プランマブロックとは
プランマブロック (英: Plummer Block) とは、自動調心玉軸受もしくは自動調心ころ軸受を、専用の軸受箱 (ハウジング) に組み込み、軸貫通部に軸封用のシールを取り付けた軸受組立品です。
プランマブロックは JIS B0104 転がり軸受用語では、「軸受中心軸に平行な支持面に取り付けるためのボルト穴付きの取付座をもつハウジングと、ラジアル軸受とから構成されている組立品」と定義されています。
軸受箱の呼び番号は軸径で決まり、組み込む軸受は自動調心玉軸受か自動調心ころ軸受を選択可能で、軸受箱と軸受は異なるメーカーでも互換性があります。
プランマブロックの使用用途
図1. プランマブロックの使用例 (ターボファンの軸受)
プランマブロックは、軸受 (ベアリング) で回転軸を支持するために、機械や装置に軸受を収納する構造ができない場合などに使用します。機械や装置を貫通する回転軸の両端に、2個のプランマブロックを設置して使用するのが一般的です。
使用する周囲環境が、粉塵の多い場所や屋外で風雨にさらされる場所でも確実に回転運動を支持できます。また、機械や装置に直接組み込まずに使用可能で、軸受の交換も容易でメンテナンス性に優れています。
なお、プランマブロックの使用に考慮される事項として、下記のような特徴があります。
- 種類が豊富
- 最適化設計により軽量で高強度に対応可能
- テーパ穴用軸受とアダプタを使用して任意の軸位置に取り付けが可能
- 転がり軸受用ナットを使用して円筒穴軸受を段付き軸に取り付けが可能
プランマブロックの原理
図2. 固定側と自由側
プランマブロックのハウジングに組み込むことができる軸受は、自動調心玉軸受もしくは自動調心ころ軸受で、分類としてはラジアル軸受です。したがって、主にラジアル荷重 (軸中心線方向の荷重) が軸受にかかる場合に使用しますが、ある程度のスラスト荷重 (軸中心線と垂直方向の荷重) にも対応しています。
使用方法としては、図2のような固定側と自由側の使い分けが必要です。位置決め輪 (ガイドリング)を組み込み軸受の外輪を固定する使用方法が「固定側」、位置決め輪を組み込まない使用方法が「自由形」です。一般的に、一方は自由側、他方は固定側とすることで、ベアリングの調心性や対応性を発揮することができます。
ただし、固定側と自由形の選定と組み合わせは、機械や装置の設計要件によって変わります。
プランマブロックの構造
図3. プランマブロック (分割形) の構造
プランマブロックは図3のように、軸受箱 (ハウジング) 、軸受 (ベアリング) 、軸封 (シール) の構成による構造です。
1. 軸受箱 (ハウジング)
軸受箱は下記2つの構造があります。
分割形 (標準形)
図4. 分割形軸受箱
分割形は汎用的な軸受箱の種類で、上下2分割式でボルトによって締結し固定する組み立て式です。軸受箱中央に軸受を組み込み、左右には軸封用シールを取り付ける溝が加工されています。
使用する軸受は、自動調心玉軸受、自動調心ころ軸受のどちらでも選択可能で、円筒穴、テーパ穴用のどちらもが可能です。また、プランマブロックの両側軸貫通部が解放された「軸貫通形」と片側をキャップで封止した「軸端側」の使い分けができます。
一体形
図5. 一体形軸受箱
一体形は、軸受箱は一体で製作されていて、軸受箱左右に軸受を固定するためのカバーをボルトで締結し、固定する組み立て式です。軸受箱が一体となっているので加工精度と剛性が高く、軸径の大きな場合に使用されます。分割形と同様に、自動調心玉軸受、自動調心ころ軸受のどちらでも使用も可能です。
カバーは2種類あり、両側軸貫通部が解放された「軸貫通形」と、片側の貫通穴のない「軸端側」です。一体形には、軸受箱左右に取り付け用スライド溝付きのテークアップ形があり、プランマブロック取り付け後に軸心調整のため移動することができます。
2. 軸封 (シール)
プランマブロックは、軸受箱内に潤滑剤としてグリースなどを充填して使用します。そのため、軸貫通部から潤滑剤が漏洩しないよう軸封が必要で、下記2種類が軸封用シールです。
- 接触シール
ゴムシール、フェルトシール、スプリング付きゴムシール - 非接触シール
ラビリンスシール
プランマブロックのその他情報
1. プランマブロックの規格
プランマブロックに関する規格を下記に示します。
- JIS B1551 転がり軸受-プランマブロック軸受箱 Rolling bearings-Plummer block housings
- ISO 113 Rolling bearings-Plummer block housings
2. プランマブロックの材質
下記は、一般的にプランマブロックの軸受箱に使用される材質です。
- JIS G5501 ねずみ鋳鉄品 FC200
- JIS B5502 球状黒鉛鋳鉄品 FCD450
- JIS G5101 炭素鋼鋳鋼品 SC450
- JIS G3201 炭素鋼鍛鋼品 SF340A
3. プランマブロックとピローブロックの違い
他に、プランマブロックと同じような形状で使用方法の軸受組立品には、ピローブロックがあります。どちらも軸受箱と軸受を組み立てて使用しますが、いくつかの相違点があります。
プランマブロックは、軸受単体の取り換えが可能ですが、ピローブロックは軸受単体の取り換えができないため全体で取り換えが必要です。
その他には、下記のように適用に違いがあります。
プランマブロック | ピローブロック | |
支持できる荷重 | 大きな荷重 | 比較的小さな荷重 |
対応する軸径 | 大口径 | 小口径 |
対応できる回転 | 高速回転 | 低速回転 |
参考文献
https://www.nisshinkoki.jp/1626/
http://www.toho-plummer.co.jp/product/block.html
https://www.nisshinkoki.jp/2117/
https://www.nisshinkoki.jp/1657/
http://www.toho-plummer.co.jp/product/block.html