硬化促進剤とは
硬化促進剤 (英: curing accelerator) とは、塗料や接着剤などの硬化を促進して接着効果を高める薬剤です。
瞬間接着剤は一度に多量を使用する場合は硬化時間が長く、白化することが多くあります。促進剤を用いることで、硬化時間を短縮して白化などを抑えられます。
硬化促進剤は多くの種類があり、使用する接着剤や期待する効果、使用環境などを十分検討したうえで選ぶことが大切です。
硬化促進剤の使用用途
硬化促進剤は、産業分野において部品の接着作業、塗装、セメント硬化などに使用されます。接着剤などを完全に硬化させたいときや硬化時間の短縮、多孔質の材質の接着、充填や盛りで多量に使用する際の白化防止などの用途で有用です。
また、前処理として汚れを落とした後に水分や油分を取り除くため、洗浄効果も期待できます。ただし、厚塗りすると接着効果が低下する点に注意が必要です。
使用する際は、スプレーや布、刷毛を使ったり、液中に浸して薄く均一に塗布したり、塗料などに混入したりする方法があります。
硬化促進剤の原理
1. エポキシ樹脂の硬化
硬化促進剤は接着剤や塗料の施工などに使われ、中でもエポキシ樹脂の硬化促進を測る場合が多くあります。エポキシ樹脂は硬化剤が酸無水物系、フェノールノボラック樹脂系などの場合は、加熱しても容易に硬化が進みません。この場合に硬化促進剤を使用すると、硬化時間の大幅な短縮が可能です。
硬化剤がフェノールノボラック樹脂系用のエポキシ樹脂硬化促進剤は、商品名がDBUやDBNと呼ばれる物質で、接着剤、塗料、半導体封止材などに使われます。
2. 瞬間接着剤の硬化
瞬間接着剤用の硬化促進剤の主成分は、具体的にはアセトン系、シクロペンタン系、アルコール系などです。アセトンは硬化速度と白化を防ぐ点で最も優れていますが、臭いや浸食性が強いので、少しの添加でひび割れや破損などを起こす場合があります。
シクロペンタン系は、硬化速度と白化を防ぐ効果が良く、浸食性や臭いもアセトンより少ないです。アルコール系は硬化時間が最長で白化を防ぐ効果も低いですが、浸食性による影響が少ない点がメリットとして挙げられます。
硬化促進剤の種類
塗料や接着剤の硬化を促進する場合、塗料・接着剤の材質に適した硬化促進剤があります。
1. エポキシ硬化促進剤
エポキシ樹脂の床用塗料は 2液溶剤型で、耐油性、耐薬品性、耐摩耗性に優れ、コンクリートの床塗装などに使われます。塗料18kgに対し、エポキシ硬化促進剤を0.5kg加えた場合、温度5~23℃です。使用可能時間が6~3hrになり、30℃以上は使用不可となります。
2. アクリルウレタン用硬化促進剤
アクリルウレタン樹脂の床用塗料は、耐候性に優れるので、屋外の床にも使用できます。耐薬品性、密着性、防塵性などが良好です。塗料15kgに対し、アクリルウレタン用硬化促進剤を0.5lg添加した場合、使用可能時間は温度5~23℃で1.5~1hrになり、30℃以上は使用不可となります。
3. ウレタン樹脂環境対応型硬化促進剤
硬質ウレタン樹脂の床用塗料は強靭で耐衝撃性、耐擦り傷性、耐摩耗性、耐熱性、耐薬品性、低臭性などに優れています。厨房、食品工場、研究室などの床に使用されます。
この塗料にウレタン樹脂環境対応型硬化促進剤を0.15kg加えた場合、温度0~23℃で使用可能時間は34~20hrとなり、30℃以上は使用不可です。
4. セメント硬化促進剤
セメント25kgに対し、無機系凝固促進剤を0.5kg加えると、外気温1~2℃で、仕上げ押さえまでの時間が、7.5hrから3.5hrまで短縮できます。
硬化促進剤のその他情報
硬化促進剤の使用上の注意
1. 硬化促進剤の適切な選定
使用する接着剤や塗料などに適した硬化促進剤を選定します。エポキシ樹脂やウレタン樹脂など使用する樹脂の種類によって、硬化促進剤が異なります。
2. 使用可能時間
硬化促進剤を添加すると硬化時間が速くなり、使用可能な時間の短縮が可能です。
3. 適正量の添加
硬化促進剤は多く入れれば効果が高くなるわけではありません。適正量を添加する必要があります。量が多いと極端に効果が速くなり、作業性が悪化します。
4. 低温
低温での硬化時間を速くするために、硬化促進剤をを入れることが多くあります。例えば、気温が5℃以下では、硬化促進剤の効果の悪化が顕著です。仕様を良く調べて、対処する必要があります。
参考文献
https://www.mekasys.jp/series/detail/id/HKL_0005
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/223013578034/
https://www.alteco.co.jp/relation/use/
http://www.abysshr.com/mds_accelerator.html