドペーストに劣らないくらいの#15000のものも販売されており、研磨フィルムの使用用途が拡大しています。

2. 研磨フィルムの裏表

初めて研磨フィルムを使う場合は、研磨フィルムの裏表、研磨面がどちらかわからない場合があるので、注意しましょう。研磨フィルムには光沢のある面と、非光沢面があり、研磨面は非光沢面です。

これは、研磨剤が塗布されている面の方がもう一方のフィルム単体の面よりも面が粗く、非光沢面となるためです。特に粒度の大きい#15000などになると、研磨剤の粒子が細かく塗布された面も光沢をもつため、より注意して使用しましょう。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223000312485/
https://kksanshin.co.jp/technology/compare-grinding/
https://product.mipox.co.jp/products/film
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvsj1958/40/7/40_7_587/_pdf/-char/ja

真空洗浄機

真空洗浄機とは

真空洗浄機 (英: vacuum washer)とは、洗浄槽内を真空状態にして洗浄を行う機器です。

機器内を脱気して真空状態にすると、洗浄剤が対象物の隅々まで行き届くため、通常では洗浄できない箇所の洗浄ができます。乾燥の工程も高い効果を発揮するので、併用して使われることが多いです。

また、真空状態では液中に残存する酸素も脱気されて超音波の強さが高まり、超音波洗浄と併用して高い洗浄効果が得られます。

真空洗浄機の使用用途

真空洗浄機は、通常では十分な洗浄が難しい対象物や火災や爆発のリスクがある対象物に対して使用されます。複雑な形状や極小の穴、止まり穴、袋穴などがあるので、洗い残しがありません。

また、航空機や、アンテナ、金属部品類などに使用する揮発性が高く、引火の危険性がある洗浄剤なども使用可能です。

真空洗浄機の原理

真空洗浄機は、一括して作業を行うため密閉構造をしています。対象物と洗浄液を入れて、真空ポンプに接続します。

機器内で減圧と復圧を繰り返し行って真空状態にし、空気溜まりなどを取り除き、対象物の形状や細部に洗浄液を浸透させて汚れを分解する仕組みです。また、真空状態の機器内で使用済みの洗浄液を加熱・蒸発させて、汚染された液のみを廃液として処理し、洗浄剤の成分のみを抽出して再利用します。

真空洗浄機の真空圧は、調整可能です。一般には10KPa程度とし、洗浄蒸気を入れて蒸気洗浄を行います。真空蒸気洗浄が終わると、洗浄液を排出し、0.1KPa位の真空にして真空乾燥させます。真空洗浄機に超音波洗浄を組み合わせると、洗浄効果を上げることが可能です。

真空洗浄機の構造

真空洗浄機の洗浄槽は、1槽式だけではなく、2~10槽以上を使う方式があります。例えば、3槽式の実施例は2槽で真空洗浄を行い、他の1槽は真空乾燥用です。

第1槽の真空洗浄で使用した洗浄剤は、加熱蒸発させて回収し、第2槽の洗浄液として再利用されます。また、第2槽で真空洗浄された対象物は、第3槽に送られ、真空乾燥されます。

真空洗浄機の特徴 

1. 高い洗浄性

真空状態で洗浄するので、ポケット部分、袋穴、針孔、重なり部分の空気が抜け、洗浄液が十分入り、高い洗浄効果が得られます。超音波洗浄と併用すると、キャビテーションが強力になり、洗浄性の更なる向上が可能です。

2. 低ランニングコスト

蒸留再生回収装置があり、洗浄剤を常時回収し、溶解した油分を再生します。クローズド構造で、排気も回収再生し、廃液も濃縮して排出します。したがって、溶剤洗浄に比較して、ランニングコストは1/5~1/10程度です。

3. 低設備コスト

排水がないので、排水処理設備が不要です。また、高効率の蒸留再生機により、冷却水はチラーが不要で、クーリングタワーの循環水で十分です。

4. 安全性・環境対応

真空容器内の洗浄であり、火災・爆発の危険は非常に少ないです。ガス濃度検知装置などにより、安全性が高くなります。

また、洗浄剤に炭化水素系が使用できるので、オゾン層を破壊するフロン・エタンなどは使いません。真空ポンプにより排気され、使用した洗浄液も排気回収装置で回収・再利用します。

真空洗浄機のその他情報

真空洗浄機の洗浄剤

真空洗浄機に使用する洗浄剤は大きく分けると、炭化水素系、水系、溶剤系の3種類があります。

1. 炭化水素系洗浄液
油汚れに対して洗浄力が強く、真空洗浄の場合は止まり穴・袋穴にも対応が可能です。洗浄液のリサイクルができるので、環境に優しいです。ただし、洗浄機に引火性の対応が必要になることがデメリットとして挙げられます。

2. 水系洗浄液
引火性がないので、防爆性は必要ありません。短所は、止まり穴・袋穴への対応が少し難しいことです。超音波洗浄を併用して対処します。アルカリ性洗浄剤、中性洗浄剤、水溶性潤滑防錆剤などがあります。

3. 塩素やフッ素系の溶剤系洗浄液
止まり穴・袋穴の洗浄は難しいですが、洗浄性自体は高いです。使用に対する規制が年々厳しくなり、種類によっては人体に悪影響があります。地球温暖化やオゾン層破壊が大きい洗浄液です。

参考文献
http://marusantec.com/senjosys1.html
https://www.kaijo.co.jp/washsystem/product/phenix2_vacuum.html
https://kyoden-kpi.jp/solution/acceptance/apparatus/cleaner

異物除去装置

異物除去装置とは

異物除去装置とは、粉体加工をする際に異物を取り除いて高い品質を保持できる装置です。

選別を行う人員削減やヒューマンエラーによる見落としをカバーできるので作業精度の向上と人件費の削減が期待できます。

異物の除去方法には、画像による識別、粉体粒子の特徴や、磁力を利用した方式などがあり、生産工程や異物の特徴に合わせて効果の高い方式を選択することで確実な異物除去が可能です。

異物除去装置の使用用途

異物除去装置は、粉体加工の現場で混入した異物を取り除く用途で利用されています。

そのため、食品製造、薬品製造、化学分野などの幅広い分野で利用されています。例えば、衛生が重視される食品分野では、穀類や香辛料などの乾燥食品に混ざった石や砂、金属、毛髪などの異物を判別して除去しています。

異物除去装置の原理

画像による除去では、コンベア上の粉体を撮影し、センサーを利用して粉体の色彩や形状を認識して異物を除去します。

粒子の特徴を利用した方法では、粉体を振動させ、粒度の違いによってふるい分ける振動分級や、比重の異なりを利用した比重選別など異物と粉体を区別して除去しています。

磁気を利用した除去方式では、磁力を利用して金属などの異物を除去します。

参考文献
https://www.aishin-nanotech.co.jp/ibutu.html
https://www.aishin-nanotech.co.jp/ibutu.html#HG
https://www.tsukasa-ind.co.jp/product/sifting/magnet/
http://www.nihonsenki.com/

熱風発生装置

熱風発生装置とは

熱風発生装置 (英: hot air generator) とは、熱風や温風を発生させるヒーターなどの装置です。

瞬間的に大量の熱風を生成できるため、短時間で目的とする用途に適しています。シンプルな構造で容易に風量や温度を調節可能で、操作性に優れているのが特徴です。

また、外付けで送風口に用途にあった形状のノズルを取り付け、送風の方向や範囲を決められるため、より効果の高い使い方が期待できます。

熱風発生装置の使用用途

熱風発生装置は、高温の熱風を利用して空調などで室内の温度を上昇させるほか、工業用途で、乾燥、加熱、殺菌、溶解などを行うことができます。食品製造、薬品製造、工業分野などで幅広く使用されており、用途例として乾燥設備や、食品・薬品などの製造設備、製鋼・化学などの製造設備や、空調設備などが挙げられます。

具体的には、熱風によるビンなどの熱殺菌や、化学繊維・金属・熱可塑性の樹脂などを高温で溶解するケースです。また、室内の空気を上昇させる目的で、暖房などの空調設備や農業ハウスの加熱として利用する場合もあります。

また、半導体製造装置では、排気管のホットN2パージに、電子部品基板の熱処理に使われます。さらに、乾燥炉内の昇温・加熱・乾燥・焼付けに、洗浄後の水滴除去・乾燥、電子部品の接着後の乾燥・硬化、塗装部品の予熱・乾燥なども用途の1つです。

熱風発生装置の原理

熱風発生装置は、温度調節部分と送風部分などで構成されます。外部の熱を温度調節部分の熱源で加熱し、加熱された空気を送風部分から外部に放出させて熱風を送り込みます。

温度調節の方式は、さまざまです。バーナーと燃焼ガスによって直火を熱源として熱風を生成する直接加熱方式、燃焼炉などからの熱を取り込んで熱交換器を使って間接的に空気を加熱する間接加熱方式、及び電気を熱源とする電気加熱方式などがあります。

60℃前後の低温熱風から、1,000℃前後の高温熱風を発生できます。燃焼による加熱方式よりも、電気方式の方が安全性が高く、細かい温度調節が容易である点が有利です。燃焼式の利点として、コストが低いことが挙げられます。

熱風発生装置の特徴    

1. 広範囲の熱風温度

熱風発生装置の吐き出し温度は、60℃程度の低温域から、1,000℃以上の高温域まで可能です。また、0.1kWクラスから、1,000kW以上の広範囲の容量があります。    

2. 精密な温度制御

対象物に対し温度制御が可能です。特に電気加熱方式は、精密な温度調節が容易にできます。    

3. 大風量の加熱

高温で大風量の加熱が可能なので、対象物を非常に速く加熱できます。また、長時間の加熱も可能です。    

4. 高い安全性

燃焼加熱方式では、外板の断熱、燃料系・燃焼ガス系の安全監視システムにより、万全を期しています。電気加熱方式でも、同様の安全制御を行っています。

熱風発生装置のその他情報

1. 熱風発生装置の規格

燃焼式の加熱装置には、日本産業規格JIS B 8415-2 工業用燃焼炉の安全通則第2部があります。ガス燃料・液体燃料・多種燃料、バーナー部分、配管、制御装置、安全機器、各部の材質、試験法など多岐にわたって、安全通則が定められています。

製造業者は、この通則に基づいてチェックし、必要な情報を取扱説明書に記載します。

2. 熱風発生装置の実施例

直接加熱熱風循環式システム
直接加熱熱風循環式システムは、乾燥室などの加熱・乾燥に応用した循環式のシステムです。直接加熱方式の熱風発生装置の熱風を乾燥室などに送風し、リターンダクトで熱風発生装置へ戻して再加熱して、再び乾燥室などへ送風します。

乾燥室の湿度が高い空気の一部を排気放出するため熱ロスの無駄がなく、効率が高い方法です。

間接加熱熱風循環式システム
熱交換器を使用した間接加熱方式です。熱風発生装置の熱風を熱交換器により、加熱部の空気を循環させて間接加熱します。

参考文献
https://nnh-kk.jp/products/hot-air/
https://teitokusha.co.jp/haga/
https://www.nippon-heater.co.jp/products/gas/hotwind/

熱流体解析ソフト

熱流体解析ソフトとは

熱流体解析ソフト

熱流体解析ソフトとは、流体の流れや熱の移動をモデル化した方程式をコンピュータを用いて解くことで、シミュレーションによって表現し、それを解析することができるソフトです。

一般に、液体や気体などの流体の流れる動きを実験などを通して実際の現象から読み取ることは困難です。シミュレーションを用いて可視化すれば、目に見えにくい”流れ”を視覚的に捉え、定量的な分析ができるようになります。

熱流体解析ソフトでは、流体の速度や、圧力の大きさ、温度の分布、状態変化などを表現した上で視覚的に捉えることが可能です。最適な流路の選択や対象物の形状、シミュレーション設定時の最大到達温度などを確認したり、解析したりする際に役立てられています。

熱流体解析ソフトの使用用途

熱流体解析ソフトは、工学や産業分野、宇宙産業や航空機器産業など、さまざまな分野で用いられています。熱や流体は実際に視覚でとらえることが難しいため、シミュレーションが有効です。

さらに、宇宙産業や航空産業などでは、費用や物理的観点から、実際に何度も実験を行うことができません。そこで、シミュレーションを通して解析を行い、さまざまな環境における可能性を検証することが非常に重要です。

例えば、航空機器などでは、尾翼の形状を設計する際に、熱流体解析ソフトを用いてシミュレーションを行います。最適な尾翼の形状を選択するのに有用です。この他にも、配管を通る流体の動きや圧力の変化、スクリュー羽根などの回転の様子など、幅広く熱流体解析ソフトが利用されています。

熱流体解析ソフトの原理

図1 熱流体解析ソフトの基本方程式

図1. 熱流体解析ソフトの基本方程式

熱流体の基礎方程式として、連続の式 (質量保存) 、運動量保存の式 (ナビエ・ストークス方程式) 、エネルギー保存則 (エネルギー保存) の3つの方程式があります。熱流体解析ソフトでは、これらの物理法則に基づき、方程式をコンピュータで解くことで様々な物理量を導いています。

1. 連続の式 (質量保存)

流体が何も無い空間中から勝手に湧き出してきたり,何も無い空間中で突如消えたりするという、いわゆる「無から有を生じる」ことは無いという規則です。

2. 運動量保存則 (ナビエ・ストークス方程式)

物体の運動の激しさは、なにか外から力を与えない限り変化しないという法則です。実際はニュートンの運動方程式から導かれます。

3. エネルギー保存則

エネルギーも外から与えない限り、勝手に増えたり減ったりしないという法則です。エネルギーは温度などの内部エネルギー、速度などの運動エネルギーなどがありますが、その総和をとると同じになります。

熱流体解析ソフトの構成

図2 熱流体解析ソフトの構成

図2. 熱流体解析ソフトの構成

商用の熱流体解析ソフトは、モデル作成部分と、シミュレーション実行部分、さらにポスト処理部分がセットになっていることが多いです。しかし、中にはシミュレーション実行部分 (ソルバ) だけのものやモデル作成部分専用のソフトなどもあります。

1. 前処理部分

前処理とは、熱流体解析を行う形状を作成する工程のことです。多くの場合、3DCADでつくったSTEPやIGES,Parasolidなどのファイル形式を利用することができます。

熱流体解析ソフトでは、さらに作成した構造のどこが流体の流入する部分なのか、どこが温度一定の部分なのかといった境界条件を設定する機能が備わっています。計算を実行するためには、モデルの形状をメッシュとよばれる格子で表現します。

このメッシュを綺麗に作成することが解析の速度を上げ精度を高める重要な要素です。モデル作成ソフトでは、大きさなどを簡単に選択して、自動的に品質の高いメッシュを生成する機能が備わっています。

2. 解析部分

通称ソルバと呼ばれる部分を指しています。狭義での熱流体解析ソフトとは、この部分を指しています。ソルバは連続の式や運動量保存式、エネルギー保存式などを解く機能が備わっています。

昨今はより複雑なモデルを解く機能が備わっていたり、コンピュータの性能の向上に対応して計算を高速で行ったりすることが可能です。

3. 後処理 (ポスト処理) 部分

解析結果を3Dモデルなどで可視化することで、より直感的に解析結果を理解することができます。解析機能は製品によって特長が分かれる部分です。

計算結果から圧力や温度の分布を色の違いで示したコンター図や流れの様子を矢印で示したベクトル図、線で表した流線図などを作成します。

熱流体解析ソフトの種類

図3 熱流体解析ソフトの機能概略

図3. 熱流体解析ソフトの機能概略

まず流体の表現方法には大きく分けて下記の2つが存在します。1つの空間を離散化する方法です。有限要素法、有限体積法が有名な方法として挙げられます。

一方、流体を粒子の集合体として表現する粒子法という手法も存在します。このように、様々なCAE特有の手法や技術・機能があるため、シミュレーションしようと思う現象に応じて、その都度、最適な手法や条件を設定する必要があり、その機能をもったソフトを選定することが大切です。

熱流体解析ソフトにもシンプルで扱いやすく設計されたものから、熱流体解析のプロが扱うような多機能なものが存在します。各社さまざまですが、おおよその機能を図3に示します。解析したい現象が何で、何が必要なのかを検討することが大切です。そのほか、ライセンス料金体系にも違いがあります。使用目的と必要な機能を明確にしたうえで、最適なソフトを選定します。

参考文献
https://www.cadjapan.com/products/search/industry_manufacture/cae_netsu.html
https://www.terrabyte.co.jp/FloEFD/FloEFD_1.htm
https://www.sbd.jp/products/flow/solidworks_flow_simulation.html
https://www.cradle.co.jp/product/stream.html