ピロボール

ピロボールとは

“ピロボールとは衝撃や振動を吸収するサスペンションやスタビライザーなどの継手と呼ばれる機構に使われてる金属製の部品のことを言います。

ピロボールは別名スフェリカル・ジョイントと呼ばれ、単純な回転や直線的な運動だけではなく多方向への関節のような働きをします。

従来ではサスペンションなどの受け手としてゴムブッシュと呼ばれる部品が使用されますが、強度や性能を高めたい場合にピロボールが用いられることが多くあります。

ピロボールの使用用途

ピロボールが最もよく用いられるのは自動車の足回りのサスペンションやアーム類です。

従来品のゴムブッシュと比較すると制約なく自由に動くことができるために路面からステアリングへ伝わる情報(路面状況など)が増加し、路面をより直接的に感じることができます。

製造業においてもピロボールは使用されており、主に工作機械、繊維機械および包装機械などの制御機構やリンク機構の軸受けとしてに幅広い現場で使用されています。

ピロボールの原理

ピロボールはわずかな容積で大きなラジアル荷重(軸に対して垂直にかかる荷重)と両方向のアキシアル荷重(軸と同一方向にかかる荷重)を同時に負荷することができます。

ピロボールは滑り面の種類により主にインサート形、ダイカスト形と無給油式の3種類があります。

インサート形は球面内輪と親和性のある特殊銅合金ブッシュとの接触、ダイカスト形は球面内輪と特殊亜鉛合金との接触が特徴です。

無給油式は球面内輪と自己潤滑性のある特殊なフッ素樹脂ライナーとの接触により円滑な回転・傾斜運動が可能です。

インサート形・ダイカスト形のピロボールは給油が必要で、定期的に接触面に専用グリスなどで潤滑性を維持させることが必要です。

無給油のままで使用すると摩擦・摩耗が原因で焼き付きのもととなってしまいます。

またそれぞれの形式において、使用環境の許容温度も異なり、インサート形で180度、ダイカスト形で80度、無給油式のもので150度が一般的です。

参考文献
https://www.ikont.co.jp/product/needle/ndl10.html

タップレンチ

タップレンチとは

タップレンチ

タップレンチはタップハンドルとも呼ばれており、手動でネジ穴を切る際に使用する工具です。ネジ穴を開ける際には専用の工具が必要となりますが、この専用工具の一つがタップレンチとなります。

タップレンチは細長い棒状になっており、左右のハンドルに手をかけて回します。中央には四角い穴にタップと呼ばれる細長いドリル状の工具を取り付けてしっかりと固定させます。

タップにはいくつかのタイプがあり、先細りになっているテーパータイプから寸胴のように全体的に径がほぼ同じタイプまであります。テーパーになっているタイプから先に使用していき、寸胴タイプは最終仕上げの際に使用します。

タップレンチの使用用途

タップレンチはネジ穴を切る際のタップを回すことに使用します。ネジ切りは金属加工ではよく行いますので、タップレンチとタップは工具箱に一セットは入っている場合が多いです。

ネジ穴は鉄などそれほど硬くない素材に対しては手動で開けることができます。もちろん、大きなネジ穴を切る際には手の力では難しくなります。

元々あるネジ穴にネジが上手く入らない場合の修理や、金属パーツをネジで接続したい場合など、ネジを使用したい場合にタップと共にタップレンチが使用されています。

タップレンチの原理

ネジ穴を切る作業はかなり難易度が高く、何度も練習しないとネジ穴が微妙に曲がってしまったり、ネジ穴の溝部分がつぶれてしまったりしてしまいます。ネジ穴を上手く開けられる方は金属加工に関してある程度の経験と技術を持っていると言えると思います。

ネジ穴を開ける前にまずはドリルで元となる穴を開けなければなりません。ネジはJIS規格でサイズが決まっていますので、使いたいネジのサイズにより開ける穴が決まります。穴は小さい場合は修正がききますが、ネジよりも穴の方が大きければ失敗となり、もうひとサイズ大きなネジ穴にしなければなりませんので気を付けてください。

穴を開けるとまずは先細りになっているテーパータイプで切っていきます。いきなり仕上げ用のテーパーなしのタップで切ると大抵上手くいきません。最初のガイドとなるネジ穴が穴の入り口に出来なければならないのですが、仕上げ用ですとこのガイドを作ることが非常に難しいので、先細りになっているテーパータイプのタップでガイドを作ります。

タップレンチはゆっくりと回します。半周ほど回したら一度元の位置に戻して再度回して穴を深く開けていきます。この時、潤滑オイルを使用するとタップがより滑らかに回りますので穴を開けやすくなります。

参考文献
https://4-mini.net/custom/screw-tap

ブラインドブラケット

ブラインドブラケットとは

ブラインドブラケットとは、アルミフレームを直角に接続する際に、直角部分にはめ込んで連結するL字形の部品です。

通常のブラケットと異なり、アルミフレームの溝内部にブラケットが隠れるため、アルミフレームの直角部分をすっきりさせたい場合に有効な部品です。板状で許容荷重が高くないという欠点はあるものの、アルミフレームへの追加工も必要なく容易に使用でき、軽量負荷の使用に適した部品と言えます。

ブラインドブラケットの使用用途

アルミフレームは工場や学術研究、一般家庭など幅広く使用されます。

簡単な棚や荷台などの作成に使用することができ、軽量で、十分な強度を兼ね備えています。特に美観を重視する場合には、アルミフレームの接続において、ブラケットがコーナー部分にあるとごつごつした印象を受けることがあります。ブラインドブラケットはブラケットが外から見える位置に現れないため、外見をすっきりさせたい場合に有効です。

ブラインドブラケットの原理

アルミフレームを連結させる場合には、ブラケットと呼ばれる部品が使用されます。

ブラケットはL字形状となっており、直角の両側にそれぞれ一つ以上の穴があり、ボルトを通してナットと締結します。ナットにはネジが切ってあり、予めアルミフレームの溝内部に挿入します。ブラケットとナットを締結することで、アルミフレームを直角に固定することができます。

しかし、アルミフレームの接合箇所にはブラケットを使用しているため、これが邪魔し直角形状は失われます。ブラインドブラケットであれば、薄い板状であり、アルミフレームの溝内部に挿入することができます。通常のブラケットと比べて、コーナー部分をすっきりさせることができます。

アルミフレームに追加工も必要なく、容易に接続することができますが、薄い板で通常のブラケットよりも許容荷重が小さいため、軽量部品の使用に適しています。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/mech/M1500000000/M1501000000/M1501030000/M1501030300/

超硬バー

超硬バーとは

超硬バー

超硬バーは超硬ロータリーバーとも呼ばれており、グラインダーなど回転する機器に取り付けて切削などを行う器具です。超硬バーは超硬合金で出来ており、非常に硬いので、一般的に切削が難しい炭素鋼を削る用途にも使用されます。

超硬バーはシャンクと呼ばれる柄の部分と切削を行う刃の部分からなりますので、使用する際には使用するグラインダーとシャンクのサイズが合致している必要があります。

刃の形状は先細りになっているタイプや球形のタイプなど沢山ありますので、用途に合わせて選択されます。

超硬バーの使用用途

超硬バーは加工品のバリ取りや仕上げ作業などに用いられて、加工品表面を削ることで形状を整えたりします。

特に、一般的なロータリーバーが加工できないような硬い素材に対して切削が出来るので、ステンレスやチタン合金など硬い素材を使用している加工品の仕上げ作業には重宝します。

一方で、刃の形状により削れる素材も変わり、例えばチタン合金を切削できるタイプはクロスカットと呼ばれる溝がクロスするように彫られているタイプの超硬バーとなりますので選択の際には形状と切削可能材質に対して注意が必要です。

超硬バーの原理

超硬バーの刃は刃の形状により大きく分けてスパイラル、クロスカット、アルミカットがあります。スパイラルカットはシングルカット、クロスカットはダブルカットとも呼ばれています。

スパイラルは刃が螺旋状に形成されており単純な形状をしています。クロスカットはスパイラルのように刃が螺旋状に形成されていますが、右回りの螺旋と左回りの螺旋となっていてそれぞれの螺旋がクロスしている形状ですのでクロスカットと呼ばれています。アルミカットの刃はスパイラルと同じ形状なのですが、溝の部分が深くなおかつ広く作られています。これにより溝に切削屑が目詰まりしにくくなりますので、アルミニウムやプラスチック、ゴムなど柔らかい素材の切削に向いています。

また、刃全体の形状も円筒型から砲弾型、円錐型など多種多様にあり、形状ごとに得意とする内容は異なります。例えば円筒形は平面を削りやすくなりますが、先端が丸くないので丸みを帯びている形状の切削には適していません。このため、形状ごとに適切な超硬バーを選択する必要があります。

参考文献
https://sakusakuec.com/shop/pg/1rotarybar/
https://www.muraki-ltd.co.jp/tool/products/tip/rotarybar.html

プラスチックジョイント

プラスチックジョイントとは

プラスチックジョイント

プラスチックジョイントは、パイプ同士を接続する際に使用されるプラスチック製の部品のことです。

DIYなどで棚やテーブルなどを製作する際には、複数のパイプを使う場面があります。

パイプ同士を延長あるいは直角に接続させるときに、プラスチックジョイントは有効です。

取り外し可能なものや、接着剤を注入して強力に固定するものがあります。

プラスチック製であることから軽量であり、防水性もあるため、屋外で使用することも可能です。

プラスチックジョイントの使用用途

プラスチックジョイントは、パイプを使った家具などを製作する際に使用されます。

前述したようなDIYでも広く使用することができるため、車やバイクのガレージ製作や農業用のハウス、家庭用の温室などにも使用されます。

また組み立てが比較的容易であり、持ち運びも容易であることから、アウトドアにおけるキャンプ用のテントやテーブルセットなどの作成にもよく使用されています。

他にも工場において上述した棚やテーブルだけでなく、手押し台車の作成などに使用される例もあります。

プラスチックジョイントの原理

プラスチックジョイントの接続に使用されるパイプは、「イレクターパイプ」と呼ばれます。

複数のイレクターパイプを様々な方向に接続するための部品がプラスチックジョイントです。

イレクターパイプは、スチール製のパイプにプラスチックを被覆したものであるため、防水性があり錆にも強く、屋外でも使用することができます。

そもそもイレクターとは英語のerectに語源を発し、(家などを)建てる、(機械を)組み立てるといった意味があります。

イレクターパイプの直径サイズには大きく28 mm、32 mm、42 mmの3種類があり、好きな直径のパイプを選ぶことができます。

パイプ径に応じて異なるプラスチックジョイントが存在します。またジョイントの色も任意に選ぶことができます。

イレクターパイプとジョイントを固定する際に、専用の接着剤を使用する場合があります。

このとき水や油、ホコリなどが接合面に付着していると、長期使用した場合に腐食や錆の原因となる可能性っがあるため、きちんと拭き取った上で接着する必要があります。

参考文献
https://www.spacio.co.jp/product/joint/plastic.html

チェーンボルト

チェーンボルトとは

チェーンボルトとは、チェーンを使って器具や装置などを吊り上げたいときに使用する固定用の部品です。

片側が雄ネジとなっており、器具などへのネジ止めにより直接固定します。反対側にはヘッドが付いており、そのヘッドには穴が開けられています。この穴をチェーン用の継手リンクを使って固定します。

軸方向に負荷が加わるように接続する必要があります。軸に対して斜め方向、90度方向からの負荷によりボルトが破損する場合があります。 

チェーンボルトの使用用途

チェーンボルトは建築現場や工場などにおいて、チェーンの連結や引張強度を調節するために使用されます。建築現場では作業用の足場を支える際に、チェーンボルトを使用することがあります。

また、自転車やバイク、産業機械や車のエンジンなどにも使用されています。これらはチェーン同士の連結や器具との接続が必要となるため、チェーンボルトの使用は有効です。

チェーンボルトの原理

工場などにおいてチェーンを使って物体を引っ張る際には、チェーンの連結部品が必要となります。

2つのチェーン同士を連結したい場合、ターンバックルを使用します。ターンバックルは元々、ロープやワイヤーなどの張力を調節する用途で用いられるもので、チェーンの引っ張り強度の調整に使用できます。

チェーンボルトは、片側が御ネジであるため (シングルエンドと言います) 、その締め具合に応じてチェーンの引っ張り強度を変化させることができます。また、チェーンボルトは単体でも使用できます。ネジ穴を通じて固定し、ボルトとチェーンを締結することで吊り上げることが可能です。

チェーンボルトの材質は主に鉄やステンレスであり、高荷重への耐性があります。種類によって耐荷重の値も異なり注意が必要ですが、防錆加工が施されたものの方がより高い強度と耐荷重性を備えています。 

参考文献
https://www.monotaro.com/g/00321358/
https://www.tsubakimoto.jp/support/faq/accessory11.html

バックシーラー

バックシーラーとは

バックシーラーとは、主にパンや菓子類、野菜、果物等の商品をポリ袋等の袋に小分けして詰める際に、袋のネック部をテープで封じて固定するために使う機器です。

バックシーラーを使用すれば、簡単にシーリングすることができます。そのため、効率性の向上や人件費の削減につながります。

バックシーラーの使用用途

1. 食品産業

バックシーラーは食品の包装に欠かせない製品です。新鮮な食材や加工食品を包装して鮮度を保ち、外部からの影響を防ぎます。乾燥した食品や冷凍食品、スナック類など、さまざまな食品を安全に包装するために使用されます。

2. 医薬品産業

医薬品や医療機器の包装においても重要な役割を果たしています。薬品や医療用具は衛生的な状態で保管・出荷される必要があり、バックシーラーはその要件を満たすために使用されます。

3. 家庭用品・化粧品

家庭用品や化粧品もバックシーラーで包装されることがあります。美容製品や清潔用品など、様々な商品を封印し、外部からの影響を避けて品質を保つために活用されます。

4. 工業製品

工業製品や工具、部品などもバックシーラーで包装されることがあります。特に小さな部品や小売包装において、密封された包装は保護と効率的な出荷を実現します。

5. 農産物

野菜や果物などの農産物も、鮮度を保つためにバックシーラーで包装されることがあります。適切な包装によって鮮度を維持し、長期間保存することが可能です。

6. その他

電子機器、文房具、衣料品など、さまざまな商品がバックシーラーを使用して包装されています。製品の種類や要件に合わせて異なるタイプのバックシーラーが活用されます。

バックシーラーの特徴

長所

1. 袋詰の作業効率が上がる
バックシーラーを使うことで、袋詰めの作業効率が格段に上がります。手作業での袋詰めは、ビニール袋を押さえながら片手でシールすることになるので、経験が浅いうちは時間がかかります。

バックシーラーを用いれば、簡単かつスピーディーにシールができるので、誰でも簡単に袋詰めが可能です。

2. きれいに仕上がる
バックシーラーを使うと、テープの切り口がきれいに仕上がるため、見栄え良くシールすることができます。手作業で行う場合、テープがくっついたりして見た目が悪くなったり、作業効率が悪くなることも少なくありません。大切な商品を見栄え良く販売するためにも、バックシーラーの使用がおすすめです。

3. 電源なしで簡単に作業ができる
一般的なバックシーラーは電源を必要としません。そのため、用途に合わせて持ち運びでき、好きな場所で作業ができます。また、電源を必要としないため、水回りでも安心して利用することが可能です。

短所

1. ビニール袋の厚みに注意が必要
バックシーラーを使う場合、ビニール袋の厚みがありすぎるとうまくシールできない場合があります。バックシーラーを購入する場合は、対応しているテープの幅だけでなく、袋の厚みについても事前に確認しておくことが必要です。

2. 紙製のテープは切り取り部に詰まることがある
紙製のテープは青果などの袋詰に便利ですが、切り取り部にテープの繊維などが詰まると作業効率が落ちる原因になります。そのため、紙製のテープを使用する場合は特にメンテナンスを行うことが大切です。

バックシーラーの種類

1. 本体

バックシーラーの本体には、錆びにくい素材が使われているものや、紙バックシーリングテープに対応しているものなどがあります。また、カッター付きのものを選べば、シールと同時にナイロン袋の余分な部分のカットが可能です。

2. テープ

バックシーラーに使用されるテープは、PETフィルム製や紙製、セロハン製など、素材によって区別できます。例えば、PETフィルム製のテープは防湿性や耐水性に優れており、青果や食肉加工食品などに適しています。また、紙製のテープは素手でも簡単に開封できるのが特徴です。

バックシーラーが食品に利用される場合には、食品衛生法に適合した素材のテープが用いられています。

3. 重量

バックシーラーには、通常タイプの他に軽量タイプがあります。用途によっては軽量タイプが適している場合もありますが、適度に重量があったほうが作業台からずれる心配がありません。目的に合わせて作業しやすい重量のものを選ぶことが大切です。

バックシーラーの選び方

バックシーラーは、対応しているシールの種類や本体の重量から選ぶのが一般的です。また、軽い力でテープを切れるものやシール後のテープのカールが少ないもの、テープ交換が簡単にできるものなど、製品ごとに細かな特徴があります。購入前にしっかりと検討しておくことが重要です。

バックシーラーの使い方

バックシーラーは、スリット部に袋口を通すことで簡単に素早くシールができます。また、カッター付きの製品であれば、シールした流れで袋口の余分な部分をカットすることも可能なため、作業効率が向上に効果的です。使い方はシンプルなので、経験を問わず誰でも簡単に使えます。

ハンドラッパー

ハンドラッパーとは

ハンドラッパーとは、棒に研磨材 (砥石) を取り付けられた工具です。

手で操作することを前提とした研磨作業のツールであり、主に表面を平滑にし、磨いたり研いだりするために使用されます。製品によっては、ハンドホーンまたはハンドストーンとも呼ばれます。ハンドラッパーを使用することで、高度な研磨および仕上げ作業が可能です。

研磨剤や研磨粒子の選択肢が豊富で、異なる仕上げ効果を得ることができます。また、電動ツールや機械的な研磨装置に比べて低コストで入手できるため、特に小規模な研磨作業において経済的です。

ただし、ハンドラッパーは手動操作に依存するため、大規模で広い表面の研磨には時間と労力がかかります。適切な休憩を取り、過度な疲労を防ぐために注意が必要です。また、ハンドラッパーを効果的に使用するためには、適切な技術と経験が求められます。

ハンドラッパーの使用用途

ハンドラッパーはさまざまな用途で使用されます。以下はハンドラッパーの使用用途です。

1. 金属加工

ハンドラッパーは、金属製品や部品の仕上げまたは研磨に広く使用されます。例えば、鋳造品や鍛造品などの金属表面を平滑に仕上げるのに有用です。

また、溶接の際にできる不要な溶接シームやバリを取り除くためにも使用されます。これにより、溶接部の外観が改善され、強度を向上させることが可能です。

2. 木工

木材の仕上げにおいて、ハンドラッパーは滑らかな表面を実現し、木材の美しさを引き立てます。家具やキャビネットの製作、木製工芸品の仕上げなどに使用されることも多いです。木材のエッジを丸めたり、不要な凹凸を取り除いたりするためにも使われます。

3. 自動車整備

自動車整備において、ハンドラッパーは車体の外部や内部の仕上げに使用されます。特にペイント作業後のクリアコートの研磨に重要です。キズの修復にもハンドラッパーが活用され、車体の外観を改善します。

4. 石工

石材の研磨や仕上げにおいて、ハンドラッパーは精密な作業に使用されます。表面の平滑化や模様の追加などに利用される場合も多いです。建築物や記念碑の石材仕上げにも使用され、美しい装飾部分を生み出します。

ハンドラッパーの原理

ハンドラッパーは研磨や研磨作業を行うための手動工具です。研磨面には、研磨剤または研磨粒子が付着しています。これらの粒子は硬く、対象の表面に摩擦を生じることで削り取る仕組みです。研磨剤の選択は研磨作業の性質や対象材料に応じて異なります。

ハンドラッパーを対象の表面に当て、適切な圧力をかけて摩擦を生じます。この摩擦力により、研磨剤が対象の表面を削り取り、平滑にする作業が可能です。

研磨剤が対象の表面に対して働くことで、表面の不均一さや傷または汚れなどが削り取られます。これにより、表面が平滑に仕上げられ、所望の仕上げ面を得ることが可能です。

ハンドラッパーの選び方

ハンドラッパーを選ぶ際に、考慮すべき重要な要素がいくつか存在します。以下は重要な選定要素です。

1. 粒度

粒度は砥石の粗さを示す数値です。粒度が高くなればなるほど細かい仕上がりになります。粗仕上げにはおよそ粒度〜#240が使用され、普通仕上げには〜粒度#300程度が使用されます。精密仕上げには粗度#400〜を使用し、用途に応じて使い分けが可能です。

2. 研磨剤種類

研磨材に使用されている粒の結晶は、代表的なものにボロンカーバイトという炭化ホウ素があります。ボロンカーバイトは最も硬い物質とされているダイアモンドや立方晶窒化ホウ素に次ぐ硬さの素材です。モース硬度で9.497となります。

より精密な仕上がりやより硬い工具などの手入れ・調整を行いたい場合には、ダイアモンドが使用されます。その他には、アルミナやセラミックが使用されることも多いです。

3. 柄の長さ

ハンドラッパーのハンドル長さは、操作性と作業者の快適さに影響を与えます。一般的に、長いハンドルを持つハンドラッパーは作業者が大きなエリアを研磨するのに有利です。狭いスペースや細部へのアクセスが必要な場合、短いハンドルを持つコンパクトなハンドラッパーが適しています。

参考文献
https://www.monotaro.com/s/c-25338/attr_f4642-1000/

プランマブロック

プランマブロックとは

プランマブロック_図0

プランマブロック (英: Plummer Block) とは、自動調心玉軸受もしくは自動調心ころ軸受を、専用の軸受箱 (ハウジング) に組み込み、軸貫通部に軸封用のシールを取り付けた軸受組立品です。

プランマブロックは JIS B0104 転がり軸受用語では、「軸受中心軸に平行な支持面に取り付けるためのボルト穴付きの取付座をもつハウジングと、ラジアル軸受とから構成されている組立品」と定義されています。

軸受箱の呼び番号は軸径で決まり、組み込む軸受は自動調心玉軸受か自動調心ころ軸受を選択可能で、軸受箱と軸受は異なるメーカーでも互換性があります。

プランマブロックの使用用途

プランマブロック_図1

図1. プランマブロックの使用例 (ターボファンの軸受)

プランマブロックは、軸受 (ベアリング) で回転軸を支持するために、機械や装置に軸受を収納する構造ができない場合などに使用します。機械や装置を貫通する回転軸の両端に、2個のプランマブロックを設置して使用するのが一般的です。

使用する周囲環境が、粉塵の多い場所や屋外で風雨にさらされる場所でも確実に回転運動を支持できます。また、機械や装置に直接組み込まずに使用可能で、軸受の交換も容易でメンテナンス性に優れています。

なお、プランマブロックの使用に考慮される事項として、下記のような特徴があります。

  • 種類が豊富
  • 最適化設計により軽量で高強度に対応可能
  • テーパ穴用軸受とアダプタを使用して任意の軸位置に取り付けが可能
  • 転がり軸受用ナットを使用して円筒穴軸受を段付き軸に取り付けが可能

プランマブロックの原理

プランマブロック_図2

図2. 固定側と自由側

プランマブロックのハウジングに組み込むことができる軸受は、自動調心玉軸受もしくは自動調心ころ軸受で、分類としてはラジアル軸受です。したがって、主にラジアル荷重 (軸中心線方向の荷重) が軸受にかかる場合に使用しますが、ある程度のスラスト荷重 (軸中心線と垂直方向の荷重) にも対応しています。

使用方法としては、図2のような固定側と自由側の使い分けが必要です。位置決め輪 (ガイドリング)を組み込み軸受の外輪を固定する使用方法が「固定側」、位置決め輪を組み込まない使用方法が「自由形」です。一般的に、一方は自由側、他方は固定側とすることで、ベアリングの調心性や対応性を発揮することができます。

ただし、固定側と自由形の選定と組み合わせは、機械や装置の設計要件によって変わります。

プランマブロックの構造

プランマブロック_図3

図3. プランマブロック (分割形) の構造

プランマブロックは図3のように、軸受箱 (ハウジング) 、軸受 (ベアリング) 、軸封 (シール) の構成による構造です。

1. 軸受箱 (ハウジング)

軸受箱は下記2つの構造があります。

分割形 (標準形)

プランマブロック_図4

図4. 分割形軸受箱

分割形は汎用的な軸受箱の種類で、上下2分割式でボルトによって締結し固定する組み立て式です。軸受箱中央に軸受を組み込み、左右には軸封用シールを取り付ける溝が加工されています。

使用する軸受は、自動調心玉軸受、自動調心ころ軸受のどちらでも選択可能で、円筒穴、テーパ穴用のどちらもが可能です。また、プランマブロックの両側軸貫通部が解放された「軸貫通形」と片側をキャップで封止した「軸端側」の使い分けができます。

一体形

プランマブロック_図5

図5. 一体形軸受箱

一体形は、軸受箱は一体で製作されていて、軸受箱左右に軸受を固定するためのカバーをボルトで締結し、固定する組み立て式です。軸受箱が一体となっているので加工精度と剛性が高く、軸径の大きな場合に使用されます。分割形と同様に、自動調心玉軸受、自動調心ころ軸受のどちらでも使用も可能です。

カバーは2種類あり、両側軸貫通部が解放された「軸貫通形」と、片側の貫通穴のない「軸端側」です。一体形には、軸受箱左右に取り付け用スライド溝付きのテークアップ形があり、プランマブロック取り付け後に軸心調整のため移動することができます。

2. 軸封 (シール)

プランマブロックは、軸受箱内に潤滑剤としてグリースなどを充填して使用します。そのため、軸貫通部から潤滑剤が漏洩しないよう軸封が必要で、下記2種類が軸封用シールです。

  • 接触シール
    ゴムシール、フェルトシール、スプリング付きゴムシール
  • 非接触シール
    ラビリンスシール

プランマブロックのその他情報

1. プランマブロックの規格

プランマブロックに関する規格を下記に示します。

  • JIS B1551 転がり軸受-プランマブロック軸受箱 Rolling bearings-Plummer block housings
  • ISO 113 Rolling bearings-Plummer block housings

2. プランマブロックの材質

下記は、一般的にプランマブロックの軸受箱に使用される材質です。

  • JIS G5501 ねずみ鋳鉄品 FC200
  • JIS B5502 球状黒鉛鋳鉄品 FCD450
  • JIS G5101 炭素鋼鋳鋼品 SC450
  • JIS G3201 炭素鋼鍛鋼品 SF340A

3. プランマブロックとピローブロックの違い

他に、プランマブロックと同じような形状で使用方法の軸受組立品には、ピローブロックがあります。どちらも軸受箱と軸受を組み立てて使用しますが、いくつかの相違点があります。

プランマブロックは、軸受単体の取り換えが可能ですが、ピローブロックは軸受単体の取り換えができないため全体で取り換えが必要です。

その他には、下記のように適用に違いがあります。

  プランマブロック ピローブロック
支持できる荷重 大きな荷重 比較的小さな荷重
対応する軸径 大口径 小口径
対応できる回転 高速回転 低速回転

 

参考文献
https://www.nisshinkoki.jp/1626/
http://www.toho-plummer.co.jp/product/block.html
https://www.nisshinkoki.jp/2117/
https://www.nisshinkoki.jp/1657/
http://www.toho-plummer.co.jp/product/block.html

デジタルアイソレータ

デジタルアイソレータとは

デジタルアイソレータとは、デジタル信号の送受信間を絶縁するための機器です。

電気回路において「絶縁」は非常に重要であり、機器がショートしたり破損したりするのを防いでくれます。また、必要な部分がしっかりと絶縁されていることで他の場所に電流が流れず、ノイズを除去し正常な信号を送ることに役立ちます。

さらに、デジタルアイソレータは長寿命な上、消費電力が少ない点から、様々な機器への応用が期待されている電子機器です。

デジタルアイソレータの使用用途

デジタルアイソレータは電子回路中において、絶縁が必要となる装置に広く使われます。まず、装置の中で電圧の差が大きい産業機械です。大きな電圧を必要とする電源部分や大規模なモーターと小さな電圧で作動する部分が近い位置にある場合、電圧の差が大きい場所において絶縁しなければなりません。

これは低電圧で動作する部分に高電圧が印加されてしまうことによって破損するのを防ぐためです。次にレントゲンやAEDなどの医療機器にも用いられます。これらの医療機器は手にとって使用する場合が多く、外部に電流が流れ出して感電してしまうのを防ぐためです。

自動車では電気自動車やハイブリッド車など、高電圧電源が使用される車において、ECUなどの車載機器を保護のために搭載されています。

デジタルアイソレータの原理

デジタルアイソレータには「磁気絶縁方式」と「容量絶縁方式」の二種類の方式があります。

1. 磁気絶縁方式

磁気絶縁方式のデジタルアイソレータは、送信側と受信側にそれぞれコイルを用いています。送受信において、コイルを使うことによって、電気信号と磁気エネルギーの変換を行っています。

高速で対応できますが、速度が早くなるほど消費電流が増大してしまうのがデメリットです。また、ノイズ特性は次の容量絶縁式と比べると劣ります。

2. 容量絶縁方式

コンデンサを用いたデジタルアイソレータです。送受信において、コンデンサを使うことで電気信号を充電と放電という形に変換しています。容量絶縁方式は特にノイズ特性に優れており、磁気絶縁方式同様に高速で使用可能です。また、消費電流は速度とは関係なく、むしろ低速では不利になります。

どちらの方式も長寿命で高速で使用することができるという利点があり、以前までのアイソレータと比べて優秀な性能を持っています。しかし、デジタルアイソレータが対応できるのはデジタル信号のみであり、アナログ信号に対応していない点が唯一の短所です。

デジタルアイソレータの構造

磁気絶縁方式のデジタルアイソレータの構造は、ポリイミドというスーパー・エンジニアリング・プラスチックの中に、二つのコイルが並べられています。一方のコイルにパルス電流を流し小さな局部的磁界が発生することによって、もう1つのコイルに電流を発生させる構造です。

容量絶縁方式のデジタルアイソレータは、薄い二酸化ケイ素 (SiO2、シリカ) を絶縁層に持つコンデンサの構造になっています。

デジタルアイソレータの特徴

デジタルアイソレータは、従来の光アイソレータに対して以下のような優れた特徴があります。

1. 絶縁耐力が大きい

デジタルアイソレータは、大きな絶縁耐力を持っているのが特徴です。光アイソレータの絶縁体力は1~20Vrms/μmですが、磁気絶縁方式のデジタルアイソレータの絶縁耐力は300Vrms/μm、容量絶縁方式なら500Vrms/μmと、光アイソレータに対して10~200倍以上の絶縁耐力があります。

2. 高寿命であること

デジタルアイソレータには、高寿命であるという特徴があります。光アイソレータの寿命が10年程度であるのに対して、デジタルアイソレータの寿命は25年以上と言われています。

3. 対応速度が速い

光アイソレータによる信号の絶縁は20Mbps程度までですが、デジタルアイソレータは150~200Mbpsと、10倍程度の速度まで対応できます。

4. 低い消費電流

デジタルアイソレータは、消費電流を低く抑えることが可能です。特に、容量絶縁式は速度によらず消費電流を抑えることができます。

参考文献
https://www.marubun.co.jp/service/maxim/a7ijkd000000h0xl.html
https://contents.zaikostore.com/semiconductor/2464/