グリースガン

グリースガンとは

グリースガン

グリースガン (英: Grease gun) とは、潤滑剤であるグリースを機械や装置の部品に塗布するために使用される工具です。

グリースガンは一般的に手持ちのポンプまたは圧縮空気を使用してグリースを容器から押し出し、部品に注入する機構を備えています。グリスガンまたは注油器とも呼ばれます。グリースは機械の摺動部を円滑に動作させ、摩擦を緩和させるために使用する潤滑油です。

液状潤滑剤に増稠剤を添加し均一に混合させ、半固体状とした製品が一般的です。グリースガンを使用することで、グリースを簡単かつ正確に部品に供給することができます。グリースを直接部品に塗る場合よりも、効率的で均一な塗布が可能です。

また、必要な量のグリースを正確に部品に供給するため、無駄な浪費を防止します。適切な量のグリースを使用することで、コストの節約も可能です。

グリースガンの使用用途

グリースガンは、さまざまな機械の注油に使用される治具です。一般的には回転機器のベアリングなどに対して、グリースを塗布する目的で使用されます。以下はグリースガンの使用用途一例です。

1. 産業機械

自動車の部品や車両の潤滑に広く使用されます。ボールジョイント、車軸、ホイールベアリング、サスペンションなど、さまざまな部品にグリースを供給するために使用されます。特に、自動車整備や自動車製造業界では一般的な治具です。

また、工業用搬送設備には歯車が使用されます。歯車の歯面や歯車ボックス内の歯車機構にグリースを塗布することで、摩擦や摩耗を軽減することが可能です。

2. 建設機械

建設業に使用される重機においても、グリースガンを使用することが多いです。クレーン、ショベル、ブルドーザーなどの重機がその一例です。グリースガンを使用して関節部やブッシュなどにグリースを供給し、機械の動作を滑らかに保ちます。

3. 農業機械

農業機械やトラクターの部品にもグリースが必要です。トラクターの車軸、ベアリング、ジョイントなどにグリースガンを使用して潤滑剤を供給します。

グリースガンの原理

グリースガンの基本的な原理はポンプ機構を使用してグリースを押し出し、部品に供給することです。グリースガンの容器には、グリースを充填するためのカートリッジや缶が入れられます。グリースの容量も80gから500gまでさまざまです。

カートリッジタイプはグリースを交換する際に手が汚れにくい一方、高価な場合があります。グリースガンには、グリースを押し出すポンプが備わっています。駆動源は手動や電動・空気圧駆動などさまざまです。ポンプを操作することでグリース容器内に圧力がかかり、グリースがポンプヘッド方向に進みます。

グリースはノズルから部品に供給されます。ノズルは細長い形状であり、部品へのアクセスが容易になるように設計されていることが多いです。ノズルを部品に接触させることで、グリースが部品表面に塗布されます。

グリースガンの種類

グリースを簡単にセット可能なカートリッジタイプや先端のノズルが曲がるフレキシブルタイプ、手動式、充電式、エアー式などさまざまな種類が存在します。

1. カートリッジタイプ

あらかじめグリースが封入されたカートリッジを使用するグリースガンです。一般的に手動式ポンプを備えており、ポンプ操作によってグリースが押し出されます。簡単にグリースを補充できる点が特徴です。

2. フレキシブルタイプ

柔軟なホースやノズルが取り付けられたグリースガンです。狭いスペースや難しい位置へのアクセスが可能です。ホースの長さやノズルの形状は異なる場合があり、作業のニーズに合わせて選択できます。

3. 手動式

ポンプハンドルを手動で操作することでグリースを押し出すグリースガンです。ポンプハンドルを上下させることで圧力が生み出され、グリースが供給されます。シンプルで使いやすく、小規模な作業に最適です。

4. 充電式

内蔵されたバッテリーを使用して動作するグリースガンです。モーターによってグリースを押し出すため、手動操作が不要です。電源供給が不要なため移動性が高く、大量のグリース供給に適しています。

5. エアー式

圧縮空気を使用してグリースを押し出すグリースガンです。空気圧でグリースを供給するため、効率的に大量供給が可能です。高い圧力を生成できるので、重負荷や遠距離への供給に適しています。

参考文献
https://ktc.jp/catalog/index-category/category-list?pcategory=213&ccategory=107
https://www.fujiwarasangyo-markeweb2.com/DispCate.do
https://www.orange-book.com/ja/c/search/result.html
https://www.yamadacorp.co.jp/products/a2-b03/

クリーンローラー

クリーンローラーとは

クリーンローラーとは、板状あるいはシート状の製品から塵やほこりなどの異物を取り除くための回転ローラーです。

基板などの板状の製品や紙・プラスチックなどのシート状の製品はロールを用いて搬送される場合が多いですが、クリーンローラーを使用することでロール搬送ラインから取り外すこと無くインラインで異物の除去を行うことが可能となります。

非接触式の除塵方法と比較して、強固に付着した異物も除去できる点に優れています。

クリーンローラーの使用用途

クリーンローラーは板状製品のロール搬送やシート状製品のローラー搬送(ウェブハンドリング)における除塵システムとして使用されています。

板状製品の例としては電子基板のクリーニング用途、シート状製品の例としては紙製品や樹脂製品などが挙げられます。

クリーンローラーはロールに付着した異物を最終的には粘着製のロールによって捕集するため、使用に際して発塵することが少なく、クリーンルーム内でも多く採用されています。

クリーンローラーの原理

クリーンローラーは製品から塵やほこりなどの異物を付着させることによって補修するクリーンロールと、クリーンロールからさらに異物を転写する粘着ロールによって構成されています。確実に異物を捕集するためにどちらのロールも吸着性・粘着性を有しており、粘着ロールの方が吸着力が大きく設定されています。

これらのロールは一定量使用した後に、最外面のシートを剥がして内側の新しい粘着部分を使用できるようになっており、定期的に最外面を剥がすことによる異物の回収や粘着ロールの交換を実施する必要があります。この交換頻度は粘着ロールを大径化することによって下げることができます。

クリーンローラーは圧縮エアで吹き飛ばす方式や集塵ノズルで吸引する方式と比較して、接触式の除塵システムであるため静電気によって強く付着したほこりなども確実に辞去することができるメリットがあります。一方で、傷が付きやすい材料など繊細な製品に対しては、クリーンローラーが接触する事による品質劣化の可能性があるため、非接触式の除塵システムが優れます。

参考文献
https://www.tanimura.biz/catalog/clean_transfertape.html

オゾン水生成装置

オゾン水生成装置とは

オゾン水生成装置

オゾン水生成装置とは、空気や純水、酸素ガスを原料として水中に低濃度のオゾンを生成させる装置です。

オゾンは酸化力が高く、汚れの除去、雑菌や微生物の除去、さらには半導体用シリコンウェハの洗浄にも使うことができます。原料が安価、金属不純物が入り込みにくい、操作が簡便、立ち上げ後すぐに使用できるなどの理由から医療、食品、飲食、半導体など様々な業界で使用されています。

オゾン水生成装置の使用用途

オゾンは強力な酸化剤であり、汚れの原因である化合物を分解したり、雑菌や微生物を除去したりすることができます。そのためオゾン水生成装置は殺菌、脱臭、ぬめりの除去などを目的として食品、飲食、医療など業界で用いられます。また、オゾン濃度を高めることで有機物の分解のみならず金属の除去や有機膜のエッチングを行うことができるため半導体や液晶、太陽電池などの業界でも用いられます。

なお、オゾン水には金属不純物が含まれないという点も半導体、液晶業界で用いられる理由の一つです。

オゾン水生成のその他の情報

1. オゾン水生成の原理

オゾン (O3) の原料には水や水蒸気、もしくは酸素ガスが用いられます。水を原料として用いる場合は、水に高電圧を印加させて電気分解を起こし、水中に微量のオゾンを生成させます。通常の水の電気分解では酸素と水素が生成しますが、電圧を上げることでオゾンも生成させることができます。

酸素ガスをオゾンの原料とする場合は酸素ガスに高電圧を印加します。高電圧を印加することで酸素分子(O2)は酸素原子(O)に分解し、分解した酸素原子が酸素分子と結合することでオゾンが生成します。

 陽極
 2H2O → O2 + 4H+ + 4e
 3H2O → O3 + 6H+ + 6e

 陰極
 6H+ + 6e → 3H2

2. オゾン水生成装置の特徴

半導体業界で用いられる塩酸アンモニアなどの薬品は高純度であるため、比較的高価です。一方でオゾン水の原料は純水や酸素ガス、空気であるためコストは比較的安めです。また、オゾン濃度を変更したり大量のオゾン水を生成できる装置など、用途に応じた多様な装置が販売されています。

なお、オゾンは比較的不安定な物質であるため長期保管には適さず、使用するたびに装置を稼働させてオゾン水を生成させます。ただし装置を立ち上げてから実際に使用するまでの待機時間は短いため、実際に使用する際には問題になりません。

3. 医療業界におけるオゾン水生成装置の利用

上記の通り、オゾン水生成装置は医療業界でも用いられています。例えばウイルスや細菌の除去に用いられます。通常、ウイルスなどの対策としては薬剤を用いますが、使用期間が長くなるほど、薬剤耐性を有するウイルスが新たに発生する可能性が高まります。一方でオゾンは細菌やウイルスのDNAを直接破壊するため、耐性を持ちにくく、病原体の除去に適しています。

また、装置で生成されるオゾン水に含まれるオゾンの濃度は非常に小さく、使用後は直ちに分解して酸素分子に変換されるため人体への影響はありません。さらに、オゾン水に含まれるのは水、酸素、微量のオゾンだけであるため、種々の薬品が含まれる排水に比べて使用後の排水も容易、低費用で処理することができます。しかも、オゾン水生成装置は操作方法も簡単であるため、専門性が異なる現場の担当者も日常的に使うことが可能です。

参考文献
https://www.sat.co.jp/product/ozonegw/sat-w.php
https://www.mtk-2.com/product-info/ozone_generator.html
https://www.hamanetsu.co.jp/products/clean/how/
https://ozone-plus.com/magazine/nosocomial-infection/
https://www.teco.co.jp/wp/topix/2962

https://www.ozon-uv.com/ozon-water/ow-carrie-pat.htm

エッジワイズコイル

エッジワイズコイルとは

エッジワイズコイルとは、導体である電線の断面が長方形の平角線を用いて作られたコイルです。

通常の断面が丸の電線をボビンに巻いたコイルとは異なり、コイルの大きさと形に合わせた薄板を加工したものを積層して螺旋状に電流が流れるような構造をとっています。そのため、フィンが積層されたような見た目をしています。

エッジワイズコイルの使用用途

エッジワイズコイルは、電子回路ではDCDCコンバーターなどに利用され、スイッチング回路でエネルギーを一時的に溜めておくコイルとして利用されています。 製品としては、電源アダプターユニット、DCDCコンバーターユニット、インバーターユニット、充電器、モータードライバーユニット、ジェネレーターユニット、モーターユニットなどです。

比較的大きな電力を取り扱うものに利用され、電力関連事業や自動車関連事業向けなどに様々な製品がつくられています。パワーエレクトロニクスの分野で使用される例が多く、10Aを超えるような大電流を必要とする回路でのインダクターやモーターユニット、ジェネレーターユニットなどの電磁石のような用途で使用されます。

エッジワイズコイルの原理

大きな電力を扱う回路に必要とされるコイルには、大きな電流を流すことが求められます。コイルに電流を増やすには、巻き線の電線の断面積を増や差なければなりません。

式: L = (A×4π2×μs×a2×N2) ÷ b (bはコイルの長さ)

ソレノイドコイルのインダクタンスの計算式に示されるように、高いインダクタンスを得るには計算上の分母となるコイルの長さの値を小さくする必要があります。つまり、全長が短いコイル程、高いインダクタンスが得られるということです。

そこで、エッジワイズコイルでは巻き線である電線に平角線を用いることで断面積を増やしつつコイルの長さを抑えて高いインダクタンスを実現しています。

エッジワイズコイルの構造

エッジワイズコイルは、線を螺旋状に圧延した構造をしています。そのため、従前の巻き線によるコイルでは必須であった巻き取り用のボビンが不要な場合があり、従前ではボビンのラインナップによる制限を受けて作ることができなかったようなコイルでも製作できる可能性がある点が特徴です。

仮に従前のように巻き取り用のボビンを使う方法で、ボビンの既製品ではないボビンを必要とするコイルを作ろうとした場合、専用のボビンを設計して金型を起こすなど非常に多くの手間とコストが必要になります。しかし、ボビンそのものが不要であるため、これらの手間やコストを掛けることなくコイルの開発が可能です。開発や設計の自由度の面から見ても、エッジワイズコイルは非常に魅力的なデバイスと言えます。

エッジワイズコイルの選び方

エッジワイズコイルのラインナップとしては、取り扱いメーカーによって既製品としてのラインナップもありますが、取り扱いメーカによってはカスタムでの対応も可能です。既製品のラインナップでは大電流に対応したものが多く、パワー系の製品開発に適した製品構成になっています。

業界的なラインナップが充実していて、10Aを超えるような電源回路のインダクタンスなども豊富です。他方でカスタム品での対応では電気的な性能はもちろんのこと、大きさや形状など任意の要求を問い合わせることで臨機応変に応えてくれる可能性があります。

エッジワイズコイルのその他情報

エッジワイズコイルの利点

エッジワイズコイルの利点は、インバーター回路などで電気的な設計上の自由度が増すことです。同じ断面積の丸の断面をした電線で巻いたソレノイドコイルよりもソレノイド形状の長さを短くできるため、高いインダクタンスが得られます。また、ジェネレーターユニットやモーターユニットでは大電力化や小型化、放熱性能などで設計に貢献できることも利点の一つです。

参考文献
http://www.uratani-eng.com/ejjiwaizukoiru.html

エアインパクトレンチ

エアインパクトレンチとはエアインパクトレンチ

エアインパクトレンチとは、ボルトやナットを締結する、あるいは緩めるために使用されるインパクトレンチのうち、圧縮空気により駆動する工具です。

エアインパクトレンチの駆動源は外部から供給される圧縮空気であるため、同じサイズの電動のインパクトレンチと比較して大きなパワーを発揮できるのが特徴です。

エアインパクトレンチを使用することで、一定の力で素早くネジやナットの締結を行えます。作業の効率化や組み立て品質の均一化が実現可能です。

エアインパクトレンチの使用用途

エアインパクトレンチは、ネジやナットを締結するために使用されます。特に自動車の組み立てラインに代表される組み立て工場では、いかに短時間で組み立てを完了できるかが生産能力に直結するため、小型で扱いやすく瞬時に締結作業を完了できるエアインパクトレンチが重用されています。

また、これらの工場では各種生産設備のためのユーティリティとして、コンプレッサから圧縮空気が工場全体に供給されているため、新たな動力源を用意しなくてもポートを接続するだけでエアインパクトレンチの使用が可能です。

エアインパクトレンチの原理

エアインパクトレンチの内部は、圧縮空気を回転力に変換するエアモーターと、エアモーターに接続されたハンマー、出力回転部にあたるアンビルの3点構成です。締結するネジの形状やサイズに応じたソケットと呼ばれる工具をアンビルに取り付けて使用します。

入力ポートを圧縮空気と接続しスイッチを握ると、圧縮空気によってエアモーターとハンマーが勢いよく回転します。ハンマーは一定の回転量でアンビルに設けられた突起と衝突しますが、衝突後もハンマーはアンビルよりも高速で回転し続けることが可能です。

ハンマーは繰り返しアンビルに衝突するため、この衝撃力でネジやナットが締め付けられます。

エアインパクトレンチの選び方

エアインパクトレンチを選ぶ際に気をつけるポイントは、以下の4点です。

  1. 本体の形状
  2. 最大トルクや最大締結能力
  3. ソケットの差し込み角 (角ドライブ) 
  4. 空気消費量や使用空気圧

エアインパクトレンチは機種によって発揮される最大トルクや最大締結能力、空気消費量などが異なるため、使用するネジの径や供給される圧縮空気の最大流量に応じて適切な機種を選定する必要があります。

1. 本体の形状

ピストルタイプ
もっとも一般的なのがピストルタイプです。電動ドリルと同じような握りやすいグリップで、幅広い作業に対応できます。種類が豊富なため、ニーズに合わせた機種を選べます。

Dハンドルタイプ
Dハンドルタイプは、大型車両や機械の整備によく使われます。グリップがD型になっており、さらにサイドにもグリップが付いています。両手でしっかりと握れるため、高トルクでも安定した作業が可能です。

ストレートタイプ
製造業の組み立て工程などで多く使用されているのがストレートタイプです。作業対象に合わせて、持ち方を縦方向でも、横方向でも自由に変えられる特徴があります。

アングル (コーナー) タイプ
アングル (コーナー) タイプは、狭いところや奥まったところにあるネジでも対応できます。車やバイクの整備のほか、農機具の爪交換などにもよく使われます。

2. 最大トルクや最大締結能力

エアインパクトレンチは、小型のものから大型のものまで性能に幅があります。作業対象に要求されるトルクやネジの大きさに適合する製品を選ぶことが必要です。小さすぎるのはもちろん、大きすぎてもいけません。

3. ソケットの差し込み角 (角ドライブ)

本体に装着するソケットの差し込み角 (角ドライブ) は、9.5sq、12.7sq、19.0sq、25.4sq、38.0sqの5サイズがあります。それぞれ適合するネジの範囲が異なるため、選定の際は注意が必要です。

4. 空気消費量

エアインパクトレンチは、適切な圧縮空気を供給しなければ、正しく性能を発揮できません。コンプレッサーの能力と、製品の空気消費量や使用空気圧が合っているか確認する必要があります。

参考文献
https://www.bildy.jp/mag/airimpactwrench-guide/#99Nm
https://www.monotaro.com/s/pages/cocomite/454/
https://ktc.jp/facebook/771

アンモニア計

アンモニア計とは

アンモニア計とは、アンモニアガスの濃度を測定するための装置です。

アンモニアは農業、工業、冷凍技術などのさまざまな分野で使用されている無色で有害なガスです。アンモニア計は、特定の環境やプロセスでアンモニアガスの濃度を監視し、必要に応じて制御するのに役立ちます。

具体的には、畜産業において家畜の健康管理や冷蔵庫・冷凍庫などの冷却システムへの使用が一般的です。工業プロセスや環境保護のためにも重要な役割を果たしており、アンモニアガスの漏れや過剰な放出を防ぐ役割があります。

アンモニア計には、アンモニウムイオンを検出するための電極が取り付けられています。電極が汚れると測定値の変動を引き起こすため、使用後には装置の洗浄が必須です。またアンモニウムイオン用の電極、並びに比較電極は消耗品であるため定期的な交換が必要です。

アンモニア計の使用用途

アンモニア計は、排水や河川水のアンモニア分析に使われます。具体的には、アンモニアを分解・処理する下水処理場や廃水処理プラントなどです。生物処理を行う前、処理後の排水のアンモニア量をアンモニア計で測定し、アンモニア量の制御、最適なプロセスの設計を行います。

アンモニアは、環境への排出が制限されている化合物で酢。工場の排水に含まれるアンモニア量の管理、ならびに河川や湖、海水中の環境分析が欠かせません。アンモニア計は小型であるため、現場で排水を採取してその場で簡易的に分析できます。

アンモニア計の特徴

アンモニア計には、膜と電極が取り付けられており、アンモニウムイオンを選択的に透過する膜を含む電極と比較電極の間の電位差からアンモニウムイオンの量を算出します。アンモニウムイオン電極は同じ陽イオンであるカリウムイオンが妨害物質として作用するため、アンモニア計にはカリウムイオン電極も補正用に取り付けられています。

一方で、アンモニア計を用いて測定するサンプルは河川水や工場の排水、下水など様々な物質が混ざっている水溶液です。そのため、アンモニア計をサンプルに長期間浸し続けると電極表面に汚れが蓄積していきます。汚れが蓄積すると電位差の測定値が変動するので、電極表面の汚れの確認と定期的な交換が必要です。

なお、装置によっては超音波振動子を内蔵しているものもあり、電極表面に付着した汚れ、スケールを除去することも可能です。用途によっては経時的なアンモニア量をモニタリングする必要があるため、常にサンプル液に電極を浸してアンモニア量のデータを出力し続けるアンモニア計も販売されています。

アンモニア計の種類

一般的なアンモニア計のタイプには、化学センサー、電化学センサー、ガスクロマトグラフィー、赤外線吸収スペクトルなどがあります。これらの装置は、アンモニアの濃度をリアルタイムでモニターし、適切な安全性や効率を維持するために使用されます。

アンモニア計の選び方

1. 使用用途

アンモニア計の選定において、まず重要なのは使用目的です。どのような環境やプロセスで使用するのかを考え、適切なセンサータイプを選びます。例えば、化学センサー、電化学センサー、ガスクロマトグラフィーなどセンサータイプはさまざまで、目的に応じて最適なセンサーを選ぶ必要があります。

2. 測定範囲

アンモニア計の測定範囲は、対象となるアンモニア濃度に合致していなければなりません。計測範囲が広すぎるか、狭すぎると正確なデータを得るのが難しい場合があります。使用環境やアプリケーションに合った適切な測定範囲を確認することが重要です。

3. 精度と信頼性

アンモニア計の精度と信頼性は非常に重要です。高い精度の計測が求められる場合、信頼性の高いメーカーやモデルを選びます。また、キャリブレーションや保守が容易であるかどうかの考慮も必要です。

4. 環境条件への適合性

アンモニア計はさまざまな環境で使用されます。計測対象の環境条件 (温度、湿度、圧力など) に適合するかどうかを確認します。特に厳しい環境下での使用を考える場合、耐久性や防爆性が必要な場合もあります。想定外の環境で使用してしまうと、アンモニア計の故障や精度低下につながりかねません。

参考文献
http://www.jeta.or.jp/jeta127/pdf/kangikyou/%E6%8A%80%E8%A1%93HAT.pdf
https://www.horiba.com/jp/process-environmental/products-jp/water-quality-measuring-instruments/drainage-water/details_n/ammonia-nitrogen-meter-hc-200nh-28165/

アルミ選別機

アルミ選別機とは

アルミ選別機 (Aluminum Sorter) とは、ペットボトルやビンなどの資源ゴミや再生原料、破砕された廃棄物に混ざったアルミ缶、アルミチップや非鉄金属を選別、回収する機械です。

ゴミ及び産業廃棄物や廃家電品などのリサイクル現場で、鉄のような磁性体と古紙、廃ガラス、廃プラスチックのような非金属類、そしてアルミニウムのような非鉄金属を同時に3種類に分離、選別、回収するのに最適です。

手で一つ一つ選別するより機械を用いて自動選別することによって人件費を削減できます。

アルミ選別機の使用用途

アルミ選別機は主に各種廃棄物及び資源リサイクル工場で鉄金属、非鉄金属、非金属を自動的に選別する用途で使用します。化工薬品工場、鋳物工場などの高温用原料製造工場でも使われます。

生活ゴミや産業ゴミ焼却場、廃半導体リサイクルライン、廃家電リサイクルライン、アルミ缶選別ライン、廃ガラスリサイクルライン、廃車シュレッダーの破砕物の中から非鉄金属の選別ライン、高温処理される原料であるカーボンブラック工場、ゴミ 焼却灰の中からアルミの回収などに適用され、生産選別ラインの自動化が可能です。その他、駅や高速道路サービスエリアでのごみ回収やパチンコ台の釘の選別などにも使われます。

アルミ選別機の原理

アルミ選別機は高周波磁場の渦電流を利用して非鉄金属を選別する装置です。FRPドラムに円周上に貼り付けられた強力な永久磁石を高速回転させ、ドラムの表面に強力な交流磁界を発生させ、鉄、非金属、アルミニウム、銅等の非鉄金属を分離することが可能です。

コンベヤベルト内部で高いRPMで回転する高性能の永久磁石ドラムは、ベルトの上を通る非磁性体、非鉄金属に渦電流を誘導し、磁場が生じるようになります。この力は引力の反対に作用し、コンベヤーベルトが流れている時発生する推進力により非鉄金属は跳ね飛びますが磁性体、金属はそのままベルト上を流れますので、破砕物の中に混じっているアルミニウムなどの非鉄金属が選別されます。

選別対象物質である非鉄金属は表面積が大きくて広いほど、そして軽くて導電率が高いほど選別が容易です。また、アルミ選別機は丈夫でメンテナンスがほとんど必要ない構造になっており、長時間の運転でも安定的な選別が可能です。

ローター内部にある永久磁石の付け方によって偏芯マグネットタイプと同芯マグネットがあります。偏芯構造は同芯構造と比べて磁気ロータの交流磁界の磁気勾配が大きく、分別能力に優れて、ドラムとベルト間に処理物の巻き込みが発生しにくいです。

参考文献
http://www.aem1996.co.jp/singlefolder/aluminum.html
https://www.sanshin-kk.co.jp/product/sys501.htm
https://www.nmi-jpn.com/products/eddy-current-separator/
http://www.nmd.co.jp/recycle/entry-50.html

PVCチューブ

PVCチューブとは

PVCチューブ

PVCチューブとは、ポリ塩化ビニル (塩ビ) を主原料とするプラスチックチューブです。

ポリ塩化ビニルは電気絶縁性が良好な樹脂材料であることから、PVCチューブは各種電子機器の絶縁用保護材として使用されています。人が接触しやすい環境で人体には危険な大きな電力を扱う場合などには、PVCチューブで電線や端子を保護します。

PVCチューブによって、意図せぬ接触による感電やほこりが堆積して発火するトラッキング減少などのリスクを大きく軽減させることが可能です。

PVCチューブの使用用途

PVCチューブの原材料であるポリ塩化ビニル樹脂は、耐電圧が50kV/mm以上とゴムやポリエチレンの2倍近い電気絶縁性を有しています。そのため、PVCチューブは感電やショートを防止する保護材としてあらゆる電子機器に使用されています。

配線の保護用途では、熱を加えることで収縮するPVC熱収縮チューブも開発されています。内側に配線を通したあとに加熱することでチューブが配線に密着するため、簡単に保護皮膜を形成することが可能です。

また、塩ビ樹脂は引き裂き強度を始めとした機械的強度、耐薬品性、耐水性、難燃性などに優れており、可燃性液体や薬液の輸送などでも実績があります。 

PVCチューブの特徴

塩ビ樹脂はポリエチレン、ポリプロピレンポリスチレンと並んで4大汎用プラスチックと呼ばれるほど汎用性に使用されているプラスチックです。炭素・水素・塩素が組み合わさった分子鎖によって構成されており、汎用プラスチックのなかでも非結晶性樹脂に分類されます。

塩ビ樹脂は射出成形や真空成形、ブロー成形など様々な加工方法が適用され、PVCチューブは主に押出成形によって製造されています。非結晶性樹脂であるため結晶化による体積の減少が小さく、安定した寸法の製品を得ることが可能です。

加えて、塩ビ樹脂は多くの物質との混和性が良いため添加剤を加えることで多様な性質を発揮します。例えば、塩ビパイプは住宅などに使用される軽量で硬いパイプですが、柔軟なPVCチューブと同様に塩ビ樹脂が原材料となっています。

上記のように電気絶縁性や耐薬品性などの多くの長所がある一方で、塩ビ樹脂は熱に弱く85℃程度で軟化してしまうため、使用時に高温となる環境での使用には不適です。低音に対しては耐寒性のPVCチューブが開発されており、−40℃程度の環境下でも割れたり破れたりすることなく使用することができます。 

PVCチューブの種類

1. 一般用途PVCチューブ

一般用途のPVCチューブは、非常に広範な用途で使用される汎用性のあるタイプです。この種類のPVCチューブは柔軟性と耐久性があり、様々な流体の移送や排水、空気の供給などに適しています。

一般家庭での庭の水やり用ホースや、キッチンや浴室での排水ライン、農業や工業の用途でも広く使用されます。また、異なるサイズや厚さのものが存在し、用途に合わせて適切なサイズを選択が可能です。

2. 耐圧性PVCチューブ

耐圧性PVCチューブは、高い圧力環境での使用に適しています。このタイプのチューブは、内部に流れる液体やガスの圧力に対して耐久性を持ち、安全かつ効率的な流体制御を実現可能です。

産業用の高圧配管や圧力容器、ポンプシステム、さらには空調システムや自動車のブレーキラインなど、高圧環境での使用が必要な場面で重宝されます。

3. 透明PVCチューブ

透明PVCチューブは、非常に透明性に優れたタイプです。透明な素材により、内部の液体やガスの状態を視覚的に確認することができるため、特に食品産業や医療産業で広く使用されます。

飲料の配管や食品の流通ライン、薬液の供給管などで使われるほか、医療機器や医薬品の包装にも活用されます。透明性が求められる用途に適したPVCチューブです。

4. 電線保護用PVCチューブ

電線保護用PVCチューブは、電線やケーブルを保護するために設計されたタイプです。このタイプのチューブは、電線やケーブルを保護し、環境からの物理的な損傷や電気的な干渉から守ります。また、耐薬品性も持っており、化学薬品や溶剤から電線を守ることができます。

屋内や屋外での電線の配線に広く使われる他、工業施設や建築現場でも使用頻度が多いです。耐久性と電気絶縁性が求められる用途に適しています。

参考文献
https://www.vec.gr.jp/enbi/enbi2_3.html
https://www.nisseieco.co.jp/products/tube
https://www.vec.gr.jp/enbi/enbi2_1.html 

高強度ボルト

高強度ボルトとは高強度ボルト

高強度ボルトとは、高い強度を持ったボルトのことです。

高い引っ張り強さを持つ材料で作られているため、高い軸力を発生させ、大きな外力が作用する箇所に使うことができます。高強度ボルトと類似した用語に高力ボルトがあります。

高力ボルトも高強度ボルトの1種ですが、高力ボルトは主に鉄骨建造物に使われるボルトを指す場合が多いです。高力ボルトも鉄筋や鉄骨の建造物を支えるため、通常のボルトよりも大きな強度と張力を持っており、簡単に外れることがありません。重い重量を支える場合や長期間強度が必要な場合に使用されます。

高強度ボルトの使用用途

高強度ボルトは、高い強度や張力を必要とする様々な場面で利用されます。自動車での用途では、エンジンのコンロッドやシリンダヘッドの固定などです。

エンジンの気筒内で発生する爆発力を支えるためには、高い強度を有するボルトが必要です。高力ボルトに限れば、鉄筋や鉄骨の建造物に使われます。鉄骨の接合方法には溶接もありますが、建築現場での作業ならボルトの締結の方が作業性が上がります。

高強度ボルトの原理

高強度ボルトは、材料強度によって強度を確保しています。SCM435、SCM440などの合金鋼に焼き入れ焼戻しによる熱処理を加えて強度を確保します。また、高強度ボルトで課題になるのが遅れ破壊です。

遅れ破壊とは、静的な応力を受けた状態の部品が、ある一定時間を経過すると突然破壊してしまう現象です。原因は材料中に侵入した水素とされており、製造工程や表面処理工程で水素の侵入を防ぐための方策が取られています。

高強度ボルトの種類

ボルトの種類の1つに強度区分があります。強度区分によってボルトのおおよその強度が分かり、六角ボルトの頭に刻印されています。現在の強度区分はポイントシステムというISOの規格で、9.8、10.9といった表記をするものです。

例えば、10.9なら呼び引張強さが1000N/mm2であり、その9割である900N/mm2までは降伏しないことを意味します。なお「.」は小数点ではなく、日本語では「ポツ」と発音します。

また、1999年4月以前の旧JISにおいて強度区分は、7T、9T、11Tといった表記がされていました。Tを用いた強度区分は、引張強さの最小値を100で割った値であり、例えば9Tは900N/mm2の引張強さを持つことを意味します。現在でも、古い図面に記載されていることがあります。

高強度ボルトのその他情報

1. 高力ボルトの種類

高強度ボルトの1種である高力ボルトには、いくつかの種類があります。実際には様々な種類のボルトがあります。こ代表的な高力ボルトは、以下のとおりです。

溶融亜鉛メッキ高力ボルト
溶融亜鉛メッキを施した高強度ボルトのことです。表面にメッキを施せば、風や雨に強く、錆びにくくすることができます。外気にさらしても腐食することが少ないため、外壁や屋根に使用されます。

トルシア型高力ボルト
ボルトの頭が丸く、先端にピンテールという物が付いたボルトのことです。この形状によって軸が安定し高い強度を保つことができます。ボルトの強度としては最高クラスで、最もよく使われている高強度ボルトです。

また、トルシア型高力ボルトを取り付けるときには、先端のピンテールが切り取られるまでトルクを導入します。従って、通常のボルトよりも施工管理が簡単になります。

2. 高強度ボルトの使い方

高強度ボルトは適正な使い方をしなければ、相手側のナットが破損したり、高強度ボルトを使用して組み立てた製品や機器が破損したりすることがあります。防止のための必要な項目は、以下の通りです。

  • 高強度ボルトとナットや相手側の座面が壊れないよう、締め付ける力が許容範囲内であること。
  • 高強度ボルトとナットや相手側の座面に加わる繰り返しの力 (振動などによる) が許容範囲内であること。
  • 高強度ボルトの座面 (お互いに接触する側の面で、工具が触れる面ではない) に加わる圧力で、締め付ける対象物 (金属や木材など) を陥没させないこと。
  • 高強度ボルトを締め付けることで、締め付ける対象物を壊さないこと。

参考文献
https://containerworks.jp/architecture/highpressure-bolt.html
http://kentiku-kouzou.jp/koukouzou-torusiagata.html
https://www.akaneohm.com/column/denshoku2/
https://www.nbk1560.com/

風力選別機

風力選別機とは

風力選別機 (英: Wind sorter) はシロッコファンなどを使って最適な風を送り出すことによって多様な製品や原材料、各種廃棄物の中に混じっている不純物、異質物などを比重別、重量別、サイズ別、粒子の径別に選別するために使う装置です。

リサイクル処理設備としてはもちろん多種多様の製品のグレードアップにも適用され品質の向上、製品の量産化が出来ます。メンテンナンスが容易な空気循環式がよく使われていますが、吹上げタイプや吸引タイプもあります。

風力選別機の使用用途

風力選別機は食品、医薬品、鉱工業、建築資材、化学製品製造、リサイクル、産業廃棄物、一般廃棄物など様々な分野で幅広く利用されています。使用例は以下の通りです。

  • 健康茶の生産工場で異物の除去
  • 削り節やカットわかめ、乾燥魚類に混入しているごみくずや石除去
  • リサイクル処理工場で比重値の異なる金属選別
  • プラスチックの重量別で選別
  • 木材チップや樹脂、ガラスカレットの選別
  • 製菓選別ラインで原料中に混入している髪の毛除去
  • 香辛料選別、排出コンベアーで軽い異物除去
  • ごま、大豆、そばなど穀物類に混入している未熟実、ガラ、わらくず、枝、ゴミなどの分離
  • 漢方薬の中の異質物、毛髪等の分離
  • 活性炭の大小分離及び、小石の分離

風力選別機の原理

風力選別機は物体が自由落下する時、空気抵抗によって一定以上速くならない固有のスピード (浮遊速度) を持ち、その固有の速度と同じ風速で風を吹き上げると物体が浮遊する事を利用した装置です。風力選別機に内蔵されている送風機 (シロッコファン) から風を送り、上方から選別対象物を投入すると、送風機の風速より重比重物は下へ落ちていき、軽比重物は上へ移動することで分離ができます。

同じ形状・容積でも、比重が違えば浮遊速度は異なり、逆に同じ比重のものでも、その形状が違えば浮遊速度は異なるので浮遊速度が違う2種類以上のものでも風量と流量をバランスよく調整すれば選別ができます。吹上げタイプ、吸引タイプ、密閉循環タイプがありますが、吸引タイプは処理物が吸引口にとじふさぐ事があるので、保守管理に手がかかるデメリットはありますが、ホコリも一緒に捕集出来るため作業現場の空気が悪くならないメリットがあります。

密閉循環タイプはほこりを外へ送り出さずに排出する事が可能で、ろ過装置などが必要なくシンプルな構造のため、メンテナンスが簡単です。

参考文献
http://www.nihonsenki.com/lineup/circulation.html
http://www.dokexjapan.com/lineup.html#b
https://www.econmw.co.jp/106/
http://www.omco-taiyo.co.jp/catalog_pdf/c_E_pdf008.pdf
http://www.earthtechnica.co.jp/recycling/k14/