無振動ドリルとは
無振動ドリルとは、従来のドリルのような打撃による穴あけ加工ではなく、ピット部分の回転で穴あけ加工を実現する切削工具のことです。
無振動ドリルの特徴は、打撃が不要であるため、振動や衝撃による騒音が大幅に低減される点にあります。従来のドリルで起こりがちな衝撃による騒音問題が解消され、静かな作業環境の実現が可能です。
また、騒音だけでなく、無振動ドリルは母材への衝撃も抑えるため、欠けや削れが発生しにくくなります。さらに、母材へのダメージが少なくなり、仕上がりのクオリティも向上します。
無振動ドリルは、従来のドリルの問題点を解決し、静かで高品質な穴あけ加工が可能な切削工具として、多くの現場で重宝されています。
無振動ドリルの使用用途
無振動ドリルは、振動や衝撃による騒音が発生しないため、人がいる建物での作業に使用されます。従来の穴あけ加工では、打撃による振動や衝撃と騒音が発生し、作業日時の調整が必要でした。しかし、無振動ドリルを使用すれば、騒音が出ないので、同一建物に人がいても作業がしやすくなります。
特に、オフィスビルやマンション、病院など人が多く集まる建物では、無振動ドリルが有用です。コンクリートの壁面や床面にドリルで穴あけ加工を行う際に、無振動ドリルが重宝されています。
無振動ドリルの原理
無振動ドリルの原理は、先端にダイヤモンドなどの高硬度材料でできたピット部分が高速回転することで穴あけ加工を行っている点にあります。そのため、打撃や衝撃が少なく、振動を抑えることが可能です。
また、ピットが高速回転することで発生する摩擦熱を冷却するため、作業時に水やガスを吹き付けます。そのため、ドリルが焼け付くのを防ぎ、効率的に作業を進めることが可能です。
さらに、押し付ける力を緩和するためにゴム製のプッシュ部分が取り付けられており、振動をさらに抑えられます。また、ピットの大きさを変更することで、加工したい穴の大きさも調整することが可能です。
無振動ドリルは、高速回転するピットと冷却システム、ゴム製のプッシュ部分の組み合わせによって、振動を抑えつつ効率的な穴あけ加工を実現しています。従来のドリルで発生していた騒音や振動の問題を解決し、さまざまな現場で快適に作業が行えるようになりました。
無振動ドリルの種類
無振動ドリルには、主にダイヤモンドコアドリル、カーバイドコアドリル、ハンマードリルの3種類があります。
1. ダイヤモンドコアドリル
ダイヤモンドコアドリルは、先端にダイヤモンドを使用したピットを持つドリルです。硬度の高い材質への穴あけに適しています。コンクリートや石材、タイルなどに効果的に穴を開けることが可能です。また、高速回転と冷却システムにより、振動を抑えつつ正確に穴あけをできます。
2. カーバイドコアドリル
カーバイドコアドリルは、先端にタングステンカーバイドを使用したピットを持ち、一般的な無振動ドリルよりも経済的です。コンクリートやブロック、レンガなどの加工に適しており、ダイヤモンドコアドリルと比較しても優れた耐久性と切削性能を発揮します。
3. ハンマードリル
ハンマードリルは、従来の打撃式ドリルと無振動ドリルの中間に位置するタイプのドリルで、電動または空気圧式で動作します。先端にピットを持たず、代わりに回転と同時に打撃を行うことで穴あけ加工の実現が可能です。
そのため、振動は若干発生しますが、従来の打撃式ドリルよりも振動が抑えられています。主に木材や金属、プラスチックなどの軟らかい素材への穴あけに適しています。
参考文献
https://wis.max-ltd.co.jp/kikouhin/product_catalog.html?product_code=PK90020
http://www.goei-dia.co.jp/images/new/05_35/mizusumashiG1.pdf